東方酒迷録【完結】   作:puc119

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ワインを買ったのですが、コルク抜きがありませんでした
そこで、ネットに書いてあった瓶の底を叩いてコルクを抜く方法を試しました

瓶、割れました




第40話~月へ~

 

 

 2回深くお辞儀をしてから、パンパンとまた2回手を叩く。所謂、二礼二拍。

 

 そんな神社への参拝の仕方をしてから、魔女さんは言った。

 

「アーメン」

 

 どうしよう、どこから突っ込んで良いのかわからない……

 妖精メイドたちも、魔女さんに習って同じことをしている。なんですか、コレ。

 

「えと、あれは何の宗教だ?」

 

 魔理沙ちゃんが言った。

 知るかよ。

 窓にコツンと何かが当たる。どうやらお賽銭も投げているらしい。いや……もう、何でもありですね。

 

「お賽銭は神社でするもんだろ?」

 

「別に、神社ってのはあの建物じゃなくても良いの。神様の宿る器さえあれば神社になる。つまり、このロケットは空飛ぶ神社よ」

 

 霊夢はそう言って、何かを唱え始めた。神降ろしが始まったってことだろう。

 さてさて、流石にもう逃げることはできなさそうだ。まさか、本当に月へ行くことになるとはねぇ……

 一億年遅いってんだよ。

 

 月旅行へのきっかけなんて些細な物なんだろうけれど、考えずにはいられない。ホント、どうしてこうなった……

 

 色々と考えてみたけれど、最初はあの兎の妖怪さんが始まりなんだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 それはまだ、妖怪の山のあの神々が幻想入りしていない、夏の日のこと。その日はたしか、満月だったと思う。

 

 暇でも潰しに博麗神社へ行くと、霊夢が綺麗な布を持っていた。その布やたら高級そうだけど、どうしたのかな

 

「や、霊夢。その手に持ってる布はどうしたの?」

 

「昨晩、うちの神社で倒れていた妖怪の近くに落ちていたから、拾ったのよ」

 

 へ~、じゃあその布は妖怪さんのやつってことか。

 

「良い拾い物をしたわ」

 

 いや、返してあげなさいよ……

 

 霊夢とそんな話をしていると、ウサ耳の少女が出てきた。

 おろ? 霊夢のやつ、珍しく助けてあげたのか。ウサ耳を付けてるところを見ると、永遠亭の兎なのかな? どうしてこんな所にいるのかわかんないけど。

 

「あっ、私の羽衣」

 

 ウサ耳少女が言った。

 

「残念だけど、これは私が拾ったものよ」

 

「いや、返してやれよ」

 

 可哀想でしょうが。ブーブー文句を言う霊夢を宥め、ウサ耳少女に羽衣を渡す。

 うおっ、やたら軽い。この羽衣、重さが全くないぞ。ん~……普通の羽衣ってわけではなさそうだ。

 

「あ、ありがとう」

 

 どういたしまして。

 

 

 

 

「んで、君はどうして博麗神社へ来たの?」

 

 お茶と持ってきた洋菓子を出し談笑。霊夢は昨日寝ていないらしく、お昼寝をしています。

 迷子なのかな? それなら俺の店に来そうだけど……

 

「ちょっと三寸級のスペースデブリにぶつかっちゃって」

 

 はい? スペースデブリ? どういうことですか?

 

「えっ? 君って宇宙とかから来たの?」

 

「あっ、えと。な、なんでもないわ」

 

 う~ん、何を隠しているのやら。

 

 ウサ耳、重さの無い羽衣、スペースデブリ……ふむ。

 

 

「まぁ、よくわかんないけど、とりあえず八意××さんの所にでも……」

 

「えっ? ど、どうしてその名を発音できるの!?」

 

 おおっ、釣れた。

 なるほどなるほど、やっぱり月から来たのか……しかし、穢れ溢れるこの地へ、何しに来たのでしょうね。

 正直、あんまり関わりたくはないかな。

 

「ここから、南西の方角へ進むと莫迦みたいに広い竹林がある。そこに八意さんがいるから訪ねてみれば?」

 

「八意様が此処に……うん、わかった。行ってみるわ」

 

 そう言うと、ウサ耳少女は『ありがとう、ありがとう』と何度も頭を下げながら行ってしまった。

 ああ、今日もお茶が美味しい。

 

 その日の夜。

 夜空には、登る流れ星が見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 それが、今から三ヶ月と少し前にあったお話。きっとあのウサ耳少女も、今は月で餅でも搗いているだろう。

 

「そう言えば、ロケットの下に敷いてあった、赤い線は何なんだ?」

 

「俺も詳しいことはわからないけど、どうやら赤道を模しているみたいだよ。赤道から発射させればより少ないエネルギーですむみたい」

 

 地球の自転が、どうのこうのとか言っていたけれど、俺にはよくわからなかった。魔術はさっぱりなんです。

 

 このロケットは、外の世界のロケットを真似したらしく、三段式になっている。それも綺麗な形ではなく、一段一段がズレていて、いくつかの窓とその窓にカーテンや煙突がつけられていた。

 宇宙なめてんのか! と思うような形だけれども、ここは幻想郷。魔力と神力で飛ぶこのロケットには、そんな形なんて関係ない。

 俺は不安で仕様が無いんだけどさ……今からでも降ろしてもらえませんか? ダメですか? ダメですよね……

 

 乗組員は俺、霊夢、魔理沙ちゃん、咲夜さん、レミリアと3匹の妖精メイド。かなりの人数だけど、咲夜さんの能力のおかげで、ロケットの中は見た目よりもかなり広い。

 そして、魔女さんは地上に残るそうだ。

 地上からサポートする人が必要と言っていたけれど、ようは逃げただけだよね……

 

 

 終にガタガタと揺れ始めるロケット。いよいよですね。

 窓から外を見ると、妖精メイドたちが紐を引っ張り、天井を開けていた。

 てか、なんでレミリアは防災頭巾なんか被ってるんだよ。アンタ、この中で一番頑丈でしょうが。

 

 そして、ロケットが空に浮かんだ三日月を追いかける為に飛び始めた。

 

 飛んだ瞬間バラバラにならなくて良かったね。どうやら、ギャグで終わらせるつもりはないらしい。

 

 さて、月に着くまで時間はたっぷりとある、のんびりと考え事をするのにはちょうど良い。

 魔女さん、八意さんとの会話を思い出す。面倒くさい事にどうやらこの月旅行は、俺たちの裏で色々なことが起きているらしい。

 

 それは、今から半月ほど前の出来事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 紅魔館の図書館に作られたロケットを見上げる。

 

「何と言うか、あれだね……随分と可愛らしいロケットですね」

 

 えっ俺、これに乗って月へ行くの? 勘弁して欲しい。明るい未来が全く見えてこない。

 

「形はできた、魔術の仕掛けも終わり、推進力も見つかった。あとは飛ばすだけよ」

 

 魔女さんが言った。

 見つかった推進力と言うのは、霊夢の神降ろしによる住吉さんの力のことらしい。住吉さんと言うのは、上筒男命、中筒男命、底筒男命の三柱の航海の神様のこと。三柱併せて住吉さん。

 ロケットは空を飛ぶ船。三段構成のロケットに、この三柱は推進力としてちょうど良い。

 

 それは、できすぎているほどにちょうど良い。

 

「ねぇ、魔女さん」

 

 しかしねぇ、どうにもこれって……

 

「はぁ、言われなくても分かっているわ。長い間、全く進まなかった計画が、ここに来て一気に進んだ。たまたま新しい情報がどんどんと入ってきて、たまたま霊夢も神降ろしの準備が終わっていた」

 

 なんだ、やっぱり気づいていたんだ。

 最近になって、急に霊夢が神降ろしの修行を始めた。いったい、誰に言われたんでしょうね。まぁ、そんなことを言う奴は一人しかいないけどさ。

 

「どうせ、あの妖怪が裏で色々と手を回したのでしょうね。あのレミィだって、私たちが踊らされていることくらいわかっているわ。だからこれはレミィの我が儘。それでも私は魔法使いとして、未知の領域に進むことができるこの計画は楽しいわ」

 

 面倒な種族だね、魔法使いって。

 ま、皆楽しそうだし、これはこれで良いのかな。

 全く、紫も何を考えているんだか……俺は行ってないけれど昔、月へ攻めに行った時あれだけボコボコにされたくせにさ。忘れたのかねぇ? 月から、半泣きになって帰ってきた紫を馬鹿にしたらカメラが止まったから、俺はよく覚えているけど。

 

「それで、貴方は何をしに月へ行くの?」

 

「いや、お前らが無理矢理連れて行こうとしてるんだろ……」

 

 行かないって言ったら、どっかのメイドさんが首にナイフを突きつけ、『すみません、よく聞こえませんでした。もう一度お願いします』とか言って脅された。

 鬼ですか。

 

「少しくらい正直になったら?」

 

「なれないから、困ってるんだよ」

 

「そう。それじゃあ、ロケットの説明をしないとだし、私は霊夢の所へ行ってくるわ」

 

 そう言って魔女さんは行ってしまった。

 いや、まぁ……何ていうの? 難しよね、素直になるって。本当に、そこまで月へ行きたいと思っているわけじゃないんだよ?

 なんて、自分に言い訳してみたり。

 

 

 一人になって、ボーっとロケットを眺めていると、人の気配がした。なんとなく隠れる。

 

 そこに現れたのは、八意さんとウサ耳の少女だった。どうやら隠れて正解だったらしい。

 どうかどうか見つかりませんように。

 

 耳をすませ、様子を伺うと、永遠亭のウサ耳少女はロケットを見て――

 

「あはは、こんなロケットで月に行くって」

 

 と、笑っていた。

 まぁ、普通はそう思うよね。俺だってそう思うもの。

 

 しかし、八意さんは――

 

「……完璧ね。これなら間違いなく月まで辿り着く」

 

 なんて言った。

 えっ、マジですか? こんなんで良いの?

 

「えっ? ど、どうしますか? 今のうちに壊します?」

 

 それは、やめてあげて。そんなことしたら、魔女さんとレミリアが泣くぞ。

 

「そうね……私は工作をしていくから、ウドンゲ、貴方は先に帰りなさい」

 

「あっ、はい、わかりました」

 

 はて、どうすっかな。

 やっぱり、八意さん的には月へ行っては欲しくないってことなんだろう。それを俺に止められるかなぁ。無理だろうなぁ。

 

「さて……隠れてないで出てきて」

 

 ヤバっ、バレてたのか。

 うわ~、こんなことになるんだったら、さっさと帰れば良かった。むぅ、仕様が無い腹を括るとしよう。

 

「ども、こんにちは」

 

「貴方も月へ?」

 

 惚けても無駄だよね。なんとか穏便に終わらせられないものか。

 

「まぁ、そうですね」

 

「……そう」

 

 八意さんはそう言って、一枚の布切れをロケットの先端に貼り付けた。あれは……月の羽衣か? そんな物をなぜ?

 

「どうして、羽衣を?」

 

「これでこのロケットは、余程のことがあっても月まで行けるわ」

 

 うん? 余計にわからないぞ。どういうことだろうか。

 

「月の都を守るため、黒幕を見つけ出すためよ。それに、貴方だって月へ行きたいでしょ?」

 

 ……まぁね。

 

「私にできることは、あの姉妹が頑張るよう願うだけ」

 

 あの姉妹? スカーレット姉妹のことではなさそうだけど。

 

「じゃあ、夜になる前に私も帰るわ。貴方たちが月へ辿り着けるように、願っておいてあげる」

 

 そう言って八意さんは笑った。いったい何を考えているんでしょうね? 賢い人の考えとか、俺にはわからん。

 

「ああ、そうだ。また永遠亭に遊びに来なさいな。私はいつまでも待っているから」

 

 そうだね、暇な時にでも行かせてもらうよ。いつになるか知らんけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――

 

 

 ロケットの底の段が切り離され、二段目へ移動。

 多少狭くなったとは言え、充分広い。やっぱり咲夜さんの能力便利すぎじゃない?

 

 冷暖房、水道完備。快適な生活です。

 

 とは、言うものの窓の外は変わらず青一色。流石に飽きた。

 

 月に着いたら何をしようか。賢い人たちが何を思っているのか知らんけど、俺は好きにやらせていただこう。

 

 さぁ、一億年越しの墓参りだ。

 

 






儚月抄編スタートですね
たまたま立ち寄った本屋さんに売っていたので、漫画版は手に入れることができました
小説は無理でした
密林に行かないと見つかりません

と、言うことで第40話でした
お酒の話がゼロでしたね
私は気にしないことにしました
最初は儚月抄飛ばそうかな~とか思っていましたが、運良く漫画を手に入れることができたので、書くことに
たぶん、儚月抄はあと1,2話で終わります

次話は月でのお話っぽいです


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