至高のレビュアーズ   作:エンピII

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※注意!
 このお話のアルベドは、「モモンガを愛してる」けど他のギルメンはぶっ殺す状態から、すったもんだした後に色々あって、「モモンガを愛してるけど他の至高の御方に対する忠誠心も取り戻したよ!」状態という非常に都合のよいものです。あらかじめご了承下さい。


性転換の宿屋&おかしらのアジト 前編

『性転換の宿屋』

 

◇オーバーロード モモンガ

 

 受付で性転換薬を飲み女体化、またはその逆を楽しむお店ですね。ゼルさんレビューでも紹介されていたので、ご存知の方も多いかと思います。

 まあ、結果は予想通りですね……。薬の効果はユグドラシルのポーション等と同じく浴びても効果はあるそうなんですが……。私達異形種が楽しむには、やはりなかなか難しいお店であるとしか言えません。勿論効果がある方も居ると思いますが。

 今回一緒に行ったメンバーでは、ペロロンさんだけはしっかりと変化していましたね。あのペロロンさんが見た目だけは完璧に女の人になったのは驚きでした。食酒亭のウェイトレスさんと同じような感じでしたよ。それと女体化したペロロンさんの顔は、何処かで見覚えあるような?どこだろう?

 お店自体はペロロンさんのはしゃぎっぷりからして、自身の種族をよく吟味してから行けば、楽しめる人には楽しめるのかなーって印象です。

 女体化もしてないのにこの宿屋でサキュ嬢さんを呼ぶのも抵抗があったので、ペロロンさんの薬の効果が切れるまで外で待っていようという話になったのですが、外に出してもらえませんでした。女体化したままでの外出は禁止との事。なら出られるのではと受付の子に尋ねると、こう言われました。

 

「骨格が女性に変化したままじゃないですか!申し訳ありませんが部屋にお戻りください!」

 

 ……俺はそういう変化かよ!

 まあ、私にも効果がある強力な薬であることは証明されたのですが、それよりも女体化したペロロンさんの「折角だから俺が女の子になる瞬間(ロストバージン)を見て行って下さい」という発言の方に驚かされました。

 普通にドン引きだよ、ペロロンチーノ!

 

 

 

◇バードガール? ペロロンチーノ

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 とても面白いお店でした!

 薬を飲むまでは、ユグドラシルプレイヤーの俺達にも効果があるのか疑問でしたが、飲んでビックリ!確かな効果!徐々に変化するのではなく、ドロンッと一気に変化するのが面白いですね。

 そして俺はこの異世界で運命的な出会いをしました。提携しているサキュバス店から来ていただいた、ハーフリングのピルティアちゃんです!

 悪戯っぽい笑顔がとても印象的な可愛らしい子ですよ!おススメですけど、俺以外は指名しないで下さいね!

 もうピルティアちゃんの何がすごいって、プレイ中の力加減も絶妙で

「ペロロンさん、始めてなのにこんなに感じちゃって……。ふふ、とってもエッチな女の子ですね」

 と、こんな感じで終始いじめて貰えるところです!

 いや、しかし。女の子の肉体って、あんなに気持ちいいんですね。TSでよくある「嘘……。俺男なのに、こんなに感じちゃうぅ!」が体感できます。これって俺が女の子になって、総排泄腔に変化したからなのかな?処女膜が無いのはラッキーだったのか、それとも貴重な経験が出来なかったと嘆くべきなのか。うーん、よくわかりません。

 唯一残念な所は、この薬の効果が出ている間はお店の外に出れない事と、お薬を販売して貰えない事ですね。あ、二つだ。

 でもいつかこの薬を手に入れて、同性経験豊富なシャルティアに色々苛めて貰って、最高の百合百合プレイをナザリックで楽しみたいと思います!

 

 

 

◇ハーフゴーレム 弐式炎雷

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 予想通りだけど、俺だけガチで性転換薬の効果が出なかった。いや俺、ゴーレムだけどハーフだよ?

 今さらながらユグドラシル正式サービス開始時に、もう少しアバターの外装を拘っておけば良かったと悔やまれる。あの時はスタダしたかったのと、どうせ装備で見えなくなるから拘らなくていいやって思ったんだよ!

 まあでも、友人が女体化するのは笑えるよ。あのペロロンさんがいきなり美少女に変化だからね。今度は建やん連れて行こうと思った。そういう楽しみ方があるって事で、この点数かな?性転換薬+宿屋代だけなら、そんな高くないしね!

 あとペロロンさんの女体化。顔と声に見覚えと聞き覚えがあるなって、ずっと引っ掛かってたんだけど、今ようやく思い出した。あれ茶釜さんだわ……。ピンクの肉棒の方じゃなくて、オフ会で見たリアル茶釜さんの方だよ。あの人に鳥の翼が生えた感じ。

 姉弟だから女体化すれば似てて当然なのか、それとも違う理由で似ていたのか、ちょっと考えるの怖いな……。なんか触れちゃいけないペロロンさんの心の闇を知りそうで……。

 あと最後に、ペロロンさん。「折角だから俺が女の子になる瞬間(ロストバージン)を見て行って下さい」は普通に引く。

 

 

 

◇古き漆黒の粘体 ヘロヘロ

 

 あの、私。性転換飲んだらピンク色の粘体に変化したんですけど……。

 ピンク色が粘体女性の証なんでしょうか?だから茶釜さんもピンク?いや、あの人は自分で選んでピンクですしね。

 色は変わりましたが、ぶっちゃけそれだけです。

 これは推測ですが、私を含め種族的に無性の異形種は、その精神によって性別が決められているんだと思います。ピンク色になったのも、私がピンクが女の子の色というイメージを抱いているからだと。だから茶釜さんがこの薬を飲めば、同じ粘体でも茶釜さんが男らしいと思う色に変化するかもしれませんね。

 要するに私たちでは精神が男性である限り、多少肉体に変化が起きた所で普段と変わらないって事ですね。

 やはり性転換というからには、ペロロンさんぐらいの変化は欲しいです。

 なので色が変わっただけで、それ以外はいつもと変わりませんので、特に性転換対応のサキュ嬢さんを呼ぶ気にもならず、そこまででした。友人の変化を楽しむというのはアリですけど。

 あと、これだけは伝えておきます。「折角だから俺が女の子になる瞬間(ロストバージン)を見て行って下さい」は流石に無理です。

 

 

 

 

 

 

「どうしよっか?もう一軒行く?」

 

 弐式炎雷が、傾きかけた太陽を眺めつつポツリと言う。モモンガもその傾きかけた日に視線をやってから頷く。

 

「リミットにはまだ余裕ありますね。サキュ嬢さんを呼んだのはペロロンさんだけですから、お金の方も余裕がありますし」

 

「よし。ヘロヘロさんもそれでいいか?……ペロロンさんは二戦目になるけど、行ける?――あ、このいけるは変な意味でのイケるじゃないぞ?」

 

 確認する弐式炎雷に、妙につやつやしたペロロンチーノが仮面越しに微笑む。

 

「勿論イケます」

 

「ペロロンさん、今変な意味のいけるで答えませんでした?ああ、私も不完全燃焼なので問題無いです」

 

 昼過ぎに性転換の宿屋に入り、女体化経験を終えた男たちがごく自然に二件目の相談を始める。今回は女体化が上手くいかなかった事も有るが、少し前まではサキュバス店に入店する事すら恥ずかしがっていた男たちが、随分と余裕を見せる様になっていた。

 

「朝帰りは流石にNPC達も心配するだろうし、入る店はさっくり決めちゃおうか?」

 

「あ、それなら私行ってみたいお店があります。レビューもあったので、皆さんもご存じだと思いますが」

 

「ゼルさんレビューですか?」

 

「ええ、私はあそこのゼルさんとクリムさんのレビューを参考にするとほぼ外れ無しですので」

 

「俺は魔力とか分からないしさ、スタンクさんだなー。あとカンチャルさんか。……食酒亭は偶に行くけど、未だに会えないんだよな、あの人たちに」

 

「クリム君には会えますけどね。俺はそれで充分です」

 

「俺、ぶっちゃけあの人達のレビューをユグドラシル時代のニャル測よりあてにしてる。やっぱ他のレビューチームより安心感があるよ」

 

「ですねー。……あ、もう着きましたね」

 

 雑談をしながらモモンガを先頭に歩いていた男たちは、一つのお店の前に辿り着き、その看板を見上げる。

 看板には海賊旗に書かれるような髑髏のイラストと共にこうあった。

 

『イメージサキュバス店 おかしらのアジト』

 

 

 

 

 

 

「あー、アインズ――いえ、くふふ、モモンガ様!あー、モモンガ様!モモンガ様!モモンガ様!」

 

 アルベドは奇妙な声を上げながら跳躍する。パタパタと腰から生えた翼をはためかせ、速度を殺しながらモモンガのベッドにダイブする。

 

「私の愛しのモモンガ様!もうすぐ、もうすぐ全ての些事を終え、貴方様のアルベドは本当の意味で、モモンガ様だけのアルベドにー!」

 

 アルベドはモモンガのベッドの上でゴロゴロ転がりながら、奇妙な声を上げる。

 魔導国による全世界の支配体制は、ほぼ完了した。各国に対する魔導国主導とした法の改正などまだまだやることはあるが、一度帝国で経験済みの事だ。それほど時間は掛からないだろうし、法整備が終われば、あとはアルベド抜きでも上手くやるだろう。

 

「今度のご褒美で、モモンガ様と、くふふふふふふー」

 

 アルベドは特別に第三者の居ない場所、至高の御方々しか居られない場所であれば、アインズでは無くモモンガと呼ぶことの権利を、既に褒美として受けていた。

 

「……そうよね。そろそろ私とモモンガ様の式場の手配をしないと。それに座席順も考えないとよね。……至高の御方が最前列なのは確定として、どう座って頂こうかしら?やはりお付き合いの長い最初の九人に連なる方々から座って頂こうかしら?……いえ、至高の御方はモモンガ様を含め、全員が同格であらせられるのだから、そこに順序を付けては駄目だわ」

 

 アルベドの声は非常に悩まし気なものだが、浮かべる表情は幸せそのものだ。

 

「……デミウルゴス、いえ、お父様に相談するべきね。ああ、ごめんなさい、姉さんにルベド。お父様がお持ちになる個人資産の全ては、私とモモンガ様の結婚式で底を突いてしまうかもしれないわ。くふふふ、駄目な妹を、姉を、許してちょうだい」

 

 そう言うアルベドの顔はとても許しを請う者のそれではない。

 

「あー、幸せ。もっと働きたいー。もっと働いて、はやくモモンガ様と一つになりたいー」

 

 アルベドはモモンガの枕に顔を埋めつつ、足と羽をバタつかせる。

 アルベドとしては昼夜関係なく働き続け、早々に支配体制を完了させたいのだが、長時間の労働は固く禁じられている。魔導国の労働時間は管理者であろうとも厳しく定められているし、それを守らせる立場であるアルベドが、自分の欲望の為に定められた労働時間を逸脱するわけには行かない。基本休憩込みの九時~十七時である。正直この制度はナザリックのシモベ達には不評だが、至高の御方達は頑として譲らないのでしょうがないのである。

 

「あー、やっぱり仕事終わりはこれよねー。くふふふー、あーモモンガ様の匂いがするー。く!くふふふふふふぅぅぅ!」

 

 アルベドは枕に顔を埋めたまま、大きく呼吸を繰り返す。

 デミウルゴスはモモンガ様はベッドを使われないのではなんて言うが、彼は知らないのだ。我らが主人は夜はベッドで本をお読みになられたりで、頻繁に横になられている。これは一時期あったアインズ様当番を仰せつかった一般メイド達からも確認が取れている。きっとその習慣は、その当番が十七時以降は禁止になった今でも続いているだろう。

 そう、モモンガは今でもこのベッドで横になっているのだ。

 

「う、ん?」

 

 枕に顔を埋めていたアルベドは唐突に顔を上げる、

 

「……この匂いは……?」

 

 ベッドから香るのは、アルベドのみが嗅ぎ分けられるモモンガの微かな匂い、そしてアルベド自身の香り、アルベドが使用する香水の香りだ。それらの匂いに紛れ、微かな、ほんの微かな違う香りがある事にアルベドは気づく。

 

「メイドの子かしら?……いえ、違うわね」

 

 ベッドメイクを担当する一般メイドが、主人たる至高の御方が眠るベッドに、匂いが残る程強く香水を噴きかける事はしないだろう。いや、そもそも使用しない筈だ。

 ならばこの匂いは何処から来たのだろうか。強い香りでは無い事から、アルベドの様に誰かが、モモンガ以外の誰かがこのベッドで眠ったという事は無い。あるとすればモモンガの体や装備に誰かが抱きつくなどで移った香りが、このベッドにも移った。そのくらいの微かな匂いだ。

 

「……シャルティアね。まったくあの子も、ペロロンチーノ様からあれほどのご寵愛を受けておきながら、未だにモモンガ様を諦めてないのね」

 

 それも無理もないと思う。それほどモモンガが魅力的という事だ。他の至高の御方に対する不敬と分かっていても、そう思ってしまうのは仕方がない事だ。

 シャルティアならば、モモンガに抱き着き、その匂いを残すこともあるだろう。そうアルベドは自身を納得させる。

 だがしかし、シャルティアがこの香りの香水を付けていた記憶はアルベドには無いし、この香りは彼女の趣味からも外れている気がする。

 

「……シャルティア……よね?」

 

 そうぽつりと呟くアルベドの瞳には異様なほどの硬質な輝きがあった。

 




NPCに応えるために経験詰もうから、サキュバス店にハマった今の至高の御方は色々酷いと思います。でも、覚えたてだから、ハマっちゃうのさ。でも正直ゲスい。
モモンガさん、お風呂には入ってるだろうけど、帰りのお別れのハグとかで匂いが移った装備のままベッドで横になってるんだと思う。
神話級の魔法の装備に匂いが移るのかは、知りません。

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