INFINITE Be The One!!!   作:テントウムシ!!!

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第45話:目覚めよ、ドラゴンの魂!!!

虚Side

春万君達が私を救い出した翌日、ファルティナ先生の元で私は健康診断を受けていました。

春万君と甲斐君は保健室のベッドで未だに眠っています。

二人共、かなり無理をしたようで身体がボロボロな様です。

甲斐君はまだいい方ですが、春万君はドラゴンフルボトルの影響と、再変身の身体的影響により、これ以上の戦闘を行っていれば命を落としたかもしれないほどの状態でした。

ファルティナ先生も今回の件はかなり怒っているようで、先程、私も怒られてしまいました。

 

「ん、ふぁぁ。よく寝た・・・」

 

「ぐがぁーー!!!」

 

「・・・ん?お前はいつまで寝てんだ、起きろバカ!!!」

 

春万君は起きて早々、隣で眠っていた甲斐君を叩いて起こそうとしていました。痛そう・・・。

 

「イッタ!!!ん?あ?ん?なんだ?」

 

「お、二人共おはよう。さてと起きて早々悪いけど、君達に言わなければいけないことがあるわ」

 

ファルティナ先生が真剣な表情をして、二人の目の前に立ち尽くしていました。

 

「先ずは甲斐君、君は暫く筋トレは禁止。確りと体を休めなさい」

 

「え!嘘だろ!!!」

 

「春万君、君はもっと重いよ。私からは一つ、ドクターストップを出します」

 

「は?どういう?」

 

「戦うことをです!!!私が良いと言うまで仮面ライダーにはなることは許しません」

 

当然でしょうね。

甲斐君から帰りに聞いた内容によると、無茶と無理の積み重ねで、既に戦えるような体ではなかったはずなのに、それでも戦いに出て、体を使い潰してしまったのですから。

 

「そんなの聞けるわけないだろ!スマッシュが出た時は誰が戦うんだよ!!!」

 

「それでも駄目なものは駄目!!!これ以上戦えば死ぬよ!!!」

 

「うぐっ、でも」

 

「でもも何も無い。このドライバーは私が預かりますからね」

 

「・・・・・最悪だ」

 

 

 

 

 

 

 

春万君と甲斐君はフラフラした状態で開発室に戻り、これからのことについて話し合いを始めました。

 

「はぁ、ドライバーは没収されるは、フルボトルは盗られるわ、最悪だ」

 

「なぁ、一体何本盗られたんだよ?」

 

春万君は記憶を辿りながら盗まれてしまったフルボトルの数を数えだしました。

 

「1、2、3、4・・・・18本だな」

 

「めちゃくちゃ盗られてんじゃねぇかよ!!!どうすんだよこれから!!!」

 

「分かってるよ、とりあえず今あるフルボトルはというと・・・」

 

残っているフルボトルは、甲斐君の持つドラゴンフルボトル、ロックフルボトル、ロボットフルボトル、そして私から抜き取った浄化前のボトルが一本の計4本。

そのうちドラゴンフルボトルがじゃじゃ馬のように暴走してしまう危険なフルボトルとなっているため、戦闘にはあまり向かないです。

 

「春万君はドラゴンフルボトルでの戦闘はもう駄目ですよ。体がもう変身に持たないと思いますから」

 

「んー、そう言われてもな〜。こうなったら、お前がなるしかないな」

 

春万君は椅子に座りながら、天井近くで待機しているクローズドラゴンに指を指していました。

 

「俺が?何に?」

 

「変身するだよ。クローズドラゴンを使ってな」

 

「え!遂にか!!!」

 

「ただ、今のお前じゃ変身できない。ハザードレベルが多分足りない。それに一番大事なこともな」

 

春万君は諦めたような表情を浮かべながら、ボトルをフルボトル生成機に入れて浄化を開始しました。

春万君の言う、一番大事なこと。

きっと気持ちのことなのでしょう。

 

「んだよ、結局駄目なのか?」

 

「ビルドドライバーで変身できるのはハザードレベルが3以上じゃないと駄目なんだよ。だからまず無理だ。今は諦めろ」

 

「分かったよ」

 

そう言って甲斐君は開発室を出て何処かへ行ってしまいました。

こうして二人きりになると昨日のことをふと思い出してしまい、少し顔が熱くなってしまいますね。

春万君は真剣な表情をしながら私にあることを尋ねてきました。

 

「なぁ虚。スマッシュにされる前に何か覚えてるか?」

 

「覚えていることですか?あの日・・・」

 

あの日、私は開発室を出て、保健室に行っていました。

ファルティナ先生が何か伝えたいことがあるからということで向かったのですが、ファルティナ先生は保健室には居らず、仕方なく自室に戻ろうとしたその時でした。

後ろを振り向くと、不覚にも誰かに頭を殴られ意識が飛んでしまいました。

気づいた時には、透明なケースに入れられて、白い防護服を着た作業員のような人達にガスを入れられて・・・。

意識がだんだんと遠くなっていくのを未だに覚えています。

あの時に感じた恐怖は二度と忘れられないでしょうね。

春万君に事情を説明すると、とても思い詰めたような暗い表情をして、私に頭を下げていました。

 

「すまない。お前を危険な目にあわせて」

 

「もぅ、謝らなくていいですよ。ちゃんと貴方に助けて貰ったから今、ここに居るのですよ?」

 

私が気にしていないように言うと、春万君はキョトンとしたような顔をして私を見ていました。

なんとも可愛らしい顔ですよ。

 

「・・・・はぁ。なんか俺だけめちゃくちゃ罪悪感抱えてるっぽいじゃん」

 

「ふん、いい気味です。私はそれがいつもなんですよ?」

 

「あ、えっと、すまん」

 

「また謝って、でも、あの時初めて貴方が私に弱音を吐いてくれたことは、今でも確りと覚えてますよ」

 

春万君はそのことを言われると顔を真っ赤にしながら、そっぽを向いてしまいました。

多分恥ずかしいのでしょうね。

私はいつもの仕返しにと、ちょっとばかし攻めてみることにしました。

 

「忘れろ」

 

「嫌です」

 

「勘弁してくれ」

 

「フフフ、ダーメ。顔が真っ赤ですよ?」

 

「くっお前な〜///」

 

私は春万君に近づいてそっと抱き寄せて頭を優しく撫でてみました。

少し大胆すぎでしょうか?

春万君も口では嫌がっていますが、顔を真っ赤にさせていて、体は素直でした。

 

「ったく、もういい///」

 

「フフ、もっと甘えてくれてもいいんですよ?」

 

「勘弁してくれ・・・」

 

私は撫でるのをやめて、そのまま座っている春万君の頭を抱きしめて

みました。

春万君は抱き締められたことに恥ずかしがって離れようとしますが、私は離れないようにギュッと力を入れて、逃がさないようにして、私が思っていることをそっと呟いてみました。

 

「な!虚!!!何して・・・」

 

「私になら、どんな弱音を吐いてくれたっていいんですよ?」

 

「なっ・・・・・・」

 

「私は全て受け入れますから。貴方が壊れていく姿は見たくありません。辛かったら辛いと、苦しかったら苦しいと、ちゃんと言ってください。少しでも、貴方を支えたいです」

 

「虚・・・・・・・。なら、少しだけ」

 

春万君はそれを許してくれたのか、そっと私の腰に手を回してくれました。

回す手からは私をより強く感じれる様にしながら。

そして私の言った言葉に返事をしてくれました。

 

「虚は、いつも俺を支えてくれてるよ。本当にありがとう。俺はお前が居ないときっと何も出来ないんだろうな」

 

「そんなことないですよ。成し遂げてるじゃないですか。ビルドとして、多くの人を貴方は守っています。私もその一人です」

 

「・・・・俺さ、思うんだ」

 

「何を、ですか?」

 

「人々を守れても、虚や他の大切な人を守れなかったらって。全部守ることって出来るのかなってさ」

 

「出来ますよ。貴方ならきっと」

 

「・・・・フッ、サンキュ。なんか元気出た」

 

私はその言葉を聞き、そっと春万君から離れると、彼の表情も活き活きとしていました。

そんな表情を見て私も心がとてもポカポカとして、胸がキュッとしました。

 

「あらあら、二人共お熱いこと〜。お姉さん憧れちゃうな〜。虚ちゃんったら意外と隅に置けないわね」

 

「な!お嬢様!!!」

 

お嬢様は『熱愛?!』と描かれた扇子を広げながら口元を隠して、私達のやり取りを盗み見していました。

流石お嬢様、最低ですね。

春万君は何故か呆れた顔をしながら、ため息をついていました。

私も正直とてもため息をつきたいですよ。

 

「・・・・お嬢様、後でお話があります」

 

「え?あ、その、ご、ごめんなさい。だ、だから虚ちゃん?そんな怒らないで〜」

 

「怒る?何を言っているのでしょうね?この駄シスコン変態お嬢様は」

 

「ししし、シスコンじゃないわわわよぉぉぉぉ」

 

シスコンと言われてかなり動揺していますね。

まぁ本当に簪お嬢様が好き過ぎて、こっそりと彼女の下着の匂いを嗅いでしまうような変態ですから、本当にどうしましょう。

 

「おい、エアクラッシャー二号、何の用だ?」

 

「エアクラッシャー?!それに二号って・・・」

 

「ん?どうした?なんかあったのか?」

 

「お、エアクラッシャー一号基、筋肉バカだ」

 

「はぁ?いきなり失礼な奴だな」

 

一号は甲斐君だったのですね。

何となく分かりますが。

それはそうとお嬢様は何故来たのでしょうか。

すると、お嬢様はいじけるような表情をしながら、本題へと移しました。

 

「はいこれ」

 

「なんだこれ?」

 

「フルボトルの隠し場所よ」

 

ナイトローグを追跡出来たようで、フルボトルの場所が分かったとなると春万君は椅子から飛び上がり興奮していました。

 

「マジか!でかしたぞ!」

 

「お前、よく見つけたな!!!」

 

「フフ、更識を舐めないでちょうだい。善は急げと言うけど、今の貴方達じゃ無理そうだし、ここには私達が向かうことにするわ」

 

「それ、大丈夫なのか?」

 

「隠密は私達の得意分野よ。貴方達はそんな体じゃ戦えなさそうだし。という訳で、あなた達は今回はお休みよ。確りと体を治しなさいね。終わったら連絡するわ。それじゃ虚ちゃん、宜しくね」

 

お嬢様は報告と釘を刺してからそのままいなくなってしまいました。

またお節介なことですが、お嬢様なりの優しさというのが滲み出ていました。

なんだかんだ言って、お嬢様も心配性ですね。

 

「はぁ、そういうことですから二人とも、ちゃんと体を休めてくださいね。もう無茶はしないように、いいですね?」

 

「「はーい」」

 

二人共とても適当な返事ですね。

この約束は本当に守ってくれるのでしょうか、心配です。

虚Sideout

 

春万Side

楯無に釘を刺されたのだが、正直スマッシュが出た時どうするのだろうか。

結局は俺がまた戦うことになるのだから、今の内にファルティナ先生からビルドドライバーを返してもらった方が良いだろう。

俺は楯無の返信を待ちながら、クローズドラゴンの再調整と新しい武装作りの構想を考えていた。

 

「なぁ、本当に俺が仮面ライダーになれるのか?」

 

甲斐は暇そうにしながら、俺に尋ねてきた。

俺は決まり切った答えをそのまま告げてやった。

 

「無理だな」

 

「はぁ?意味わかんねぇ。さっきはなれるとか言ってただろ!!!」

 

「今のお前じゃ、妹のことを引きずりながらボトルを振り続けることぐらいが関の山だ」

 

「んだと!!!」

 

此奴は本当の意味で仮面ライダーになるということを理解していない。

そんな奴が簡単に変身などできるわけが無いのだ。

 

「あのな、力を手に入れるってことは、それ相応の責任と覚悟が必要なんだよ。今のお前にはそれを背負う責任も覚悟無いだろ」

 

「・・・なんだよ、それ」

 

「はぁ、とりあえずお前は黙ってゆっくり休んでろ」

 

甲斐は不貞腐れながらベッドに横たわり、そのまま眠りについたようだ。

クローズドラゴンを甲斐の為に改良したはいいが、肝心の甲斐自信がまだ力を振るう覚悟がない。

誰かを守りたいという思いがない限り、仮面ライダーの持つ真の力は決して使うことが出来ない。

俺はクローズドラゴンの整備を終え、新たな武装作りに取り組んだ。

 

 

 

 

 

時刻は6時過ぎ、剣型の新武装を完成させるために、またも徹夜をしてしまったが、体の調子は良い方であった。

やはり好きなことをすると時間を忘れて没頭してしまうな。

すると朝早くから開発室の扉が開き、虚とダリルが尋ねてきた。

 

「おはようございます」「おはよう!!!」

 

「おぅ、二人共おはよう。今日は早いな」

 

「はぁ、やっぱり徹夜してましたか・・・。体を休めなさいと言いましたよね?」

 

「この方が気が紛れるんだよ。お前もわかるだろ?」

 

「ったく、春万は本当に研究バカだなぁ。それじゃ虚、宜しくな!!!」

 

ダリルが俺を笑いながら開発室の椅子に座り、虚に何かアクセサリーのようなものを渡していた。

多分あれはI待機状態のISの筈だ。

ダリルはISの整備でも頼んだのだろうか?

 

すると、虚はヘル・ハウンドを起動させて、データ入力を始めた。

あのデータであると、ヘル・ハウンドのバージョンアップを行おうとしているようだ。

そういえば、もうすぐ学年別トーナメントである。

それに向けて、ヘル・ハウンドを改造しようとしているのだろう。

俺はそのことに興味を持ち、俺も手伝おうとした時、ビルドフォンにムービーが届いた。

宛先を確認すると、『更識楯無』と書かれていた。

態々ムービーで送ってくる必要あるか?

 

「ん?楯無からだ」

 

「お嬢様からですか?」

 

しかし、内容を見ると衝撃的なものであった。

 

『うっ、うぅぅぅ、あぁぁぁ!』

 

楯無がスマッシュにされている映像だった。

状況が上手く飲み込めずにいると、またしてもナイトローグが現れた。

このメールはナイトローグから送られたものだった。

 

『更識も大したことは無いようだ。兎野春万、この女を街へと放つ。残りのボトルを持ってこい。待っている・・・』

 

「そんな、今度は、お嬢様まで・・・」

 

「行くしかねぇな」

 

「だ、ダメ!!!そんな体じゃ・・・」

 

「俺がやらなきゃ誰がやるんだ?」

 

「それ、は・・・」

 

虚が止めたい気持ちは分かる。

しかし、またも大事な仲間をスマッシュへと変えたナイトローグを許しておく訳には行かなかった。

俺はそのまま保健室へと急ぎ、ファルティナ先生にビルドドライバーを返してもらうように言った。

 

「ダメ!なんで直ぐに約束破ろうとするのかなぁ?」

 

「非常時ですから。お願いします」

 

「・・・・・・はぁ。保健医失格だなぁ〜。はい。但し、無茶だけはしないように。後で反省文書いてもらうように言っておくからね!!!」

 

「はっ!いくらでも書いてやりますよ!!!」

 

ファルティナ先生からビルドドライバーを受け取り、その足で急いでスマッシュ反応の指し示す場所まで走って行った。

距離あるなこれ!!!

 

 

 

スマッシュとナイトローグを発見し、俺は手に持つフルボトルを振りドライバーにセットした。

 

【ドラゴン】

 

【ロック】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「変身!!!」

 

【封印のファンタジスタ=キードラゴン!!!イェイ!!!】

 

『フン、来い!!!』

 

「はっ!」

 

俺はナイトローグとスマッシュと死闘を始めるのだった。

春万Sideout

 

龍斗Side

俺はどうしたらいいのだろう。

力を手に入れる覚悟か。

よく分からない。

春万が慌ただしく出て行くのを感じ、俺は目が覚めた。

すると、虚が心配そうな顔をしながら、何かを祈っていた。

もしかすると、彼奴はまた誰かを助けに行ったのだろうか。

あんな体で向かったとしても返り討ちにあうだけだ。

また無茶しようとしていることは馬鹿な俺でも直ぐに理解出来た。

 

(助けに、行かねぇと)

 

そんな思いを感じ取ったのか、青いドラゴンが俺の頭上を飛び回り始めた。

何となく着いて来いと言ってそうな感じがしたので、そのままドラゴンについて行くことにした。

 

道中、俺はずっと考え込んでいた。

戦う覚悟なんかよく分からない。

俺は春万みたいに、見ず知らずの誰かを助けられるほど人間できちゃいない。

ふと、明香里の言葉を思い出した。

 

『お兄ちゃんは、いつも誰にでも優しくて自慢のカッコイイお兄ちゃんで居てね!』

 

病室でよく言われたな。

正義のヒーローに憧れていた明香里にとって、俺はヒーローだったのだろうか。

カッコイイお兄ちゃんか・・・。

なぁ明香里、今の兄ちゃんはカッコ悪いよな。

お前の事をいつまでも心に引きずって、俺を助けてくれた恩人に恩もまともに返せていない。

誰かの為にあんなに命懸けで戦える彼奴は、本当にカッコイイ。

俺はあんな風に戦えない。

だけど、そんな彼奴を一体誰が守るんだ。

ボロボロになっても戦う彼奴を誰が守ってやるんだ。

そう思うと不思議と体の芯から力が湧き上がってきた。

春万や楯無、虚など、俺を救ってくれた奴らを守るためにも、これ以上、春万一人に辛い思いをさせない為にも、俺が、戦う!!!

俺は決意を固めて、春万の元へと走って行った。

 

クローズドラゴンについて行くと、見えてきたのは春万とあのコウモリ野郎とスマッシュが戦っていた。

しかし、既にビルドの体からは蒼い炎が出始めており、やがて動きが止まってしまった。

体が変身に耐えられなくなり、強制的に変身解除させられてしまった。

倒れ込む春万に追い打ちをかけるように、足で春万の体を押さえ込み、手に持つフルボトルを盗ろうとしていた。

 

「春万ぁ!こっちだ!!!」

 

「ぐっ、ん?よし!」

 

俺は咄嗟に春万に叫び、フルボトルを此方に投げるように言い、春万も俺に気づいたようで、フルボトルを二つ投げ渡してきた。

俺は確りとキャッチし、明香里の形見であるドラゴンフルボトルを振り、ドラゴンの力を拳に宿した。

スマッシュが俺に気づき、そのまま突撃してくるも、拳を突き出して反撃した。

しかし、パワーが足りず、スマッシュは再度向かって来た。

俺達は取っ組み合いになるも、ナイトローグがその状況を良しとせず、俺の腹に向けて一発拳を入れてきた。

やはり攻撃は重く、俺は後ろに吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐわぁ、くっそ!!!ぐっ」

 

『生身の雑魚などに負ける訳が無い。これで貴様も終わりだ』

 

【ライフルモード】

 

手に持っていた銃をライフルのような形にして、俺を撃ち殺そうとした時、春万が咄嗟に銃を掴んで射線から外すも、生身ではナイトローグに叶わず、絶体絶命のピンチであった。

俺は手に握りしめたドラゴンフルボトルを見て、もう一度立ち上がった。

誰か知らない奴を守るんじゃない。

俺は彼奴を、春万を守りたいんだ。

誰かの為に命を懸けて戦える、そんなヒーローを守ってやりたいんだ。

春万が守りたいものなら、俺も守りたい。

それがあいつに対しての最高の恩返しだと信じて。

 

「うぉぉぉおおお!!!!!」

 

『無駄なことを。ん?何、バカな!!!また成長したというのか!!!』

 

俺は手に持つドラゴンフルボトルをもう一度振り直し、ナイトローグに向けて渾身の一撃を喰らわせるのだった。

ナイトローグを後方へ下がれせることが出来、更に体の芯からとてつもない力が湧き上がってきていた。

そんな俺を待っていたかのように、背後から突然背中を叩かれ、振り向きざまにコブラ野郎の声が響いた。

 

『フッフフハハハ!!!遂に、遂に覚醒したかぁぁぁ!』

 

「お前!いつの間に!!!」

 

コブラ野郎は俺の隣に立ち、俺の肩に手を置いて笑いに堪えていた。

そのまま手に持っていた銃でコウモリ野郎が持っていた春万のビルドドライバーを撃ち抜いて、地面に落とさせた。

コウモリ野郎はそれに驚いている隙に、春万はビルドドライバーを取り戻すことに成功したようだ。

 

『スターク、貴様どういうつもりだ!!!』

 

「・・・・・そうか!甲斐、これ使え!!!」

 

春万は何かに気づいたのか、俺に向かって春万の持つビルドドライバーを投げてきた。

俺は落とさないようにキャッチして、春万を見直すと、俺に頷きながら、行け、と一言呟くのが見えた。

 

『さぁ見せてみろ甲斐。お前の力をなぁ!!!』

 

コブラ野郎はそう言うとすぐに煙で消えてしまった。

俺は受け取ったビルドドライバーを腰に巻くと、頭上からクローズドラゴンが形を変形させて俺の手に収まった。

 

「行けるのか?」

 

俺は手に持つドラゴンフルボトルを振り、クローズドラゴンのフルボトルスロットへ挿し込んだ。

 

【Wake up!!!】

 

【CROSS-Z DRAGON!!!】

 

そしてそのままビルドドライバーに挿し込み、レバーを回して変身準備を完了した。

 

【Are you ready?】

 

俺は肩をゆっくりと二回程回し、気持ちを落ち着けて、拳を鳴らして叫んだ。

 

「変身!!!」

 

【Wake up burning!!!Get CROSS-Z DRAGON!!!Yeah!!!】

 

「今の俺は、負ける気がしねぇ!!!」

 

蒼き龍の戦士が遂に目覚めるのだった。


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