INFINITE Be The One!!! 作:テントウムシ!!!
春万Side
俺達はブラッドスタークとの戦闘でボロボロになりながらも何とか実験場であった下水処理場から出て、ライドビルダーでフラフラに走りながらも何とかIS学園に戻るのだった。
「ったく、起きろって、イタタ」
「・・・・・」
「ダメだ、完全に気絶してやがる。早く帰って、こいつを調べないとな」
俺はあの実験場だった場所からあるデータが壊れていたが少しだけ残っているのを発見し、それをコピーして持ってきていたのだ。
データを復元できれば、あの場所でどのような実験が行われていたのかが分かるだろう。
データを消したつもりだったのだろうが、爪が甘いのか、雑な消し方であったため、データの復元は難しくはないだろう。
クローズドラゴンも先の戦闘でかなり破損してしまっていた。
早く戻って治さねばならないと思うも、俺の体もダメージが大きく、意識を保っている状態でやっとな状態だった。
バイクもフラフラな運転になりかけているため、降りた方が良いだろうか?
一応、変身を強制解除されてしまったため、強制解除後の再度変身することは体に更に負担を強いるため、今の体の状態ではホークガトリングフォームで空を飛ぶどころか、知らないところに墜落してしまう可能性の方が高いと判断したため、ライドビルダーに乗ることにしたのだ。
そうして学園に戻ったあと、今回の件を先ず、学園に報告した。
「無理をさせたな兎野。私は何も出来なかった。本当に、済まない」
「いえ、何とか生きて帰って来れまs、イタタタタ。ハ、ハハ〜」
「今すぐに休め。後処理は私がやっておく。学園の生徒会長がこんなボロボロな姿でいたら問題だ。」
ブラッドスタークとの戦闘によって体にかなりのダメージが蓄積したのに加え、ドラゴンフルボトルの暴走によって俺は倒れ、甲斐は生身での戦闘を行い、その末に倒れてしまったことも含め、織斑先生も生徒を守れなかったことや、その生徒に無理をさせたことに対して申し訳なさそうに俺を労ってくれた。
今回の件を更識家には報告し、亡国企業の実験場であった可能性の高い場所を見つけたことには大手柄であり、刀夜さんからはとても感謝されたのだが、虚はボロボロの俺達の姿を見て申し訳なさそうな目で見つめられていた。
彼女は多分巻き込んだことを悔いているのだろう。後でフォローしてやらないとな。
そう思いながら、俺は疲れから眠ってしまった・・・・・・。
春万Sideout
虚Side
「・・・・はぁ」
私は更識家の追う亡国企業の件に彼らを巻き込み、ボロボロになるまで傷つけてしまったことに申し訳なさを感じていました。
我々が請け負っていた任務を、力が必要だからと言って安易に彼らを利用してしまいました。
私は更識家でも何度もこの様な光景を見てきました。
任務の度に傷ついてゆく部下、時には帰ってこない者もいました。
このままでは、いずれ彼らも帰ってこないかもしれないと思ってしまいます。
それでも私は任務の最前線に出ることを許されていません。
お嬢様からも、お父さんからも、旦那様からも。
きっと、春万君も絶対に許してくれませんよね。
貴方を見ていると、時々私は思います。
私は貴方を支えられていますか?
私は貴方に必要とされていますか?
本当は貴方が傷つくところなんて見たくないです。
ずっと一緒に楽しく研究していたいです。
ですが、それでも貴方は戦うのですよね。
だから私ももう少しだけ・・・。
挫けそうな心を強く持ち、私は眠る春万君の手をそっと握りながら、彼の寝顔を眺めていました。
そんな時、春万君の持つビルドフォンの着信音がなり、私はそれを見てある場所へ向かいました。
そして私は・・・・・・・・・。
私は・・・。
わた、し?
『ぅ、ぅぅ・・・・・・』
はるま、くん、たす、けて・・・。
虚Sideout
春万Side
目が覚めた時、俺の顔を覗くダリルの姿があった。
「うおっ!起きた!!!」
「人の顔を見てそんな驚くことか?」
「ところでそこで爆睡してる奴は誰だ?」
「スピーーーZzz」
俺は不意に隣を見ると、そこでは口を開け、間抜け面を晒している甲斐の姿があった。
俺、此奴と一緒に寝てたのかよ!!!
「おい、甲斐!!!起きろ!!!」
甲斐の腹を引っぱたいて強引に起こしてみると、傷が響いたのか痛がりながら泣く泣く起きるのだった。
「ぐへっ!な、何すんだよ!!!」
「なんでお前は俺のベッドで寝てんだよ、狭いだろうが!!!」
「知るかよ!ってかいつの間に戻って来たのか!!!」
「俺が引きづって、連れてきたんだよ。いいから退け」
「ったく、分かったっての。よいしょっとっとっと、痛っ!」
未だ全然回復していないため、お互いに体が変な動きをしていた。
そんな光景を面白がりながら見るダリルが俺の背中を軽く引っぱたいてきた。しかし、そんなことをされれば・・・。
「痛っ!!!!痛い痛い!!!やめ、ぐぉっ、辛すぎだろ〜」
「ってか誰だよ、このデカ女?」
「あ?何だとこのエビフライ頭」
「んだよ、エビフライの何処が悪いんだよ!!!」
「いや別に悪かぁねぇけど、ソースぶっかけんぞ?」
「んだとォ〜!!!」
「猿か?おめぇ?」
「んなわけねぇだろ!」
甲斐が猿のようにキーキー鳴き始めた。
この2人の性格がミスマッチしている気がするのは俺の気の所為だろうか?
そう言えば、いつもはもう居てもおかしくないが、未だ虚を見ていないがどうしたのだろうか?
「お目覚めのようね。倒れたって聞いたけど、元気そうね二人とも」
「あ!性悪女!!!」
「誰が性悪女よ!この鶏頭!!!」
「どう見たって鳥じゃねぇだろうが!!!」
「会話が成り立ってない・・・」
楯無は落ち着くと、周りをキョロキョロと見始めた。
誰かを探しているのだろうか。
「ところで、虚ちゃんは?」
「ん?お前も知らないのか?」
「あれ?ここに居ると思ってオレ来たんだけど・・・」
「「「「・・・・・・?」」」」
俺はそこでふと机の上を見ると、ビルドフォンが無くなっていることに気づいた。
「あれ?ビルドフォンは?」
「さぁ?落としたんじゃねぇか?」
「いや落とさねぇよ」
しかし、楯無は深刻そうな表情をしながら、電話を耳に当てていた。
電話相手は虚だと思うが、繋がらないようだ。
「・・・・だめ、繋がらない。こんなこと今まで一度もなかったのに」
「一度もって凄いな」
「虚ちゃんは更識家の従者よ。主である私と連絡がつかなくなるような事態ということがどういう意味か。春万君、貴方なら分かるでしょ」
更識家の従者である虚が、主と連絡がつかないということは、まさに緊急事態が起きているということは明白である。
そんな時、パソコンからスマッシュ反応を知らせる警報が鳴り響いた。
俺は急いで向かおうとしたのだが、体の傷が響き、膝を着いてしまった。
「ったく、仕方ねぇな。俺も行ってやるか!」
「何言ってんだ、お前はここで寝てろ!スマッシュは俺の仕事だ。サブキャラのお前が出る幕はねぇよ」
「な、なんだよそれ!!!んじゃ知らねぇよ」
甲斐もボロボロな体で着いてこようとしたが、俺はそれを止めた。
生身でスマッシュに挑むことがどれ程危険なことなのかを知らず、馬鹿な此奴は全くの考え無しに動こうとしている。
そんなことをすればより一層怪我をしてしまう。
兎に角、俺はボロボロな体にムチを打って立ち上がり、ビルドドライバーを腰に巻き付けた。
ビルドフォンが手元に無いため、パソコンから出現場所のデータを送り、タカとガトリングのにフルボトルを取り出して変身した。
【タカ】
【ガトリング】
【BEST MATCH!!!】
【Are you ready?】
【天空の暴れん坊=ホークガトリング!!!イェイ!!!】
「待ちなさい。貴方、そんなボロボロな体で行く気なの?」
「なら、俺以外に誰がスマッシュを倒すんだ?」
「それは・・・」
楯無も俺の体の心配をしているようだが、はっきり言ってお節介もいいところだ。
俺の体は俺の自由だ。
無理しようが、そこに助けを求める人がいるのなら、ビルドとして、仮面ライダーとして助けに行かないといけない。
今回は何故かいつもと違い、胸騒ぎがしてならない。
楯無を押し退け、廊下に出るとファルティナ先生が丁度通りかかってきた。
「あ!春万くん、ダメよ安静にしてないと!!!」
「すいません、急いでますから、説教は後で聞きます!!!」
俺はファルティナ先生を無視して、スマッシュの出現場所へと飛んで向かっていった。
出現場所であるガス工場へと到着すると、そこにはナイトローグとその兵士擬き達が俺を待ち構えていた。
『来たか。・・・殺れ』
『『『『・・・・・・』』』』
指示をしたと同時に、ナイトローグは煙で姿を隠して消え去ってしまった。
そして、残った兵士達はナイトローグの命令を執行するように無言で俺に銃を打ってきた。
俺はホークガトリンガーを取り出し、上空から一気に兵士達を攻撃した。
数を減らされた兵士達は突如、組体操のような形を取り、合体し始めた。
俺はそれを見て、ゴリラとダイヤモンドのフルボトルを取り出し、ビルドドライバーにセットした。
【ゴリラ】
【ダイヤモンド】
【BEST MATCH!!!】
【Are you ready?】
「ビルドアップ!!!」
【輝きのデストロイヤー=ゴリラモンド!!!イェイ】
【Ready〜Go!】
【ボルテック・フィニッシュ!!!】
そして一気にレバーを回し、巨大な合体ロボに向けて、ボルテック・フィニッシュをぶつけた。
ゴリラの最大パワーで地面にヒビを入れ、バランスが崩れたところを、もう一度上からゴリラのパワーで叩き潰した。
兵士達を完全に殲滅し終え、俺は近くあるスマッシュ反応のあった場所へと向かっていった。
そしてそこには、眼鏡もかけず、白い被験服を着た虚が一人、朧気な目をしながらフラフラと立っていた。
「虚?なんでお前がこんなところに?」
『・・・・は、るま、く、ん?・・・うっ、ぁぁアア!!!』
そう呟くと、体から炎を燃やしながら、スマッシュへと姿を変えてしまうのだった。
そしてその後ろからナイトローグが現れ、同時に俺へと襲い掛かってきた。
『貴様の持つボトルを寄越せ』
「・・・・くっ、巫山戯んな!!!てめぇ、よくも、よくも虚を!!!!!!」
『ぅぅあ!』
スマッシュの体を炎が包み込み、そのまま炎の翼で上空を飛び出した。
上空から、俺に向かって体当たりするように突撃してきた。
俺はダイヤモンドフルボトルの力で、纏う炎をダイヤモンドへと変質させ、レバーを回し、もう一度ボルテック・フィニッシュを撃ち込んだ。
しかし、スマッシュは爆発をするも、再度体から炎を発生させ、ダメージを治したかのように、再び立ち上がり、突撃してきた。
「なに!くっ!」
スマッシュに何度も、何度も、強攻撃を叩き込んでも、倒れては炎を発生させて再び復活し、倒れては立ち上がりと繰り返していた。
俺は前日のダメージもあり、体には疲労が溜まっている状態であったため、限界に近かった。
そんな状態の俺に追い打ちを掛けるように、ナイトローグのに強撃を喰らってしまった。
そして、倒れ込んだ俺に、上空から炎のに翼を翻したスマッシュがプレスを仕掛け、俺は変身を強制解除してしまった。
「がっ、くっそ・・・」
虚を助けるどころか、返り討ちにされてしまい、心身共に立ち上がる気力も最早無くなっていた。
そんな俺に近付き、死体蹴りかのように、俺の腹を蹴り飛ばし、転がってしまったビルドドライバーからフルボトルが飛び出してしまった。
俺は這いつくばりながらも、転がってしまったフルボトルを奪われないように掴むも、ナイトローグに捕まり、逢えなく奪われてしまった。
『ククク、無様だなビルド。いや、兎野春万。自身の大切な女は救えず、フルボトルも奪われ、そして最後には貴様自身の命さえ奪われる羽目になるのだからな』
「っ・・・・・・・」
ナイトローグは俺にトランスチームガンを向けて、トドメを刺そうとしていた。
俺は最期までナイトローグを睨みながらも、その拳に力はなく、全てを諦めかけていた。
そんな絶対絶命の状態でまさか彼奴が来るとは思いもしなかった。
「うぉりゃあ!」
『なに!ぐっ、貴様!!!』
「ハァ、ハァ、大丈夫かよ、やっぱ俺がいた方が良かっただろ」
『グワァ!!!』
甲斐は嬉しそうな顔をしながら、ファイティングポーズを取っていた。
その手にはドラゴンフルボトルを確りと握り締めながら、クローズドラゴンが隣で援護するように構えていた。
「ぐっ、お前、なんで来たんだ!!!」
「ヒーローは遅れてやってくるもんだろ。お前は黙ってそこで見てろ!!!」
甲斐はナイトローグに向かって突っ込んでいくも、スマッシュがそれを阻んだ。
「邪魔だぁぁ!!!」
甲斐はフルボトルを握り締めた右手で思いっきり殴ると、纏っていた炎を諸共せず、殴り飛ばした。
見た限りではあるが、彼奴は最早普通の人間では無くなってきていた。
そして、そのままナイトローグへと向かって行った。
クローズドラゴンも援護するように、ナイトローグへと向かって行き、蒼い炎を放射していた。
「コウモリ野郎、お前が、明香里を、家族を!てめぇだけは絶対に許さねぇ!!!」
『ちっ、邪魔だぁ!』
「ぐほっ!まだまだぁ!」
「・・・・・・・・最悪だ。何やってんだ俺は」
甲斐は諦めずに何度も何度もナイトローグを殴っていた。
俺はそんな姿を見て、倒れている自分が情けなくなっていた。
彼奴は生身であれ程までに戦っているのに、俺はこんなところで倒れ込んで、虚を救うことすらも諦めかけていた。
情けない、本当に情けない。
俺は力を振り絞りながら、体をもう一度起こし、ナイトローグへと走って行った。
目的は、奴が手に持っていたビルドドライバー。
甲斐の攻撃で落としてしまったようだ。
あれを奪い返すために、甲斐が作った隙をつき、俺は全力で走り抜けた。
「ぐはっ!くっそ・・・がはっ!!!」
ビルドドライバーを回収に成功すると、甲斐はナイトローグの攻撃をモロに喰らってしまい、吹き飛ばされてしまった。
俺はあることを思いつき、甲斐にそれを伝えた。
「甲斐!!!お前のフルボトルを貸せ!!!」
「ハァ、ハァ、あぁ?・・・何だか、よく分からねぇが、仕方ねぇ。これを彼奴に、頼む!!!うっ・・・」
クローズドラゴンが甲斐のフルボトルをフルボトルスロットに挿しこみ、ナイトローグへ蒼炎を放射し、隙を出来ると、俺の元へ来て二つのフルボトルを届けてくれた。
ビルドドライバーが手元にある状況、そしてクローズドラゴンには1本だけ内蔵されているロックフルボトル、そして甲斐の持つドラゴンフルボトル。
これらを使い、俺はもう一度変身を試みた。
本当は強制解除後の変身は体に更に負担を掛けるのだが、俺は今、戦える力が必要であるため、そんなことを気にしてなどいなかった。
「甲斐、お前の力、借りるぞ。・・・さぁ、実験を始めようか」
手にはドラゴンフルボトルとロックフルボトルを振り、計算式を回りに創り出していた。
そして、ビルドドライバーへと挿しこみ、不可能に近いと思われる実験へと挑むのだった。
【ドラゴン】
【ロック】
【BEST MATCH!!!】
「ヘッ、ベストマッチか。最高だな!!!」
土壇場でのベストマッチは不敵に笑う俺に勝利の法則を導き出してくれた。
そして何よりも、今この場で誰よりも救いたい人へ、必ず助けてみせると一層強く決意させてくれた。
【Are you ready?】
「・・・変身!!!」
【封印のファンタジスタ=キードラゴン!!!イェイ!!!】
「虚、今助けるからな。はぁぁあ!!!」
俺はスマッシュへと変えられてしまった虚を助け出す為に、決死の戦闘を挑むのであった。