INFINITE Be The One!!!   作:テントウムシ!!!

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第50話:戦乙女の剣が護るもの

室内へと入ったネビュラヘルブロスはある場所へと向かって走っていた。

この姿では見つかれば騒ぎになること間違いないが、追加機能にステルス迷彩が付属されているため、今尚気づかれてはいなかった。

送られてきた地形図のルートに従って目的地へと走ること数分。

このIS学園では普通は決して一般生徒が立ち入らない場所が存在している。

そここそIS学園地下特別区画。

授業や研究にも使うことがないため一般生徒は地下の存在すらも知らない。

地下へと繋がる扉には厳重にロックがかかっているが、その扉の前には盲目の美少女・クロエ・クロニクルがオータムを待っていた。

 

「ここに、あるんだろうな?」

 

「さぁ、私はただ命じられたままに動いた迄です。扉のマスターカードとコード。そして例の解除コードは此方です。では検討を」

 

「はっ、流石は天災だな。有難く頂戴していくぜ」

 

オータムはマスク越しに邪悪な笑みを浮かべながらクロエからマスターカードとあるUSBメモリーを受け取り、扉を開け中へと進んで行った。

クロエはオータムが中に入って行くことを確認すると、直ぐにその場から立ち去ろうとした。

 

「精々、束様を飽きさせないようにして下さいね、亡国機業さん」

 

侮蔑と嘲笑を混じえた独り言を言いながら……。

 

春万Side

オータムを追って俺達は学園内に入るも、どこへ向かったのかすらも分からずにいた。

あの姿であれば誰かが普通侵入者として気づくはずだが、未だに警告音は流れずにいた。

となると、オータムは変身を解除したかステルス迷彩等の光学兵器で自身の身を隠した可能性が高い。

俺はビルドフォンを取り出し、追加してあったアプリを起動させ、ある機能を使用することにした。

 

「熱源センサー、起動!!!」

 

「……は?何言ってんだお前?んな事より探せよ!!!」

 

「全く、これだからバカは。いいか、相手が見つからない以上特殊な捜索が必要になるんだよ。頭脳戦なら俺の得意分野だからな」

 

「っで?見つかったのかよ?」

 

「…………反応、なし…」

 

熱源センサーで探して見たものの反応が一切なかった。

どんなに性能がいい光学兵器でも熱源は存在するはずなので、見つからないとなるとこの辺りには既に居ないということになる。

甲斐が呆れながら俺を無視して突っ走て行ってしまった。

 

「意味ねぇじゃねぇかよ!!!ちょっ、もういい、こっちだ!!!」

 

「あっ、ちょっと待て!!!闇雲に探したって分からねぇぞ!!!」

 

走っていると急に角から少女が現れ、甲斐とぶつかってしまった。

 

「キャ!」

 

「す、すまねぇ。大丈夫か?」

 

「えぇ、その声は…甲斐さん?」

 

「クロエ!!!どうしてこんな所に?」

 

「それはその、道に迷ってしまって……」

 

目の見えないクロエがこんな所に一人でいることに俺の不信感を憶えつつも、もしかしたらクロエはオータムとすれ違った可能性があるので、その事について尋ねてみることにした。

 

「なぁクロエ、さっき誰かとすれ違わなかったか?」

 

「…えぇ、あちらに向かわれましたけど、何方か迄は?」

 

「いや、サンキュ!それだけでも充分だ。行くぞ甲斐!!!」

 

「おっし、向こうだな!!!」

 

「虚に連絡を入れといたから、ここから出て待っていてくれよな。俺達は用事があるから!!!」

 

「は、はぁ……」

 

俺達はクロエに言われた通りの場所へと走って向かうと、そこには何者かが空けた状態の扉を発見した。

多分オータムはここを開けて"地下"へと向かって言ったのだろう。

この学園には、まさか地下が存在するとは思わなかった。

 

「地下なんてあったのかよ…」

 

「…俺も初めて知った。この先に一体何があるんだ?」

 

俺はビルドフォンの熱源センサーをもう一度使うと、階段を降って行った先に小さな赤い粒のようなものが写った。

センサーに人が反応をした時の熱源色だ。

 

「間違いない。この先にオータムはいる」

 

「おっしゃあ、一気に行くぞ!!!」

 

「落ち着け、一体何をしているのかをちゃんと確認してからだ。もし万が一、学園の爆破なんかだったら下手に会わずに行く方が懸命だろ?」

 

「お、おぅ。そう、だなぁ」

 

「慎重に行くぞバカ!!!」

 

「バカは余計だ!!!」

 

俺達は地下へと続く階段を慎重に降りて行き、音を立てないように最下層へと到達した。

最下層へと到達すると、そこには青白いケースのような物の中に石のように固まったISとその奥にネビュラヘルブロスが機械を操作していることが確認できた。

俺はクローズにハンドサインを送りながら、同時に飛び出す合図を送った。

クローズもそれに反応し頷いたのを確認すると、同時に飛び出して行った。

 

「こんな所に何の用だ?」

 

「まさか、爆弾か!!!」

 

「んだよ、もう来ちまったのかよ。丁度いい。お前らにも見せてやるよ。この学園が一体何を隠しているのかをな!!!」

 

「何?どういう意味だ」

 

「こういう意味だ、よっ!!!」

 

ネビュラヘルブロスはこちらを向きながらも背面で何かを打ち終えたのか、最後にエンターキーを押して何かを解除したようだった。

すると直後、クローズの隣にある青白いケースが開き、石のようなISが剥き出しになってしまった。

ネビュラヘルブロスは俺たちに向かってネビュラスチームガンを撃ちながら、その石のようなISから俺たちを遠ざけようとしていた。

一旦距離を取る為に後方へ下がると、ネビュラヘルブロスは左手に何かの機械を持ちながら、その石のように固まっているISのコアへと手を突っ込み、強制的に拡張領域から二つのものが飛び出してきた。

一つ目はIS用の剣。

もう一つは、黒い箱であった。

 

「そいつは?」

 

「これこそがオレたちが探し求めていた物『パンドラボックス』だよ!!!」

 

「マジかよ!!!」

 

「それならそうと話が早い。取り返すぞ!!!」

 

「おし来た!!!」

 

「はっ、目的は達成した。もう用済みなんだよ!!!」

 

ネビュラヘルブロスは持ってるネビュラスチームガンでも煙を出して逃げさろうとしたのだが、何度も同じような手で逃がすつもりもなく、取り出したドリルクラッシャー(ガンモード)でネビュラスチームガンを手から撃ち落とした。

その隙にクローズが突撃し、ネビュラヘルブロスの胸を目掛けて一発ブローを決めた。

 

「グフッ、てめぇ!!!」

 

オータムは今の一撃でパンドラボックスを手放してしまったため、スイッチが入ったのか、クローズとそのまま交戦し始めた。

俺はその間に手放したパンドラボックスへと近づいて安全な場所へと隠し、ドライバーの拡張領域からゴリラフルボトルとダイヤモンドフルボトルを取り出し、成分を確りと振ってからドライバーに挿し込んだ。

 

【ゴリラ】

 

【ダイヤモンド】

 

【BEST MATCH!!!】

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ」

 

【輝きのデストロイヤー=ゴリラモンド!!!イェイ!!!】

 

「勝利の法則は、決まった!!!」

 

地上戦において最も攻撃力の高いゴリラモンドフォームであれば、狭い空間内でも充分なパワーを出すことが出来る。

クローズと入れ替わりになるようにネビュラヘルブロスへと接近し、右腕部の《サドンデストロイヤー》で思い切り殴りかかり、ネビュラヘルブロスはその一撃を防ごうと両手を交差するもゴリラモンドフォームの攻撃力には及ばず吹き飛ばすことに成功した。

 

「グッ、なんだ、この、威力……。ちっ、ならこれはどうだ!!!」

 

近くに転がっていたネビュラスチームガンを拾い、俺に向けて銃弾を放つも、俺は左手《BLDプリズムグローブ》を円を描くように翳し、空中にダイヤモンドの障壁を作り上げ、銃弾を全てはじき返した。

 

「なんだと!!!」

 

俺の作り上げたダイヤモンドの壁に銃弾を弾かれたことに焦ったような声を上げながら、左手に新たにスチームブレードを取り出して突撃してきた。

俺はスチームブレードの連撃を全てダイヤモンドの障壁によって防ぎ切り、カウンターとして《サドンデストロイヤー》で顎を狙ってアッパーを喰らわせた。

その攻撃によって宙へと浮かび、そのまま天井に激突し地面と濃厚なキスをするのを見届けながらボルテックレバーへと手をかけた。

 

「これでフィニッシュだ」

 

俺はビルドドライバーに付属されているボルテックレバーを回し、《サドンデストロイヤー》にエネルギーを溜め込んだ。

計算された物理式はこの地下にある機械を壊さない様にしながら、溜めたエネルギーを一点にぶつける為に必要な数値を計算し導き出していた。

エネルギーを溜め終えると火花を上げながら膝をついているネビュラヘルブロスの腹目掛けて下から上に向かってもう一度アッパーを喰らわせるのだった。

 

【Ready〜Go!】

 

【ボルテック・フィニッシュ!!!イェーイ!!!】

 

「はぁ!」

 

「グワァーーー!!!」

 

学園の天井を次々と突き抜けていきながらネビュラヘルブロスは吹き飛ばされて行った。

 

「ホームラーン〜!!!」

 

「んな事言ってる場合かよ!!!早く追うぞ!!!」

 

「あぁ〜、あとは任せた!!!」

 

「はぁ?……あぁもう!!!分かったよ!!!追えば良いんだろ!!!」

 

クローズは慌てて、吹き飛ばしたネビュラヘルブロスを走って追いかけに行った。

俺はネビュラヘルブロスを甲斐に任せて近くに隠していたパンドラボックスを手に取った。

 

「……どうしてパンドラボックスがこの学園にあるんだ?それにこのISは一体………ん?これは」

 

それはネビュラヘルブロスが青白いケースを開ける為に操作していたキーボードパネルの上にUSBメモリが一本あった。

俺は再度、このキーボードパネルに電源を入れ直し、USBメモリを挿してデータを確認することにした。

 

「………これは、どういうことだ?」

 

そのデータの内容にはあるISの凍結を解くための特殊なコードが記載されていた。

その凍結されたISの名には『暮桜』と書いてあった。

そのISのデータを確認すると、この『暮桜』は第一世代であり、さらに珍しく単一仕様能力が存在していることが分かった。

『零落白夜』、相手のエネルギー兵器による攻撃を無効化したり、シールドバリアを斬り裂くことで相手のSEに直接ダメージを与えられる対IS兵装とも言えるような能力である。

ただし、デメリットとして自身のSEを消費して稼動するため、使用するほど自身も危機に陥ってしまう諸刃の剣でもある様だ。

そんな当たれば必勝のISを使用していたパイロットの欄に書かれていたのはのが『織斑千冬』であった。

 

俺はデータを見た時に、パンドラボックスと一緒に取り出されたIS用の近接ブレードを地面から拾い上げた。

この武装こそ『暮桜』の持つ唯一の武器《雪片》であった。

この武装と単一仕様能力で織斑先生は世界を制したのだ。

 

俺は暮桜のデータを見る限り不自然な箇所は別に見つからなかったが、問題はその『暮桜』の拡張領域から何故パンドラボックスが収納されていたのかが問題なのである。

この学園に『暮桜』が凍結されているのであれば必然的にその拡張領域に収納されている物も見るだろう。

であれば、学園長や織斑先生はパンドラボックスの存在を知っているはずだ。

 

「学園長達は、何を隠しているんだ……」

 

俺は再度USBメモリーの内容を確認していると、もう一つ隠されていた情報がポップアップされた。

パスワード付きのデータに俺は悩んでいたのだが、画面をよく見渡してみると、画面端っこに小さくある英語の羅列を発見した。

 

「えーと、M・I・K・O・T・O?Code・R?なんだこれ?」

 

英文字をそのまま読んでみたところ、俺の探していた人間の名前が浮かび上がったのだった。

 

「ミコ、ト。コードR、このRがRabbitなら、兎。まさかこれは?」

 

俺はそう思い立ちパスワードに思い当たる言葉を只管打ち込んでみた。

 

「"ウサギノミコト"…開いた!!!」

 

そしてパスワードが開き、画面に写った人物は白衣を来て車椅子に座っていた。

そしてらその顔は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「"束"さん?」

春万Sideout

 

龍斗Side

ネビュラヘルブロスを追って地上まで出ると、そこには傷だらけになっていたオータムとか言う女ともう一人、金髪の女性がオータムに肩を貸していた。

 

「おい!お前誰だ!!!」

 

「あら?人に名前を訪ねるなら先ず自分から名乗るものよ、坊や」

 

「あぁ?俺は甲斐龍斗だ!!!お前もそいつと仲間なのか?」

 

そう聞くと金髪の女性は何か含みを持った笑みをしながら、オータムの頬にキスした。

 

「オータムは私の"恋人"よ」

 

「は?え、だってお前女、だろ?」

 

「女性同士が恋人になってはいけないなんて法律は無いわよ。今回は失敗しちゃったけど、在処は既に掴んだも同然。後は奪えばいいものね。名前はまた会った時に名乗ってあげるわ。それじゃあ私達はもう行くわね。Bye!!!」

 

「な!行かせるかよ!!!うわっ!」

 

一人で何かに納得してオータムの持っていた銃から煙を出して金髪の女はオータムを連れて消えてしまった。

俺は変身を解除して、一旦春万のいる地下へともう一度降りて行った。

 

地下へと着くと、そこには春万が先程までオータムが使っていた所で映像を見ながら固まっていた。

 

『それじゃあまた会おう』

 

そう言って映像に映っていた白衣を着た車椅子に座る女は消えて、パスワードの画面へと変わった。

春万は何か思い詰めたような顔をしながらオータムが取り出していた黒い箱を持って振り向いた時に漸く俺に気づいたようだ。

 

「甲斐か。アイツは?」

 

「逃がしちまった。スマン」

 

俺はオータムを逃がしてしまったことを謝るが、春万は特に気にも留めていなかった。

そしてスタスタと早歩きして何処かへ急いで向かおうとしているのが分かった。

 

「おい春万!急いでどこ行くんだよ?」

 

「学園長室だ」

 

「なんで?」

 

「報告するためだ。それに……」

 

「それに?」

 

「……いいから行くぞ!!!」

 

「お、おぅ」

 

春万は何処か怒りを感じているような雰囲気を俺は春万の背中を追いながら感じていた。

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