INFINITE Be The One!!! 作:テントウムシ!!!
「自分で天才とかイタいにも程があるだろ。ただの記憶喪失の餓鬼だろ」
そんな此奴は甲斐龍斗、生身でスマッシュと戦っていたバカだ。
「おい、バカってなんだよ、せめて筋肉につけろ筋肉を!!!」
行くあてもないからってチャック全開でわんわん泣くもんだから心優しい俺が助けてやるのでした。
さてさてどうなる第37話!!!
「泣いてねぇからな!!!というかチャックのことはもっと早く教えろよな!!!」
「二人とも、もう少し真面目にやってください」
春万Side
甲斐を乗せたままライドビルダーを走らせ、更識家に帰って来た。
甲斐は更識家のデカさにかなり驚いていたが、今はそんなことはどうでもいい。
何故、俺が甲斐龍斗を更識家に連れてきたのかには理由がある。
俺はスマッシュの発生によって現場に向かった。
だが、その時あったスマッシュ反応は二つだった。
兵隊擬きが来たために、大急ぎでその場を離れたが、俺が離れると同時にあったスマッシュ反応はライドビルダーと同時に動いたのである。
だが、俺の後ろには甲斐しか乗っていない。
つまり、このスマッシュ反応は甲斐龍斗から発せられているものであると考えた。
考えた結果、甲斐が受けた人体実験に影響があると思われる。
それに加え、甲斐の手を握った時に思い出した俺の記憶は、俺が人体実験を受けていた記憶であった。
よって俺は、甲斐龍斗のことを知る必要が出てきた訳だ。
此奴には、俺の記憶に纏わる何かに繋がっている気がしたからだ。
「おかえりなさい春万君。ん?其方の方はどなたですか?」
「あぁ、コイツは甲斐龍斗。スマッシュの現場で生身で戦ってたバカだ。怪我してるから取り敢えず手当をと思ってな」
「そうでしたか。では居間の方に。私は救急箱を取ってきますね」
「って事だ。取り敢えず上がれよ」
「え?あ、おう・・」
甲斐を居間に案内し、そこに座らせると、周りをキョロキョロしながらソワソワとしていて、落ち着きがなかった。
まぁ、突然知らない人のこんな大きな屋敷に入ったら、誰だってソワソワと落ち着かなくなるだろう。
だが、そんな姿をクローズドラゴンは落ち着けと言うばかりに、軽く炎を吐き出した。
「アッツ!!!コイツ!!!」
「おいおいクローズドラゴン。一応怪我人だぞ」
『グワァー!!!』
そう注意すると、大人しく机の上に降り立って待機した。
「なぁ、俺を此処に連れてきたのは手当のためだけじゃないだろ?」
「まぁな。お前には色々と聞かなきゃならないことがあるからな。取り敢えずお前の話してくれ」
「話って?」
「全部だ」
「・・・おう、分かった」
そう言って、甲斐は話し始めた。
「俺が生まれたのは千葉の産婦人科だった。3203gの元気な赤ん坊で・・・」
此奴、やっぱり馬鹿だ!!!
甲斐は何故か回想シーン交えながら生い立ちを話し始めたのである。
「誰が生い立ちから話せっつたんだよ!!!」
俺は甲斐の回想シーンを遠くに吹き飛ばした。
「全部話せっつたのお前だろうがよ!!!」
「流れで分かるだろ馬鹿!!!」
「また馬鹿って、お前な〜!!!ってイタタ」
「怪我人の癖に暴れるからだ」
甲斐は自分の肩に手を当てながら、痛みを抑えようとしていた。
今更に思うと、生身でスマッシュに立ち向かう時点で馬鹿だが、スマッシュに立ち向かって生き残っている時点で普通とは多少なりとも言い難い。
そんな考えが頭を過ぎっていたその時、居間の襖が開き、虚が救急箱を持ってきながら、楯無や刀夜さんを連れて来た。
虚は俺とを一瞬目を合わせ、まるで俺の考えを理解しているかのような表情をし、手早く手当を始めていた。
俺はそんな虚を見て、彼女には色々と思考を読み取られているなと、感服しながら刀夜さん達に甲斐を連れて来た理由についてを話し始めた。
「それで、虚ちゃんに話があるって呼ばれてきたんだけど〜、この子がスマッシュの現場にいたって男の子?」
「あぁ、此奴は甲斐龍斗。まぁ理由があって此処に連れて来た」
「その理由って何かしら?」
俺はビルドフォンを楯無に渡し、スマッシュ反応を見てもらった。
「先ずはこれを見てみろ。それはスマッシュ反応を示す探知機アプリなんだが・・・」
「ふーん、スマッシュ反応が未だあるのね。それも此処に」
「そうだ。甲斐にはスマッシュ反応があるみたいなんだ。だがスマッシュに成ってはいない」
「何か、理由があるのかしら?」
「完全には分からないが、ただ此奴は人体実験を受けたと言っているんだ」
その事を告げた時、二人は甲斐のことを目を見開きながら驚いていた。
そんな二人を見て、手当てを終わらせた虚がこちらの話に加わってきた。
「人体実験、ですか。前に春万君は身体に何かを施してスマッシュになっているかもしれないと言っていましたね」
「あぁ、もしかしたら、その人体実験こそがスマッシュへと変える実験なのかもしれない」
「そう。それじゃあ、スマッシュは誰かが悪意を持って人為的に作り出した存在ということが確定ってことね」
「そこでなんだが、その、報告と言いますか。俺の記憶に関することなんだが。此奴と俺の記憶がベストマッチしちまったんだよ・・・」
「は?なんだよ、それ?」
甲斐は頭を傾げながら理解に苦しんでいた。
一方で、虚は俺の記憶についての話題が出ると、何かに気づいたように、不安そうな表情を浮かべながら反応を示した。
「・・・思い出したのですね」
「・・・あぁ。此奴の手を握った時にな。俺も、甲斐と同じように人体実験を、受けていたんだ」
「っ!・・・やはり、そう、でしたか」
虚の表情は下を向き、とても悲しそうであった。
だが、まるで予想していたようなその事を雰囲気でもあった。
そんな哀愁漂う空気の中、今まで口を聞くに徹していた刀夜さんが口を開いた。
「・・・ということは、春万君。君もスマッシュになる可能性があるということかね?」
「それは・・・」
「それは無いと思います、旦那様」
俺は言葉を詰まらせていると、虚がそれについてを否定した。
「春万君、ハザードレベルについてがこの件に関わってくるのではないですか?」
「そうか、ハザードレベルか。俺のハザードレベルは3.5。人体実験がそのハザードレベルを上げるための実験であったのなら、スマッシュはその時に生まれた副産物の可能性が高い」
「ん?つまりどういうことなの?」
「だから、甲斐がそのスマッシュにならず、人間の体を保ったまま、人体実験を終えたということは、俺と同じになる可能性が高いってことだ」
「それはつまり、仮面ライダーに変身出来る可能性があるということでしょうか」
虚がこの話題の一番の的確なことを述べた。
もしかしたら、甲斐は俺と同じく仮面ライダーになれるかもしれない可能性が出てきたのである。
スマッシュになってしまうハザードレベルの限界値を超えた人間。
未だこれは仮定の段階ではあるが、可能性は高い。
「いやつまり意味が分からないぞ?何の話してるだ?」
「はぁ、これだから馬鹿は」
「馬鹿馬鹿言い過ぎだっての!!!というか、そんなことはどうでもいいんだよ。俺はそんなことよりもやらなきゃならねぇ事があるんだよ!!!」
甲斐は先程までの話よりも、自分の大切な用事を思い出したのか、血相を変えて立ち上がるのであった。
楯無がそんな姿を見て何か良からぬ事情を察知したのか、その用事について尋ねた。
「何をしなきゃいけない事があるのかしら?」
「アイツを、俺の両親を殺したあのコウモリ野郎をぶっ飛ばすことに決まってんだろ!!!奴だけは、絶対に許さねぇ!!!」
「落ち着いて下さい!!!未だ怪我が治っているわけじゃないのですから」
甲斐は衝撃的な発言をしたのであった。
コウモリ野郎は間違いなくナイトローグだろう。
ナイトローグが甲斐の家族を殺した?
にわかには信じ難い話をしていた。
加えて何故、立ち向かおうとしているのか理解不能だ。
「その話、詳しく聞かせてくれ」
「あぁ、俺は妹と一緒にあの兵隊みたいな奴らから逃げてたんだけどな。途中ではぐれちまって、探してる最中にそのままアイツらに捕まって、人体実験を受けたんだ」
「その妹さんは携帯持ってるの?持ってるならここから連絡出来るかも」
「ホントか!!!貸してくれ!!!」
甲斐は大急ぎで妹さんに電話をかけたのだが、残念ながら妹さんに繋がることはなかった。
甲斐は見るからに不安そうな表情をしながら小さく俯いていた。
大事な妹が危険な目に会うかもしれない不安は、決して計り知れるものでは無い。
そんな姿を見て、俺は自分の無力さを感じていた。
刀夜さんは甲斐が電話をかけている間に、いつの間にかいなくなっていた。
多分、甲斐の家族のことを調べているのではと虚から聞いた。
更識家は動くのが早いな。
ナイトローグが亡国企業と関わっている以上、行動に何かしらの意味があるのだろうと考えたのかもしれない。
楯無は甲斐の妹さんを探す為に動き出したようだ。
俺も妹さんを探すことに手伝う事にした。
あれから数日が経過した。
未だに甲斐の妹さんは見つからずにいた。
そんな時、ビルドフォンに電話が来た。
相手は虚であった。
「どうした?妹さんが見つかったのか?」
『いえ、それよりもまずいことになりました。妹さんから連絡を受けたのか、突然、甲斐君が飛び出して行ってしまいました。急いで彼を追ってくれませんか!!!』
「分かった!!!ったくあの馬鹿は」
俺は急いでライオンフルボトルを取り出し、ビルドフォンに挿し込んだ。
【ビルドチェンジ!!!】
ライドビルダーに乗り、スマッシュ探知を使用することで甲斐を見つけようとした。
しかし、丁度その時にスマッシュ反応が出現してしまったのだった。
俺は苛立ちを感じながら、甲斐よりも先にスマッシュの方へ向かった。
そのスマッシュ反応は二つを指し示しながら。
春万Sideout
龍斗Side
俺は今、更識の家にあった自転車を使って、コウモリ野郎の言っていた場所に向かっていた。
少し前、妹に何度も電話をかけ続けていると、遂に繋がったのだ。
しかし妹の声は明らかに普通の声ではなかった。
「お兄ちゃん!!!助けて!!!イヤ、離して!!!」
「おい!明香里!!!明香里!!!」
俺は何度も呼び掛けたが、終ぞ返事は帰ってこなかった。
その上、次に聞こえた声は奴だった。
『甲斐龍斗だな。妹に合わせてやる。・・・に来い』
その場所には覚えがあったため、急いで家を出た。
自転車があったから勢いでそれに乗って、目的地に急いだ。
目的地に着き、自転車を乗り捨て、周りを見たのだが明香里はいなかった。
「明香里ー!明香里ーー!!!どこに居るんだ!!!返事してくれーーー!!!」
大声で叫ぶが反応はなかった。
コウモリ野郎が嘘をついた可能性を考えた。
しかしそう考えた時、あの怪物が現れたのだった。
『ギギガッ』
「お前は!ちっ、邪魔するな!!!」
俺は咄嗟にファイティングポーズを構えて怪物に向かって行き、拳を振るが、怪物は前と同じく、とても頑丈であり、攻撃が通じなかった。
それでも俺は諦めず殴り続けるが、怪物に殴られ吹き飛ばされた。
そんな俺を見えない所から観察している奴がいた。
『遅かったな、甲斐龍斗。約束は果たしだぞ』
「何言ってんだ!!!明香里は何処だ!!!」
そんな叫びに、まるで嘲笑うかのようにナイトローグは無情な真実を告げた。
『貴様の妹は目の前だ』
「は?・・・・・うそ、だろ。コイツが、明香里?」
『・・・・』
怪物は炎の球を作り出し、俺に向けて放ってきた。
紙一重で避けるも、先程言われた言葉に動揺してなのか、俺は後ろに衝撃で吹き飛んでしまった。
「うそ、だろ。本当に明香里なのか?うわっ!」
火球を連続で放ち、確実に俺を消し炭にしようとしていた。
俺はコイツが明香里であると信じられずにいた。
只管頭で否定しながらも、それが本当だったとしたらと考えてしまい、体が固まってしまった。
怪物はその隙を逃さずに火球を放とうとしていた。
その時、背後からバイク音を鳴らしながら、怪物に立ち向かっていく姿が目に映った。
「ったく、勝手に飛び出して行くな!!!そんなに死にたいのか!!!」
バイクで明香里を上手く攻撃しながら、俺から距離を離して行った。
バイクを降りて、変なあの機械を腰に巻き、明香里と戦おうとしていた。
俺は急いでそれを止めに走った。
「待ってくれ!あいつは明香里なんだ!!!」
「なに!!!・・・・っ」
俺はどうすることも出来ず、怪物と化してしまった明香里を見るのであった。
龍斗Sideout