ようやっと、花映塚スタートです
――そう、貴方は少し業が深すぎる。
自ら閻魔と名乗った少女の声が響いた。
ん……私はさっさと異変を解決したいのだけど、どうやら最後に厄介な奴が現れたらしい。
「このままでは、地獄にすら貴方は行けません」
「別に良いわよ。とりあえず、貴方を倒して花を戻してから考えるとするわ」
「紫の桜は、罪深い人間の霊が宿る花。その紫の桜が降りしきる下で、断罪しなさい。博麗の巫女よ!」
目の前が弾幕で埋め尽くされる。はぁ……どうせなら、この弾幕も全部花へと変わってしまえばいいのに。
狂い咲いた花の異変、解決まではもう少しかかりそうだ。
――――――――
「ありゃ? こんなに判りやすい異変が起きていると言うのに、なんで霊夢はのんびりしているんだ?」
――珍しいな。
なんて縁側でお茶を飲んでいた私に言って、魔理沙は笑った。
周りを見渡す。桜、向日葵、野菊、桔梗などなど……季節など全く関係なく、花々が咲いていた。
う~ん、やっぱり異変なのかな? でも、何か違うような……
それにもし、本当に異変だとしたら黒だって私の所へ来ると思うのだけど。しかし、ここ最近は黒の姿を見ていない。
「んじゃあ、私はこの異変を解決してくるぜ」
そう言って魔理沙は飛び立って行った。何しに来たのだろうか?
さてもう少ししたら、私も動くとしよう。せっかくこんなに花が咲いているのだし、見て回らなければもったいない。
博麗神社を出たのは良いけれど、何処へ向かって良いのかわからない。
勘が鈍ったかしら?
う~ん、どうしようか。まぁ、色々な場所にでも行ってみよう。
フラフラと霧の湖まで行く。
「流石に湖の上はいつもの春と変わらないわね」
水面にだって咲く花はあるのに。
紅魔館は……関係ないわよね。レミリアがこんなことをするとは思えないし。
そんなことを考えていると、遠くの方から声が聞こえた。
「ちょっ、ちょっと大ちゃん待ってってば」
「さぁ、行くよチルノちゃん。う~ん、どうしようか。手始めに紅魔館に殴り込んで、レミリアちゃんでも連れて来る?」
「いや……それはやめておこうよ」
「やっぱり生身の体は最高ね。フハハハハ!我が世の春が来たぁ!! よしっ、今日は遊びまくるよ!!」
「うわーん。大ちゃんが壊れたぁ」
氷精と……あれは、いつか神社で見た変な妖精だったかしら? なんだろうか、あまり関わりたくないわね。
どうやら、この異変は私が思っている以上に大きなものなのかもしれない。
あの妖精たちを見たせいで、紅魔館へ行く気にもなれずまた違う場所へ。
そう言えば、一人だけで異変を解決するのは随分と久しぶりな気がする。萃香の起こした異変の時だって、最終的には黒と一緒だったし……
全く、こんなことが起きているというのに、黒は何をやっているのだか。
その後、迷いの竹林や冥界なんかにも行ったけれど、異変解決の手がかりは一切なかった。
困った。今までこんなことはなかったのだけれど……こんなんじゃ駄目だ。次は普段行かない場所にでも行ってみよう。
普段は足を運ばない山の方へ行くと、霧の湖と比べると小さいが大きな池があった。
「こんな所に池があったのね」
独り言が出る。
池は蓮の葉で覆われ、さらに蓮の花が満開だった。普通なら夏に咲くはずの花。今回は何とも不思議な異変だ。
「やっとのことで、巫女を発見。まさかこんな山奥にいるとは……さ、取材取材」
そんな声が後ろから聞こえた。
「誰よあんた」
「あ、私のことは気にせず続けてください」
天狗……なのかしら? そして手にはカメラを持っていた。
「続けるも何も、私はふらふらと飛んでいただけだし。取材って言っても何もないわよ。んで、あんたは誰?」
「私は射命丸文と言い、しがない新聞記者ですよ。文々。新聞を書いています。貴方達の行動は面白いですし、我々天狗の中では貴方も有名人ですよ」
勝手に有名人にされても嬉しくない……
文々。新聞、ね……う~んどこかで聞いた気がする。
「ああ、思い出した。あの新聞を書いていたのね。いつも助かっているわ」
「うん? 助かって……?」
「火種にちょうど良いのよ。あの紙」
「…………」
あら、黙っちゃった。何か悪いことでも言ったかな?
「あ、そう言えば」
「どうかしましたか?」
こんなところで呑気にお話をしている場合ではなかった。漸く怪しい妖怪を見つけたのだ。
しっかりと退治しないと。
「今、妖怪退治をしている途中だったの」
「はぁ」
「と、言うことでとりあえず退治してあげるわ」
「全く、霊夢さんも随分と乱暴になりましたね。さあ、手加減してあげますから本気で掛かって来なさい」
その言い方だと昔の私を知っているようだけど、私はあんたなんて知らないわよ。
「あやややや。霊夢さんも強くなりましたね。う~ん、わかってはいたけれど、ここまでだとは……」
本当に手を抜いていたのか、負けたのにも関わらずその表情は先ほどと変わっていなかった。なんとなくやりづらい。
「妖怪退治をしている私の前に、のこのこ現れる方が悪い」
「……ふらふら飛んでいただけではなかったのですか?」
ふらふら飛びながら、妖怪退治をしていたのよ。
「はぁ、昔は『文お姉ちゃん。文お姉ちゃん』と私について来て霊夢さんも可愛かったのに……」
え……何それ、そんなの私は知らないわよ。
「……嘘でしょ?」
「まぁ、半分は嘘ですね」
じゃあ、残りの半分は何なのだろうか?
「そう言えば、あんたは新聞記者って言っていたわよね。じゃあ、この花の異変について知っていることを教えなさい!」
新聞記者ならきっと情報通なはずだし、何か知っているはず。
「あら? 黒さんからは何も聞いていないのですか?」
うん? 黒とも知り合いなの? まぁ、黒は顔も広いし今更驚きもしないけれど。
「何も聞いていないけれど……」
この異変も黒が関わっているのだろうか?
「そうでしたか。う~ん、黒さんもしっかりと教えてあげれば良かったのに……そうですね、花以外にも気付くことはありませんか?」
花以外?
周りを見る。
ああ、なんとなくわかった。
「うん、漸く目的地が見えてきたわ」
「それは良かったです。では、引き続き暴れていてください。今度はバレないように撮影しますので」
別に暴れていたわけではなかったのだけど……あと、撮影するのなら少しくらいお金をもらえないだろうか?
狂ったように一精に咲いたせいで、この花々にばかり気を取られていた。妖精がいつもよりも血の気が多いのは異変のせい。
そして意識はしていなかったけれど――
「いつもより、絶対に幽霊の数が多いのよね」
異常なほど幽霊が増えていた。幽霊なら冥界が原因な気もするけれど、あの場所は違った。それならば原因は……
「おや? 博麗の巫女がこんな所へ何の用だい? 一応、警告しておくけれどお前さんの持ち金じゃあ、三途の川を渡れないよ。帰った方が良いんじゃないかい?」
大きな鎌を持った少女が話しかけてきた。
たぶん、これだ。
「別に渡ろうとなんて思っていないわよ。それに、お金がないことだって知っているし。それで、あんたは誰?」
私のことは知っているらしいけれど。う~ん、もしかしたら私って結構有名なのだろうか? こちらは知らないのに、あちらが知っているとは。やっぱりあまり嬉しくない。
「あたいは小野塚小町。死神でこの三途の川の水先案内人だよ。生きた人間を渡すことはあまりないけれど、お金さえ払ってもらえれば運んであげるよ」
いや、だから渡らないって。
「そんなことはどうでも良いの。私はこの異常に咲いた花と、増えた幽霊を調べに来ただけ」
「うん? 花と幽霊が増えた? ん~幽霊ねぇ……おお、彼岸花もこんなに咲いちゃって……あれ、彼岸花? あ、ヤバい紫の桜まで……み、見なかったことにしよう」
急に慌てだした死神。
何これ、すごく怪しい。
「どうやら、何か知っているみたいね」
「ちょ、ちょいと待ちな。あたいは仕事があるからこれで失礼するよ」
本当に当たりだったらしい。でも、黒幕って感じはあまりしないのよね。
「待ちなさい、幻想郷が幽霊だらけなのはあんたがサボっているからね? ちゃんと仕事をしなさいよ!」
「い、いや、私は自分のペースで仕事をしていただけだ、別にサボっていたわけだはない。私の仕事くらい、私のペースでやらせてよ」
それをサボっていたと言うのでしょうが。そして何故、逆ギレしているのだろうか。
「とにかく、あんたが原因なのね」
「私の仕事を邪魔するのなら容赦はしないよ?」
全く、仕事くらいちゃんとやりなさいよ。
「さあ、さっさとそのボロ船で幽霊を運びなさい」
「いたたっ。全く、巫女は乱暴なんだから。だいたい、あたいを倒したってこんな量の幽霊運びきれないよ。明らかに許容オーバーだ」
知らないわよ、そんなこと。あんたが、ちゃんと仕事をしてこなかったからでしょうが。
「何をやっているの小町」
「げっ、映姫様」
また新しい声が聞こえた。声のした方を見ると、映姫と呼ばれた者と霧の湖で見た変な妖精――そして黒がいた。
「俺があれだけ言ったのに、小町は結局働かなかったのか……」
黒が言った。
「い、いや~すっかり忘れていtあ、ちょっ、映姫様待って、すみません。すみません!」
ポコポコと叩かれる死神。
「まぁ、小町ちゃんだし仕方がないよね。や、霊夢ちゃん久しぶり」
変な妖精が私に挨拶をしてきた。
なんで、私の名前を? あと、妖精がなぜこんな所に?
主人公の出番がほとんどありませんでしたね
そして、オール霊夢さん視点
こんなんで良いのかなぁ……
と、言うことで第29話でした
かなり飛ばし気味でしたね
次話は主人公視点か、変な妖精さん視点となりそうです
ですので時間が少し戻ります
では、次話でお会いしましょう
感想・質問何でもお待ちしております