INFINITE Be The One!!!   作:テントウムシ!!!

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仮面ライダービルドである兎野春万は甲斐龍斗の願いにより甲斐の妹さんを捜索していた。
そんな時、甲斐がナイトローグから連絡をもらい、妹さんの元へと向かっていくのであった。
しかし、再開した時には、妹さんの姿はスマッシュへと変えられてしまっていた。
さぁどうなる第38話。


第38話:絶望の先に待つもの

春万Side

 

「あいつは明香里なんだ!!!」

 

「なに!」

 

初めて見た炎を扱うあのスマッシュが甲斐の妹さんであると、甲斐は絶望したような表情を浮かべながら俺を止めるようにすがり付いてきた。

しかし、スマッシュになった人間を一体どうすれば救えるんだ?

今までスマッシュ内から出てきた人間はどれも銀髪の髪が特徴であるAdvancedだけであった。

普通の人間は一度たりとも現れたことは無い。

今になってどうしてこんな・・・。

このままでは甲斐の妹を救うことが出来ない。

一体どうすれば・・・。

 

『グワァ〜〜』

 

そんな時、クローズドラゴンが俺に向かってボトルを投げつけてきた。

俺は咄嗟にそのボトルを受け止めた。

しかし、投げつけてきたボトルをよく見ると、それは未だ成分の入っていないエンプティボトルであった。

 

「何故これを?」

 

『グワァ、グワァ!!!』

 

クローズドラゴンはエンプティボトルを突き、首をスマッシュの方向に指し示した。

俺はその行動を見て、スマッシュの特性を思い出した。

インフィニット・スマッシュが人体実験によって生まれた怪物であると考えていた。

その事が正しいのであれば、スマッシュにされる際はナノマシンを改造した特殊なガスを注入させられる。

ナノマシンのガスであるのならば、そのガスをスマッシュから抜き去ってしまえば、元に戻るかもしれない。

甲斐の妹を助けることが出来るかもしれない。

 

「良くやったぞ、クローズドラゴン!!!」

 

『グワァ!!!』

 

「お、おい。どうするだよ!!!」

 

「取り敢えず、今は俺に任せろ」

 

俺はビルドドライバーを取り出し、腰に巻き、ラビットと消防車のフルボトルを取り出し、ドライバーに挿し込んだ。

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

【ラビット】

 

【消防車】

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

俺はトライアルフォーム=ラビット消防車に変身し、マルチデリュージガンをスマッシュに向けて消化剤を撃とうとした。

それを阻止するかのように甲斐は俺の前に立ち塞がり、スマッシュと化してしまった妹さんを守ろうとしていた。

 

「やめろ、こいつは明香里なんだぞ!」

 

「そのスマッシュの成分を抜き取れば元に戻るかもしれない。今は俺に任せろ」

 

俺は甲斐を軽く払い除け、スマッシュに消化剤を使い、炎を消火しつつ、少しでも弱らせて成分を抜き取る隙を作ろうとした。

しかし、その攻撃を行う前に、マルチデリュージガンを狙って銃撃を喰らった。

攻撃を受けた方向を見ると、そこには煙を体中に巻きながら、全てを観察していたかのようにナイトローグが出現した。

 

『ハハハ、そんなことをすれば、その女は死ぬぞ』

 

「なに!」

 

『その女のハザードレベルは1。体の弱い人間は人体実験を受け、ガスを注入された時点で死に至る。最早、その女に何をしようとも助かる道は無い』

 

「な、くっそ」

 

「・・・うそ、だろ」

 

ナイトローグは無情な真実を俺たちに告げた。

元々、甲斐の妹さん=明香里さんは生まれつき病弱で、入退院を繰り返していたそうだ。

偶々、今回退院して買い物から帰ってきた時に両親を・・・。

甲斐が死に物狂いで明香里さんを探そうとしていたのは、いつ病気が再発して倒れるか心配だったからであった。

 

だが、これは、余りにも厳し過ぎる現実であった。

俺は折角助けることが出来るかもしれない道を見つけたと思っていたのに、助けることが出来ない無力さに打ちひしがれてしまった。

スマッシュは俺達に攻撃をしようとしていた。

しかし、攻撃を行おうとしていた右手とは裏腹に、左手で攻撃を必死に制していた。

自我を失っても尚、自分の兄を傷つけまいとして、逆に自分に攻撃をし始めていた。

 

「明香里、何を?」

 

「スマッシュに自我は無いはずだ。それでもお前を傷つけまいとして、自分を傷つけてるんだろう」

 

甲斐は見るからに辛そうな表情をしながら、スマッシュを静かに見つめていた。

 

「・・・・・なぁ、本当にもう助からねぇのかよ」

 

「それは・・・・・・・」

 

俺は答えることが出来なかった。

目の前で大切な人の命が失われかけているのを見てることしか出来ない少年を、自分の兄を必死に攻撃しないように耐え抜いている妹さんを救うことが俺には出来なかった。

せめて、あの苦しみから解放させることしか、俺に出来ることは残っていなかった。

 

「ならせめて、せめて元の姿に戻してやってくれよ!!!・・・・・頼む」

 

甲斐は涙を堪えながら、覚悟を決めたように頭を下げて俺に頼み込んできた。

俺は甲斐の思いを受け取り、せめて俺の出来る限りのことをやろうと決めた。

そうして、拡張領域から掃除機フルボトルを取り出し、消防車フルボトルと入れ替えた。

 

【掃除機】

 

【Are you ready?】

 

自分の放つ炎で体を燃やし続けているスマッシュにロングレンジクリーナーを向け、吸引を始め、炎を吸収していく。

炎を全て吸収しきると、スマッシュは倒れていた体を無理矢理起こし、火球を撃ってきた。

その炎も全て俺は吸引し、左肩の付属されているBLDトラッシュコンバーターにエネルギーが溜まったので、コンバーターのスイッチを押し、外に炎をとぐろ上に排出した。

その後、拡張領域からゴリラとダイヤモンドのフルボトルを取り出し、完成された式を元に工程をこなしていく。

 

【ゴリラ】

 

【ダイヤモンド】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ」

 

【輝きのデストロイヤー=ゴリラモンド!!!イェイ!!!】

 

とぐろ上に巻かれた炎を全てダイヤモンドに物質変換させ、右手でレバーを回す。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!】

 

ダイヤモンドを一点に集めながら、右手の《サドンデストロイヤー》にパワーを溜める。

溜まったところで、ダイヤモンドを殴り、スマッシュに向けて、ダイヤモンドを送り付け竜巻を起こしながらスマッシュの体を分解した。

スマッシュの体から、体を光輝かせながら、今にも消えそうな少女が出てきた。

甲斐はそれを見るや否や、血相を変えて走り、その少女を抱き抱えた。

俺は落ちてきそうなスマッシュの本体を右手で抑えながら、2人の別れを邪魔させまいと必死に守るのだった。

 

「っく、俺に出来るのはここまでだ」

 

甲斐は俺に軽く頭を下げ、直ぐに妹さんに向き直した。

 

「ハァ、ハァ、お兄、ちゃん。ご、めん、なさい」

 

「もういい。もう喋るな」

 

「私・・お兄ちゃんに、いっぱい、迷惑、かけ、ちゃったから・・・」

 

「迷惑なもんか!!!お前は、俺のたった一人の大切な、大切な妹なんだから!!!」

 

甲斐は涙を堪えることが出来ず、ポロポロと涙を零していた。

 

「ハァ、ハァ・・・お兄ちゃん。私、お兄ちゃんが・・・私の、お兄ちゃんで、良かった」

 

明香里さんは満面の笑みを向けながら、甲斐を見つめていた。

 

「グス、俺も、明香里が、妹で良かった」

 

「ハァ・・・ありが、とう、お兄ちゃん・・だい・・すき・・・・・」

 

明香里さんは最後の言葉を甲斐に送り、光となって消えてしまった。

甲斐はそんな最後を見届け、一人泣いていた。

俺はスマッシュを放り投げ、完全に倒し切った。

その際、エンプティボトルを開きながら傾けると、成分が徐々に吸い込まれていき、浄化前のボトルが出来あがった。

俺はそのボトルを強く握りしめながら、ここから離れようと、ビルドフォンを変形させた。

 

「・・・行くぞ」

 

「・・・もう、いいんだ。もう」

 

その言葉を聞いた瞬間、俺は心の底から腹が立った。

俺は甲斐の胸ぐらを掴み叫んだ。

 

「何が、いいんだよ。何も知らないまま、自分の家族を失ったんだぞ!!!それを、もういいだと!!!巫山戯んな!!!悔しくないのか!!!このまま何も知らずに悲しみだけ背負っていく気なのか!!!」

 

「・・・・・でも、もう」

 

「俺は、お前も救いたいんだ。俺は、お前の両親も妹さんも助けることが出来なかった。だからせめて、お前だけでも、助けたいんだ」

 

これは俺の我儘なのだろう。

目の前で救えなかった命を見た。

だからこそ、アイツらを許せない。

もうこれ以上、同じような被害者を出したくない。

これ以上、誰かが悲しむのを見たくはない。

みんなに笑顔で明日を迎えて欲しい。

だから、

 

「だから、俺は戦う。お前はどうする」

 

「俺は・・・。知りたい。なんで明香里がこんな目にあったのかを、俺の家族をめちゃくちゃにした奴らをぶっ飛ばす!!!」

 

「・・・・・そうか。なら、行くぞ」

 

俺達はライドビルダーに乗り、更識家へと戻るのだった。

帰り道はお互い何も会話せず、ただひたすら哀愁を漂わせているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、

俺は今日起きた出来事が頭から離れず、余り寝付けずにいた。

ふと、外の空気を吸いに庭に出ると、満月の光が世界を暖かく照らしていた。

俺はポケットに手を突っ込むと、中には浄化していない、あのボトルが未だ入っていた。

無意識の内に持ってきてしまったのだろうか。

俺はそのボトルを見ながら今日の出来事をゆっくりと目を閉じて思い出していた。

 

「フッ、今日はやけに湿っぽくなる1日だったな。ったく、何度、無力感を味わったものか」

 

そんな風に月を見ながら一人黄昏ているところに、背後から忍び寄る影があった。

俺は気配を感じ後ろを軽く振り向くと、そこには三つ編みを下ろした虚がいた。

 

「こんな時間に外に出るなんて、珍しいですね」

 

「そうか?」

 

「・・・今日のことですね」

 

「まぁな」

 

「明香里さんを救えなかったこと、後悔しているのですか?・・・いえ、なんとなくですが、自分の無力さを痛感したという方が正しいでしょうか?」

 

「・・・・ハァ、虚にはなんでも見透かされるなぁ」

 

「貴方の考えていることが分かりやすいということだけです。フフ、何時もの私の気持ちが分かりましたか?貴方を見ていることしか出来ない私の気持ちが」

 

虚は俺の気持ちが痛いほど分かっているようだ。

出来ることなら一緒に戦いたいと思っているのだろう。

そんなことせずとも、いつも俺を支えてくれるのは君しか居ないだろうに。

 

「さぁな。俺は今日のことを忘れないようにしていただけだしな。もう、彼奴みたいに誰も悲しませたくないって改めて感じただけだ」

 

「そうですか。フフ、愛と平和の為に戦うヒーロー、ですね」

 

「愛と、平和か。・・・あぁ、俺はLOVE&Peaceの為に、このビルドの力を使う。それが、ライダーシステムを生み出した俺の使命であり、科学者の理想だからな。そうか、LOVE&Peaceか。良いなそれ」

 

俺は満月に向かってピースサインを送った。

虚もそんな俺を見てか、クスクスと笑いだしていた。

 

「さて、もう遅いですし、寝ましょうか?」

 

「そうだな・・・」

 

「ん?どうしました?」

 

「いや、今日は月が綺麗だなって」

 

「そうですね。私もずっと見ていたいです」

 

「ずっと、か。フッ、さて寝るか。おやすみ〜」

 

「えぇ、おやすみなさい春万君」

 

俺達はひっそりと就寝部屋に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな俺達の光景をひっそりと見ていた人影が一つ。

 

「あわあわあわ//////虚さん達、大胆///」

 

眼鏡を掛けた少女、更識簪は赤面しながら急いで自室に戻るのであった。

 

 

 

 

 

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