INFINITE Be The One!!! 作:テントウムシ!!!
第1話:出会いと始まりの少年少女
虚Side
ちょうどその日はとても晴れ晴れした日でした。
私は明後日の臨海学校のための準備を済ませ、一人で散歩していました。
あ、申し遅れました。私は布仏虚です。IS学園高等部、1年3組に所属しています。
私、誰に話しているのでしょうか?まぁいいです。
それはそうと、私は今、非常に大変な状況にいます。
なにせ、目の前で男の子が岩場に打ち上げられているのですから。
とりあえず、先生に連絡して男の子を救出し、先生が来るのを待っています。お陰で制服がびしょびしょです。
彼は頭から少しだけ血が出ていて、体温冷たくなっているので、温めるために上着を着せ、体をくっつけています。
私は、初めて男の子と体をくっつけたので非常に恥ずかしい状態なのです。し、しかし、仕方ないですよね。これは医療行為であるので、それよりも彼の命が危険なのでもう少しだけ頑張ります。
「ん?なんでしょうかこれ?これは、兎かしら?」
彼の手に何かが握られていました。赤い『ボトル』のようなものでした。
これでも私はISの技術者を目指しているので、ある程度の知識はあるのですが、どうもISに使うようなものではないですね。
だからといって飲むものでも無いようです。取り敢えず大事そうに握っていたので、これが何なのかが気になります。
今更ですが、何故彼はここに打ち上げられていたのでしょうか。彼がどこから来て、いったい誰なのか、私物を探っては見ましたが、特にそのボトル以外は何も持ってはいませんでした。外見は日本人のようですが・・・。
「布仏さ〜ん」
後ろから私を呼ぶ声がしました。先生が来たようです。
とりあえずこのボトルは私が持ってましょう。後で目が覚めた時にでも渡しましょう。
「布仏さん、このコは?」
「私が散歩していた時にそこの岩場に打ち上げられていました。彼が誰なのかは私にも分かりません。身分証も何も持っていませんでしたから」
「とりあえず、保健室に運びましょう。担架も持ってきましたからね」
「ありがとうございますファルティナ先生」
「いえいえ、さぁ早くしないとこのコが危ないわ」
はい!!!
この日の出会いが私にとって大きく運命が変わる日だとは全くとして思いませんでした。
虚Sideout
???Side
「はぁはぁはぁはぁ」
少年は後ろから何者かに追われていた。
「いた◼️」
「くっ」
「こ◼️◼️終わ◼️よ◼️◼️◼️◼️」
「さて、そいつはどうかな」
追い詰められながらも、少年の手には赤いボトルが握られ、それを振り出した。
「なにを?」「そ◼️は!!!」
「フフ、さぁ、◼️◼️を◼️めようか 」
・・・・・・
「っは!!!・・・い、今のはいったい。って頭痛った」
「・・・・目が覚めましたか?」
「ん?」
そう言われて横を向くと眼鏡の良く似合う少女と、スーツをきた威圧感のある女性と金髪の良く似合う外国人がいた。というかここは一体どこだ。
「ここはIS学園だ」
「うわっ心読まれた!!!」
「顔に出てるぞ」
威圧感のある女性は何事も無かったかのように、当たり前に俺の思考を読んでいた。この人、出来る!!!
「そ、そうですか〜。えっと〜?」
「それよりもだ、お前は誰だ、何故打ち上げられていた」
「えっと、俺の名前は・・・何だ?俺は誰?」
「惚けているのか?」
「仕方ないかも知れません。彼は頭を打っていたようなので」
「そうか」
「俺は、俺は、誰だ。誰なんだ。」
俺は、いったい誰なんだ。・・・そうだ、何か、何か大切なものを持っていたような。
「そ、そうだ、俺は何か持っていなかったか?」
「そ、それなら私が」
そう眼鏡の女の子が取り出したのは赤いボトルであった。ボトル?
それは、そうだ、ボトルだ。『フルボトル』!!!
「それだ!!!」
「きゃ!」
「す、すまん。」
思わず強引に取ってしまったが、今はどうでもいい。これだ、これがあれば・・・うっ頭が・・・・。
「うっ・・・っは、はぁはぁ。」
「あ、あの大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。大丈夫。」
「それは一体なんだ」
そう威圧感のある女性が尋ねてきた。
この人の威圧感、どこかで喰らったことがあるような・・・。
「これは・・・そう、『フルボトル』といって、俺が開発したものです」
「そうか、それよりもお前は誰なんだ。頭を抱えていたようだから何かしら思い出したようだしな。」
「えっと、名前は・・・・・・そう、ハルマ、『兎野春万』それが俺の名前だと、思います」
「そう、なら兎野君。君はどこから来て、なんであんなふうになっていたの?」
「えっと、肝心のそこは何とも・・・。すいません。そこまでは覚えていないです」
「なら質問を変えましょう。今、君の覚えていることを全部話して」
「は、はい。自分の名前とこのフルボトルのことと、あとは・・・誰かというより何かから追われて逃げてきたことですね」
「追われて来た?何から?」
金髪の保健医の女性は急いでメモを取りながら、俺の発言に反応を示していた。
何か思い出す様なことは今の所はないのが申し訳ないが。
「わからない。兎に角でっかいものからとしか」
「それでは、先程言っていたフルボトルとはなんだ?お前が開発したと言っていたがお前は博士か何かなのか?」
「フルボトルとはナノマシンから作ったものなんですが、すいません、まだ記憶に靄がかかったみたいなので、詳細なことは言えないです。俺が博士かどうかもわからないです」
そう、俺は別に博士という訳ではないと思うが、何故かこれを作ったのは自分であると確信だけはあるのだ。
「織斑先生、とりあえず今日はここまでにしてください。まだ起きたばかりなので頭も混乱しているようなので」
「そうですね。では、今日は保健室で絶対安静だ。保健室からは出るなよ。それと、そのフルボトルは私が預かっておく。分からないとはいえ、爆弾でもあったら危険だからな」
「は、はい。分かりました」
そう言って俺からフルボトルが取り上げられてしまった。まぁ今はあったとしてもどうしようもないしな。
「では失礼します。ファルティナ先生、後はよろしくお願いします。私はこの件を報告しに行きます」
「はい、ありがとうございました。織斑先生」
「いえ、では」
そう言って保健室から織斑先生?という威圧感のある女性は出ていった。
残ったのは眼鏡をかけた三つ編みの少女と、金髪の保健医さんだけだった。
「とりあえず兎野君?君は彼女にお礼を言いなさい。海から打ち上げられていた君を救助してくれたのだから」
「え、は、はぁ。そ、そのありがとう、えっと・・・?」
「布仏虚です」
そう名乗る少女は如何にも出来る女の雰囲気を持っていた。
「そうか、ありがとう布仏さん。助かったよ」
「いえ、それよりも無事で良かったです」
「記憶喪失ではあるけどな」
そう、記憶喪失。俺は自分の記憶がすっぽぬけているようだ。そして俺の記憶の鍵となるのがフルボトルということは分かったが。
「私はノイス・ファルティナ。このIS学園で養護教諭をしているわ。よろしくね兎野君」
「どうも、よろしくお願いします。えっと、IS学園?」
ISというのがいまいちよく分からないが、何かの略称なのだろうか。
というかここが学園だということに今初めて気づいた。
「あなたIS学園を知らないの?」
「すまない、ISというのもよく分からないんだが。」
「ISというのは・・・・・・・・・・・・・・というのであって・・・・」
布仏さんは事細かく、IS、『インフィニットストラトス』について説明してくれた。
というか、ISというのはこの世界を実質支配している様なものでは無いだろうか。
そう思うと、何故か危険信号のようなものが頭に響き渡るのだった。
「あ、あの、とりあえず宇宙へ行く用のパワードスーツってことであっているか?」
「え、えぇ。ごめんなさい。説明し過ぎましたね」
「いや、別に良いよ」
「はいはい、とりあえず布仏さんはもう寮に戻りなさい。そろそろ18時過ぎてしまいますよ」
「は、はい。では」
「あ、布仏さん、明日も来てくださいね。学園長に説明するのに第一発見者がいた方がわかりやすいからね」
「分かりました。それでは失礼しました」
眼鏡の少女、布仏虚と出会ったのはこの時からであった。俺にとっては命の恩人であり、この出会いこそが運命であったのだった。