ボジョレー解禁しましたね!
皆さんは飲みましたか?
白を飲んだ方がいらっしゃれば是非感想を
「あ、えと……おはようございます」
そんな声が聞こえそちらを見ると、何とも複雑な顔をした美鈴がいた。
「や、おはよう。美鈴」
お世辞にも清々しくはないし、気持ちの良い朝でもない。
「えっと、その昨晩は……あ~、大変でしたね?」
記憶ないけどね。大変だったらしいね。
「いやそんな、無理してフォローしなくて良いよ……」
何があったのかわからないけれど、あまり優しくされると逆に悲しくなる。他の場所でもこんな目に会うのだろうか、そう考えるとなんとも欝になりますね。
けれども、やるって言っちゃったしな。もう戻ることはできない。他人を巻き込んだんだ。最後までやらなければいけないのだろう。Alea jacta est.多分、そういうこと。
まぁ、まだ投げてはいないのだけどさ。
さてさて、次の場所に行きましょうか。
「それじゃあ、そろそろ行くわ。お世話になったね」
次に会うのはきっと宴会だろう。その日までお互い元気なままだと嬉しいね。
色々あったけれど、漸く先へと進める。
自宅に戻ってから飛んでも良いのだけれど、まだ日が登り始めたばかりだ。ゆっくり考えながら向かうとしよう。
目的地は白玉楼。先日行ったばかりだけれど、まぁ、仕様が無いね。紅魔館とは違い、白玉楼はきっと何事もなく終わると思う。
でもその次は永遠亭だ……むぅ、気が重い。
「ご機嫌よう。黒」
そんなことを思いながら飛んでいると、声をかけられた。
「おはよう。紫。こんな時間にどうしたのさ?」
まだ朝早いと言うのに珍しい。いや、紫だって妖怪だ。もしかしたら、まだ起きていただけなのかもしれない。
ん~……そう言えば普段、紫ってどんな生活をしているのだろうね。昼間に現れることも、夜に現れることもあるからよくわからない。
「これから白玉楼に向かうのでしょ? それなら代わりに私が行くわ」
うん? 俺の代わりに? まぁ、それは有難いけれど……なんだか裏があるような気がしてならない。
「……なによ。その目は」
だってねぇ。
普段の紫と言ったら俺の嫌がることばか……あれ?
ん~、もしかして、そうでもない?
……いや待て! よく考えるんだ俺。
最近だって、終わらない夜の異変では殺された……のは俺を止めるためか。えと、ああそうだ、無理矢理外の世界に連れて行かれて……お酒をおごってもらったっけ……
……あら? あらあら? むしろ、助けてもらっていることの方が多い?
……いやいや、落ち着けって。落ち着くんだ。
え? え? 実は紫が良い奴とか? そんな、まさか……ねぇ?
……マジで?
「何を考えているのよ? 流石に無視をされたら傷つくのだけど……」
「えと……いや、その……うん」
「どうしたの?」
「……ありがとう」
ヤバい、これはヤバい。恥ずかしくて紫の顔を見ることができない。
「えっ……な、なによ。今日はやたら素直ね」
「何と言いますか……今回の異変もそうだし、紫には助けられてばかりだな~って……だから、その普段はアレですけど、感謝していると言うか、何と言うか……」
なにこれ? なんだこの流れ……
「…………」
「…………」
お互いに無言。
ど、どうしましょうか。な、なんで無言なんでしょうね? もしかして紫さん怒ってる?
「……ばか」
そんな声が紫から聞こえた。
「それじゃあ、黒は永遠亭にでも行ってきなさいな。私は幽々子の所へ行くから」
俺に背を向けながら紫はそう言った。
そんな紫の耳は赤かったけれど、たぶん、きっと……気のせいなんだろう。
うん……ありがとう。
あ~、これは調子が狂うな。俺のせいなのだろうけれど、こういう空気は苦手だ。
そんじゃ、ま、白玉楼は紫に任せて、永遠亭に向かうとしましょうか。
あ~あ、全く……まだ顔が赤いよ。
羞恥心に効く薬とかもらえないだろうか。
そんな間の抜けたことを考えながら、永遠亭の門の前までたどり着いたわけだが……
「どうすっかなぁ」
全くもって気が進まない。たぶん、協力してはもらえると思う。
きっと俺が考えすぎているだけ。向こうは何とも思っていないだろう。
頭ではわかってはいる。でも、身体が動かない。
もういっそ、永遠亭は良いんじゃないかな? 守矢の神様達もいるのだし……
うん、よし。永遠亭はやめておこう。そうしよう。
そんな恥ずかしいことを考え出した時だった。
「あら、やっと来てくれたの? 門なら開いているわよ?」
そんな声がした。
きゃあああああああ!
身体が跳ねた。本当に驚いた。
「何を驚いているのよ……とりあえず入りなさいな」
八意さんだった。この人っていつもタイミングが悪いよね。わざとなんじゃないだろうか。
「あ~その……じゃあ、お邪魔します」
「ふふっ、いらっしゃい」
たぶん、逃げることはできないだろう。
「それで……今日はどうしたのかしら? 貴方のことだし、何の用事もなく来たわけではないでしょ?」
和式の立派な客間に通され、八意さんが聞いてきた。新しい畳の匂いがする。
「えと、お願いがありまして……」
さてさて、ここからどうやって話を進めていこうか。
うわーい、空気が重いぞー。
やっぱり永遠亭はやめておくべきだったね。
「お茶になりま~す」
うだうだ悩んでいると、てゐが入ってきた。ああ、そう言えば此処にはお前がいたか。すっかり頭から抜けていた。
「おお、ありがとう」
ほとんど話していないはずなのに、喉はカラカラ。そんな今の俺にはありがたいです。
何故かやたらとニヤニヤと笑っているてゐから湯呑をもらい、口をつけようとした時だった。
ツンとした刺激臭が鼻を抜けた。湯呑の中身を確認。
お茶の色をしていなかった。
「あの……てゐさん? これは?」
「新茶だよ」
最高の笑顔で教えてくれた。へ~、お茶には詳しくないけれど、お茶って赤い色をしているんだな。
……ふぅ。
……さて、この兎どうしてやろうか。
「ちょっ、ちょっと黒。腕を放してよ!」
「ああん? ふざけんなこのやろう。何が新茶だ。お前が飲め」
「ま、待ってって。えと、ほら私って兎だから人参しか食べないから」
何か言い出したぞこの兎。
「それなら色も一緒だしちょうど良いな!」
「ちょっ、ダメ! 死んじゃう!」
死ぬの!? なんてもんを客に出しやがるんだよ!
結局、てゐには逃げられた。ちくしょう、絶対仕返ししてやる。
「……私のお茶で良ければ飲む?」
おろ、しまった。すっかり八意さんのことを忘れていた。
「お気遣いは嬉しいですが遠慮します」
緊張は解れた。口も回る。酷い目にあったけれど、あの兎のおかげなのだろう。
もしかして、てゐも……いや、流石に考え過ぎかな。
「そう、それじゃあ話を戻しましょう。貴方のお願いは?」
これで漸く話が進む。お願い事も大変だ。
「なるほど、わかったわ。貴方の頼みなのだし、やらせてもらうけれど……記憶はどうやって消すのかしら?」
一通り説明をし終わると八意さんが聞いてきた。良かった、協力してもらえるらしい。
「そこは、紫に協力してもらって、幻想郷全体に結界を張ります。まぁ、一日程度しか効果は続かないと思いますが」
幻想郷全体に仕掛ける結界なのだし、そこは仕方ないね。ま、一日だけのお祭りとでも思っていてくださいな。
「結界ねぇ……そう、わかったわ。話を聞く限り、貴方が最後のトリなのでしょ? 頑張りなさいよ」
そうなんだよねぇ……俺が最後とか……ま、まぁ、できる限り頑張ります。
「それでは、次に行く所がありますので、そろそろ失礼します。協力本当にありがとうございます」
「気にしないで。でも、そうね。今度は、何の用事もない時に来てもらえれば嬉しいかしら」
……善処します。
そんなこんなで、漸く次の段階へ。
永遠亭から飛び立ち、身体を伸ばす。いや~肩が凝りました。
けれども、一番の難所はこれで終わり。後は守矢だけなのだし、思っていたより順調……かな?
まぁ、どうせ上手くはいかないんだろうけど、楽しませてもらおうじゃないか。
俺の起こす、最初で最後の異変まで、あともう少し。
次話は守矢ですね
ボジョレーってすごく美味しいわけではないですけど、何故か飲みたくなりますよね?
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