ほとんどがオリキャラ視点です
読まなくても問題は……けっこうあるかもしれません
でも読まなくても、なんとかなるかもしれません
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では、始めます
「……ずるい」
むすっとした表情で目の前にいる女性が言った。
「あ、いえ、そう言われましても……」
失敗だった。
最初はただの雑談だったけれど、いつの間にか年越しの話となり、つい口が滑ってしまった。
「どうして私も誘ってくれなかったのさ。いいな~、私も黒と一緒に年越ししたかったよ……」
そんなことを言われても、年越しのためだけに貴女を転生させるわけにもいきませんし……それにもし、私が黒と一緒に年越しをすると言ったら、この方は絶対についてくる。その後のことを考えると……
白様だって、簡単に転生できないことは知っているはずなのだけど、どうしてここまで食いついてくるのやら。はぁ、できればバレずに終わらせたかった。流石に後ろめたさは感じているけれど。
「ん~じゃあさ、今度また転生させてよ」
ああ、なるほど。
本命はこれか。
もしここで断れば……いや、考えないようにしよう。
「……わかりました」
今度はお願いですから、冥界の結界を壊したりしないでくださいよ……まぁ、始末書のほとんどは白様がやってくれたけれど。
「やた。転生、楽しみだな~」
クルクルと笑う白様。ふふっ、今度の転生はちゃんと黒と会えると良いですね。
――――――――――
「大ちゃん、大ちゃんってば、どうしたの? いきなり倒れて」
声が聞こえる。
目を開くと私の顔を見つめる可愛い顔。おおー、チルノちゃんじゃんか、久しぶりだね~
「や、チルノちゃん久しぶり」
「え? うん……久しぶり?」
キョトンとした顔でチルノちゃんが言った。
周りの様子を確認。たぶん、霧の湖なんだろうけれど、湖畔は花々で溢れかえっていた。
おおー、綺麗だね。菖蒲、向日葵、時計草、などなど何でも有りだ。
湖の上は……流石に何も無いか。
手を動かし、足踏みをする。うん、しっかりと動く。空を見上げて少しだけ飛んでみる。
湖の上まで移動して、水に映った自分の姿を確認。やはり前回と同じ姿だった。この娘には大きな借りができちゃったな、少しの間、また体借りるね。
体が軽い。
今なら、何だってできそうだ。
「ちょっ、ちょっと大ちゃん待ってってば」
チルノちゃんの声がする。珍しく霧も出ていないみたいだし、うん、今日も良い天気だ。
湖の向こう側には紅魔館が見えた。
「さぁ、行くよチルノちゃん。う~ん、どうしようか。手始めに紅魔館に殴り込んで、レミリアちゃんでも連れて来る?」
「いや……それはやめておこうよ」
そうだね、昼間にレミリアちゃん連れ出したら蒸発しそうだもんね。
「やっぱり生身の体は最高ね。フハハハハ!我が世の春が来たぁ!! よしっ、今日は遊びまくるよ!!」
「うわーん。大ちゃんが壊れたぁ」
失礼な、別に壊れてないよ。さて、まずは何処へ行こうかな?
「チルノちゃん。今日は何処へ行く?」
「え? う~ん……いろんな場所に行こう!」
色々な場所か~どこだろうね。幻想郷の地理はそこまで理解していないから、とりあえずはチルノちゃんについて行けばいいのかな?
楽しげに花々を凍らせては進んでいくチルノちゃんについて行く。
あんまりやりすぎちゃダメだよ。幽香ちゃんとかに見つかったら、怒られそうだし。
ここまで花が狂い咲いているのは、幽霊たちが花に憑依しているせい。小町ちゃん、しっかり働いているのかなぁ。ダメなんだろうなぁ……
チルノちゃんと一緒に遊びながら進むと、竹林に着いた。確か、迷いの竹林って呼ばれているんだっけ?
鬱蒼としている竹林を見つめる。
ありゃ、珍しいね竹の花が咲いてるじゃん。確か竹って、種類によっては花が咲くと枯れちゃうんだよね。この竹達は大丈夫かなぁ。
「どうにも冷えると思ったら、いつかの氷精か。妖精がこんな所へ何の用だ?」
竹林の奥から出てきた少女が言った。
おお、魔理沙ちゃんじゃん。
「初めましてだね、魔理沙ちゃん。私たちは遊んでいただけだよ」
「おう、はじめましてだぜ。う~ん、なんだかお前は妖精っぽくないな」
魔理沙ちゃんが言った。まぁ、中身は人間だもん。ああ、いや、もう人間ではないのかな?
「魔理沙ちゃんは何をやっていたの?」
「幻想郷中で異変が起きているからな。片っ端から回っているんだ」
幻想郷中で異変かぁ。
う~ん、やっぱり小町ちゃんが少しサボっているっぽいね。映姫ちゃんにまた怒られるよ?
私と魔理沙ちゃんがお話をしている間、チルノちゃんは竹の花でドライフラワーを作っていた。冷凍乾燥法ってやつなのかな。そして、できたドライフラワーは私にくれた。
うん、ありがとう。でも、竹の花ってあんまり綺麗じゃないんだよね……
「チルノちゃん、そろそろ違う場所に行こうよ」
どうせだったら、色々な場所に行ってみたい。今回の転生も制限時間はあると思うし。
そしてこの竹林には彼女がいる。私は別に恨んではいないけれども、やっぱりあまり会いたくはないかな。
「うん、わかった。それじゃあ行こっか」
じゃーねー、魔理沙ちゃん。
また会えるといいね。
魔理沙ちゃんと別れて、チルノちゃんと二人で飛び立った。今度はどこに行くのかな? そんなワクワクが止まらない。
竹林を抜け、フラフラと飛んでいると向日葵畑にたどり着いた。
「すごい! すごーい! 見て見て大ちゃん。まだ、春なのにひまわりが満開だよ」
嬉しそうにチルノちゃんが燥ぐ。おおー、本当に満開だ。
「ひまわり、ひまわり、お日様逃げる~」
楽しそうにチルノちゃんは歌った。なるほど、ここが太陽の畑って呼ばれている場所なんだね。
じゃあ、きっとあの娘もいるんだろう。
「あら、可愛い妖精たちね」
ほら、やっぱりいた。
「えへへ~、まあね」
照れくさそうにチルノちゃんが笑った。周りを見ると向日葵が皆こちらを向いている。う~ん、流石にこれはちょっと怖いかな。
「さて、いたずら好きな妖精がここへ何の用?」
「ん~。あたいたちは、花を凍らせて遊んでいるだけだよ」
あ、幽香ちゃんにそのセリフはダメだよ。
「……へ~、この向日葵たちも凍らせるのかしら?」
「うんっ!」
元気いっぱいのチルノちゃんが言った。
ああ、もう……私だけ逃げようかな。
「フフッ、妖精とは自然そのもの、向日葵たちの下で自然に還るといいわ!」
あらぁ、めっちゃ怒ってるよ。幽香ちゃんがこちらに傘の先端を向けて来た。
そして、私のすぐ横をレーザーが通り抜けていった。うわぁ、きれいだなぁ……
レーザーはそのままチルノちゃんに直撃。
……うん、一瞬だったね。一発でピチュッたね。次にチルノちゃんと会うのはいつになるのかなぁ。
「さて、次は貴方の番ね」
「私は別に向日葵を傷つけようとは思っていないよ?」
ただ狂い咲いたこの花々を楽しんでいただけ。幽香ちゃんだってそうでしょ?
「私は静かにしていたいの。そこに騒がしい妖精がいたら邪魔でしょう?」
逃がしては……くれないよね。
全く、喧嘩っぱやいんだから。
けれども、そう言うのも――嫌いじゃない。
「手加減はできないからね……」
「ふふっ、元気な妖精ね。貴方もさっきの妖精と同じ場所に逝かせてあげる」
向日葵たちが傷つかないように空へ。幽香ちゃんが傘を構えて、さっきと同じ攻撃をしてきた。
結界を張り、レーザーを受け止める。
「えっ?」
幽香ちゃんの驚いた顔が見えた。
さぁ、次は私の番だ。
ここには水も火もないし、土を使ったら向日葵畑を荒らしてしまう。
だから風を使う。風はあんまり得意じゃないんだけどさ。
自分の体を結界で保護。体に風を纏って幽香ちゃんに突撃。
そして、頭からお腹に突っ込んで、幽香ちゃんを吹っ飛ばした。
「なっ……」
うわーちょっとだけフラフラする。頭から突撃するのはやめた方がいいかも。
「……そのでたらめな強さ。貴方、何者?」
幽香ちゃんが起き上がり、私に言ってきた。
ん~……私たちって何者なんだろうね? 私が聞きたいよ。
「黒の友達だよ」
「そう……あの黒のね」
どうするのかな、まだ続けるの?
「……たぶん私では貴方に勝てない。それでも、最後までやらせてもらうわ!」
幽香ちゃんが飛び上がってきて、花の形の弾幕をぶつけてきた。密度がかなり濃い、さっきのレーザーよりも厄介そうだ。
「はい、そこまで~」
そして、その弾幕全てが桜の花びらへと変わった。
「……邪魔しないで、黒」
「いや、だってこのまま続けたらここの場所が更地になるだろ」
いつの間にか隣に黒がいた。
おお、おおー、久しぶり!!
「よしっ、逃げるぞ。白」
がってんだー。
黒に背中から抱きつく。
「逃がすと思う?」
幽香ちゃんが言った。
「白のスピードは俺の本気より速い。幽香の速度じゃ追いつけないよ。まぁ、こんなに花も咲いているんだし、色んな場所に行って幽香も楽しんで来なよ。じゃ、またいつか」
そのまま太陽の畑から飛び立った。幽香ちゃんが追って来ることはなかった。
とりあえず博麗神社まで飛んで、そこで降りる。
私から会いに行く予定だったけれど、黒から来てくれるとはありがたい。ふふっ、久しぶりに黒と二人きりだ。前回の転生の時は、ほとんど話せなかったから、今回はいっぱいお話してやる。
そして、これからどうしようか聞こうと思って黒を見ると――
黒が気絶していた。
いや、頑張ってよ主人公……
時計草は3つに分裂した雄しべが、それぞれ「長針」「短針」「秒針」のように見えるから、そう呼ばれているそうです
しかし、名付けられたのは江戸時代らしく、その時代の時計には秒針がなかったそうです
現代では時計が3つの針を持っているのは普通ですが、当時は違ったのですね
それでも「時計草」という名前をつけたのは、時代を越えた最適のネーミングですね
と、言うことで第30話でした
次話は久しぶりに主人公視点となります
では、次話でお会いしましょう
感想・質問何でもお待ちしております