INFINITE Be The One!!!   作:テントウムシ!!!

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第49話:元生徒会メンバーの勇姿

ダリルSide

ジュベーネに勝利し、ピットに戻ると整備科の人達が血相を変えてオレの元へ来た。

なんでもやり過ぎだとか、これからメインスラスターの修理しなきゃとか、絶望した顔をしていた。

申し訳ございませんでした。

ちょっと遅れて虚がオレの元へと来た。

 

「お疲れ様。凄い試合だったわね」

 

「マジで疲れた……。あっ、そうだ。春万達はこのオレの勇姿を見たのか?」

 

「それが…全然連絡してくれないんです。もしかしたらまた何か起きているのかもしれないですね」

 

「マジかよ、本当にトラブルメーカーだなアイツ。いや、アイツらか」

 

仕事しているのだろうと思い、後で盛大に自慢してやろうと思いオレは身体を休めるのだった。

ダリルSideout

 

春万Side

俺達は今、第三アリーナ前にておにぎりを食べながらモニターでひな先輩の勇姿を見ていた。

え?さぼるなって?

俺達は午前中どころか午後の昼飯時間すらも削って見回りしているんですけどね。

それは置いといて、結論を言うとひな先輩、本当に強かった。

ISの技量は実際初めて見たのだが、先ずひな先輩の使っているIS『項牙』の基本装備は双刃刀《ブラッド・カッター》。

この《ブラッド・カッター》を持って対戦相手に先ず速攻で螺旋瞬時加速を行って距離を一気詰めつつ、そのままの勢いで突進しながら双刃刀を使って斬り伏せる。

螺旋瞬時加速を最初っからやることで対応を送らせ、更にその勢いを殺すことなく相手に体当たりして怯ませてから、双刃刀による攻撃、たった数分でカタをつけてしまった。

回避不能の攻撃と斬っている最中に見せる嘲笑うかのような表情から、心身共に殺しに行っているようにしか見えなかった。

終わった後もつまらなそうな表情を見せしていた。

流石中国次期国家代表に最も近いと言われる先輩だ。

この強さはスカイナさんのお墨付きと言われていたが、今日の試合を見た限りでも充分わかった。

 

それはそうと、スカイナさんの試合も勿論見た。

だが、スカイナさんは何故か三分以内に全て試合を終わらせてしまったので、はっきり言ってつまらなかった。

当たり前のように個別式瞬時加速を行い、相手選手の持つ武器全てを一瞬のうちに叩き落として、そのまま抵抗する暇もないほどの連撃であっさりと終了。

もう少し魅せる戦いをして欲しいと思うのは俺だけではないと思う。

 

「なぁ〜春万。人間ってこんな機動出来たんだな」

 

「やってる人がイカれているだけだ。普通はしない」

 

「……IS学園って変人しか居ないな」

 

甲斐はこっちを向きながら、まるで俺も入っているかのように言ってきた。

しかし、思えばこの学園は変人の巣窟としても有名になれるだろう。

サイコな武器を作ったり、戦闘中に性格が豹変したり、あまつさえ先生から熱い視線を送られたり……ろくなの俺しか居ないな。

 

「俺は変人じゃない、俺はてぇんさい物理学者で正義のヒーロー…」

 

「自分で天才とか普通言わねぇし。痛すぎだぞ厨二病」

 

「……ドライバー取り上げるよ?」

 

「ごめんなさい」

 

それはそうと、そろそろジブリア先輩の試合が始まる頃なのだが、俺達はまた見回りで動かなければならなかった。

ジブリア先輩の試合は見れそうにないな。

後で録画を見せてもらうとしよう。

虚にメールを送ってから、おにぎりの袋を近くにあるゴミ箱に入れて、俺達は再度仕事に戻るのだった。

春万Sideout

 

虚Side

 

「ん?メール……、忙しかった、だけですか?もう少し何かあるでしょう!っもう。心配して送ったのに……バカ」

 

もう少し何かあると思うのですが、春万君にそんなこと期待しても意味は無いですね。

アレですから……。

ついさっき私もやっと休憩を貰い、昼食をとりながらこれからジブリア先輩の試合を観戦しに来ています。

ジブリア先輩のISは先輩方が先程まで整備していました。

私の仕事は基本ダリルの『ヘル・ハウンド』と『打鉄』の整備を中心に行っているので

一年生の私はまだまだ整備に関しては新参者ですから、三年生の先輩方のISは流石に整備させて貰えませんでした。

蒲田先輩は整備科のエースですから今回本当に整備室を駆けずり回っていました。

整備科のエースになると今回のようなイベント時に使うIS全ての整備に関わらなければならないため、相当忙しいのですが嬉嬉として行っている先輩にはついていけそうにありませんでした。

話は逸れましたが、ジブリア先輩は普段はぽわぽわとしていますが、ひとたびISに乗るとその強さに誰もが目を奪われてしまいます。

でなければスカイナ先輩と20分以上も戦うことなどできません。

基本的にジブリア先輩は理論型の戦闘方法ですが、勘が優れているため頭で考えた行動とは別に直感でも動くことが出来るというオールラウンダーであり、相手によってその戦闘スタイルを変えていく為、常に同じ戦法が通用しません。

あのひな先輩ですら余りジブリア先輩とは戦いたくはないと言っていたことを覚えています。

 

ジブリア先輩の乗るISは『ファラオニクス』と言い、ラファール・リヴァイブを母国で魔改造したISのようです。

基本的にはスピードを殺さずにガードを固めたISで武装はミサイルやショットガン、槍をメインに使用されているのを資料で拝見したことがあります。

ジブリア先輩はあまりISバトルを行うことがなかったので情報が少し足りません。

どのようなISバトルを見せてくれるのか、今からとても楽しみです。

 

ジブリア先輩の相手は柚野薫先輩のようですね。

日本代表候補生ではありますが、実力的に言えば中の下といったところですね。

専用機は無いようで、今回の大会は『打鉄』で挑むようですね。

ジブリア先輩にとっては楽な相手になりそうですね。

ただ、女尊男卑の思考が少し入っているようで、日本のイメージを下げないようにはして欲しいですね。

 

普通、代表候補生になるだけでエリートとされますが、その中でもそれ相応の実力を認められなければ専用機というのは手に入れることは普通できません。

但し、実力が中の中ぐらいの代表候補生でも適正があれば第三世代機のテスト機として専用機を手に入れることは出来るそうです。

まぁお嬢様やダリルは第三世代のテスト機を渡されてはいますが、実力的にも申し分ないので何も言われることはありませんが、適正だけで専用機を貰ってしまった人は実力が伴わなければ他者から何かしらの嫌がらせなども受けたというのもあってか、専用機というのはメリットもあればデメリットもあるので気をつけなければいけませんが。

 

アリーナに二人がISを纏って出撃してきました。

ジブリア先輩の『ファラオニクス』は装飾が煌びやかで、正しくファラオをイメージしたようなISとなっています。

 

『アンタのとこのあの男、なんで生徒会長なんかにしたのよ。男が生徒会長なんてこのIS学園が穢れるじゃない』

 

『別に穢れませんよ〜。春万君はとってもいい子よ〜』

 

ここに来てまだ春万君に関しての話題が出てくるのですね。

相変わらず女尊男卑の人からの定評は低いですね。

ただ、わざわざこの場で言う必要は無いとは私も思いますが…。

 

『はっ、そう言っていられるのも今の内よ。男なんて所詮口だけの無能ばっかよ』

 

『……フフ、そろそろ、黙りましょうか?』

 

ジブリア先輩からとてつもない殺気が観客席にいる私達にまで伝わってきました。

あればかなり怒っていますね。

斯く言う私も少しばかり怒っていますが。

ジブリア先輩、さっさと腐った根性を叩きのめしてあげてください。

 

『ふ、ふん、行くわよ!!!』

 

『どこからでもどうぞ…』

 

そう言って試合が始まりました。

先ず先に動いたのは柚野先輩、基本的な動きで接近していく姿を見るとある程度の基礎は確りと学んで来たようです。

流石は代表候補生と言うべきですが、日本の代表候補生にはある欠点があります。

それは特殊な技術を持った代表候補生が居ないということです。

常に基本に忠実で、再現すべきは織斑先生となってしまっているためピンチになると、どうしても直線勝負を行いたがる傾向にあります。

そのため瞬時加速は行えてもそれ以上の技術を持った人が現段階の代表候補生にはいません。

対処方法が簡単な戦いを行えばどうなるかなど目に見えてわかります。

ジブリア先輩はその行動を予期していたようで、左手に持っている連装ショットガン《レイン・オブ・サタディ》を発射させ、打鉄の持っていたアサルトライフル《焔備》を破壊してしまった。

 

『なっ!』

 

『あなたの行動、わかりやすいわ〜』

 

不敵な笑顔を浮かべながら《レイン・オブ・サタディ》をしまうと、新たに2連装シールド付きガトリング砲《ナイル・ヌト》を取り出し打鉄ヘ掃射した。

まるで雨の様に休む暇なく打ち続けられ、なんとか回避しようと両肩に装備されている盾を使い、ガトリング砲の雨を防いでいた。

 

『フフ、それじゃ〜、次ね』

 

そのまま右手に新たに持った武装は多目的巡航四連装ミサイルランチャー《ギガント》だった。

ガトリング砲を受けている最中に追尾式の強力ミサイルなど喰らえば一溜りもありません。

躊躇なく《ギガント》の引き金を引きガトリング砲の攻撃を止めると、ミサイルは一斉に発射され柚野先輩に躊躇いもなく向かって行きました。

柚野先輩はそれに気づくと打鉄のスラスターを一気に吹かせ、瞬時加速で逃げ切ろうとしましたが、ミサイルを撃った隙に高速切替で新たに滑腔砲《バスター》を持ち、ハイパーセンサーによる軌道修正を行いターゲットを確りと狙い済まし、瞬時加速の予想到達地点に向けて照準を合わせていました。

滑腔砲《バスター》は命中率はハイパーセンサー任せの破壊力に重点を置いた武装となっています。

そんな破壊力に重点を置いた脳筋武装による一撃を喰らえば最期、直後に追尾している《ギガント》によってトドメを刺されることになります。

 

結果は予想通り、柚野先輩は滑腔砲の一撃を直撃してしまい、その後ろから追尾していた4つのミサイルの攻撃を浴びて打鉄のSEは完全に消失していました。

ジブリア先輩は何事も無かったかのようにピットへ戻っていきました。

私の周りに座って観戦していた人たちも先程の試合には唖然としていました。

ジブリア先輩は少しだけやり過ぎですね。

それはそうと、この次の試合はスカイナ先輩が行うのですが、正直相手は代表候補生でも無いのでご愁傷さまとしか思えませんね。

そろそろ私も整備室に戻って仕事の続きをしなければいけませんでした。

そそくさとお弁当箱を仕舞い、整備室へと急ぎました。

虚Sideout

 

龍斗Side

俺達は今、明らかに怪しそうな人を見つけたため、そいつをこっそりと追っていた。

スーツ姿をしていたが、どうにも行動が怪しかった。

春万にその事を伝えた時は呆れた顔してこう言ってきた。

 

「バカの勘か?」

 

「バカって言うなよ、せめて筋肉をつけろ筋肉を!!!」

 

「うるせぇよ、見つかっちゃうでしょうが!!!」

 

『グワァ〜』

 

「「しーーーー!!!」」

 

クローズドラゴンが一番うるさかった。

だが俺達のやり取りがうるさかったのか、そのスーツ姿の女性は俺達に気づいてしまった。

 

「誰?」

 

「やべぇよ、気づかれちゃったよ、どうすんだよ」

 

「お前は黙ってろ。……えっと此方は大会とは関係がありませんが、どういったご要件でここに?」

 

「申し遅れました、私、IS装備開発企業『みつるぎ』の巻紙礼子と申します」

 

「ん?みつるぎ?それって……」

 

俺は『みつるぎ』と聞いてある事を思い出した。

そう、つい先日俺達が突入した研究所の名前が確か……そのような名前だったような気がしていた。

春万の方を向くとその手には既にビルドドライバーが握られていることに俺は気づいた。

 

「へぇ、ということは目的は……フルボトルの回収、かな?」

 

「……フフ、クク、"そうだよ"。さっさとフルボトルとパンドラパネルを返せってことだ」

 

「フルボトルは元々俺の発明品だ。渡す義理は無いな」

 

「そう言うと思ったよ。だから力づくで奪わせてもらうぜ!!!」

 

【FUNKY!!!】

 

巻紙礼子は紫色の銃で真っ黒い怪物へと変身した。

此奴、前に戦ったやつだ。

俺と春万はビルドドライバーを腰に巻き、フルボトルを取り出してビルドドライバーに挿し込んだ。

 

【ラビット】

 

【タンク】

 

【BEST MATCH!!!】

 

 

【Wakeup!】

 

【CROSS-Z DRAGON!!!】

 

【【Are you ready?】】

 

「「変身!!!」」

 

【鋼のムーンサルト=ラビットタンク!!!イェーイ!!!】

【Wakeup burning!!!Get CROSS-Z DRAGON!!!Yeah!!!】

 

「つくづく邪魔ばっかするなぁ仮面ライダー共!!!」

 

「敵の邪魔が出来るなら結構なことだ」

 

俺は怪物へと突進しようとしたが、地面からスマッシュ達が現れ攻撃を阻まれてしまった。

スマッシュ達を囮にして怪物はそのまま室内へと入っていってしまった。

 

「あ!アイツ中に入っちまったぞ!!!」

 

「一気に決めるぞ!!!」

 

俺達は同時にボルテックレバーを回しスマッシュに向けて必殺キックを放ち爆破させた。

 

【ボルテック(ドラゴニック)・フィニッシュ!!!】

 

「追うぞ!!!」

 

「あ、お前先行くなっての!!!」

 

俺達は怪人へと変身した巻紙礼子を追うのだった。

その先で俺達は衝撃的な事実を知るのだった。


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