こちら環境省超自然災害対策室総務班でございます!   作:パプリオン

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三角形になって、三人で乾杯しあわねぇか?(提案)



episode 8 歓迎会

突然だが、ここでクソどうでもいい俺の話をしよう。

俺は生まれついての"下戸"である。酒はほとんど…というか全く飲めない。

まだ高校生だった頃、学校の授業でアルコールのパッチテストを行ったことがある。これは消毒用のアルコールを染み込ませたテープを上腕部に貼り、しばらくして生じる皮膚の反応によって自分が酒に強いかどうかを判別する実験だ。一般にテープを貼ってから7分後に皮膚が赤くなる人は酒が飲めない体質、それからさらに10分後に赤くなった人は酒に弱い体質であると言われている。

で、薄々だが酒に弱いことを自覚していた俺が早速このテストをやってみると……

 

テープを貼った瞬間に皮膚がじんわりと赤くなった。

 

なんだこれは…たまげたなぁ。

当時のクラスメイトや先生からの「お、おおう…」みたいなリアクションは今も記憶に残っているし、同時にこれから先恐らく酒が飲めない人生をどう立ち回ろうかと真剣に考えたものだ。

そうして20歳を過ぎ、社会人となった今…現在のアルコール摂取許容量は、ビールジョッキ基準にして2分の1杯程度である。

それでザ・エンドってね。お疲れ様でしたってね。

 

なぜ唐突にこんな話をしたか、ともすればお分かりの方もいるだろう。

現在、俺は洒落たイタリアンの店内で対策室の面々に囲まれている。

大変手前味噌な言い方になるが、今回の主賓は紛うことなく自分であろう。何故か店内には【関谷涼くん復帰歓迎会】というド派手な横断幕が掲げられているし。

つまるところ、今の俺は非常に切羽詰まった状況に置かれていた。この空気感の中では間違ってもコーラやジンジャエールなんて頼めやしない。

 

「それじゃあ、先に飲み物だけ注文しておきましょうか。まずは涼くんからね」

 

「えっ、お、俺ですか…!?そっ、それじゃあ、その…とりあえずビールでぇ…」

 

言葉尻の妙な間合いを察されたのだろう、直後に室長と桐さんから「いきなりビールで本当に大丈夫(ですか)?」と心配の声が飛ぶ。

 

…大丈夫なわけないだろ!いい加減にしろ!!

しかし空気を読むこと()()は一人前の俺にとって、その選択しかできなかったわけだ。これがザ・日本人というやつだ。

 

「神楽は何にするー?」

 

「私はオレンジジュース!」

 

「おっ、いいわね。景気付けにグイっといっちゃいますか、部長?」

 

「えっと…そうしてくれたまえ、黄泉課長!

普通の会社だと、ほんとにこういうやり取りしてるのかな?」

 

「うーんどうだろう。丸の内のビアガーデンとか夜はこんなノリだったりしない?」

 

「確かにそうかも。夜になるとサラリーマンの人達で満席になってるし」

 

「…あとはこんな風に、セクハラ親父がいたりして!」

 

「あっ!?黄泉ったら、変なとこ触らないでよ!」

 

「またまたそんなこと言ってー。本当は嬉しいんじゃないの?」

 

「もうダメだって!そんなことしたらすぐに捕まっちゃうでしょ~!」

 

エッッッッ(気絶)

何気なく隣の会話を耳にしていたらなんだこれ…うん、なんだこれは。

特に何の脈絡もなくイチャつき始めた二人を尻目に、喰霊の厄介オタクである俺はいとも容易く限界化した。もうやだ最高可愛い…(バババババ)

 

「今日は1日平和だったわね。毎日こうだと私たちも楽なのだけど」

 

「室長…悪霊の出現って、やっぱり頻繁に起きるものなんですか?」

 

「残念なことに最近は増加傾向にあるわ。そうよね、桐ちゃん」

 

「はい。環境省も除霊に特化した人員を増やしてはいますが…到底追い付いていないというのが現状です」

 

「今日みたいに一日何も無いことの方が稀なのよ。これも涼くんの日頃の行いの賜物かしら」

 

「い、いえそんなことは。あは、あはは…」

 

室長達と会話に興じていると、最初に注文した飲み物が出揃った。未成年の黄泉達は…よし、ちゃんとオレンジジュース頼んでるな。コンプライアンス確認!

 

「全員揃ってのご参加ありがとうございます。本日は総務班担当、関谷涼君の復帰祝いということで……」

 

今回の幹事役らしい桐さんが席を立ち、音頭をとり始める。

カンペも見ずにすらすらと言葉を並べていく様子は、彼女の本質的な優秀さを現しているようだった。同じ総務班としてお手本にしなきゃいけない人物だ。

…10年かかっても追い付けそうにないんだけど、こまけぇこたぁいいんだよ!

 

「……それでは、ここで室長より一言賜りたいと思います。宜しくお願い致します」

 

「はい、ご紹介に預かりました神宮寺です。涼くん、改めて対策室への復帰おめでとう。

彼が一日でも早くこの職場に馴染めるように、皆でフォローし合っていきましょうね。それから……」

 

室長は柔らかな雰囲気を纏いつつも要所を抑えた言葉を選んでおり、上長らしさというものを前面に発揮していた。これで年齢は俺とほとんど変わらないって?馬鹿言っちゃいけねぇぜどう見ても40か50の貫禄だよHAHAHA…

 

「挨拶はこんなところにして乾杯…と行く前に。何か言いたげな顔をしているわね、涼くん。

 

そう__例 え ば と て も 失 礼 な こ と と か__考えていたりはしないかしら?」

 

「イ゛ェアアアア!?なっ、なにも、なにも考えておりませんはいッッ!!」

 

俺の邪な思考を読み取ったらしい室長は笑顔のまま、しかし背後から金剛力士像のスタンドを燃え上がらせていた。やはり対策室で一番怒らせちゃ駄目なのはこの人らしい。

というか、なぜバレたし。

 

「それじゃあ気を取り直して…皆さん、それぞれ注文した飲み物は揃っていますね?

涼くんの今後の活躍と、対策室の益々の発展を祈念して…乾杯!」

 

「「乾杯!!」」

 

全員の合唱に遅れる形で、各々がグラスを鳴らす音が響き渡る。

俺もまずは対面にいる室長と乾杯すべく、前もって考えてきた口上を述べようとして。

 

「神宮司室長。えと、本日はこのような会を開いて頂きまして、まことに感謝申し上げたく__」

 

「堅い、堅すぎるわよ涼くん!」

 

「ひゅふっ…!」

 

文字通りにズイっと身を乗り出してくる室長を前に、思いがけず変な声が出てしまった。

こちとら死にかけのチワワ状態である。

 

「今日は折角涼くんのお祝いなんだから、もっとはっちゃけてくれてもいいのよ?」

 

「はっちゃけ…で、でもそれは何というか、少しおこがましい気がしてしまって」

 

「そういうところは相変わらずね。

記憶喪失の事もあって気兼ねしちゃう気持ちも分かるけど…むしろ対策室のことを改めて知れる機会だと思って、存分に利用してやる!ぐらいの心持ちでいいのよ。だからそんなに畏まらないで」

 

やっぱ、室長の配慮を…最高やな!(熱い手のひら返し)

こういった気遣いをあえて言葉にしてくれるあたり、ホンマにええ人なんやなって。また一つ、確信させていただきました。

 

「ちなみに明日からはビシバシ行っちゃうわよ。事務仕事に慣れてきたら除霊活動にも参加してもらうつもりだから、覚悟しておいてね?」

 

「へえっ、マジっすか!?いやあの、その…お手柔らかにぃ……」

 

綺麗にオチまでつけてくれたことで、場の空気が和んでいく。

…しかし。俺にはその空気感にひと安心する暇はなく、最大にして最強の関門がすぐ側に待ち受けていた。

 

「復帰おめでと。本当に良かったわね」

 

左隣の席にいた彼女は、先ほど頼んだジュースを片手に…見るものを全て虜にするような笑顔を浮かべていて。

 

「あっ…ああっ……!」

 

よ、よよ、黄泉だー!黄泉が出たぞーー!!

ただ話しかけられただけだというのになんという破壊力…ッ!!その目に見えぬ衝撃に、俺は座っている椅子ごと吹き飛ばされそうになるのを何とか堪える。

 

「ね、乾杯したい?」

 

「……へ?」

 

「だーかーら、私と乾杯したい?って聞いてるのよ」

 

「か、かん…!かんぱっ…!?」

 

前言撤回、吹き飛ばされました。

 

お、お、お、落ち着け落ち着け。

これは至って単純な質問なのだから普通に返せば良いわけであってつまり乾杯させて下さい黄泉様とそう言えばいいわけであって__

 

「えっと、それじゃその…えっとその……」

 

「そこまで動揺するようなことじゃないわよね。ひょっとして、私とは乾杯したくないとか?」

 

「い、いい、いえそげなことは!!ないんですけれども…」

 

「ならどうしてそんなふうに吃ってるのよ」

 

「じぇじぇじぇどっもってたりなんか、どもってたりなんかしてないようん!」

 

ダメみたいですね(諦観)

 

俺だっていくら元がコミュ障といえど、これまでの人生経験から大概の相手には当たり障りなく接することができる。無難に相槌をうって時折言葉を返していれば、よほどのことがない限り会話というのは続くものだ。

しかし彼女だけは…「諫山黄泉」に対してだけは、それが一切通用しなくなってしまうのだ。

 

肝心な時に限って持ち前の処世術が使えんとかはぁ~つっかえ!ライダー(誰か)助けて!!

 

「黄泉、かんぱーい!」

 

「ん…はい、乾杯!」

 

そんな心の叫びが届いたのか、或いは只の偶然か。絶妙なタイミングで間に入ってきたのは喰霊のもう一人のヒロイン、土宮神楽。

黄泉に追い詰められててんやわんやする俺を、さながら救世主の如く助けに来てくれたらしい。

ありがとうございますやでほんま。彼女のことは今度からフォロ宮神(みやかぐ)フォローさんと呼んであげることにしよう。

 

「…あれ、まだ涼さんと乾杯してないの?」

 

「聞いてよ神楽。彼ったら、私とは乾杯したくないって言うのよ」

 

「い、いや!だからそんなことは__」

 

「そうなんだ。ひょっとして黄泉、涼さんに嫌われちゃったんじゃない?」

 

「…へ?」

 

「きっとそうね。はぁ、寂しいなあ」

 

「へぇっ!?」

 

丘people!?なんでこうなるのぉ!?

神楽、まさかの裏切り…!しかしよくよく二人の関係を考えたらこうなることは自明の理だった…!!

二人してもう許せるぞオイ!この小悪魔っ!美少女っ!大和撫子っ!!

 

「それで実際のところはどうなの?確かに黄泉は怒ると怖いけど、優しいところもあるからね」

 

「ちょっと神楽、人聞きの悪いこと言うのやめてくれる?基本的には御仏の心だからね、私」

 

「え、えと…だからその、怖いとかは全然思ってなくて!少しだけ、ほんの少しだけ緊張してるというか…うん、そんな感じで」

 

「少しどころか…ガチガチに緊張してるように見えるんだけど?」

 

「そ、それはほら、色々と戸惑うところもあってさ」

 

「でも、これからはまた一緒に戦うんだから。涼さんも早く慣れないとだよ?」

 

「神楽の言うとおりね。それじゃあリハビリも兼ねて、まずは三人で乾杯するところから始めましょうか」

 

「うんっ、そうしよう。ほら、涼さんもグラスちゃんと持って!」

 

「あっ、は、はいっ」

 

「それじゃあ改めて、三人で乾杯!」

 

「かんぱーい!」

 

「かかかんぱいぃぃ!!」

 

俺は半ばヤケになりながら二人をグラスを交わし、ビールを一気に体内へ流し込んだ。

この先一生好きになれないだろう独特の苦味に耐えながら、それでも"酔う"ことを優先した俺は、一度傾けたグラスをしばらく戻さなかった。

 

「ちょっと、そんな勢いでいって大丈夫なの?」

 

「確か涼さんって、一滴も飲めないくらい弱かったよね」

 

「あ、えっとほら、それは事故る前の話でしょ?あれから半年経って人知れず強くなってるから全然大丈夫なんだ!…うん、大丈夫…なんだ」

 

当然そんな訳がない。しかしこうでもしないと緊張が解れないんだよ!!

実際のところ酔いの力というものは凄まじく、酒を一気に(あお)ったことで先程までの緊張感が嘘のように消え失せていくのを感じていた。

 

 

 

最初の乾杯でゴクゴク。黄泉、神楽と乾杯してゴクゴクゴク。対策室の他のメンバーとも最低一度はグラスを合わせてゴキュゴキュゴキュ…!!

普段では考えられないペースで3回グラスを空にすると、この世のあらゆるものが回転しているような感覚に陥り始めた。先程まで彼らと何を話したのかも覚えていないような状態だ。

しかし唯一、気持ちが異様に昂ぶっていることだけははっきりと自覚していた。

 

体が軽い。

 

こんな気持ち初めて。

 

もう何も怖くない…!

 

「盛り上がり中のところ失礼いたします。只今より関谷くんから一言ご挨拶をして頂きたいと…思っていたのですが…可能でしょうか」

 

桐さんはこちらの様子をチラチラと伺いながら、どういうわけか言葉を詰まらせていた。

対照的にそんなことなどどこ吹く風の俺は、面々から湧き起こる拍手を受けながら待ってましたとばかりに腰を上げた。

 

「皆さん、改めまして関谷涼です。本日はこのような会を開いていただき、本当にありがとうございます」

 

素面であれば確実に動揺していただろう場面だが…今の自分にはそれをものともしない度胸が宿っているのだ。

 

「俺、とても感動してます。対策室に入って…いえ、復帰してまだ一日ですけど、まるで夢を見ているような気分で」

 

『夢じゃねーぞ関谷!』『ほっぺ引っ張りましょうか?』そんな野次が男性陣から飛び、思わず笑みが零れてしまう。

 

「正直言って、退魔師としては新人と変わらないような未熟者ですが…少しでも皆の力になれればって、真剣にそう思ってます」

 

不意に黄泉と視線が合う。彼女は俺の話を聞きながら、百人中百人が惚れてしまうような優しい笑顔を浮かべていた。

 

10年以上、俺が一方的に恋焦がれていた彼女は。

これまでずっと画面越しに眺めるしか出来なかった彼女は。

確かに今、この瞬間を生きているのだ。

 

それなら俺がこの世界で為すべきことは、たった一つしかない。

 

「今はまだ、至らないところばかりですけど」

 

__どうしても、黄泉を助けたいから。

 

思わず零しそうになった本心を胸にしまって。

 

「これからは対策室の一員として、精一杯頑張ります!よろしくお願いします!」

 

その代わりに、俺は熱く滾る想いを吐き出した。この余りある感情が少しでも伝わってくれるようにと。

 

「涼さん。復帰、本当におめでとうございます!」

 

「ナブーお祝いする」「ナブーもお祝いするずなもし」

 

「これから頑張ってね、涼くん」

 

一瞬の静寂の後、返ってきたのは皆からの暖かな声。

本来なら異物でしかない俺を、彼らが受け入れてくれた瞬間だった。

 

 

 

嗚呼、どこからか美しい旋律(フリージア)が聞こえてくる。

 

そうだ。俺がこの世界に来たことは、決して無駄じゃなかった。

 

これからも、立ち止まらない限り道は続く。

 

たとえどんな困難が待ち受けていようと…そんくらいなんてことはねえ。

 

俺には辿り着く場所なんていらねえ。ただ、進み続けるだけでいい。

 

止まらねえ限り…道は続く。

 

俺は止まんねえからよ。お前らが止まんねぇ限り、その先に俺はいるぞ!

 

だからよ…止まるんじゃねえぞ……!!

 

 

 

 

 

 

 

「ん?なんか気持ちわr」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オロオロオロオレオロオロオレ!!!!」

 

 

 

…これは『リアルに吐く人のモノマネ』ではない。『リアルに吐いちゃってるオレ』の構図だ。

うん、やってしまった。反省はしてる。後悔もしてる。

 

一世一代の所信表明から、僅か5分後の有り様だった。

止める間もなく押し寄せる吐き気の波。それをトイレに駆け込むまで我慢できたことだけは救いだった。

もし対策室の皆の前で…もとい黄泉の目の前でゲロゲロとやっていたら、次の日には即刻退職届を出す羽目になっていた。わりとマジで。

とはいえ、突然口元を抑えてトイレに駆け込んだ俺の姿は彼らの目にばっちり止まっていたらしく、席に戻った瞬間に全員から心配の言葉をかけられた。

 

こんなクソ下戸野郎でごめんよ…ごめんやで。

 

 

 

「今日は久しぶりに楽しかったね、黄泉!」

 

「ええ、本当にね。

…最後の最後に誰かさんがやらかさなければ、もっと楽しめたと思うけど」

 

「ほんっっとに申し訳ございません!!」

 

胃の中身を洗いざらいぶち撒けて完全に酔いから覚めていた俺は、顔面蒼白で黄泉と神楽に謝罪の言葉を繰り返していた。

歓迎会からの解散後、二人は自分と帰り道が一緒だったために室長から介抱役を命じられたらしい。死ぬほど迷惑かけてて涙がで、出ますよ…

本来なら"諫山家とご近所さん"だなんて絶頂不可避ものの展開なのに、先ほどの粗相が原因でプラスの感情は微塵たりとも浮かんでこなかった。

どう考えても好感度はただ下がりだし、それを配属初日でやらかしたとれなれば気落ちもしよう。

 

「飲めないならどうしてあんな無理したのよ。お酒を強要するような面子でも無かったのに」

 

「えと、その、なんと言いますか…酒の力をもってすれば緊張も解れて、コミュ力おばけになれるかもと思いまして」

 

「何よその悲しきモンスターは…そもそも酒の力を使ってる時点で、それは仮初の力だってことに気付きなさい。挙句の果てに吐いちゃうなんて、本末転倒もいいところよ?」

 

はい、鋭利すぎる正論を突きつけられて私としては何一つ返す言葉がございません。

 

「まあまあ黄泉。涼さんも相当凹んでいるみたいだし、そのくらいにしてあげて」

 

「…仕方ないわね。本当なら小一時間説教したいところだけど、神楽に免じてこれくらいにしといてあげる」

 

「ほ、本当?それじゃあ__」

 

「ただし!…今後は公の場に限らず飲酒禁止令を出すわ。私の目が黒いうちは一滴たりとも飲まさないからそのつもりで。いいわね!?」

 

「は、は、はいぃぃぃ!」

 

…後から考えると、それは黄泉からしても多少冗談を混じえての指摘だったのだろう。しかし特大プレミをかまして心に一つも余裕が無かった俺は、黄泉直々の言葉ということもあり、真正面から受け止めて己の行いを猛省した。病室で泣きながら『ごめんなさい神楽』のメッセージを打ち続ける黄泉のように猛省した。

 

この奇妙なやり取りは、結局二人と別れるまで…回数にして実に31度目の謝罪を繰り広げるまで、ずっと続くことになるのだった。

 

 

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