INFINITE Be The One!!!   作:テントウムシ!!!

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第51話:学園の秘密、ミコトが語ること

虚Side

春万君から連絡を受けて、クロエさんを保護しに向かったのですが、春万君からクロエさんを少し警戒しておいてくれと頼まれました。

クロエさんがまさかスパイだなんて思いませんが、何か感じるものがあったのでしょう。

春万君に言われた通りの場所へと到着すると、そこには目を瞑りながらまるで瞑想している様な状態で座って待っていました。

 

「クロエ、さん?起きてますか?」

 

「ん?虚さんが来てくれたのですね。ありがとうございます。少々道に迷ってしまいまして…」

 

「そ、そう、でしたか。それでは行きましょうか」

 

「はい」

 

この時、私はクロエさんから何か異様な雰囲気を感じ取っていました。

クロエさんは一体何を考えているのかを私は掴めずにいました。

虚Sideout

 

春万Side

俺達はパンドラボックスを持ちながら学園長室へと向かっていた。

その間に『兎野命』の映像についてを振り返っていた。

あの時……。

 

『やぁ、私の名前は兎野命。Code・Rとも呼ばれている。それはそうと、この映像が流れているということは私が既に存在しておらず、君が私の跡を継いでくれたということだね』

 

俺は先ず兎野命の容姿に衝撃を受けていた。

ウサミミは着いてはいないが間違いなく、篠ノ之束にそっくりな見た目であったのだ。

他人の空似ということなのだろうか、先ずそこに俺は疑問を持った。

 

『さてと、君が本当に私の跡を継いでくれたのであれば、次のパスワードも簡単に解けるはずだ。だからここでは一つ、伝えておかねばならないことを簡単に述べて終わらせるとしよう』

 

跡を継ぐということがどういう事なのかは分からないが、兎野命という人間が一体何を伝えようとしているのかに興味を持った。

 

『伝えたいことというのは勿論、"パンドラボックス"についてだよ』

 

やはり兎野命はパンドラボックスのことを知っていたようだ。

しかし、パンドラボックスについて何を語るのだろうか。

スタークが開ければあらゆる願いを叶えることが出来ると言っていたが、兎野命はパンドラボックスのことをどこまで知っているのだろうか。

 

『もしかしたら、誰かに願いを叶える産物だとでも聞かされているのかな?まぁ実際は開けてみなければどのような効果を持つのかは分からないが、それだけ強大なエネルギーが詰まっていることには違いない。…先ずはパンドラボックスを開ける方法だが、この世界に散らばったパンドラパネルに、フルボトルを10本づつ、計60本のフルボトルと6枚のパンドラパネルを使えば開く。君にはパンドラパネルの捜索とフルボトルの生成を任せよう』

 

俺の予想通りパンドラパネルは6枚存在し、その内2枚はこの学園で保管してある。

残りは4枚であるが、パンドラボックスを開くためにはフルボトルを計60本も必要とする様だ。

まだまだフルボトルを生成しなければならないようだ。

 

『フフ、パンドラボックスの居場所を知りたいのかい?残念ながら今は最も安全な場所で保管されているから教えることは出来ない。この世界でも法が無効の安全地帯にある、そう伝えておこう。…そしてパンドラボックスを既に手に入れているのであれば話は早い。何としてでもそれを守り通せ。決して"異星人"には渡すな。…こんな所で私からは以上だ。bye』

 

そう言うと録画が終わり、俺は兎野命が知る情報と俺の知る情報がほぼ一致していることに安心感を覚えるも、最後に言っていた異星人というワードに引っかかった。

異星人などがこの世界に存在するのだろうか。あまり信じたくはないし、信じるつもりは毛頭ないが頭の片隅程度には覚えておくとしよう。

そして、兎野命の発言により確信を持った事がある。

この学園は兎野命と繋がっていたという事だ。

まさかとは思ったが、学園長達は何かを俺に隠していた。

隠し事は別に構わないとは思うが、内容が内容だけに今回は問い詰めなければならない。

 

俺はそう思い学園長室の前へとやって来ていた。

 

「なぁ春万。なんでそんな"鹿っ面"してるんだ?」

 

「鹿じゃなくて"顰めっ面"だろ。そりゃあ学園がパンドラボックスを隠し持っていたんだ。問い詰めなきゃ分からないこともある。この学園の生徒達を守る以上、知っておかなきゃいけないことを問い詰めるだけだ」

 

「よくわかんねぇけど……そうだ!オータムって奴が逃げる時に金髪の女が助けに来てた!!!」

 

「金髪の女?誰だ?」

 

「次会う時に名乗るって言われたからわかんねぇ」

 

「なんだよそれ。……まぁ奴にも仲間がいるってことだろ。その情報だけでも充分使える。後で楯無に連絡して特定すればいいだけだしな」

 

少なくともオータムの口調からしてアイツは実働部隊の一人に過ぎないだろう。

亡国機業の組織的な大きさを俺はまだ理解していない。

どれくらいの規模の組織なのかを知らない限り戦いはずっと続くだろう。

形が全く掴めない敵を相手にするのも苦労するというものだ。

 

俺達は学園室へと入っていき、執務中の学園長に先程までの経緯を説明した。

 

「そうでしたか。それはご苦労様です。持ち場に戻ってもらっても結構ですよ」

 

「いえ、その前にまだ聞かなければならないことがあります」

 

「なんでしょうか?」

 

問われたところで俺は机の上にパンドラボックスを置いて、これについて問い始めた。

学園長はパンドラボックスを目の前にした瞬間、目の色が変わっていた。

やはり学園長はパンドラボックスのことを知っていたようだ。

 

「何故、これが?」

 

「それは此方が問いたいことです。学園長、貴方は兎野命についても知っていますよね?」

 

「………少し待ってください」

 

そう言うと徐に携帯を取り出して誰かに電話を始めた。

 

「……えぇ、今すぐ学園長室に来てください」

 

学園長に待つように言われて数分後、扉を開けたのは織斑先生であった。

やはり『暮桜』が関わる以上、織斑先生が無関係である訳がなかった様だ。

 

「まさか、こうもあっさりと見つかるとはな」

 

「織斑先生、亡国機業は地下のことを、『暮桜』の中にパンドラボックスがあることを知っていました。勿論所有者であった貴方が知らない訳が無いですよね」

 

「……あぁ。お前達には話しておかねばならないな。あの日何があって私がパンドラボックスを『暮桜』の中に隠していたのかを…」

 

そう言って織斑先生はあの日のこと、『織斑一夏が誘拐された第二回モンドグロッソの出来事』を話し始めた。

春万Sideout

 

 

 

あの日、一夏は千冬の試合を観るために黒服の二人に護衛されながらドイツへと単身向かったのであった。

一夏への護衛は千冬からの要請であり、日本政府が派遣していたのである。

そんな中で事件が起きてしまった。

千冬がこれから決勝という所で一夏はトイレへと行っていた。

そのトイレから出た時、五人ほどのマスクを被った男達に一夏は気絶させられてしまった。

 

一夏が目を覚ますとそこは暗がりの倉庫であり、体は縄で縛り上げられている状況であった。

 

「これで織斑千冬は終わりね」

 

「だがこれで奴が決勝に出場してしまったらどうするんだ?」

 

「その時はその時よ。可愛そうだけど坊やには消えてもらわないと…」

 

一夏はそんなことを平然と言う女性達を見て恐怖を感じていた。

織斑一夏という少年は誰にでも優しい何処にでもいる"普通"の少年である。

そんな少年の目の前で銃をチラつかせながら消すだのと言っている大人達を見れば怖くて足が竦むのは当然であった。

しかし、織斑一夏という少年は人一倍勇気のある少年でもあった。

どんな状況でも勇気を出せる強い少年でもあるのだ。

そんな一夏は恐怖に押しつぶされそうになりながらも、自分のせいで姉である千冬の栄光を奪ってしまうかもしれない状況から何としてでも抜け出そうとしていた。

 

「お、おい!俺を解放しろ!!!」

 

「あぁ?なんだよ起きちまったよ。早い目覚めだな。お前はここで織斑千冬を待ってればいいんだ、よっ!」

 

「ぐふっ、ゲホッゲホッ…」

 

一夏は気の強そうな女性に腹部を蹴られ、危うく意識が飛びかけてしまった。

最早絶望的な状況であった時、モンドグロッソ決勝の映像が流れるのだった。

 

「ん?何故織斑千冬は決勝に出ているんだ!!!どういう事だ!!!」

 

「まさか日本政府が……。隠蔽したわね」

 

一夏は姉に助けてもらうつもりは毛頭なく、それどころか決勝にちゃんと出てくれたことに嬉しさを感じていた。

自分のせいで姉の栄光を奪わずに済んだことに安堵していたのだ。

誘拐犯もこれでは計画が誤算してしまい慌てていた。

そして誘拐犯の一人が一夏へと銃を向けた。

 

「こうなったら仕方ないわね。織斑一夏くん、残念だけど貴方にはここで消えてもらうわ」

 

「なっ……」

 

初めて銃を向けられたことに一夏は再び恐怖を覚え、体が言うことを効かなくなっていた。

そんなとき、何かが倉庫の壁を突き抜けて来た。

 

「誰だ、お前?」

 

『………』

 

そこに立っていたのは、赤い兎の耳と青い戦車の砲身を頭部につけた謎のマスク人間だった。

その腰にはレバーが付いているベルトを装着していたそうだ。

 

「なんとか言…」

 

『フッ……』

 

「ぐっ…」

 

気づけばそのマスク人間に一夏以外の人間は全て倒されていた。

ISなども全く歯が経つことなく、全てを蹴り飛ばしてしまった。

一夏はその姿を見て胸が高鳴っていた。

 

「すげぇ……」

 

まるで目の前でヒーローショーでも見せられているような状態であった。

一夏だって少年だ。

男の子なら誰だって一度は正義のヒーローに憧れてしまう性分である。

目の前で悪を倒す正義のマスクを見ていると、いつか自分もあんな風になりたいと一夏は思うのだった。

あっさりと誘拐犯達を倒し、マスク人間は一夏の縄を解いた。

 

『………』

 

「あ、ありがとう。貴方は?」

 

『………"ビルド"だ』

 

「え、え?」

 

『これを、彼女に』

 

そう一言だけ言ってドライバーから黒い箱を取り出し、それを一夏に無造作に渡し、その場から走り去ろうとしていた時、上空から千冬が『暮桜』で招来してきた。

 

「誰だ貴様は?」

 

『………後は君たちに任せる』

 

そう言うと左足に付属されていたバネのようなものが伸縮し、一気にその場から跳び去っていってしまった。

千冬は急いで中を見ると一夏には多少の擦り傷があるのみで、一夏を誘拐した奴らは全て吹き飛ばされていた。

 

日本政府は一夏が誘拐されたことを千冬には報告しなかった。

その結果いつも通り試合へと出場していたのだが、試合が終わったあと一夏の元へと行こうとした時、黒服の護衛が慌てて千冬に報告し事件が分かったのだった。

 

千冬はその件で一夏を危険な目に会わせてしまったことを悔やんでIS選手を引退、一夏誘拐に協力したドイツ軍の元へ一年間指導へと向かい、その後直ぐにIS学園にて教鞭を取るのだった。

引退の際、一夏が持っていた黒い箱を調べてもらった際に、中に眠るエネルギーが凄まじいものであるということを解明したのが『兎野命』であった。

 

 

春万Side

織斑先生の話を聞いて、まさか織斑先生の弟がモンドグロッソで誘拐されていたことに先ず驚いた。

その後、織斑先生の驚いたを助けたのがビルドだったということに更に驚いた。

 

「私が知りうることは以上だ。学園長は『暮桜』の凍結の際に協力してもらっただけだ」

 

「私はパンドラボックスがどれ程強力な物なのかはよく分かりません。ですが、兎野命博士がそれはいづれ争いを産みかねないものであるということを聞き、ちょうど凍結予定であった『暮桜』と共に葬ることを決めたのです。しかし、ここ最近IS学園が襲撃を受けていたの原因がこのパンドラボックスであるならば、私の判断は間違っていたのでしょう」

 

「結果としてそうなっています。本当にパンドラボックスを求めて争いを産んだ。兎野命はそこまで予想していたのだろう」

 

「……よく、分からん…」

 

甲斐、お前は黙っていなさい。

甲斐は話についていけてなかったが、いつも通りであるため今は無視。

学園長は兎野命を知っているようだったため、知っているのであれば現在何処で何をしているのかを問うことにした。

 

「学園長、兎野命は今は何処に?」

 

「それは、分かりません。ただ彼女は死んではいません。この世界のどこかでまだ生きています。その証拠に、このコードRの技術が世界に流れています」

 

「世界に流れているとは?」

 

「コードRの技術はIS企業に多く流れているのです。そのため、今IS業界は第三世代にも漸く手が伸び始めたのです」

 

「それだけで生死が確認出来るとは分かりませんよね。まぁ学園長が知らないのであればこれ以上は問いません」

 

居場所が確認できないのであればこれ以上聞いたところで意味は無いだろう。

ただ最後に思っていた疑問だけを聞いてこの件は終わりにすることにした。

 

「最後に、兎野命の容姿についてなんですが…」

 

「なんでしょうか?」

 

「兎野命は束さん、篠ノ之束博士の容姿にそっくりだったのですが、彼女とは姉妹かなんかなのですか?」

 

「いえ、そのようなことは聞いたことがありませんね」

 

「そう、でしたか。……それじゃあ仕事に戻りますね。それとパンドラボックスはどうしますか?」

 

「君が持っていてくれれば安心です。そのまま保管をお願いしますね」

 

「了解です。甲斐、戻るぞ〜」

 

「お、おう」

 

こうして俺達は学園の持っていた秘密の一端に触れることとなった。

このパンドラボックスがこれから戦いの引き金になっていくのを薄々感じていきながら……。

 

 

 

学園長室の扉の前で彼らの会話を盗み聞きしていた人間が一人。

織斑千冬にすらも気配を悟られないほどのステルス性能を持った人間は、彼らの会話内容を聞いて口角を上げていた。

 

「フフ、やっと見つけた。"私の"パンドラボックス。さてと色々と準備しなきゃ。ここを出る準備をね」

 

そう独り言を呟きながら、ルンルンとスキップをしながら彼女は持ち場である◾️◾️室へと戻って行った。

 

 

 

その日の夜、ピンク色のフルボトルと黄色のフルボトルが同時に出来上がり、俺は歓喜に震えて徹夜するのであった………。

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