至高のレビュアーズ   作:エンピII

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闇の競売 サキュバスムービーオークション

「―――ひょいっと」

 

 ヘロヘロが妙に気の抜けた言葉と共に、自身の十数倍はあるであろう毒竜に突っ込んでいく。跳ね散る水滴の様に、毒竜の腹側に小さな染みが出来た。その染みが一瞬で背中側にも出来た瞬間、毒竜の巨躯がどさりと崩れた。

 よく見れば毒竜の身体の染みが、ヘロヘロにその強力な酸性そのままに体当たりをされ、あっさりと皮や肉や骨を超えて穿った穴だと分かる頃には、別の毒竜が同じく体に穴をあけて再びどさりと崩れている。

 

「弱いですねー」

 

 のんきな声とともに、次々とスコアを伸ばしていくヘロヘロに、楽しそうだなとモモンガは小さく笑う。

 

「おーい、モモンガさーん。そっちに飛ばしたからよろしくー」

 

 弐式炎雷の呼び声に、視線を上げる。

 見上げると、スキルで拘束されたのだろう、光の紐で身動き出来ぬように縛り付けられた毒竜が三体。

 モモンガは拘束された毒竜達に、悠然とその骨の手を向け、呟く。

 

「<魔法効果範囲拡大化(ワイデンマジック)(デス)>」

 

 第八位階の即死魔法で容易く絶命した毒竜達が空中から沼地に落下し、その衝撃で泥が跳ねる。

 

「汚い」

 

 モモンガは跳ねた泥が自身の装備や骨の身体を汚す前に、無詠唱の<骸骨壁(ウォール・オブ・スケルトン)>を発動させた。

 武器を持った無数の骸骨で作った骨の壁を一瞥もせずに、モモンガが小さく指を鳴らす。骨の壁を只の泥除けとして使い、それだけでもう用は済んだとばかりに、骨の壁が崩れていった。

 

「弐式さん? 泥が跳ねるから、あまり高く蹴り飛ばさないで下さい」

 

「ごめんごめん。―――よっと」

 

 謝罪を口にしておきながら、弐式炎雷は再び毒竜の腹を蹴り上げて、その巨体を次々に宙に浮かしていく。

 モモンガはやれやれと<重力反転(リヴァース・グラビティ)>を唱え、毒竜の巨体が落下する衝撃を、重力を中和させ殺していく。当然その間に、衝撃だけでなく毒竜の命そのものも殺していった。

 

「あらかた片付いたかな?」

 

 弐式炎雷がそう呟き、沼地を見渡す。辺りには死屍累々としか表現できないほどの、毒竜達の骸。そのほとんどが最低限の損傷で仕留められていた。弐式炎雷が拘束し、それをモモンガが即死魔法で仕留めていく。

 そんな流れ作業で毒竜達を仕留めた訳は―――

 

「―――うんうん、いい具合に狩れたみたいだね」

 

 前回の結婚式プレイに使った負債を武人建御雷達に返済する為と、今日のサキュバス店巡りに使う資金捻出の為に、獲物の素材を彼に出来るだけ高く売却してもらうため。

 その彼、ギルドメンバーの一人音改が、満足そうに仕留めた毒竜達を眺めていた。

 

「さて、手早く解体していこう。弐式さんも手伝ってもらえるかな?」

 

「了解了解」

 

 そう言って解体スキルを持つ二人が手早く毒竜達を捌いていく。

 

「あ、私が貫通した毒竜の穴のところ。そこは大きめに肉を削いでおいてくれますか? 影響は無いと思いますが、酸性を高めた状態の私が触れた部分ですので」

 

 ヘロヘロの言葉に、音改と弐式炎雷は了承を告げ、作業を続けていく。

 こういう時、剥ぎ取りや解体に使えるスキルを持たないモモンガやヘロヘロは手持無沙汰だ。そのため少しでも役に立とうと、解体を終えた素材を肉だけ残し、次々とアイテムボックスにしまい込む。

 

「うーん、やっぱり巻物の素材に使うには、アイテムのレベルが足りないなー」

 

 音改が剥いだ毒竜の皮を眺めながら、少しだけ残念そうに言う。

 この毒竜達は当然モモンガ達の世界に住まう竜では無く、スタンク達の世界に住まう竜のモンスターたちだ。さらに言えばこの世界においても龍種に数えられるようなレベルではなく、亜竜と呼ばれるワイバーンの一種らしい。

 

「ま、でもこれだけ量があれば、素材として普通にこっちで売り払っても、結構な実入りになるって」

 

 そう言う弐式炎雷にモモンガは頷く。確かにこれだけあれば、かなりの金額になるはずだ。

 モモンガ達がこの毒竜達を仕留めていったのは、食酒亭で張り出されていた『沼地で大量発生した毒竜の討伐』という冒険者向けの依頼の中で一番高額のモノを、奪うように捥ぎ取ってきたからだ。

 それもこれも前回の結婚式プレイで多大な負債を負ってしまった為に。

 今回扉を通ってきたメンバーは、モモンガに弐式炎雷。それにヘロヘロに音改。素材売却の為に音改に協力を頼み、ヘロヘロも暇だからと付いて来てくれたのだ。ペロロンチーノはペロロンチーノで、別のグループに混じって少しづつ返済しているらしい。

 

「それじゃあ、とりあえずこの毒竜の肉を依頼者に届けにいこうか?」

 

 毒竜の肉はその特性から、食用として流通させることが出来ない。出来ないのだが、今回の依頼を出してきたこの沼地に生息する人々は、この毒竜の肉を無毒化させる術を知っているらしい。

 予めその情報を得ていた音改は、肉と引き換えに、換金できるこの沼地に生える毒草などの素材と交換する取引を、依頼者と交わしていたらしい。

 流石商売人とモモンガ達は感心したのだが、音改自身はこんなのは交渉の内にも入らないと笑っていた。

 

「さて、一回依頼達成報告に食酒亭に戻ったら、どこ行こうか?」

 

 弐式炎雷が当たり前の様に提案してくる。数えるのも億劫なほどの毒竜を仕留め解体したと言っても、モモンガ達からすればさほどの手間では無かった。移動の時間も魔法で節約できるために、扉を通ってからまだ三時間程しか経っていない。

 行こうと思えば、そしてお店が良ければ、ダブルでも、トリプルでも楽しめちゃう時間はあるのだ。

 その事を想像し、思わずモモンガ、弐式炎雷、ヘロヘロの顔がだらしなく歪む。

 この毒竜の素材を換金すれば、建御雷達に返す分(別に一括で返す必要は無いと言って貰えている)を除いても、かなり手元に残る。

 資金も時間も十分なのだから、色々知ってしまった今のモモンガ達がNPCには見せられそうに無いだらしない顔をしても、まったくしょうがない事なのである。

 

「ああ、お店に行く前に、一つ付き合ってほしい場所があるんだけど、いいかな? ちょっとした買い物をしたくてね」

 

 音改がそう提案してきた。その彼の提案に、モモンガ達に異論がある筈も無い。今回の最大の功労者は間違いなく音改なのだから。

 そう伝えると音改はやはり嬉しそうに、それでも異形の表情ながら、どこか悪戯っぽく笑ったのだった。

 

 

 

 

 

 

「ククク、お集まりいただいた紳士諸君。大変お待たせしました」

 

 燕尾服に身を包んだ人間の男が、壇上でオークションハンマーを振り下ろす。

 コンコンと硬質な音が、薄暗い講堂に響き渡る。

 

「では、取引を始めるとしましょう。―――闇オークションの……開催ですッ!」

 

 エルフの、これまた燕尾服に身を包んだ男が、そう開催を宣言する。

 その男二人の背後の壁に、水晶から投影された動画が映し出された。

 

『あんっ♡ あっ……ああっ! ああああぁ~♡』

 

 ……すなわち、サキュバスムービーが。

 

「じゃあ、一本目いくぞー」

 

「ルールはいつも通り。欲しいやつは入札価格を言うんだぞ。五分の間誰も名乗らないと次に行く」

 

 一瞬でいつもの砕けた感じに戻ったオークショナ―、燕尾服に身を包んだスタンクとゼルが、手早くサキュバスムービーオークションを始めていく。

 

(音改さんが買いたかったのって、これか……)

 

 ゲスト扱いらしく、オークションが開催された講堂の最前列に座るモモンガが思わず顔を骨の手で覆う。

 記録水晶によるサキュバスムービーの存在はモモンガも当然知っている。

 むしろ訪れたお店で得たその記録水晶がギルドの女性メンバーに流出したおかげで、過去に大きなトラブルが起こっている。その為モモンガは若干苦々しく、そのサキュバスムービーを眺めていた。

 

「300!」

 

「500!」

 

「750ッ!」

 

 オークションに参加するこの街の住人たちが、次々に何か札を上げながら、ビッドしていく。モモンガにもあらかじめビッドする際に使えと、札が渡されていた。

 ちらりと過去に、この様なオークションが開催されていると、モモンガはゼルから聞かされていた。しかし聞いていた話では、会場は小さな貸倉庫などで行われているはずだった。それが急に、それ程広くは無いが、なぜそれなりに手入れの整った会場を用意したのだろうかとモモンガは首を捻る。よく見ればスタンク達の着ている燕尾服、あれはユグドラシルの装備では無いだろうか。

 そう、ちらりと隣を確認する。

 そこには満足そうにオークションの進行を眺める、これまたユグドラシルの燕尾服に身を包んだ音改の姿。

 

(絶対一枚噛んでいますね、音改さん……)

 

 弐式炎雷もヘロヘロも戸惑っている中、一人だけこの落ち着きようである。噛んでいないはずが無い。

 

(まあ、音改さんが楽しそうならいいか―――ふむ?)

 

「次の商品はこれだ。『二人合わせて千年紀(ミレニアム)! エルフ母娘のエロり旅!』」

 

 顔立ちの似ている二人のエルフが、互いに絡み合った映像が映し出される。瞬間、会場にどよめきが起こった。

 

「ゲッ! またババア映像か! 人間は、本当いい加減にしろ!」

 

 タイトル通りならば、この二人のエルフは母娘で、しかもその年齢は二人合わせると千歳を超えるという事なのだろう。

 魔力で感じる事はあっても、魔力を感じる事の無いモモンガには、普通に容姿の整ったサキュバス嬢にしか見えないのだが、どうもこの世界では年増エルフを有難がる種族は僅からしい。

 出品したと思われる人間が一人、肩を落としているのが見える。

 モモンガはその姿を小さく笑い、初めて札―――パドルを掲げた。

 

「500」

 

 そうモモンガがビッドすると、会場が一気に静まり返る。

 予想以上のその反応に、モモンガは少しだけ後悔した。別に人間の男を助けようと思ったわけではなく、折角オークションに訪れたのだから、手ぶらで帰るのも勿体なく、尚且つ年増らしいエルフモノなら安く落札できるだろうという目論みからだ。

 

「嘘だろ……? モモンガさんって、ああいうのでもいけちゃうの?」

 

「いや、でも、確かに。あの人のレビューって結構なんでもありだったような?」

 

「いや、あの母親って部分に惹かれているのかもしれない」

 

「だからって、アレは……なぁ?」

 

 散々な言われようである。

 なまじスタンク達と行動を共にする機会が増え、様々な高難易度依頼をこなしつつ、レビューもスタンク達に混じって一緒に酒場に張り出しているために、妙に知名度が上がってしまっていた。

 

「……やれやれ」

 

 気恥ずかしさを覚えたモモンガは、そう言って軽く肩をすくめてみせる。

 

「私からすれば、たかが千年、二千年の歳の積み重ね程度で、彼女達を忌避するお前たちの感性の方が理解出来無いのだがな」

 

 そう超越者(オーバーロード)らしく言ってみる。

 ぶっちゃけこの場に居る長命種のモノからすれば、モモンガの実年齢など子供のようなものだろうが、何とか周りは納得してくれたらしい。「なるほど」「流石だ」「マナが腐りきって骨になってる人は言う事が違うぜ」などといった声が聞こえてくる。

 なんとか誤魔化せたとモモンガは胸を撫でおろし、落札を告げるハンマープライスの音を内心ドキドキしながら待つ。

 勢いでビッドしたが、こんな衆目の前でエッチなサキュバスムービーを落札するというシチュエーションが、少し恥ずかしくなってきたのだ。

 

「750」

 

 早く終わってくれと祈るモモンガを裏切る、競合者の出現。声に横を向けば、そこにはパドルを掲げた弐式炎雷の姿。

 

(競合されたー!?)

 

 モモンガの視線に気付いた弐式炎雷が、頭巾の下で小さく舌を出した気がした。勿論キャラメイクに拘らなかった彼の素顔ではそんな真似は出来ないのだが、これだけ付き合いが長くなると、そういった機微も読み取れるようになる。

 よく見ればサキュバスムービーのエルフ二人は、長い黒髪だ。胸も大きい。弐式炎雷の好みに一致したのだろう。さらに言えば、安くお土産が手に入りそうだという、モモンガと同じ目論見も有るはずだ。

 

「1000」

 

 それならばと、モモンガも上乗せをする。瞬間、弐式炎雷も驚愕した様にこちらに勢いよく振り返ってくる。

 

「1200っ!」

 

 いやいや、モモンガさん。別にエルフが好みって訳じゃないでしょうと頭巾の下からそう表情で何度も伝えてくるが、弐式炎雷はそんな機微を表現できる素顔をしていない。だが、さらに上乗せをしながら伝えてくる。

 

「1600っ!」

 

 最初にビッドしたのは私なんだから、ここは弐式さんが降りて下さいと骨の顔で伝えつつ、モモンガも引かずに上乗せしていく。1500でも良かったのだが、争うつもりは無いと、一気に1600まで値を上げた。

 徐々にだが、確実に値をモモンガと弐式炎雷は吊りあげていく。年増エルフモノをめぐるオークションとは思えない熱の入り方だ。

 しかしその値上げ合戦は、たった一言のビッドによって、更に熱を帯びていくこととなった。

 

「5000」

 

 そう言って一気に三倍以上に跳ね上がったビッドに、会場が再び静まり返り、一瞬遅れて理解できないように会場がざわつく。

 その過熱ぶりに、しかも年増エルフモノにだ、オークショナ―であるスタンクとゼルの進行も止まる。

 

「どうしたかな? オークショナ―、5000とビッドしたんだ。進行を続けていただきたい」

 

(口調まで違う!?)

 

 モモンガが戸惑いつつ、悠然とパドルを掲げた音改を見る。

 

「あー、音改? 今回のスポンサーのお前にこういうのはあれなんだが……」 

 

「その値段、エルフモノならぶっちゃけ新品で買えるぞ?」

 

 スタンク、ゼル。両名の忠告のようなものを受けても、音改は余裕の態度を崩さず、悠然と頷くだけだった。

 

「それだけの価値を、私が見出したのです。これ以上の説明が必要ですか?」

 

 アインズ・ウール・ゴウン唯一の大商人の言葉に、オークショナ―の二人がゆっくりと頷いた。

 

「……わかった。ならこれ以上は何も言わない。……5000だな? お前らも構わないな?」

 

 そう言ってゼルが、元々争っていたモモンガと弐式炎雷を見比べる。勿論これ以上のビッドをするつもりは、少なくともモモンガには無かった。

 なぜなら5000Gという金額は、ショートコースならほとんどのサキュバス店に行けてしまうし、魔法都市まで足を延ばせば、三日もデミアを好きに出来る金額なのだ。

 

「それじゃあ、決まりだな。5000で―――」

 

「―――6000」

 

 ハンマープライスを告げるべく、木槌を振り上げたスタンクを遮ったのは、これまで一言も言葉を発しなかったヘロヘロ。

 そのヘロヘロに、初めて音改の余裕のポーズが崩れた。

 

「ヘロヘロさん!?」

 

「6000です。6000とビッドしました。さあ、オークショナー。進行を続けてください」

 

 短い触手の手を組むヘロヘロに、モモンガは違和感を覚える。なぜならこのサキュバスムービーのエルフの二人は黒髪で、彼の好みたる金髪縦ロールとはかけ離れているからだ。

 

「7000」

 

 音改がさらにビッドする。

 

「8000」

 

 間髪入れずにヘロヘロが応える。先程モモンガと弐式炎雷が行っていた値上げ合戦が惨めになるほどの過熱っぷりだ。

 その二人の姿が、理解できないとモモンガは頭を抱える。

 今回の毒竜の討伐で、かなりの現金収入を得た。だからと言って二人が告げる金額は、普通にお店に行けちゃう金額なのだ。

 いくら希少なサキュバスムービーとはいえ、新品で手に入るものに、ここまでの値段を付ける理由が分からない。

 そもそも、こんな会場にオークショナーの装備まで用意し、サキュバスオークションのスポンサーになった音改の目的は何だ。

 

(……もしかして……?)

 

 モモンガに一つの考えが浮かぶ。

 恐らくだが、音改は純粋にオークションを楽しみに来たのでないのか。そのために、全力で準備をした。それは前回、結婚初夜プレイで散々散財をしたモモンガにも分かる理由だ。

 

 仲間と共に、楽しみたい。

 

 それは、この世界を訪れるモモンガの最大の目的でもあるのだから。

 

「15000ッ!」

 

 その考えに、弐式炎雷も至ったのだろう。さらに値段を吊り上げる。そう、仲間と共にオークションを楽しむ為に。

 勿論、魔導国でもオークションを開催することは出来る。これとは比べ物にならないほどの規模のモノを。

 だが、それを支配者であるモモンガ達ではどうやっても楽しむことは出来ない。支配者たるモモンガ達に競合してくるようなものは、あちらには居ないし、仲間内で行うにしても、NPCの目がある。その音改の想いを、ヘロヘロはいち早く理解したから、彼に競合したのだ。

 音改のすべてを理解したモモンガは小さく笑う。

 事前に伝えなかったのは、本気でオークションを楽しむためなんですねと。

 だからモモンガは、全力で楽しむべく、一度は降ろしたパドルを再び掲げた。

 

 そして告げる。モモンガの全力を。

 

「30000」

 

 

 

『闇の競売 サキュバスムービーオークション』

 

 

◇オーバーロード モモンガ

 

 少し過熱しすぎてしまいましたが、とても楽しく参加出来ました。

 事前の討伐依頼で得た報酬の殆どを使い切ってしまったのですが、それに見合った価値はあったと思います。

 やはり、こうして皆さんと普段出来ない、ユグドラシルでも出来なかったことが出来るのは、とても嬉しく、そして楽しいです。

 私が落札したサキュバスムービーは、第九階層の娯楽室に増設した個室に置いてありますので、興味のある方は自由に楽しんでください。

 ただし、NPCの目には気を付けてくださいね?

 

 

◇ハーフゴーレム 弐式炎雷

 

 ……やり過ぎた。

 前回の負債も返済が終わっていないのに、今回の報酬の取り分を殆ど突っ込んじゃったよ。

 しかも後半はもうサキュバスムービーの内容より、どれだけ落札するとかの方に熱中したから、意味不明な記録水晶が山の様に……。

 この99%ケモノの獣人モノとか万一ナーベラルに見られたら、俺は生きていけない。

 いや、アナウサギって年中発情期の獣人がずっと気になっていたから落札したんだけど、これもうケモノっ子じゃなくて、ただのケモノにしか失礼だけど俺には見えない。

 このサキュバスムービーに40000Gも使ったのかよと思う度に、泣きそうになる。種族的に泣けないけど。

 あと建やんに、めっちゃ馬鹿にされた。悔しい。

 

 

◇古き漆黒の粘体 ヘロヘロ

 

 色々と、普段こちらでは出来ない事を、体験させてもらいました。

 とても楽しくオークションに参加する事が出来ましたよ。

 でも今のキモチは、バカみたいに課金してガチャを回して、その時の興奮が冷めたあの時にそっくりです。

 ……どうしましょう、これ。

 可愛いなって思って落札した猫系獣人の発情音声ムービーとか、女の子の裸すら出てこない……。

 ニャーニャー鳴いているのはサンプルで流れた最初の五分だけだと思ったんですけど、二時間ずっと色んな種類の猫系の方が鳴いているだけです。二時間ずっとですよ? それも、服を着たままですよ! 何に使うの、これ!

 他にも完全粘体種族のレズサキュバスムービーとか、私には理科の実験風景にしか見えない……。アメーバーの分裂と何が違うんだ、これ……? 

 異世界の、様々な種族のエロいお店があるって事は、それだけ様々な性癖があるって事なんですね……。

 マニアック系のムービーばかり、いやレアではあるんでしょうけど、落札してしまって、ただ今プチ凹み中です。

 

 

◇大商人 音改

 10

 初めて参加したオークション。

 悠然と、周りが静まり返る様な高額ビッド。これがやってみたかったんだ。

 また一つ、夢が叶った気がする。

 ユグドラシルは、いまいちそっち方面が弱かったからね。運営的には出来るだけ未知は自分達で見つけて欲しいって方針もあったんだろうけど。

 今回全員で沢山サキュバスムービーを落札して来たからさ。あまのまさんに協力して貰って、観賞用の個室をこっそり設置してみた。リアルであった個室ムービー店みたいで、結構いい出来だと思う。

 サキュバスムービー集めだって、ユグドラシルのデータクリスタル集めみたいで、ちょっとワクワクしてこない?

 並べたサキュバスムービーの水晶を眺めつつ、俺はそんな事を思いました。

 

 

 

 

 

 

 余談だが、この日を境にギルドのメンバーに元々あった収集癖に火が点き、ギルドアインズ・ウール・ゴウンは、膨大な量のサキュバスムービーを保有する事になる。

 ギルドのメンバーが様々な手段でサキュバスムービーを得ていき、その金で潤った異世界の男たちがサキュバス店を巡り、スタンク達が拠点とする街のサキュ街が更なる発展をしていく。

 

 その膨れ上がったサキュバスムービーが、当然だがギルドの女性陣に見つかり、新たな事件をナザリックで巻き起こすのだが、それはまた、別の話である。

 




アニメ一話、とても素晴らしかったです。
個人的に一番興奮したのはEDの、サキュ嬢たちのハッスルタイム。エロい。

はやくオキニのデミアさんが登場してほしい。

あと前回書き忘れたのですが、デスアビス様が普通にデカかったことにビビった。
あれホログラム的な魔法だと思っていたのに。

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