東方酒迷録【完結】   作:puc119

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友人がよく傘を盗まれるそうで、アニメキャラがでかでかとプリントされた傘を使い始めました

傘は失わなくなったそうですが、大切な何かを失ったように思えます




第24話~お説教~

 

 

 あれから、色々と考えた。どうすれば……どうすれば宴会に参加しなくて済むのかを。

 

 

 ……いや、だって仕様が無いじゃん。会いたくないものは、会いたくないのだ。だいたい、どんな顔して会えば良いってのさ?

 

 異変の邪魔をして、暴言吐いて帰ってきたんだよ。向こうにとっては俺ってただの迷惑な人じゃん。

 

 絶対、八意さんだって俺には会いたくないよ。

 

 そして今晩にその宴会がある。

 

 だから決めたのだ。全力で逃げようって。

 

 

 このまま家に引き篭っていても紫に拉致される。だから、何処かへ隠れたいわけだけど……

 

 とりあえず宴会会場の博麗神社はありえない。紅魔館じゃ紫に見つかる。白玉楼は……まぁ、無理だろう。幽々子を説得できれば良いけれど、まず無理だ。

 

 そうなると、いよいよ候補が減ってくる。外の世界は行き方がわからないし、妹紅の家も場所を知らない。

 

 だいたい、紫の能力がチートすぎるんだよ。幻想郷の中にいたら何処だろうと見つかる。

 

 と、なるとだ。俺が思いつく場所は一つしかない。たぶん、そこなら紫も来ないはず。

 そしてその場所へ向かって歩いているわけだが、どうにも気が乗らない。いや、背に腹は代えられんけどさ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼岸花に埋め尽くされ、真っ赤に染まった道を歩く。

 再思の道。そう呼ばれている場所だ。其処は死にたくなった者が生きる気力を取り戻せる場所。

 

 な~んて言えば聞こえは良いけど、外来人にとっては地獄へと続く一本道。そう考えると、これだけ美しく咲いている彼岸花も怖く見える。

 

 この先にある無縁塚には、春になると紫色の花をつける桜がある。 俺はあまり好きじゃないんだよね、あの桜。見ていると何故か無性に悲しくなるから。

 

 さらに無縁塚を越え暫く進むと、何とも重苦しい雰囲気な川が見えてきた。その川は三途の河なんて呼ばれている。

 俺には縁のない場所なんだけどねぇ。

 

 

 さてさて、あの三途の水先案内人はちゃんと仕事をしているのかな?

 

 彼女が仕事をしているところとかほとんど見ないけど。

 

 

 

 

 

 

 フラフラと暫く歩くと、川を渡るための船の近くに彼女はいた。

 てか、寝ていた。仕事しなさいよ……これじゃあ幽霊たちも成仏できないじゃん。

 

「おい、小町~。起きろって」

 

 お昼寝中の死神に声をかける。

 

「ん、むぅ? あ~……あ? なんだい黒じゃないか。ついにお前さんも死んじまったのかい?」

 

 大きな欠伸をしながら小町が聞いてきた。

 

「いや俺、死ねないんだけど……」

 

 君も知ってるでしょうに。

 

「そういやぁ、そうだったね」

 

 なんて言って小町はからからと笑った。

 

「それで、今日は何の用だい? あたいは仕事中で忙しいからあまり構ってはあげられないよ」

 

 どの口が言いやがりますか。

 

「仕事しないで、寝てたじゃん……」

 

「ん? していたよ。ほら、あたいの仕事は船を漕ぐことだし」

 

 何ドヤ顔で言ってんだ。ぶっ飛ばすぞ。漕ぐどころか、完全に沈没してたじゃねーかよ。

 

「ちょっと川の向こう側に行きたいんだけど、乗せてくれない?」

 

「おや、映姫様に用事かい? 黒にしては随分と珍しいじゃないか」

 

 俺だけじゃなく、誰だって映姫に会おうとは思わないだろうね。

 

「あ~、映姫に用事があるわけじゃないんだ。ちょっと匿って欲しいていうか……」

 

 宴会に出たくないから逃げてきた。だなんて恥ずかしくて言えない……

 

「そうかいそうかい詳しくは聞かないが、ま、色々あるんだろうね。ん~でもなぁ。まだ生きている奴を渡すってのはな~」

 

 やや、棒読みでこちらをチラチラと見ながら小町が言った。はぁ……わかった、わかりましたよ。こちらも只で渡ろうとは思っていなかったし。

 

「……今度、良いお酒を持ってくるよ。それで、どう?」

 

「3本」

 

「2本で」

 

「じゃあ、間を取って2.5本でいこう。ん? 切りが悪いな。じゃあ死者五入で3本かな。いや~、悪いね気を使わせちゃって。まぁ、その分しっかりと働いてあげるよ」

 

 ……恐ろしい速さで交渉が打ち切られた。鬼か。いや、死神か。

 

「さぁ、タイタニック号に乗っておくれ」

 

 はい?

 

「タイタニック号? このボロ船が?」

 

「そうだよ良い名前だろ? あとボロ船なのは仕様が無い。お金無いんだもん」

 

 もう少しマシな名前にしなさいよ……

 

「ほいじゃあ、一名様ご案な~い」

 

 

 

 

 そして、タイタニック号(笑)に乗り、小町がそう言った時だった。

 

「案内する必要はありません」

 

 閻魔が現れた。

 

 

「「げっ」」

 

 小町と俺の台詞が被る。

 

「くそっ見つかったか。よし小町、お前は良いから先に行かせろ」

 

「すまない! 後で必ず行くから此処は私に……ってあれ? さっきの台詞おかしくないかい? 普通ならあたいが逃げる側なんじゃ……」

 

 ダメか、誤魔化し切れなかったか。

 

「何をやっているのですか……二人ともこちらへ来て正座しなさい」

 

 あ、ツンだわ。

 

「「はい……」」

 

 どうやら俺と小町の相性は割と良いらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小町は後で良いとして、黒貴方はどのような用事でここへ?」

 

 さぁ、始まりました。皆大好き映姫ちゃんの説教の時間だよ。料金は無料。心に突き刺さる閻魔の言葉プライスレス。

 

「ちょっと観光に……」

 

「私の前でそのような嘘が通るとでも?」

 

 ですよねー。この閻魔は、答えの分かっていることを何で聞くんでしょうね……

 

「もう一度聞きます。何故貴方はここへ?」

 

 小町の方を見ると、諦めろとでも言うように首を振っていた。

 

「その……宴会に参加するのが嫌で、に、逃げて来ました」

 

 俺の答えを聞き、映姫は何も言わなかった。小町は笑っていた。

 

 あの……なんか言ってもらえませんか?

 

 

 

 

 

「……私が貴方を裁くことはないでしょう」

 

 そりゃあそうだろ、俺不老不死だし。

 

「しかし、貴方は多くの罪を犯している」

 

 んなことは、知ってるよ。

 

「取り返しのつかないほどの多くの罪を。何度も言いましたが、生きるというものは、それだけで罪な事です。それだのに貴方は何年生きていますか?」

 

 さぁねぇ? 一億年とかじゃない?

 

「いや、仕様が無いじゃん死ねないんだし」

 

「そして、その生き方も悪い」

 

 なにこの人、俺の話を聞いてくれない……

 

「何より……」

 

 ――自殺だなんて以ての外。

 

 ちょいと心が痛いねぇ……

 

「生きることも死ぬことも駄目と?」

 

「その生き方、死に方に問題があるのです。嫌なことからすぐ逃げるくせに、自ら進んで罪を被る。背負いきれないのなら初めから止めなさい。そう、貴方は少し不器用すぎる」

 

 映姫の説教は続く。

 

「貴方は不老不死。その事実から逃げることはできません。昔よりは良くなってきていますが、まだまだです。しっかり自分と向き合い、他人を思いやり、今を大切に生きなさい」

 

 もう何度目かもわからない、いつもと同じ説教だった。成長してないってことなんかねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後は小町も加え二人とも説教された。映姫の説教は途中から話がずれていき、最後の方なんてただの愚痴だった気がする。俺のせいで大量の始末書を書かされた。とか言っていたけど、何のことだよ……

 

「全く、あの方のせいで毎日振り回されっぱなしです! どうにかしてください」

 

「いや、だから誰のことだよ」

 

「それもこれも、貴方が悪いのです。貴方がもっとしっかりとしていれば……」

 

 そんな感じでとばっちりを喰らい続けた。ぽっぽこ怒る映姫。大変だってことはわかったけど、やっぱり俺、関係ないよね……

 

 

 

 

 映姫の説教を受け続けること数時間。すでに辺りは暗い。正座し続けたせいで足の感覚はなくなった。これ、足が痺れて絶対立てないよね……

 

「さて、そろそろ良い時間ですね」

 

 映姫が言った。

 

「え? 何のこと?」

 

「あ、小町にお酒を渡さなくとも良いですよ。その代わり私がもらいます。ふふっ、まずは目の前の課題から解決しましょうか。では、頑張ってきてください。私はいつでも貴方を応援していますよ」

 

 なんて映姫は笑いながら俺に言って、小さく手を振った。

 

 いや、だから何のことさ。と言おうとした時だった。足元が消え、下に落ちた。結局、逃げ切ることはできなかったらしい。

 こりゃじゃあただの怒られ損だけど、人生なんてそんなもんだ。

 

「またお会いしましょう。お酒楽しみにしていますよ」

 

 最後に映姫の声が聞こえた。

 うん、また来るよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スキマから吐き出されると、目の前に驚いた顔の八意さんがいた。

 

 逃げることはできないっぽい。

 

 

 






何も進まなかった話のような気もします
今度はお説教をしない映姫さんが書けたら良いな~とか思っています

と、言うことで第24話でした
これでちょうど30話目となります

あと何話続くんでしょうね?

次話は永琳さんと主人公の話でしょうか?
なにも考えてませんが


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