パッチリと目を開ける。腕を伸ばしてグーパーを2回。
うん、五体満足だ。
えと、今日は……そっか、紅魔館に行くんだった。どっかのスキマ妖怪とは違い、寝起きはしっかりしている方だと自分で思う。
まぁ、自分で思っているだけだけどさ。
とりあえず時間を確認。
時計は12時を示していた。
……完全に寝過ごした。
「ま、まぁ、こんなこともあるよな?」
何が『寝起きはしっかりしている方だ』そりゃ、こんだけ寝たのだからしっかりもするはずだ。
顔を洗って歯を磨く。飯は食べない。それぐらいじゃ死んだりはしないし。
やや急ぎながら店を出る。ドアにかけてある看板は『CLOSED』のままに。どうせお客さんなんて来ないだろうけれど、念の為にね。
米・麦畑を突っ切り外の世界へ。
行き先は博麗神社。
霊夢のやつ、まだ行ってないと良いけど……なんて考えていると、視界が黒一色へ変わった。
ここまで、起きてから15分といったところ。
頑張りました。
「っと」
少しバランスを崩しながらも博麗神社に到着。今回は博麗神社の鳥居を使わせてもらいました。
天気は晴れ――なはずだけれど、どこか怪しい。
太陽は出ているが何処か薄暗い。
それなりに綺麗な境内を進み母屋の方へ。
そして其処には霊夢がいた。
てか縁側に腰掛けて、のんびりとお茶を飲んでいた。
……俺が言うのもアレだが、それで良いのか博麗の巫女。仕事しなさいよ。
「あら黒じゃない、珍しいわね、あんたが来るなんて。どうしたの?」
俺に気づいた霊夢が声をかけてきた。
「まぁ、ね……なぁ、霊夢。この空を見て何か思わなかった?」
「ん? そうね……ちょっと暗いかしら? お洗濯物が乾きにくそうだわ。あと、何か嫌な感じがする」
霊夢の中では、お洗濯物>嫌な感じ。ということだろうか? 洗濯物以下とかレミリア泣くぞ。
とは言うものの、何かがおかしいことには気がついているっぽい。
さて、どうやってこのぐうたらな巫女を動かすか……
う~ん……ま、普通に言えば良いのかな。
「異変が起きたんだよ。紫が解決して来いってさ。んで、俺はその付き添い」
「面倒臭いわね。大丈夫よ。ちゃんと解決するわ」
――ちょっとお昼寝した後にね。
なんて霊夢は言った。
そして大きなあくびを一つ。そのまま縁側に寝転んでしまった。
大丈夫か? 幻想郷。
ま、確かに心地よい天気とは言えないが、お昼寝にはいい気温。だから、俺もお昼寝することに。
そんな気分なのだ。
「あら、黒もお昼寝? じゃあ腕を貸して」
霊夢の隣に寝転び腕を差し出す。
そして枕にされた。所謂、腕枕。
「黒も小さくなったわね」
人の腕を枕にしながら霊夢が言った。
「霊夢が大きくなったんだろ」
「そうかしら? 実感がわかないわ」
「いや、昔と比べたらかなり大きくなったよ」
ただ、まぁ、一部を抜かしてだけどさ。霊夢の小さな胸を見ながら、そんなことをふと思った。
「おい、カメラ止めろ」
霊夢がキレた。
あ、あっれ~? 声に出してないんだけどな……
―――――――――
『はい、これ黒にあげる』
『ん? 何これ? ナイフ?』
『そ、ナイフ。ただちょっとだけ特殊なナイフだよ』
『特殊ねぇ。ありゃ、刀身が引っ込むじゃん、これ。何に使えばいいのさ?』
『さぁ』
『さぁってお前……しかもこれ、刃がないぞ』
『はがない?』
『確かに、俺は友達が少ないけどな……って何言わすんじゃ』
『…………』
『…………』
『……ごめん』
『頼むから謝らないでくれ。よけいに悲しくなる……』
―――――――――
「むぎゃ」
顔面にかかった重しのせいで起こされた。
「いつまで寝ているの。ほら、そろそろ行くわよ」
重しの原因は霊夢の足。お凸を踏まれていた。
女の子としてその行動はどうなんだ?
そして、スカートの中がチラリ。
「ふむ……白kびゃぁぁあああ、痛い!!」
「…………」
無言で霊夢に蹴られた。ここで少しでも恥じらってくれれば可愛げもあるというのに……
辺りは暗く、もう夜と言ってもいい時間だろう。なんとなく空気が重い。なんとも嫌な感じ。
仄暗い空にぽっかりと浮かぶ満月が異様に不気味だった。
流石に寝すぎたな……枕にされた腕はしびれてるし。
「それで、私は何処へ行けばいいのかしら? 黒は知っているんでしょ?」
「ん~、まぁ、知ってるけど教えられないかな。自力で頑張ってくれ。俺は霊夢について行くよ」
霊夢ならきっと勘だけでたどり着くことだろう。
「何よ、ケチくさいわね」
……霊夢にだけは言われたくないセリフだった。
博麗神社を飛び立ち少しすると、異変のせいか興奮した妖精たちの手厚い歓迎が待っていた。
けれども、そんなことはお構いなしに突き進む霊夢さんは次々と妖精たちを蹴散らしていく。
ん? 俺ですか? 霊夢について行くだけで精一杯ですよ?
能力を使わなければ5分でピチュる。情けないけれど、俺の実力なんてそんなものなんだよね。
霊夢は紅魔館へほぼ一直線と言っていいくらいに進んでいる。コイツの勘は絶対おかしい。
暫く進むと、急に妖精たちの攻撃が緩くなった。
そして目の前には――
「何かしら、あれ」
霊夢が言った。
「闇……かな?」
目の前にフヨフヨと浮かぶ黒い球体。
おやおや? 闇の中から女の子が出てきましたよ。
「何で手を広げているんだ?」
「私に聞かれても知らないわよ。まぁ、変な奴であることは確かね」
「変な奴って誰のこと?」
その女の子が聞いてきた。
「あんたのことよ」
「失礼ね。確かに……ちょっと変かもしれないけれど、ちょっとだけよ。えと、夜にいる人類は食べてもいいんだっけ?」
「今日はダメらしいわよ」
「そーなのかー」
「で、邪魔なのよ。あんた」
「目の前の人類は取って食べれる人類?」
「目の前の妖怪は退治しても良い妖怪であることは確かね」
会話の終わりは弾幕ごっこの始まり。さてさて、俺は先に進むとするかな。
「あ、黒。何処へ行くのよ」
霊夢が聞いてきた。
「ゴールで待ってるよ」
「ずるい! ちゃんと順番通りに進まないとダメよ?」
「安心しとけ、このお話の主人公はお前だ」
モブキャラはモブキャラに徹するさ。
「どう言う意味?」
さぁ? どう言う意味だろうね。
「夜符『ナイトバード』!」
女の子の声が聞こえた。
ここからは弾幕ごっこ。花々しい女の子には似合うけれど、俺のような歳食ったおっさんには似合わんよ。
霊夢を置いて先へと進む。でも、霊夢なら大丈夫。
だってアイツ、ずるいほど強いしな。
紅魔館に近づけば近づくほど景色は紅く染まっていった。どうやらレミリアも頑張ってるらしい。
地面スレスレを飛びながら紅魔館へと進む。
上から降ってくる妖精たちの弾幕は能力で桜の花びらに。ちょっとずるいけれど、まぁ許してほしいかな。
ポッカリ浮かんだ満月の明かりに照らされた霧の湖も真っ赤な霧で覆われ、いっそう不気味さを増している。
月は紅かった。
水面スレスレを飛んで湖を突っ切る。
ようやっと紅魔館に到着です。
ん? 何か飛ばした? おてんば恋娘?
その娘の登場はまだまだ先です。大丈夫。きっと忘れることなんてないから。
紅い霧に覆われた紅魔館はさらに赤く、紅く染まっていた。
紅魔館の門では例のごとく美鈴が……倒れていた。
「えへへ……もう駄目だ。また咲夜さんに怒られる。減給かなぁ。もしかしたらクビかも……生まれ変わったらお花屋さんになりたい」
……非常に声をかけづらい。
だ、大丈夫ですか?
「あ、あの~美鈴?」
「あ、黒さん。お久しぶりです。情けない姿をお見せして、すみません。今日はどうしたんですか?」
流石と言うべきか、俺の声を聞くと美鈴はスッと立ち上がり返事をした。切り替えの早さがパない。
パないの!
「ん~、紅魔館の様子見かな。入って行っても大丈夫?」
「はい、ちょっと慌ただしいと思いますが大丈夫ですよ。妹様も喜びます」
ありゃ、フランちゃんも起きちゃってるのか。まぁ、吸血鬼にはいい時間だしなぁ。
「そか、そりゃ良かった。んで美鈴はどうしたの?」
「先ほど現れた白黒の魔法使いにやられました……武術なら負けませんが、弾幕ごっこはどうにも苦手で」
――また咲夜さんに怒られます。
なんて美鈴の悲しそうな声が響いた。
白黒の魔法使いって言うのは魔理沙ちゃんのことなんだろう。俺は知らなかったけれど、実はけっこう強いんだね。
「そっか、苦労してるんだな……たぶんもう少ししたら、紅白巫女が現れると思うけど、まぁ、頑張ってくれ」
「そう言ってくれるのは黒さんだけです……はい、頑張ります!」
美鈴と別れ庭を進む。
そして重苦しい扉を開けて紅魔館の中へ。
鬼が出るか蛇が出るか。
運命なんて誰にもわからないけれど、今回出てくるのは鬼で間違いなさそうだ。
霊夢さんと主人公の関係はこんな感じ
仲は良い方……なのかな?
愛すべきあのキャラクターの登場はもうちょっと先になりそうです
前回の作品では出してあげれませんでしたので、今回はちゃんと出します
出させます
たぶん……
感想・質問何でもお待ちしております