INFINITE Be The One!!! 作:テントウムシ!!!
まさか篠ノ之博士が
「束さん!!!」
・・・失礼、束さんがパンドラパネルを持っているとは思わなかったな。
布仏は束さんを見て固まってたのは面白かったけどwww。
それはそうと、ダリルに最近会わないな。生きてる?
「生きてるわ!!!勝手に殺すな!!!言っとくけどな、ようやくオレの専用機が来たんだ。さぁ春万!勝負を」
はいはい、後でな。
「ちょっ、おい、オレの話はまだ」
それでは第27話をどうぞ!!!
「オレの話を聞けよ〜〜〜〜!!!」
春万Side
朝はかなり忙しかった。
束さんが突如現れ、更には俺たちが探していたパンドラパネルを渡してきた。
先ず、何故束さんがパンドラパネルを持っていたのかという疑問なのだが、束さんは国際指名手配を受けている要重要人物であるが、世界中各地に逃げ回っているそうだ。
その為、その道中にもしかしたら見つけてしまったのではないかと織斑先生が言っていた。
パンドラパネル自体、全くの不明物であり調べてみても分からないことが多すぎた。
パンドラパネルの構成成分はこの地球には存在しない物質であり、クロエの持っていたバックルに近い成分もあった。共通点はある様だ。
更にパンドラパネルには特徴的な部分が有る。パネルに左右に窪みがあり、そこにはフルボトルがピッタリとハマる仕組みとなっていた。
そこに左右1つずつベストマッチのフルボトルを差し込んでみると中央部分にベストマッチの表示が光った。
布仏はその現象に疑問を持ち、俺に質問してきた。
「このパネルとフルボトルには何か関係があるのでしょうか?フルボトルは貴方の発明品ですが、明らかにパンドラパネルにセットする為に作られたように見えますが」
「う〜ん。・・・分からん、としか言えない。フルボトルがこのパンドラパネルの為だけに作ったって言うのはイマイチピンと来ないな〜。もっと違う目的があったような・・・」
「その目的の副産物として、そのビルドドライバーを作ったということでしょうか?」
「まぁ、間違ってはないだろうな」
パンドラパネルにフルボトルがハマることと、宇宙の物という可能性から考えてみると、フルボトルは間違いなくこのパネルにハメるため作ったというのが前提なのだろう。
だが、それならビルドを作る必要は無いはずだ。
もしも、スタークやナイトローグがパンドラパネルを求めているとして、スターク達がビルドよりももっと前から存在している脅威だったとしたら。
「俺はもしかしたら、記憶を無くす前からスターク達の存在を知っていたら、ビルドはスターク達を倒す目的として作る予定だったのかもな」
「え?それならば、ビルドは必然的にスターク達と戦うこと前提で作られたということですよね。ですが、貴方はここに来た時は記憶をなくしていたじゃないですか」
「そうだよな、記憶を失くした俺までも失くす前の俺が計算してるなんてことは流石に無いか。あの時はフルボトルを見てビルドドライバーの発想が生まれたんだから」
「そう、ですよね」
俺達の間に微妙な空気が流れていた、ちょうどその時、空気をぶち壊す者が開発室の扉を開けた。
「よォお前ら!!!最近空気と化していたダリル様がやって来てやったぞ!!!」
「「あ、ダリル、居たんだ(ですね)」」
「ホントにひでぇなお前らは!!!」
エアクラッシャーことダリル・ケイシーが来た。
このダリルは、専用機を取りに帰って一週間程で帰ってきたのだが、帰ってきた時には偶々スマッシュとの戦闘が起きていたり等で全然会うことが出来ず、一人でひたすら専用機慣れの為に多くの生徒と模擬戦という名の憂さ晴らしをしていたのであった。うん、迷惑この上ないね!!!
「おい春万!約束忘れてないよな」
「約束?そんなのしたっけ?」
「したじゃねぇーなよ!専用機手に入れたら模擬戦しようって。ったく、ここ最近スルーされてばっかだったのに」
見た目かなり派手なクセして意外と寂しがり屋なダリルであった。無視され過ぎて半べそかいている始末であった。
「あー、そんなのしてたな。つい6話前の事だったから忘れてた」
「メタいことは言わないでください!!!」
布仏に怒られてしまった。
その後も人との約束を忘れるなどいけません、とつらつらと布仏に説教されてしまった。こういう所で口煩くなるなどオカン属性まで持っていた布仏だった。
「と、とりあえず、今からやるか?」
「いや、今からはアリーナ予約してないから無理だ。明後日の第4アリーナは予約済みだから明後日な。とりあえず虚、整備ヨロシク!!!」
「へ?私ですか?あなた達はとことん私を過労死させたがるのですね。生徒会の仕事もあるのですが、ね?兎野クン?」
布仏の目のハイライトは完全に旅行へ行ってしまったようだ。
一応、俺も仕事はしているのだが、デスクワークの6割方を布仏が請け負わされているので、正直頭が全く上がりません。更に昨日から2年生が修学旅行に行くなどして、そこで発生する金額計算までも生徒会が請け負わされているために、本当にここ最近、ずっと布仏は仕事しっぱなしであった。
「まぁ、兎野君はスマッシュと戦ったりしていましたから仕方ありませんが。それに、ダリルの新型専用機にも興味があるので引き受けますけど。今回はダリル側ということですがよろしいですか?」
「んー、まぁいいぞ。やるからには負けないようにしないとな。それと、ここ最近お前働きすぎだし、体調には気を付けろよ」
俺が労いの言葉を言ったことに驚いたのか、布仏はかなり惚けた顔をしていた。直ぐに気を取り直したのだが、その表情は嬉しそうであり、頬を朱に染めていた。
「・・・っ。・・・ありがとう、ございます」
そう言って駆け足でダリルと開発室を後にして行った。
俺はその顔を見て、何か心がザワつきを覚え、顔から何故か火が出るほどに熱くなっていた。
「・・・んッだよ、あの顔はよ・・・」
俺は真っ赤になった顔に手を当てながら、その表情はニヤっとした様な顔になっていた。
その日は、布仏の表情が全く忘れられずにいた。
春万Sideout
虚Side
『体調には気を付けろよ』
兎野君は何気なく、私のことを心配してくれたようです。
その言葉を聞いて、一瞬惚けてしまいました。
ですが、その後、意味を確りと感じ取ると、私は体の芯から暖かくなり、心臓がドキドキと鳴り響いていました。
(嬉しい)
たった、そんな他愛も無い言葉である筈なのですが、彼にそう言って貰えたことがとても嬉しく感じてしまいました。
その顔は間違いなく真っ赤に染まっていたのでしょう。
「ありがとう、ございます」
そんな在り来りな返答しかできず、そそくさと開発室を後にしました。
開発室を出て、部屋に戻っても心臓の高鳴りが治まることは無く、顔に両手を当てると、とても熱くなっていました。
「ほっほ〜う。なにやらオモシロいことになっているな〜」
「な!にゃんですきゃ」
思わず噛んでしまいました。私が噛むことなど殆ど無いのですが、何故だかとても焦ってしまいました。
ダリルの目はオモチャを見つけた様な目をしており、今にも弄りたいといった感情が滲み出ていました。
「やっぱりデキてるよな〜。でもなんかお似合いだし、応援するゾ!!!」
「何を応援するのですか!!!」
「ん?お前、流石に気づいてるよな」
ダリルが何やら核心を隠しながら言ってきますが、はっきりいって本当に分かりませんでした。
「だから、何を?」
「え!お前、マジか・・・」
「???」
ダリルパンドラ頭を抱えながら、哀れみの目を向けてきました。
「はぁ、まぁでも、お前ら研究バカだもんな〜。どっちも鈍感ときたか」
「鈍感?」
ダリルと話している内に先程までの熱は、すっかり引きましたが、今度はダリルに頭を抱えられるという始末。
やはり少し疲れてしまったのでしょうか。そうですね。ここ最近ずっと先輩がやれないデスクワークの締切、スマッシュの研究に学園長に送る報告書、更識家に送る報告書に、先生に頼まれていた研究資料の整理等など、寝不足などが多く疲れが溜まってしまったのでしょう。
だからなのか、兎野君のあの一言が凄く心に染みたと言いますか、彼が気遣ってくれることが凄く嬉しいと感じました。
「というかホントに大丈夫か?さっきからふらついて、ってわわっ!!!」
あれ、先程から立ちくらみでしょうか。
視界が回っていま・・・・・・・・・・・。
次の日、
私が目を覚ますと、自室の天井でした。
更に横をちらと見るとそこには兎野君が椅子に座りながら寝ていました。
時刻は朝の10時。今日は平日であり授業も勿論あります。
すぐに起き上がろうとしたのですが、頭がズキっとし、起き上がることが出来ませんでした。
「っ〜〜」
「・・・ん?あ、起きたか。ったく少しは休めってんだよ。心配したぞ」
「わた、しは?」
「仕事し過ぎで、風邪引いたってことだ。休みの連絡はもうしてあるからもう少し寝てろ」
兎野君は私のことを心配そうな目で、私の頭をそっと撫でてくれました。
どうやらまだ胸の高鳴りは治まりそうにありませんでした。