東方酒迷録【完結】   作:puc119

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ようやっと、花映塚スタートです




第29話~花咲いて幽霊乱れて~

 

 

 ――そう、貴方は少し業が深すぎる。

 

 自ら閻魔と名乗った少女の声が響いた。

 

 ん……私はさっさと異変を解決したいのだけど、どうやら最後に厄介な奴が現れたらしい。

 

「このままでは、地獄にすら貴方は行けません」

 

「別に良いわよ。とりあえず、貴方を倒して花を戻してから考えるとするわ」

 

「紫の桜は、罪深い人間の霊が宿る花。その紫の桜が降りしきる下で、断罪しなさい。博麗の巫女よ!」

 

 目の前が弾幕で埋め尽くされる。はぁ……どうせなら、この弾幕も全部花へと変わってしまえばいいのに。

 

 狂い咲いた花の異変、解決まではもう少しかかりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

「ありゃ? こんなに判りやすい異変が起きていると言うのに、なんで霊夢はのんびりしているんだ?」

 

 ――珍しいな。

 

 なんて縁側でお茶を飲んでいた私に言って、魔理沙は笑った。

 

 周りを見渡す。桜、向日葵、野菊、桔梗などなど……季節など全く関係なく、花々が咲いていた。

 

 う~ん、やっぱり異変なのかな? でも、何か違うような……

 それにもし、本当に異変だとしたら黒だって私の所へ来ると思うのだけど。しかし、ここ最近は黒の姿を見ていない。

 

「んじゃあ、私はこの異変を解決してくるぜ」

 

 そう言って魔理沙は飛び立って行った。何しに来たのだろうか?

 

 さてもう少ししたら、私も動くとしよう。せっかくこんなに花が咲いているのだし、見て回らなければもったいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 博麗神社を出たのは良いけれど、何処へ向かって良いのかわからない。

 勘が鈍ったかしら?

 

 う~ん、どうしようか。まぁ、色々な場所にでも行ってみよう。

 

 

 

 フラフラと霧の湖まで行く。

 

「流石に湖の上はいつもの春と変わらないわね」

 

 水面にだって咲く花はあるのに。

 

 紅魔館は……関係ないわよね。レミリアがこんなことをするとは思えないし。

 

 そんなことを考えていると、遠くの方から声が聞こえた。

 

 

「ちょっ、ちょっと大ちゃん待ってってば」

 

「さぁ、行くよチルノちゃん。う~ん、どうしようか。手始めに紅魔館に殴り込んで、レミリアちゃんでも連れて来る?」

 

「いや……それはやめておこうよ」

 

「やっぱり生身の体は最高ね。フハハハハ!我が世の春が来たぁ!! よしっ、今日は遊びまくるよ!!」

 

「うわーん。大ちゃんが壊れたぁ」

 

 氷精と……あれは、いつか神社で見た変な妖精だったかしら? なんだろうか、あまり関わりたくないわね。

 

 どうやら、この異変は私が思っている以上に大きなものなのかもしれない。

 

 あの妖精たちを見たせいで、紅魔館へ行く気にもなれずまた違う場所へ。

 

 そう言えば、一人だけで異変を解決するのは随分と久しぶりな気がする。萃香の起こした異変の時だって、最終的には黒と一緒だったし……

 

 全く、こんなことが起きているというのに、黒は何をやっているのだか。

 

 

 その後、迷いの竹林や冥界なんかにも行ったけれど、異変解決の手がかりは一切なかった。

 困った。今までこんなことはなかったのだけれど……こんなんじゃ駄目だ。次は普段行かない場所にでも行ってみよう。

 

 普段は足を運ばない山の方へ行くと、霧の湖と比べると小さいが大きな池があった。

 

「こんな所に池があったのね」

 

 独り言が出る。

 池は蓮の葉で覆われ、さらに蓮の花が満開だった。普通なら夏に咲くはずの花。今回は何とも不思議な異変だ。

 

「やっとのことで、巫女を発見。まさかこんな山奥にいるとは……さ、取材取材」

 

 そんな声が後ろから聞こえた。

 

「誰よあんた」

 

「あ、私のことは気にせず続けてください」

 

 天狗……なのかしら? そして手にはカメラを持っていた。

 

「続けるも何も、私はふらふらと飛んでいただけだし。取材って言っても何もないわよ。んで、あんたは誰?」

 

「私は射命丸文と言い、しがない新聞記者ですよ。文々。新聞を書いています。貴方達の行動は面白いですし、我々天狗の中では貴方も有名人ですよ」

 

 勝手に有名人にされても嬉しくない……

 文々。新聞、ね……う~んどこかで聞いた気がする。

 

「ああ、思い出した。あの新聞を書いていたのね。いつも助かっているわ」

 

「うん? 助かって……?」

 

「火種にちょうど良いのよ。あの紙」

 

「…………」

 

 あら、黙っちゃった。何か悪いことでも言ったかな?

 

「あ、そう言えば」

 

「どうかしましたか?」

 

 こんなところで呑気にお話をしている場合ではなかった。漸く怪しい妖怪を見つけたのだ。

 しっかりと退治しないと。

 

「今、妖怪退治をしている途中だったの」

 

「はぁ」

 

「と、言うことでとりあえず退治してあげるわ」

 

「全く、霊夢さんも随分と乱暴になりましたね。さあ、手加減してあげますから本気で掛かって来なさい」

 

 その言い方だと昔の私を知っているようだけど、私はあんたなんて知らないわよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あやややや。霊夢さんも強くなりましたね。う~ん、わかってはいたけれど、ここまでだとは……」

 

 本当に手を抜いていたのか、負けたのにも関わらずその表情は先ほどと変わっていなかった。なんとなくやりづらい。

 

「妖怪退治をしている私の前に、のこのこ現れる方が悪い」

 

「……ふらふら飛んでいただけではなかったのですか?」

 

 ふらふら飛びながら、妖怪退治をしていたのよ。

 

「はぁ、昔は『文お姉ちゃん。文お姉ちゃん』と私について来て霊夢さんも可愛かったのに……」

 

 え……何それ、そんなの私は知らないわよ。

 

「……嘘でしょ?」

 

「まぁ、半分は嘘ですね」

 

 じゃあ、残りの半分は何なのだろうか?

 

「そう言えば、あんたは新聞記者って言っていたわよね。じゃあ、この花の異変について知っていることを教えなさい!」

 

 新聞記者ならきっと情報通なはずだし、何か知っているはず。

 

「あら? 黒さんからは何も聞いていないのですか?」

 

 うん? 黒とも知り合いなの? まぁ、黒は顔も広いし今更驚きもしないけれど。

 

「何も聞いていないけれど……」

 

 この異変も黒が関わっているのだろうか?

 

「そうでしたか。う~ん、黒さんもしっかりと教えてあげれば良かったのに……そうですね、花以外にも気付くことはありませんか?」

 

 花以外?

 周りを見る。

 ああ、なんとなくわかった。

 

「うん、漸く目的地が見えてきたわ」

 

「それは良かったです。では、引き続き暴れていてください。今度はバレないように撮影しますので」

 

 別に暴れていたわけではなかったのだけど……あと、撮影するのなら少しくらいお金をもらえないだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 狂ったように一精に咲いたせいで、この花々にばかり気を取られていた。妖精がいつもよりも血の気が多いのは異変のせい。

 

 そして意識はしていなかったけれど――

 

「いつもより、絶対に幽霊の数が多いのよね」

 

 異常なほど幽霊が増えていた。幽霊なら冥界が原因な気もするけれど、あの場所は違った。それならば原因は……

 

「おや? 博麗の巫女がこんな所へ何の用だい? 一応、警告しておくけれどお前さんの持ち金じゃあ、三途の川を渡れないよ。帰った方が良いんじゃないかい?」

 

 大きな鎌を持った少女が話しかけてきた。

 たぶん、これだ。

 

「別に渡ろうとなんて思っていないわよ。それに、お金がないことだって知っているし。それで、あんたは誰?」

 

 私のことは知っているらしいけれど。う~ん、もしかしたら私って結構有名なのだろうか? こちらは知らないのに、あちらが知っているとは。やっぱりあまり嬉しくない。

 

「あたいは小野塚小町。死神でこの三途の川の水先案内人だよ。生きた人間を渡すことはあまりないけれど、お金さえ払ってもらえれば運んであげるよ」

 

 いや、だから渡らないって。

 

「そんなことはどうでも良いの。私はこの異常に咲いた花と、増えた幽霊を調べに来ただけ」

 

「うん? 花と幽霊が増えた? ん~幽霊ねぇ……おお、彼岸花もこんなに咲いちゃって……あれ、彼岸花? あ、ヤバい紫の桜まで……み、見なかったことにしよう」

 

 急に慌てだした死神。

 何これ、すごく怪しい。

 

「どうやら、何か知っているみたいね」

 

「ちょ、ちょいと待ちな。あたいは仕事があるからこれで失礼するよ」

 

 本当に当たりだったらしい。でも、黒幕って感じはあまりしないのよね。

 

「待ちなさい、幻想郷が幽霊だらけなのはあんたがサボっているからね? ちゃんと仕事をしなさいよ!」

 

「い、いや、私は自分のペースで仕事をしていただけだ、別にサボっていたわけだはない。私の仕事くらい、私のペースでやらせてよ」

 

 それをサボっていたと言うのでしょうが。そして何故、逆ギレしているのだろうか。

 

「とにかく、あんたが原因なのね」

 

「私の仕事を邪魔するのなら容赦はしないよ?」

 

 全く、仕事くらいちゃんとやりなさいよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、さっさとそのボロ船で幽霊を運びなさい」

 

「いたたっ。全く、巫女は乱暴なんだから。だいたい、あたいを倒したってこんな量の幽霊運びきれないよ。明らかに許容オーバーだ」

 

 知らないわよ、そんなこと。あんたが、ちゃんと仕事をしてこなかったからでしょうが。

 

「何をやっているの小町」

 

「げっ、映姫様」

 

 また新しい声が聞こえた。声のした方を見ると、映姫と呼ばれた者と霧の湖で見た変な妖精――そして黒がいた。

 

「俺があれだけ言ったのに、小町は結局働かなかったのか……」

 

 黒が言った。

 

「い、いや~すっかり忘れていtあ、ちょっ、映姫様待って、すみません。すみません!」

 

 ポコポコと叩かれる死神。

 

「まぁ、小町ちゃんだし仕方がないよね。や、霊夢ちゃん久しぶり」

 

 変な妖精が私に挨拶をしてきた。

 なんで、私の名前を? あと、妖精がなぜこんな所に?

 

 

 






主人公の出番がほとんどありませんでしたね
そして、オール霊夢さん視点
こんなんで良いのかなぁ……

と、言うことで第29話でした
かなり飛ばし気味でしたね
次話は主人公視点か、変な妖精さん視点となりそうです
ですので時間が少し戻ります

では、次話でお会いしましょう


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