至高のレビュアーズ   作:エンピII

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マイコニド専門店 男のキノコを天国へ…

「はぁ!?水晶レター失くした?何で!?」

 

 弐式炎雷の声が異世界の森に響く。ペロロンチーノからNTR専門店『扉のスキマ』でプレイ内容を録画して貰った水晶を失くしたと、そう告白されたからだ。

 

「ペロロンチーノ!?アレがNPC達に見られたら、俺が今まで築き上げた威厳も何も全部吹き飛ぶんだぞ!?」

 

 モモンガとシャルティア(のコスプレをしたサキュ嬢のピルティア)の絡みを収めたものであるために、モモンガもまた普段の口調を忘れ声を上げる。

 

「ううぅ……ごめんなさい……。どこを探しても見つからなくて」

 

 ペロロンチーノが肩を落として謝罪を口にするが、弐式炎雷とモモンガの追及は止まらない。何処で失くしたんだ。何処に保管していたんだ。何故失くしてすぐに報告しなかった。というかそもそもなんで異世界に来てるんだよと、口々にペロロンチーノを責め立てる。

 そのたびにペロロンチーノは泣きそうな声で謝罪するが、失くしたモノがモノだけにそれで済まされるわけがない。

 

「まあまあ、二人とも。ペロロンさんも反省してるし、それくらいにしておこうよ」

 

 低い声で二人を宥めたのは、シャベルをもった森司祭(ドルイド)のブルー・プラネットだ。

 今回の異世界訪問は彼の要望によるものだった。扉から少し離れた森を散策したかったらしい。異世界に繋がる扉を利用する理由は何もサキュ街巡りだけではない。こういった調査や研究、または観光目的で扉の利用を申請するものも多い。

 

「ペロロンさんが此処に来るまで言い出さなかったのも、言うと今回の異世界訪問が流れて、俺に迷惑掛かると思ったからだろう?それにあの水晶レターは確か個人機密だから、ちょっとしたパスの入力がいるらしいじゃん」

 

 この異世界は妙なところで、モモンガ達のリアル世界に近い文明レベルを見せる事がある。今回の水晶レターもそうだった。だがその事を『扉のスキマ』に同行していないブルー・プラネットが知っている事が意外だった。

 

「詳しいね、プラネットさん」

 

「たっちさんから聞いた。というか聞かされた。まあ、だからさ。見つかってもすぐにどうこうは無いだろうし。戻ったら探そうよ。俺も手伝うからさ」

 

 そう言ってブルー・プラネットがポンポンと、シャベルを持っていない方の手でペロロンチーノの頭を優しく叩く。

 

「ううぅ……ありがとうございます」

 

 そんな姿を見せられては、モモンガと弐式炎雷もそれ以上の追及をする気も起きない。諦めて一度ため息をついて、気持ちを切り替える事にする。

 

「……まあ、ここで云々言ってもしょうがないか。戻ったら俺も探すの手伝うからさ」

 

「大事なものは、ちゃんとアイテムボックスに仕舞うんですよ、ペロロンさん」

 

「……うん。ありがとう」

 

 なんだかんだで、ごく一部の例外を除き、ギルドのメンバーはペロロンチーノに甘い。そのごく一部の例外が恐ろしく厳しいのだが、その分というか、どうしても全員が最後には不出来な弟を慈しむような感じで終わる。

 

「さあ、切り替えて行こう。まあ、今回は俺に付き合って貰った感じだけどね。本当こっちも面白い。見てよ、これとこれ」

 

 そう言ってブルー・プラネットが、森に群生するキノコを二種類シャベルと、握っていないもう片方の手で指し示す。一つは幾年にも亘って繰り返し生えてるキノコで、もう一つは大きなビニール傘の様なキノコだ。

 

「こっちは舞茸。リアルでは人工栽培しかされてないけど、みんなも聞いたことはあるだろう?」

 

 ブルー・プラネットの問いかけに頷く。

 舞茸はモモンガも聞いた事が、食べた事も有る。リアルでは自然食品は高級品だし、モモンガが人間だった頃は食事にお金を掛ける事をしてこなかった。それでも数少ない付き合いの場などで、口にしたことはある筈だ。それくらいにはポピュラーなキノコだ。

 

「それでこっちなんだけど」

 

 そう言ってもう一本のキノコを指さし、ブルー・プラネットが愉快そうに笑う。

 

「どうしたの?」

 

「いや、ゴメン。こっちのキノコはさ、俺も見たこと無いんだ。リアルの方はデータベースに無かっただけかも知れないけど、このキノコは俺達が転移した世界でも見たことがない」

 

 ほぉーと、ブルー・プラネットを除く三人が謎のキノコを眺めながら声を上げた。

 

「俺達が転移した世界は、どちらかというとユグドラシルの生態系に近いんだけど、こっちはどうも俺達のリアル世界に近いっぽいんだ。こんなキノコが生えてるくせにさ。……もし世界という器に雛形があるなら、この世界はリアル世界に近いのかもしれない。この世界は俺達のリアル世界とは違う成長を遂げた、兄弟みたいな世界かもしれないね」

 

「やっぱプラネットさん、ロマンチストだね」

 

 そう弐式炎雷が言うと、ブルー・プラネットは照れ笑いを浮かべる。モモンガはその異形の顔にブルー・プラネットのリアルで見た岩の様な顔を思い出し、微笑んだ。

 

「それで、プラネットさん。結構森の奥にまで来ましたけど、これからどうするんですか?地質調査でも?」

 

「ああ。もう着くころかな?初めてこっちに来た時俺も食酒亭に寄ってさ。フェアリーの子と仲良くなったんだよ。その彼に面白いお店を教えて貰ったんだ。みんなもレビューで知ってるんじゃないかな?」

 

「あ。もしかして、この森ってマイコニドの森ですか?どうりで異様に大きなキノコがあちこちに生えてると思いました」

 

 モモンガ達はこの世界に訪れ、サキュバス街に出掛ける前によく食酒亭に足を運ぶ。そこで新たなレビューを購入しては、ナザリックの円卓で自分達が書いたレビューと合わせて読み合うのが最近の日課だ。

 そのためサキュバス街以外殆ど探索をしていないのに、レビューされていたサキュバス店の場所や地名だけは妙に詳しくなっていた。

 

「ははは、なんだ。プラネットさんもこういうサキュバス店に興味あったんだ?」

 

「まあね、俺も今はこの身体だけど男だし。ああ、見えてきた。あれだよ」

 

 そういってブルー・プラネットがシャベルで遠くに見える看板を指し示す。

 その看板には、アイテムを使わなければモモンガ達が読めない字でこう書いてある。

 

『男のキノコを天国へ…』

 

 と。

 

 

 

 

 

 

「ヒヒヒヒ……股ぐらの森の粘菌に男キノコをご案内。エッチな菌でアソコボッキンキン。ようこそマイコニドのスケベ店に、四本のタケリタ……」

 

 そこで言葉が止まる。何百年もスケベババアをやってるけど、これだけ妙な四人組は初めてだ。

 

「……初めに聞いときたいんだけど、アンタたちは股間のキノコは生えてるのかい?」

 

 私の質問に、四人組は顔を見合わせる。

 

「生えてません」

 

「生えてないよ」

 

「生えてます」

 

「それっぽいのはあるよ」

 

 ……四人中しっかり生えてるのは一人だけかい。そもそもシャベルを持った兄ちゃん。それっぽいのってのは、一体何なんだい?

 

「……股間のキノコの胞子はピュッピュ出来る?」

 

 更なる質問に、再び顔を四人組は顔を見合わせる。

 

「出来ません」

 

「出来ないよ」

 

「出来ます」

 

「それっぽい事は出来るよ」

 

「だからそれっぽいって何なのサ!?……コホン。ま、まあ、キノコっ娘は何百種類もいるから、おばちゃんが見繕ってあげるよ」

 

 私がそう言うと、四人組は素直に頷く。私も頷き返し、改めて妙な四人組を観察する。

 まずは、スケルトンの兄ちゃんだね。……うまく隠してるけど、とんでもない魔力を秘めてるねぇ。神聖属性や炎には多少弱そうだけど、他の耐性は高そうだ。

 いや、でも……んん?なんだい、これ?この兄ちゃん、魔力が随分若くないかい?目も無いのに随分期待した目でこっちを見てる……。性に興味津々な少年みたいだね。こんな数千年前から死の魔王やってますー、みたいな見た目をしてるくせに。

 

「ちょっとお兄ちゃん。ただのアンデッドじゃないね?なんて種類のスケルトンなんだい?」

 

「あ、死の支配者(オーバーロード)です」

 

 そんなスケルトン聞いたことも無いよ!

 やばい…全然わからん……。

 ううーん、私と同じ霊芝系の娘がいいかねぇ?いや、それとも冬虫夏草の娘?股間のキノコが無いなら、魔力で気持ちよくなるタイプだろうし、チチタケかねぇ?でもこのお兄ちゃんじゃ乳液を味わえないか……。腐生菌系の娘なら確実だろうけど、そもそも腐りきって骨になった人の相手はどうなんだろう?

 ああ、もう!全然わからん!

 

「あの……どうかしました?」

 

「えっ!?いや、別にっ!?……一口にキノコ娘といっても、数百種類いるからね。お兄ちゃんに合う子も一杯いるから、これがピッタシって娘を絞り込むのは少し時間が掛かるのさ」

 

「ああ、なるほど。それもそうですね」

 

 うんうんと頷くスケルトンのお兄ちゃんに安堵する。こう言っておけば少し時間が稼げそうだ。その間に他のお兄ちゃんの相手を決めておくかねぇ。さてお次は――

 

「んじゃ次は俺?」

 

 全身黒衣の頭巾をかぶった正体不明の男。男でいいんだよねぇ?体格は間違いなく男だし、声も男なんだけど、このお兄ちゃん?も股間のキノコが無いって言ってたねぇ……。

 

「……ちなみにお兄ちゃんは何て種族なんだい?人間じゃ無いんだろう?」

 

「ああ、ハーフゴーレムだよ」

 

 だから聞いたこと無いって!ゴーレムなのにハーフって、一体どういう種族なんだいぃ!

 ……いや、落ち着きな、私。伊達に何百年もスケベババアをしてないよ。ほら、どんな相手だって目を見ればだんだんとそいつの性癖がわかって――

 

「なんで人が見定めしてるのに、頭巾をしてるのサ!?」

 

「フッ、忍者は素顔を晒さぬのだ」

 

 なんなんだい、今日のお客は……。ゴーレムって事は頭巾の下は岩っぽいのかね?それなら地衣類の娘を、今日は岩茸の娘が生えてたかねぇ?

 

「ちなみにお兄ちゃんは頭巾の下はごつごつしてるのかい?」

 

「いや、ツルツルしてるよ。のっぺりしてるとかよく言われる」

 

「……ゴーレムなのに?」

 

「俺ハーフだし。いやー、キャラメイクをもっとしっかりやっとけば良かったんだけどねー」

 

 だからキャラメイクってなんだいぃ!!

 訳が分からないよぉ!……駄目だ。このお兄ちゃんも保留にしとこう。情報が少なすぎるね。

 

「あ、アンタも絞り込むのはもうちょっと待っててくれるかい?今日は妙に森の状態が良くてね。生えてる子も多いんだ」

 

「プラネットさん、何かした?」

 

「ああ、森に入った時、大地の実りを豊かにする魔法を使っておいた。その方が楽しめるかなって」

 

「さすがドルイド。森とマイコニドを愛する司祭」

 

「ははは、個人的には海の方が好きだけどね。ほら俺、ブルー・プラネットだし」

 

「んじゃ今度は海底神殿って所まで足を延ばしてみようか?確かゼルさんのレビューにもあったろ?」

 

 四人組がわいわいと騒いでる。当然私はこの正体不明の連中の情報を集めようと必死だ。どんな話題でも良いから手がかりを零して欲しかった。

 

「ちょっとみんな。お店の人を前に失礼ですよ」

 

 だが、それを一人の有翼人の男が遮る。

 金色の、一目でヤバいとわかる鎧に、こいつも仮面を着けているために、表情はよく分からない。

 私は情報収集を諦めて、三人目の男に向き直る。どうせこいつもただの有翼人じゃないんだろう?そんな諦めを持って男を観察する。

 ……おや?こいつは、わかりやすい。 

 

「アンタはロリコンだね?」

 

「なんでそれをっ!?」

 

 一目で見破られた三人目の有翼人が驚いた顔で私を見る。そう、普通はみんなそんな反応をするのサ。

 

「……一目でロリコンと見破られる元社会人って、どうなの?」

 

「……まあ、ペロロンさんですし」

 

「ペロロンさんだしねー……」

 

 残りの三人が呆れてるって事は、周知なのかね?まあ、私としてはそんな事は関係ない。性癖さえわかっちまえばこっちのもんだよぉ。おまけにコイツは股間のキノコもしっかり生えてるみたいだし、余裕だね。

 

「ふふふ……。長年男を見定めてるとなんとなくわかるのサ……。今日は生えたての娘も多いし、アンタは選び放題だよ。勿論私がアンタにピッタシのキノコっ娘を見繕ってあげ――」

 

「あ、俺あの子が良いです」

 

 私の言葉を遮って、有翼人の男が迷いも無く一直線に歩き出す。ああ、不味い。そっちにはあの娘が生えてるんだよ。

 

「一目見てビビッと来ました。俺はキノコお姉さんの見定めより、俺の直感を信じてみます」

 

「おや、お姉さんだなんて、嬉しいことを言ってくれるじゃないかぁ。アンタがロリコンじゃなけりゃ、私が相手をしてあげるんだけど―――って、そうじゃない!アンタが選ぼうとしてるのは、カエンタケのマイコニドだよ!」

 

「真っ赤でいいじゃないですか。シャルティアの伝説級(レジェンド)装備みたいで。うん、俺はあの子にします」

 

「あの娘の毒は有翼人のアンタじゃ触っただけで皮膚が爛れて、すぐに死んじまうよ!?」

 

「俺は有翼人じゃないですよ。俺はバードマンです」

 

 バードマン?なんだい、それは?

 そんな事はどうでもいいんだよ。そりゃ私だってある程度の毒キノコ娘なら笑って「アンタじゃ一週間で死ねる毒持ってるけどいいかい?」なんて軽口叩くけど、あの娘は本気でヤバいんだ。触っただけでも症状が出ちまう。

 

「プラネットさん、カエンタケって?」

 

「うん、毒キノコ。毒性が凄い強くてね、触っただけで皮膚が爛れるくらい。カエンタケのマイコニドなら、もっとヤバいだろうね」

 

「へー。でもあの子、確かにちょっとシャルティアの伝説級(レジェンド)の鎧着てるみたいだけどさ、体型とか全然ロリじゃないよな?出る所はしっかり出てるし、スレンダー系の美人な子だよなー。なんでペロロンさん、あの子にするって言いだしたんだろう?」

 

「なんでだろうね?そもそもシャルティアの鎧だって、別にあの姿がペロロンさんの趣味ってわけじゃ無いだろう?普段のシャルティアはそりゃ趣味全開だろうけど、戦闘形態はガチビルド派のペロロンさんが見た目で妥協する訳ないだろうし」

 

「ですね……。ペロロンさん、どうしたんだろう?」

 

「アンタたちも暢気に話してないで、止めておくれよぉ!こっちは足が埋まっててすぐには、ああもう!」

 

 埋まった足を私が抜き出す前に、バードマン?の男はカエンタケの娘の元に辿り着いちまう。

 

「――ダメ、近づかないで。私の肌は、貴方には毒なの。だから私は、こんな真っ赤な姿をしている……。誰も近づかないようにって。そう誰も、私には触れられないの……」

 

「そんな悲しいことを言わないでください、美しいお嬢さん(フロイライン)。さあ、俺の手を取って、一緒に踊りましょう」

 

「……良いの?私を抱いたら、貴方はきっと死んじゃうわ。ううん、ダメ。貴方はいい人そうだから、死んで欲しく無いもの……。ありがとう、こんな私に話しかけてくれて。だから貴方は、私以外のマイコニドの娘を選んであげて?」

 

「俺は、キミに触れたいんです。そんな悲しそうな目をしている子を放っておけません。だから、どうか、この手を取って下さい。いえ、キミが望まないなら、ボクが貴方を無理やりにでも攫います」

 

「キャッ」

 

 そこまで言って、金色の鎧のバードマンがカエンタケを抱き抱える。真っ赤なお姫様を抱き抱える金色の騎士のようだ。仮面でよく分からないが、笑みすら浮かべて、平気そうな顔で。

 …………ええ?……その娘に触れて、なんとも無いのかいぃ?

 

「ペロロンさんの奴、一人称がボクになったぞ。なんで急に騎士っぽく口説き始めたんだ?」

 

「……ああ、そういう事か」

 

 四人目のシャベルを持った男が何かを理解したように頷く。

 

「たぶんあの子は毒キノコという理由で、あまり指名が取れないんだと思う。その彼女にペロロンさんが気づいたんだよ。女の子が寂しそうにしてるって」

 

「……なるほど。ふふ、そう言う所は、本当にペロロンさんですね」

 

「うちの稼ぎは殆ど森の管理に使う共有財産だよ?指名争いだって、それ程ないんだ」

 

「それでもサキュバス嬢として、毒の無い子ばかり選ばれているのが、悲しかったのかもしれない。そういう事ですよね」

 

「……はー、納得。ホント、ペロロンさんらしいや。あの人そういう機微には聡いよなー。問題児の癖に」

 

「ふふふ、そうですね。ええーと、受付のお姉さん。私も毒キノコの子でお願いします。普段指名が取れないような、毒性の強い子で」

 

「ほへぇ!?」

 

「あ、俺も。一杯群生するタイプの毒キノコの子が良いな。毒性はどれだけ強くてもいいから、そんな子をお願いするよ。ここはペロロンさんに乗るしかない」

 

「ユグドラシルプレイヤーの俺達は、毒だからって敬遠する必要ないしね。良いね、これは俺達しかできない楽しみ方だ。おねえさん、俺も毒キノコの子を紹介して下さい」 

 

「ああ、もう!わかったよ!毒性たっぷりでいくから、覚悟しておくれ!」

 

 

『毒キノ娘は旨みたっぷり!マイコニド専門店 男のキノコを天国へ…』

 

 

◇オーバーロード モモンガ

 

 今回はマイコニドのお店です。色々ありまして、今回は毒キノ娘縛りでお願いすることに。

 お相手をしてくれたのはドクツルタケのマイコニドさん。真っ白で、とても可愛らしい子ですね。ブルー・プラネットさんに聞くと、猛毒キノコ御三家に数えられる程の毒性があるそうですが、そもそも私はワールドエネミーの毒でもない限り、種族耐性で無効ですからね。問題ありません。

 今回は私としては珍しく責めに回りました。毒キノ娘の子はやはり指名が取れないらしく、あまり経験は無いそうです。私が触れるたびにビクッと体を震わせて、とても可愛らしかったです。

 いつも受け身でしたので、こういうのもアリだなと。

 最後にですが、私達ユグドラシルプレイヤーならではのサキュバス店の楽しみ方を教えてくれたペロロンさんに、ありがとうと伝えておきます。

 

 

◇ハーフゴーレム 弐式炎雷

 

 色々言いたいことはあるけど、やっぱペロロンさんだよな。あの人問題も良く起こすけど、挽回の仕方というか、リカバリーが上手いんだよ。流石ギルドの末っ子。茶釜さんの影響かな?まあ、お店のレビューとは関係ないし、今はいいか。

 俺は今回ドクササコのマイコニドをチョイス。この子も食べるとヤバいらしいんだけど、そもそも俺は飲食不可だし、毒も無効だから、ぶっちゃけ関係ない。

 お店的には、やっぱ複数人プレイがタダの子が多いのが、個人的におススメかな。根っこのところで繋がってるから、結局は同一個体なんだろうけど、それは俺の分身も同じだしね。ドクササコちゃんの反応がイイのも俺の好み。これはたぶん普段あんまり触られる機会がないからかな?

 とにかく、俺達が百レベルのユグドラシルプレイヤーだって事を意識した楽しみ方ってのは、確かにあると思うよ。

 

 

◇バードマン ペロロンチーノ

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 カエンタケの女の子を選びました!すらっとしたスタイルの良い、美人さんですよ!真っ赤な、シャルティアの伝説級鎧を身に着けた女の子って感じですね。

 いっぱい触って、いっぱい抱きしめてあげました!

 うん、女の子を癒すのはそれで充分です。俺の羽毛は、泣いている女の子を包み込んであげる為にあるんですね。きっとそうですよ!

 

 

◇森司祭 ブルー・プラネット

 

 自然を愛するモノとして。少しペロロンさんに教わった気がする。

 お相手は猛毒キノコ御三家のタマゴテングタケのマイコニドさん。オリーブ色の、傘が大きい子。傘を優しく触ってあげると、プルプルと震えて、可愛かった。

 イボテン酸は俺達でもしっかり旨味として感じられるし、リアルでは昔毒キノコだって分かってるのに食べちゃう人がいたというのも納得。

 たぶんペロロンさんがカエンタケの子を選ばなかったら、俺は受付の霊芝のお姉さんのおススメに従うか、人間だった頃好きだった食用キノコを選ぶか、無難な選択をしてたと思う。それが間違えてるとは思わないけど、折角の異形の身体を生かすのもアリだと思う。というか、それに最初に気付けなかったのは悔しいな。

 まあ、ペロロンさんはそんな気は無くて、可哀想な女の子がいるってだけの理由だろうけどね。俺はそういうペロロンさんのシンプルなところが好きだね。

 マイコニドの森自体もしっかり手入れされてて、見どころが多い。フィールドワークだけでも、また来ようと思う。とても楽しかったよ。

 

 

 

 

 

 

「……よし、書けた。みんなどう?」

 

「俺も書けました」

 

「私もです」

 

「俺もだよ」

 

 全員がレビューを書き終えた事を口々に伝え、レビュー発行責任者の弐式炎雷に手渡していく。モモンガ達のレビューを集めた弐式炎雷は大事そうにそれをアイテムボックスに収めている。

 モモンガ達は未だにマイコニドの森から出ていない。ここは森の外れで、この森の中では開けた場所だ。

 『男のキノコを天国へ……』を出た時に、多少暴れても問題無い場所をモモンガ達は受付の霊芝のマイコニドに尋ねていた。霊芝のマイコニドは流石に嫌な顔をしていたが、後始末用にブルー・プラネットが自身の魔法を籠めた魔法封じの水晶を渡すとしぶしぶ了承してくれた。事前に唱えてみせたブルー・プラネットの土壌を豊かにする位階魔法を目にしたからだろう。

 

「さて、悪いけど、ペロロンさんとプラネットさんは先に戻っててくれる?俺達が四人だから警戒してるのかもしれないし」

 

「了解。結局レビューを書いてる間に襲ってこなかったしね」

 

「ええー、俺も暴れたいです」

 

「暴れるなって。それにペロロンさんは先にナザリックに戻って水晶レターを探せよ。ぬーぼーさんに事情を話して、見つけて貰えって」

 

 弐式炎雷の言葉にモモンガも頷く。アレが見つからないと、モモンガも安心できない。ペロロンチーノには早急に水晶を見つけ出してもらいたかった。

 

「それじゃあ、俺達は先にナザリックに戻っておくよ。あの扉、帰りは一緒じゃなくても平気なんだよね?」

 

「大丈夫。行きは一緒じゃないとダメだけどね。んじゃプラネットさんも水晶探しよろしく」

 

「うん、わかった。ほら。ペロロンさん、行くよ?」

 

「ううぅ、分かりました」

 

 そう言ってペロロンチーノとブルー・プラネットがギルドの指輪を使って、こちらの世界とナザリックを繋ぐ扉にまで転移していった。

 二人きりになったモモンガと、弐式炎雷は襲撃を待つように、相手が襲いやすいように油断しているかのように他愛の無いお喋りを始める。

 

「襲ってきそうですか?」

 

「だね。人数が減ったからチャンスと思ったみたいよ。そろそろ来そう」

 

「だけど、弐式さん。いつから私達尾行されてたんですか?」

 

「この森に入る前からだね。お店の近くで襲いそうな雰囲気になったら、速攻で分身に取り押さえさせるつもりだったけど」

 

「私たちモンスターならともかく、こっちの人間種に襲われる覚えは無いんですけどねー」

 

「だよなー、お店でも紳士的に過ごしてるし、お金関係もトラブルは無いはずだし。なんでだろう?まあ、捕まえて聞けばいいよ」

 

「ちなみに相手はどれくらいの強さですか?」

 

「うーん?たぶん20~30レベル位。……こっちの世界の相手は力量がちょっとわかりづらいんだよね。……ああ、一応言っておくけど、殺さないでよ?」

 

「殺しませんよ。この世界は警察機関もありますからね。指名手配なんてされたくありません」

 

「サキュバス街に遊びに行けなくなるから?」

 

「です」

 

 そこまで言って二人で笑いあった。本当に、ここまでハマるとは自分でも思っていなかった。いや、少し違うか。モモンガは楽しいのだ。仲間達と何も考えずに、愉快にこの世界に遊びに来ることが。非常に、楽しいのだ。

 そうモモンガが自覚した瞬間、森の木々の一部が揺れた。勢いよく長大な蛇の様な何かが飛び出してくる。ナーガの男、いや、こちらの世界ではラミアか。それがかなりのスピードで迫り、モモンガの身体に巻き付く。

 

「捕まえたぞ!」

 

「残念だが、捕まってなどいないぞ」

 

 ラミアの男がその尾でモモンガの身体を締め付けた瞬間、拘束がほどける。上位拘束無効。ただの締め付けでモモンガを拘束することは出来ない。

 

「さて、死んでくれるなよ?」

 

 モモンガは杖を空間から取り出して、ラミアに振るう。特別な魔法の力は無いが、殴打ダメージを与える事にそれなりに特化した杖だ。モモンガの一撃を受けて、ラミアが容易く弾き飛ばされた。

 

「いってぇええ!!なんて力だ、アイツ!」

 

 弾き飛ばされラミアが殴られた頭を押さえながら、よろよろと立ち上がってくる。

 

「ほお?」

 

 モモンガとしては殺さないように手加減はしたが、それなりに力を籠めていた。よろよろとした動きではあっても、立ち上がってくるとは予想外だった。

 

「ふむ、ならばこの程度ならば平気かな?……<龍雷(ドラゴン・ライトニング)>」

 

 モモンガの肩口から発生した白い電撃が、骨の指の延長にいるラミア目掛けのたうつ白い龍の様に中空を駆けていく。

 白い電撃がラミアに触れる前に、その進路上にエルフと青肌の男が割り込むのをモモンガの目は捉えていた。

 二人の男が電撃に向け手を伸ばし、そして障壁の様なもの生み出す。白い電撃が障壁に弾かれ、天に昇っていく。

 

「それがこの世界の魔法か?第五位階とはいえ私の魔法を弾くとはな。……面白い。もっと見せてくれないか?」

 

 モモンガが笑いながら、一歩を踏み出す。エルフと青肌の男は後ずさりながらも、ラミアの男を庇う様に立ちふさがる。

 

「こいつ、相当ヤバいのである!」

 

「冗談じゃねえ!こっちは今の魔法を防ぐのでも必死だったんだぞ!それなのにアイツ全然本気じゃないだろう!?」

 

「先に手を出してきたのはそちらだ。悪いが、無理矢理にでも付き合ってもらうぞ?」

 

 さて、次は何位階の魔法を試すか。それともスキルを使って強化した魔法を試してみるか。久しく感じていなかった戦闘の興奮に、モモンガがその身を委ねつつある。そしてそれを止めたのは――

 

「おーい、モモンガさーん!やり過ぎるなよー!」

 

 少し離れた所から聞こえる仲間の声。視線を向ければ、弐式炎雷が犬系獣人の大男と、咥え煙草の人間の男相手に立ち回っていた。

 犬系獣人の振るったバトルアクスが大地に叩きつけられ、その隙を狙わせないように人間の男が最小の動きで弐式炎雷を斬り付ける。

 かなりの力量だ。

 戦士の訓練を積んだモモンガだからこそわかる。戦士化の魔法を使わずに、素の状態で魔法職のモモンガが二人同時に相手をすれば苦戦を免れないだろう。それほどの腕だ。

 勿論モモンガが時間停止などの魔法を使えば話は別だし、前衛職としても十分戦える弐式炎雷ならなおさらだ。すぐに彼も本気を出すだろう。

 弐式炎雷が犬系獣人が振るうバトルアクスの柄を蹴り上げる。それだけで犬系獣人は武器を弾かれた。追撃をしようと弐式炎雷が踏み出すが、牽制するように咥え煙草の男が剣を振るいながら間に入る。

 

「早く武器を拾え!」

 

「ああ!」

 

 斬撃を避けるために僅かに弐式炎雷が退いた隙に、犬系獣人の男がバトルアクスを拾い上げる。良いチームだ。お互いがお互いをフォローし合う事でその力を最大限に引き出し、決して勝てない相手ともこうして渡り合えている。

 まるでかつての自分達を見ているようで、モモンガが笑う。

 

「どうですか、弐式さん?」

 

「驚いた。俺の予想よりもずっと強い。傷つけずに無力化するのは結構骨が折れそう」

 

「ふふ、弐式さん、骨ありましたっけ?」

 

「……無い。ちょっと本気出していくか」

 

 そう言って、無手だった弐式炎雷が空間から二本の小太刀を取り出す。天照と月読。彼の神話級(ゴッズ)装備だ。それを彼が手にした瞬間、場の空気が変わったのだろう。咥え煙草の男が、口元から火のついた煙草を落とす。

 

「……なんだ、ありゃ?おいッ、ゼルッ!何が簡単な密猟者の捕縛だ!滅茶苦茶ヤバいじゃねぇか!俺の人生最大のピンチだぞ、これ!」

 

「うるせえ!俺だって300年生きてて最大のピンチだよ!お前だって報酬に釣られたんだから、文句言うな!それにヤバそうだから、二人になるまで待ったんだろう!死にたくなかったら、必死で戦えスタンク!」

 

 人間の男と、エルフの男が武器を構えたまま、そう言い争っている。

 だが今の会話で二人が口にしていた名前に、モモンガと弐式炎雷は衝撃を受け、その身を震わせて居た。モモンガに至っては、握っていた杖を落としたほどだ。

 今この二人は、何と言って呼び合っていた?

 

「生きて帰れたら、奢れよ、ゼル!」

 

「ああ、何だって奢ってやる、スタンク!」

 

 間違いない。風貌だって、あのレビューに書かれたイラストと一緒だ。

 決死の覚悟を決めた男たちが、今にも襲い掛かってきそうだ。その気配に、弐式炎雷は小太刀を収め、慌てて手を上げる。抵抗するつもりは無いと示す為に。

 

「待て待て待て待て!待ってくれ!アンタたち、もしかしてゼルさんとスタンクさんか!?じゃあ、そっちの獣人さんはブルーズさんで、青肌の悪魔はサムターンさんなの!?」

 

 急に名前を呼ばれた事に驚いたのだろう。男たちの瞳に疑問の光が宿る。それでも油断なく構えた武器を収めないのは、熟練の冒険者ゆえだろう。だからこそ、モモンガ達は先にこちらの武装を解除して争う気はないとアピールする。

 

「少し離れた所で様子を窺ってるハーフリングが、カンチャルさん!モモンガさんに殴られたのがナルガミさん!どうだ!合ってるか!?」

 

 弐式炎雷の言葉に、今度こそ彼らは顔を見合わせ、武器を降ろす。

 

「……俺達を知ってるのか?何者だ、オマエら?」

 

 今は無いが咥え煙草の男、いや、スタンクの質問にモモンガと弐式炎雷は顔を見合わせる。そして頷きあってから声を合わせて言う。そう自分達は彼らの――

 

『ファンです。いつもレビュー、読んでます』

 

 そう、自分達は。

 彼らを真似てサキュバス店のレビューを始めたのだから。

 




一応時系列的には、レビュアーズの方も、少しだけ先としています。
その方が最新話で出てきたお店のレビューもしやすいからね!
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