漸く終わりが見えてきました
時刻は日付が変わろうとしている当たりと言ったところだろうか。満開に咲いていた桜も散り始め少しばかりの寂しさを感じる季節。一年中咲いている桜とかあれば良いのにね。
いや……散るからこそに美しいのかな。秋に咲く桜も見たことはあるけれど、何と言うか綺麗だとは思えなかった。
やっぱり春に咲くからこそ良いのかもしれない。
さてさてと……そろそろ動き始めるとしましょうか、いつまでも止まっているわけにはいかない。
終わらせないといけないのだから。
お店の戸締りを確認してから外へ。
最初に目指す所は紅魔の館。ああ、今日は忙しくなりそうだ。
「や、今晩は美鈴」
半分に欠けた月を見ながら今日も元気に働いていた門番さんに挨拶。いつもご苦労様です。
いつ来ても美鈴が門番をやっている気がするけれど、ちゃんと休みとかあるのかな?
「はい、今晩はです黒さん。今日はどのようなご用件で?」
体は大切にね。
「ちょっとレミリアに用事があってさ」
本当は俺の力だけでできれば良いのだけど、俺弱いしなぁ……
「う~んお嬢様起きていますかねぇ……了解しました。それでは中へどうぞ」
うん? まだ寝ているってことなのかな? そりゃあ随分とお寝坊さんだ。人のこと言えんけど。
「いらっしゃいませ。黒様。本日はどのうような御用件で?」
紅魔館に入るとすぐに咲夜さんが登場。
そう言えば咲夜さんと会話をするのも久しぶりな気がする。月に行って以来? まぁ、正直なところ咲夜さんと話し始めると、無駄に文字数が増えるからアレなんだよね。
「今晩は咲夜さん。レミリアに用があるんだけど、今起きてる?」
もう既に日付は変わっただろうし、起きてはいるよね? 人間で言えばもうお昼過ぎだ。
「お嬢様なら既に御就寝されましたが……」
え? ……えっ? 何? もう寝ちゃったの? いや吸血鬼でしょ? 何で夜に寝てるんだよ。
「最近は健康のために早寝早起きがブームらしいです」
「昼夜逆転してるじゃねーかよ。不健康極まりねーよ!」
それで良いのか、妖怪最強種……起こしてもらうってのは流石にできないよね。
むぅ、初っ端から予定が崩れた。どうしよう、紅魔館は後回しに……でも他の奴らも寝ているだろうし……これは困ったな。
「妹様ならいらっしゃいますが、呼んできましょうか? 会いたがっていましたし。と言うか貴方がなかなか来ないせいで、妹様の機嫌が悪くなりやがりまして妖精メイドも困っています」
「おい、口調。口調。ブレ始めてるぞ」
「そうですね。それが良いですね。ちょうど良いですし溜まりに溜まったストレスを発散していただいて……うん、それが良い。少々お待ちください」
お前が待て。
いや、お願いします。待ってください。死亡フラグしか感じないのですが。あれ? え? この手錠と足枷は何ですか? やめてください、死んでしまいます。
おい、この扉開かないぞ、どうなってんだ! 責任者呼んでこい
「わーっホントにクロがいる! フフッ本当に久しぶりね。やあっと来てくれたンダ。マッテタンダヨ」
やめろー! 死にたくない! 死にたくない!! 死にたくn……ああ、ダメだわこれ。
「それでは私は紅茶を用意してきますので、ごゆっくりどうぞ。あっ、すみませんが、カメラは止めておいてください」
……すみません、テイク2で。
~テイク2~
「それで、今日はどうしたの?」
膝の上に座り、楽しそうな表情でフランちゃんが聞いてきた。この娘もどうしてここまで懐いてくれたんだろうね?
まぁ、これはこれで嬉しいけどさ。
「ちょっとレミリアに用があったんだ。でも、もう寝ちゃったらしいしなぁ」
どうしたもんだか……
「ねぇ、さっきから五月蝿くて寝られないんだけど、何を騒いでいるのよ」
そんな声が聞こえた。そちらの方を見るとピンク色のネグリジェを来て、眠そうに目を擦っているレミリアが立っていた。おお、起きてきてくれたか。
「や、今晩はレミリア」
「なんだ黒が来ていたのか。それで、何の用なの? 私は眠いんだけど」
……君、本当に吸血鬼かい? 威厳が微塵も感じられないんだけど。
「ちょっと頼みたいことがあってさ」
聞いてもらえれば嬉しいです。
「真面目な話?」
「うん、真面目な話」
「へぇ……わかったわ。ちょっと待ってなさい。準備をしてくるから」
そう言ってレミリアは自室の方へ戻っていった。
「私は聞かない方がいい?」
不安そうな顔をしたフランちゃんが聞いてきた。
「いや、フランちゃんにも協力してもらうかもしれないし、大丈夫だよ」
まぁ、どうせ俺が頼んだって言うことは、忘れちゃうんだろうけどさ。
「うん、わかった」
「それで、何の話しなの? これでどうでも良いような話だったら……殺すわよ?」
いつもの私服に着替えてきたレミリアが言った。怖いなぁ。きっと寝起きだから機嫌が悪いのだろう。
それに、どうでも良いかなんて俺にはわからんよ。
そして俺は頼みたいこと、やってもらいたい事を二人に説明した。
「……何をすれば良いのかはわかったし、面白そうではあるけれど、そんなことをしたらあの妖怪賢者に怒られるんじゃない?」
どうやらお気には召してくれたようです。
「大丈夫だよ。紫の了承は得ているからさ」
と言うか、アイツも俺が話したらノリノリだったよ。お酒が入っていたからかもしれないけど。
「そう……それにしても何とも他人任せな異変じゃない。情けないわね」
むぅ、そう言われると何も言い返せない。仕方無いじゃないですか。一人で異変を起こすだけの力なんてないんだから。
「それで、その異変はいつ起こせば良いの?」
「次の満月の日にお願いするよ」
多分、一週間後くらいだと思う。その頃には桜も完全に散っているんだろうなぁ。
それにしても、レミリアならもう少しごねると思ったけれど、よく聞いてくれたね。意外です。
そのことを俺が聞くと――
「黒には色々と借りもあるしね。恩を返さないほど器は小さくないつもりよ」
そう答えてくれた。
情けは人の為ならず。と言ったところでしょうか。
「クロは何処かに行っちゃうの? 帰ってくる?」
フランちゃんが聞いてきた。
「ちょっとだけいなくなるけど、まぁ直ぐに戻ってくると思うよ」
だからそんな不安そうな顔はしないで。
「他人に頼まれて異変を起こすってのは癪だけど、了解したわ。まぁ、せいぜい黒も頑張りなさい。それで、黒はこの後どうするのかしら? せっかく来たのだし、ゆっくりしていきなさい」
なんだか今日のレミリアはかっこいいな。寝起きだからだろうか。流石に失礼か。
「そうだね。どうせ朝にならないと起きないだろうし、朝までお邪魔させてもらうよ」
「ホント!? それじゃ鬼ごっこしましょ。鬼ごっこ。お姉様もやる?」
フランちゃん嬉しそうだなぁ。鬼ごっこは良いけれど、フォーオブアカインドは禁止ね。あと鬼ごっこはSearch&Deathするゲームじゃないけど大丈夫? 以前鬼ごっこした時の記憶がないんだけど。
ああ、やっぱり鬼ごっこはやめてもらおう。さっきから身体の震えが止まらない。
「残念だけど私は寝るわ。それじゃあね。黒。またいつか会いましょう」
うん、寝ているところを起こして悪かったね。異変のことは頼んだよ。可愛い吸血鬼さん。
「ねぇ、フランちゃん。今日は鬼ごっこじゃない遊びをしない?」
レミリアが戻るのを見送ってからフランちゃんに提案。できれば生死に関わらない遊びが良いです。
「え~っと……じゃあ、探偵ごっこでいい?」
うん? 探偵ごっこ?
「まぁ、良いけれど。その探偵ごっこって何をするの?」
別に事件とか起きてないと思うよ。
「えっとね。咲夜の変化する胸の秘密を暴くの!」
そんな無邪気なフランちゃんの声を聞いたところで、俺の記憶は途切れた。
そんなことがあった次の日の朝。
なんとも複雑な顔をした美鈴に起こされた。世の中には、知らない方が良いこともあったりするのだろう。
……あれ?全然話が進まなかった
おかしいですね
予定では白玉楼や永遠亭にも行くはずだったのですが……
と、言うことで第47話でした
久しぶりにフランドールさん登場
元気そうで私も嬉しいです
この調子ですと最終話まではまだまだかかりそうです
今年中には完結させたいですね
それでは次話でお会いしましょう
次話は白玉楼か永遠亭っぽいです
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