東方酒迷録【完結】   作:puc119

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ボジョレー解禁しましたね!

皆さんは飲みましたか?

白を飲んだ方がいらっしゃれば是非感想を




第48話~気づかなかったけど~

 

 

「あ、えと……おはようございます」

 

 そんな声が聞こえそちらを見ると、何とも複雑な顔をした美鈴がいた。

 

「や、おはよう。美鈴」

 

 お世辞にも清々しくはないし、気持ちの良い朝でもない。

 

「えっと、その昨晩は……あ~、大変でしたね?」

 

 記憶ないけどね。大変だったらしいね。

 

「いやそんな、無理してフォローしなくて良いよ……」

 

 何があったのかわからないけれど、あまり優しくされると逆に悲しくなる。他の場所でもこんな目に会うのだろうか、そう考えるとなんとも欝になりますね。

 けれども、やるって言っちゃったしな。もう戻ることはできない。他人を巻き込んだんだ。最後までやらなければいけないのだろう。Alea jacta est.多分、そういうこと。

 

 まぁ、まだ投げてはいないのだけどさ。

 

 さてさて、次の場所に行きましょうか。

 

「それじゃあ、そろそろ行くわ。お世話になったね」

 

 次に会うのはきっと宴会だろう。その日までお互い元気なままだと嬉しいね。

 

 

 

 

 

 色々あったけれど、漸く先へと進める。

 自宅に戻ってから飛んでも良いのだけれど、まだ日が登り始めたばかりだ。ゆっくり考えながら向かうとしよう。

 

 目的地は白玉楼。先日行ったばかりだけれど、まぁ、仕様が無いね。紅魔館とは違い、白玉楼はきっと何事もなく終わると思う。

 

 でもその次は永遠亭だ……むぅ、気が重い。

 

「ご機嫌よう。黒」

 

 そんなことを思いながら飛んでいると、声をかけられた。

 

「おはよう。紫。こんな時間にどうしたのさ?」

 

 まだ朝早いと言うのに珍しい。いや、紫だって妖怪だ。もしかしたら、まだ起きていただけなのかもしれない。

 

 ん~……そう言えば普段、紫ってどんな生活をしているのだろうね。昼間に現れることも、夜に現れることもあるからよくわからない。

 

「これから白玉楼に向かうのでしょ? それなら代わりに私が行くわ」

 

 うん? 俺の代わりに? まぁ、それは有難いけれど……なんだか裏があるような気がしてならない。

 

「……なによ。その目は」

 

 だってねぇ。

 

 普段の紫と言ったら俺の嫌がることばか……あれ?

 

 ん~、もしかして、そうでもない?

 

 

 ……いや待て! よく考えるんだ俺。

 

 最近だって、終わらない夜の異変では殺された……のは俺を止めるためか。えと、ああそうだ、無理矢理外の世界に連れて行かれて……お酒をおごってもらったっけ……

 

 ……あら? あらあら? むしろ、助けてもらっていることの方が多い?

 

 ……いやいや、落ち着けって。落ち着くんだ。

 

 え? え? 実は紫が良い奴とか? そんな、まさか……ねぇ?

 

 

 ……マジで?

 

 

「何を考えているのよ? 流石に無視をされたら傷つくのだけど……」

 

「えと……いや、その……うん」

 

「どうしたの?」

 

 

「……ありがとう」

 

 

 ヤバい、これはヤバい。恥ずかしくて紫の顔を見ることができない。

 

「えっ……な、なによ。今日はやたら素直ね」

 

「何と言いますか……今回の異変もそうだし、紫には助けられてばかりだな~って……だから、その普段はアレですけど、感謝していると言うか、何と言うか……」

 

 

 なにこれ? なんだこの流れ……

 

 

「…………」

 

 

「…………」

 

 

 お互いに無言。

 

 ど、どうしましょうか。な、なんで無言なんでしょうね? もしかして紫さん怒ってる?

 

「……ばか」

 

 そんな声が紫から聞こえた。

 

「それじゃあ、黒は永遠亭にでも行ってきなさいな。私は幽々子の所へ行くから」

 

 俺に背を向けながら紫はそう言った。

 

 そんな紫の耳は赤かったけれど、たぶん、きっと……気のせいなんだろう。

 

 うん……ありがとう。

 

 あ~、これは調子が狂うな。俺のせいなのだろうけれど、こういう空気は苦手だ。

 

 そんじゃ、ま、白玉楼は紫に任せて、永遠亭に向かうとしましょうか。

 

 

 あ~あ、全く……まだ顔が赤いよ。

 

 羞恥心に効く薬とかもらえないだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな間の抜けたことを考えながら、永遠亭の門の前までたどり着いたわけだが……

 

「どうすっかなぁ」

 

 全くもって気が進まない。たぶん、協力してはもらえると思う。

 

 きっと俺が考えすぎているだけ。向こうは何とも思っていないだろう。

 頭ではわかってはいる。でも、身体が動かない。

 

 もういっそ、永遠亭は良いんじゃないかな? 守矢の神様達もいるのだし……

 

 うん、よし。永遠亭はやめておこう。そうしよう。

 

 そんな恥ずかしいことを考え出した時だった。

 

「あら、やっと来てくれたの? 門なら開いているわよ?」

 

 そんな声がした。

 

 きゃあああああああ!

 

 身体が跳ねた。本当に驚いた。

 

「何を驚いているのよ……とりあえず入りなさいな」

 

 八意さんだった。この人っていつもタイミングが悪いよね。わざとなんじゃないだろうか。

 

「あ~その……じゃあ、お邪魔します」

 

「ふふっ、いらっしゃい」

 

 たぶん、逃げることはできないだろう。

 

 

 

 

 

「それで……今日はどうしたのかしら? 貴方のことだし、何の用事もなく来たわけではないでしょ?」

 

 和式の立派な客間に通され、八意さんが聞いてきた。新しい畳の匂いがする。

 

「えと、お願いがありまして……」

 

 さてさて、ここからどうやって話を進めていこうか。

 

 うわーい、空気が重いぞー。

 やっぱり永遠亭はやめておくべきだったね。

 

「お茶になりま~す」

 

 うだうだ悩んでいると、てゐが入ってきた。ああ、そう言えば此処にはお前がいたか。すっかり頭から抜けていた。

 

「おお、ありがとう」

 

 ほとんど話していないはずなのに、喉はカラカラ。そんな今の俺にはありがたいです。

 

 何故かやたらとニヤニヤと笑っているてゐから湯呑をもらい、口をつけようとした時だった。

 ツンとした刺激臭が鼻を抜けた。湯呑の中身を確認。

 

 お茶の色をしていなかった。

 

「あの……てゐさん? これは?」

 

「新茶だよ」

 

 最高の笑顔で教えてくれた。へ~、お茶には詳しくないけれど、お茶って赤い色をしているんだな。

 

 ……ふぅ。

 ……さて、この兎どうしてやろうか。

 

「ちょっ、ちょっと黒。腕を放してよ!」

 

「ああん? ふざけんなこのやろう。何が新茶だ。お前が飲め」

 

「ま、待ってって。えと、ほら私って兎だから人参しか食べないから」

 

 何か言い出したぞこの兎。

 

「それなら色も一緒だしちょうど良いな!」

 

「ちょっ、ダメ! 死んじゃう!」

 

 死ぬの!? なんてもんを客に出しやがるんだよ!

 

 

 

 

 結局、てゐには逃げられた。ちくしょう、絶対仕返ししてやる。

 

「……私のお茶で良ければ飲む?」

 

 おろ、しまった。すっかり八意さんのことを忘れていた。

 

「お気遣いは嬉しいですが遠慮します」

 

 緊張は解れた。口も回る。酷い目にあったけれど、あの兎のおかげなのだろう。

 

 もしかして、てゐも……いや、流石に考え過ぎかな。

 

「そう、それじゃあ話を戻しましょう。貴方のお願いは?」

 

 これで漸く話が進む。お願い事も大変だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、わかったわ。貴方の頼みなのだし、やらせてもらうけれど……記憶はどうやって消すのかしら?」

 

 一通り説明をし終わると八意さんが聞いてきた。良かった、協力してもらえるらしい。

 

「そこは、紫に協力してもらって、幻想郷全体に結界を張ります。まぁ、一日程度しか効果は続かないと思いますが」

 

 幻想郷全体に仕掛ける結界なのだし、そこは仕方ないね。ま、一日だけのお祭りとでも思っていてくださいな。

 

「結界ねぇ……そう、わかったわ。話を聞く限り、貴方が最後のトリなのでしょ? 頑張りなさいよ」

 

 そうなんだよねぇ……俺が最後とか……ま、まぁ、できる限り頑張ります。

 

「それでは、次に行く所がありますので、そろそろ失礼します。協力本当にありがとうございます」

 

「気にしないで。でも、そうね。今度は、何の用事もない時に来てもらえれば嬉しいかしら」

 

 ……善処します。

 

 

 

 

 

 そんなこんなで、漸く次の段階へ。

 

 永遠亭から飛び立ち、身体を伸ばす。いや~肩が凝りました。

 

 けれども、一番の難所はこれで終わり。後は守矢だけなのだし、思っていたより順調……かな?

 

 まぁ、どうせ上手くはいかないんだろうけど、楽しませてもらおうじゃないか。

 

 

 俺の起こす、最初で最後の異変まで、あともう少し。

 

 

 






次話は守矢ですね

ボジョレーってすごく美味しいわけではないですけど、何故か飲みたくなりますよね?


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