INFINITE Be The One!!! 作:テントウムシ!!!
ちょっちょっちょっ、戦兎さん!貴方この世界の人じゃないでしょ!!!
「え?・・・あっ!スタジオ間違えてたみたいだわ。ごっめーん」
「フフ、まさかの本家が乗っ取りを開始してきましたね」
ちょっと布仏さん!本家とか言っちゃダメ!!!
あぁえっと、と、とりあえず第19話どうぞ!!!
虚Side
キャノンボール・ファストが始まり、只今1年生達が大空を滑走しています。私ですか?出ませんよ。エントリーしていませんから。
担任の本宮先生からは、「せっかくだから出た方が良いよ、勿体ないよ〜」と言われましたが、元々整備科志望の私にとってはこのキャノンボール・ファストはデータ収集の為の大会としか思っていないので、そんな選手としてやる気のない私よりも、もっとやる気のある選手が出た方が試合としては生えますからね。
1年生達が続々とゴールし始めました。やはり一位はダリルでしたか。実力的に1年生の中では断トツに技術が高いですからね。
流石はアメリカ代表候補生と言えますね。
「これより30分後、2年生によるレースを行います。出場する選手はピットに集まってください、繰り返します・・・」
さて、ダリルの所に行ってみますか。
今頃鼻高々になっているでしょうね。
そう思っていたのですが・・・。
「むーーーー」
「ダリル?どうしたのですか?」
「ん?虚か。今日は春万見てないんだろ。せっかくのオレの勇姿を」
「・・・えぇ。仕方ないですよ、ちょっと頑張りすぎてしまったのですから。今日はゆっくりと休んで欲しいですからね」
「オレはアイツともやり合いたかったんだけどな〜。まぁ、仕方ないか。とりあえず先輩達の見に行こうぜ虚!!!」
「えぇ、そうですね」
そう、彼のことを考えていると、アリーナから突如爆発音が鳴り響きました。急いで私達はアリーナに向かって行きました。
そこには、今日に限りまた、インフィニット・スマッシュが現れたのです。
それも、前にボーデヴィッヒさんが言っていた、あの『黒いコウモリ』と一緒に・・・。
『どうも、IS学園の皆さん。それではさようなら』
変声機のようなもので声が変わっているため全く男なのか女なのかも分かりませんが、姿形はビルドと同じような形をしていました。
(あれもブラッドスタークと同じような相手なのでしょうか)
「そんなことよりも、早く避難しないと」
「そう、思ったんだけどな、扉が開かねぇんだよ。それになんだよあのISみたいなやつは?」
「スマッシュです。普通のISでは歯が経ちません」
このままでは、アリーナ内にいる先輩達が危ない。先輩達はISを纏っているため、無力化を図ろうとしたのですが、スマッシュはISのリミッターのようなものを解除した戦闘兵器であり、訓練用のISでは戦闘レベルが違うために敵いません。
それも2体もいるために更に厄介です。このままでは、最悪の事態になりかねない。
「ちっ、オレも出る。使えるISは?」
「今は全て貸し出してます。3年生にまで貸し出しているので予備はもうないです。その3年生達も生徒会長以外はもう・・・」
「それじゃあこのまま虐殺されるの見てろってのかよ。クソ、オレも専用機があれば、ってオイオイ、なんか一体がこっち来たぞ!!!」
「へ、あ、ぁ」
するとアリーナのバリアを簡単に破壊し私の目の前にスマッシュが迫っていました。私はどうすることも出来ずに腰を抜かし、その場で座り込んでしまいました。
「あ、ひっ(・・・申し訳ございません、お嬢様、本音。私はもう駄目なようです・・・)」
絶望的な状態に私は完全に諦めてしまいました。
スマッシュは私に向かい完全に狙いを定め、右手に持った曲刀を振りかぶり・・・。
「やらせるかってんだよ!!!」
そして、次に目を開けた時、私は何故か空を飛んでいました。
彼:ビルドにお姫様抱っこされながら、私は助けられました。
「へ?」
「ナイスタイミングってやつだな、無事か布仏?」
「う、兎野、君?なんで、寝てるはずじゃ」
「それは後だ、さっさと終わらせないとな。よいしょっと。とりあえず早く逃げろよな」
そう言い、アリーナの外に降ろされ、彼はまたアリーナの中に入っていってしまいました。
そんな彼の背中を呆然と見ながら、彼が怪我をしないことだけを祈ることしか今の私には出来ませんでした。
(・・・せめて無事で帰ってきてください。兎野君)
虚Sideout
春万Side
ビルド:ホークガトリングフォームとなりキャノンボール・ファストが行われているアリーナへ一気に飛んでいった手前、危うく布仏がスマッシュに斬られそうになっていた。ホントにゾッと仕掛けたが、最大スピードで助けることに成功した。頼むから心臓が止まるようなことはしないで欲しい。
そのまま布仏を抱えたまま上空から全体を見ると、スマッシュは2体、そして、あのドイツ軍人が言っていたコウモリ野郎がいた。
「体調は、大丈夫なのですか?」
「そこまで良くわない。だからといって寝ている訳にも行かないさ」
体調は余り優れないが、ここで何もしなければ多くの人に被害が出てしまう。それだけは絶対にさせる訳にはいかなかった。
とりあえず安全な所に布仏を降ろし、すぐさま会場に戻り、スマッシュに向けホークガトリンガーで牽制。二体いるため、両方の注意を引かねばならなかった。そこで俺は開発室から持ってきた新しいフルボトルを試すことにした。
【パンダ】
【ロケット】
【ベストマッチ!!!】
「ベストマッチか、よし」
勢いよくレバーを回し、ビルドに新たな力を解放する。
「ビルドアップ!!!」
【ぶっ飛びモノトーン=ロケットパンダ!!!イェーィ!!!】
「勝利の法則は決まった」
ビルド:ロケットパンダフォームへの変身が完了した。いつも通りの掛け声と共に、俺はまず曲刀を持ったスマッシュに対し、左手のスペースライドアームの火を噴かせ、一気に距離を詰める。そして右手のジャイアントスクラッチャーで頭から斬り裂いた。
すると、原型を留めることなく、スマッシュを撃破することに成功した。中からは前回とは異なり誰も出ては来なかった。
切り替えて、もう一体のスマッシュに距離を詰め攻撃を始める。
このスマッシュは鳥型で翼のような手の形をしている。
そのために空への飛行が可能であったため、上空へ飛びながら攻撃された。
しかし、このロケットパンダフォームはスペースライドアームとの切り離しが可能であり、スマッシュに向けて左手のロケットを発射させ、相手に命中させた。その後もう一度、右手のジャイアントスクラッチャーで三連撃を与え、完全に消滅させた。
『ちっ、仕方ない』
コウモリ野郎がそう言うと、こちらに向けて、トランスチームガンで撃ち込んできた。俺は右手を縦にする事で攻撃を防いだ。
「コウモリ野郎、お前は、何者だ?スタークとどういう関係なんだ」
『私の名はナイトローグ。貴様に教える義理はない』
「名前は、教えてくれるのね、っと」
コウモリ野郎ことナイトローグの攻撃を紙一重で避けつつ、反撃する。かなり押され気味ではあったが、そこで俺はレバーを再度回し、必殺技で形勢逆転を図ることにした。
【Ready〜Go!】
【ボルテック・フィニッシュ!!!】
「これでどうだ!!!」
計算式で出来た弧と円を描きながら、円を周りスピードと遠心力を高め、ナイトローグに向けて突撃した。
『ぐっ』
かなりのダメージを入れることが出来たようで、ナイトローグも膝をついた。トドメを誘うと距離を詰めようとしたその時、ライフルの弾が俺の体が直撃した。
打った方向を見ると、そこにはブラッドスタークがいた。
『オイオイ、やられてんのかよ。仕方ないなぁ〜』
『スターク、何の用だ』
『用ってのは無いが、今日の所はやめにしておけ。十分だろう。今回はお前の負けだ』
『私は負けて等・・・分かった。今回は引こう』
『そんじゃあな、ビルド。Ciao』
そう言うと、二人ともパイプのような所から煙を出し、晴れた時には姿がなくなっていた。とりあえず今日は帰ったようだ。俺もそろそろ危なかった為に、良かった。
「ハァハァ、うぐっ」
限界が来たようで、その場で俺は変身が解け、倒れてしまった。そこから先の記憶がない。
次に目が覚めた時、俺はまた保健室にいた。誰かがまた運んできてくれたようだ。熱があり、その上あれだけ動いたのだ。体がだるいわ、頭は痛いわ、気持ち悪いわの3連チャンだった。
「ぅ〜〜ん」
「あ、起きましたか?」
横にはいつも通り?なのか、布仏とファルティナ先生がいた。布仏は若干泣きそうであるが、安堵した表情であった。
「兎野君、ごめんね〜。今日は忙しくてね、保健室に戻ってきたら直ぐに布仏さんが運んできてね。君ね、少ーし無茶し過ぎ!!!」
若干朦朧とした意識ではあるが聞き取れたので、首だけ縦に振った。実際今回はスタークにナイトローグという強敵二人と相手させられ、更にスマッシュだ。
危うく過労死するところだった。ナイトローグには必殺技を決められたからよかったものの、あの後二人同時に責められれば一巻の終わりだった。結構危うい対決を今回はしていたようだ。
「本当に、無事でよかった。貴方を助けた時、酷い高熱だったのですから、心配しました」
布仏も俯きながら消え入りそうな声でそう呟かれた。それを見て申し訳なさが込み上げてきたが、どうすることも出来なかった。
「貴方が戦わないと行けない相手なのは分かります。それだけ危険なことも。ですが、待つ人のことも考えてください」
そう言い、布仏は俺の袖の裾を軽く握り、涙目で訴えてきた。
俺はそれを聞き、固まってしまった。
待っている人、そんなこと考えたこともなかったからだ。
「貴方が多くの人々助けるために、あの様な危険な相手と命のやり取りを行い、ボロボロになって、倒れているのを見ると、私は、己の無力さに心が苦しくなります」
「仕方ないだろ、スマッシュはビルド出ないと倒せない。ISよりも殺戮をメインとした兵器だ。俺のビルドは、そういう脅威から多くの人々を守る防衛装置として生み出したんだ。俺はビルドとして、多くの人々を守りたいって思うから。だから、戦う。例え、それで俺が傷ついたとしても」
ビルドは防衛装置である。決して人を傷つけたりしてはならないし、ましては兵器でもない。
だが、こうして心が傷ついていく人を見ると、しかも自分を思ってだと、俺はどうすることも出来ないようだ。
しかし、俺はそれでも戦おうと思っている。
記憶のない俺だが、多くの人の明日を守るために、奴らを、人々に脅威を与える奴らを倒す。
そう、俺は決めている。だから、怪我をなんか考えたこと無かった。たとえ倒れたとしても、守れたのなら、それでいいと思っていたから。
しかし、布仏の言葉を聞き、どこかに引っかかってしまった。
「貴方はそう言うと思っていました。だから、これはお願いです。決して、自分を犠牲にだけはしないでください」
「・・・・あぁ。分かった。布仏がそういうのであれば」
俺は迷いながら、また明日を迎える。