至高のレビュアーズ   作:エンピII

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魔導士デミアプロデュース本店 後編

「お兄さん、スッゴイ魔力ですね!モテるでしょうー?」

 

「も、モテるなんて、そんな事ありません!」

 

 ぶんぶんと骨の手を振って否定する彼に、思わず私は笑ってしまう。

 

「フフフ♪ほんとかなー?」

 

 そう言って私は骨の体をベッドの上に押し倒した。大した抵抗も無く押し倒された彼の腰骨に跨り、肋骨に手を添える。

 

「……あ、あの、デミアさん?しゃ、シャワーとかいいんでしょうか?」

 

 狼狽えたように、いや、本当に狼狽するアンデッドのお兄さんに優しく微笑んで、頬骨に私の頬を触れさせる。

 

「あっ!」

 

 見た目に反し、本当に反応が良くて、そして可愛い。

 

「シャワーを浴びる前から、こうやってエッチなお店の女の子に押し倒されたの、初めてじゃないでしょう?」

 

「は、はい」

 

「お兄さんの魔力にアテられたら、魔力が強い子なら我慢出来無くなっちゃいますよ♪」

 

「そ、そういうものなのですか?……あっ」

 

 スルスルと衣服を脱ぎ捨て、骨の体を擦りながら軽く魔力を同調させる。骨の体でそう表現していいのかわからないが、私の魔力が彼の体内で循環し、快感に変わっている頃だ。

 

「あああっ……!」

 

「フフ、いっぱい気持ち良くなってくださいねー♪」

 

 そう言って魔力の同調を強める。深く、深く、奥底に。彼が意図的に抑えているだろう魔力の深淵に潜り込ませていく。

 ああ、本当に凄い。今まで感じた事の無い、とんでもない魔力だ。

 恐らく今まで彼の相手をした子達は、上澄みの魔力を感じ取っていただけだろう。この本質の魔力には、触れてこなかったはずだ。普通の子がこの魔力に触れてしまえば、気が触れるか、さもなくば壊れてしまうだろう。

 この魔力は、死、そのものだ。

 

「あ……っ♪私もお兄さんの魔力にあてられてぇ、どうにかなっちゃいそぉ♡」

 

 今まで感じたことの無い溢れ出る死の魔力の奔流に、身悶える。狂いそうなほどの快楽に快感だ。制御できているのは、私だから。

 ああ、デコイじゃなくて、本体で相手をすればよかった。私は本心から、そう思っていた。

 

 

◇オーバーロード モモンガ

 10

 大魔道士デミアさんプロデュースのお店、その本店にお邪魔してきました。

 本当に凄いです。魔力操作の技術のレベルが断然違います。今まで感じたことの無い、何と言えばいいのでしょうか、深い所まで弄られて、混ざり合って、そんな感じです。

 魔力が強い子とのプレイは何度も体験しているのですが、これはまた一味違いますね……。

 アンデッドの特性ゆえに、あまりに快感が強すぎると私は精神抑制が働いてしまうのですが、デミアさんにかかるとそのギリギリのレベルで責め続けてもらえます。人間だった頃を思い出して表現すると、その、達しそうな、一番気持ちいい状態を、ずっと維持され続けるというんでしょうか?

 本当にものすごいですよ!たぶんこれ、私が人間のままだったら狂っていたでしょうね。こんな快感をずっと味わっていられるなら、アンデッドでも良かったなと、そう思ってしまいました。

 それだけでも満点ですが、何より三日という時間が素晴らしいです。

 デミアさんは魔法都市の観光ガイドも出来るそうで、あちこち案内してもらいました。魔法図書館とか、こちらの魔法使いが沢山いて、なかなか見ごたえありましたね。

 興味を持たれた方は、是非私に声を掛けて下さい。<転移門(ゲート)>でご案内しますよ!

 

 

 

 

 

 

「ふむふむ、デコイ魔法ってのは普通は単純動作しかできないんだ?」

 

「ですです。こうやって会話できるレベルのデコイを作れちゃうのは、私が世界最高位の魔道士だからですよ」

 

 そう言ってベッドに腰掛ける、顔すらも頭巾で覆った彼に胸を張る。

 一般的なデコイと私との違いを問われ、簡単に説明すると、納得した様に何度か頷いている。

 目の前に居るのに、気配が恐ろしく薄い。怖いくらいだ。

 

「でもぉ、お兄さん魔法使いじゃないですよね?デコイ魔法に興味あるんですか?」

 

「ん?ああ、そうだね」

 

 種族すら分からない彼が頷く。そして―

 

「きゃっ!」

 

「俺も、分身が得意なんだ。魔法じゃないけどね」

 

 声と共に、背後から腰を抱かれた。彼は当然目の前にいる。驚いて振り返ると、そこにはもう一人の彼。

 

「じゃじゃーん。俺も分身体です。俺忍者だからさ」

 

「同一個体なら追加料金無しって所多いみたいだけど、ここも大丈夫?」

 

「不味いなら追加料金払うか、分身ひっこめるけど」

 

「というか、もう少し広い部屋取り直そうよ。俺だらけで狭い」

 

「この狭さが良いんじゃないか!なんかAVみたいで!」

 

「俺にそんな趣味ないだろう?本当に俺か、お前」

 

 気配も、魔力も、何も感知することなく、無数の彼が部屋に溢れている。種族特性でもない。初めから居たのではなく、唐突に現れたのだ。魔力反応も、目の前に居る私に気配も感じさせずに。

 

「あんっ♡……お、お金はだ、だいじょうぶぅ……んんっ!……やだぁ……そんな、みんなに同時に触られたらぁ…あぁ♪」

 

 無数の手で触られ、弄られて、私は容易く絶頂に達してしまった。

 ああ、ニンジャって、すごいぃ!

 

 

◇ハーフゴーレム 弐式炎雷

 10

 いや、ヤバいよ、ここ。

 三日間、それでいてたったの5000G。

 何よりデミアさんのレベルがすっげぇ高い。普段の魔道士の服の時点で凄い。揺れるおっぱいとか、すんごいスリットの入った足とか。心臓無いのにドキドキする。

 そんな子を三日間独占出来るんだよ?ヤバすぎだろう、ここ。

 三日間も一緒にいるとさ、デミアさんもこっちの好みとか自然に把握してきてくれるし。ちょっと目を離したら裸ワイシャツに着替えてくれてた時は、マジで心臓が跳ね上がった。いや、心臓無いんだけどね。

 あと俺、おかしらのアジトでも思ったんだけど、いちゃいちゃするのが好きみたい。女の子を責めるのも好きなんだけどさ、ベッドでゴロゴロしながら、映画見たりとか、いや見てたのはサキュバスムービーだけど、そう言うのが好きだ。

 うわ、自分で書いてて気持ち悪いし、それ以上に恥ずかしいな。

 でもそういうプレイだって、三日もあると自然に出来るよ?

 不満だって、ここを知っちゃうと、次から別の店のレビュー評価が辛口になりそうだなって事くらいだよ!

 

 

 

 

 

 

「……ふぅむ。肉感的で妖艶な美女。素晴らしい」

 

「あははっ!ありがとうございますー」

 

 私をそう評価する、水を吸って大きくなった死体の頭にタコが取り付いたような彼にお礼を言う。

 

「お客さんは、なんていう種族の方なんですかぁ?」

 

「ああ、すまない。こちらには居ないのかな?私はブレインイーターだ」

 

 ブレインイーター。聞いたことの無い種族だ。そのままの意味で受け取れば、脳食いという事だろうか。

 

「教えてくれて、ありがとうございます!それで、お客さんはどういうプレイがお好みですか?」

 

 察するに脳を吸うのだろうか。そういう事が目的のお客さんも少なくはないし、そう言う事を売りにもしているので、問題は無い。だが返って来た答えは、私の予想を超えるものだった。

 

「……パパと、呼んでくれるかな?」

 

 彼の見た目からは想像も出来ない要望だが、私はにっこりと微笑んで頷く。

 

「パパですか?勿論良いですよ、パパァ♪」

 

 そう私が呼ぶと、彼はプルプルとタコの様な頭を震わせる。

 

「……素晴らしい。肉感的で妖艶な美女から、どこか幼い声でパパと呼ばれるこのギャップ。素晴らしい、素晴らしいギャップ萌えだ!」

 

「あっは♪褒めて貰って嬉しいなぁ♪」

 

 そう言いながら、彼の右腕を両腕で掴み取り胸で挟み込む。

 伝わってくる。彼が秘めた魔力もまた生物を超えた、神の領域。

 

「じゃあ、パパ♪三日間どう過ごすぅー?」

 

「ふふふふ、素晴らしい!アルベド達とはまた違う魅力に溢れているぅ!……決めた。私はこの三日間、キミを本当の娘として思って接し、全力で愛情を注ごう。愛だけでなく、私から与えられるものは、何でも与えよう」

 

「ええー?良いんですかぁ?」

 

「構わないとも。アイテムは……仲間達との取り決めがあるので、そう大したものは渡せないが、まあ、聖遺物級なら問題無いだろう。それに私はこれでも大錬金術師を名乗っていてね。知識も与えられるはずだ」

 

「すごーい、パパ♪」

 

「ふふふ、良いね。実に良い。……それで最後に、私からもお願いがあるんだが」

 

「うん!何でも言ってパパ!」

 

「三日間の終わり。キミが消える直前で構わない。……私との思い出が詰まったその脳を、最後に啜らせてほしい」

 

 うわー、レベル高い。それでも私はニッコリと笑うのだ。

 

「いいよぉ、パパ!それまで一杯愛してね!……それじゃあ、最初は私のおっぱい揉む?」

 

「……揉む」

 

 

◇ブレインイーター タブラ・スマラグディナ

 10

 愛娘と過ごす充実した三日間。

 愛を注ぎ、彼女もまた、その愛に応えてくれた。

 別れの三日目。

 愛娘デミアはゆっくりと目を瞑る。

 私はその彼女の耳元に、口をゆっくりと近づける。そして口元から伸ばした捕食器官でデミアの頭蓋に侵入して行く。

 彼女の体が震えた。恐怖だろうか、痛みだろうか。その答えも直知れる。

 捕食器官が、デミアの脳に達した。一際強く彼女の体が震える。

 両手でデミアの体を押さえつけ、私は啜る。

 私との思い出が詰まったその脳髄を、私は啜るのだ。

 啜るたびに伝わってくる。デミアの記憶が、感情が、想いが、この三日間、どれだけ私を愛してくれていたのか、が。

 愛娘が、デミアが、その命が、消えていく。

 私はその喪失感に涙し、同時に満たされた種族的欲求に、歓喜するのだった。

 

 あ、一応言っておくけど、普段はこんな事しないからね?そう言うロールだからね?

 まあ、それは良いとして。私が一番素晴らしいと感じたのは、デコイのデミア氏の記憶は記録されているって所だね。凄い。何が凄いって、通いつめれば、私との記憶がぱんぱんに詰まったデミア氏の脳を啜れるって事だよ。

 あ、もう一度言うけど。普段は本当にこんな事しないよ?

 

 

 

 

 

 

「きゃっ、あんっ♪せっかちですね♪」

 

 宿の個室に入るなり、私は粘体の触手に絡み取られる。

 

「す、すみません。このお店に来ることを、ずっと楽しみにしてたので!」

 

 興奮した様子の粘体が、足から這いずり私の体を取り込もうとしている。恐怖は勿論無い。ただ凄まじい快感が、彼の粘液からもたされる。その強烈な快感に、私は体を悶えさせる。悶えれば悶えるほど、彼は逃がさないとばかりに纏わりついてくる。

 

「……んもぅ、しょうがないにゃあ……あっ♪だいじょうぶですよぉー、私は逃げませんからぁ、ゆっくり楽しんでぇ♡」

 

「はっ、はい!そ、そうですよね。三日もあるんだから、ゆっくり楽しまないと……」

 

「んっ♪そ、そうですぅよぉ……あああっ!それ気持ちいいぃ♡……んっ、でもぉ、したいことがあったら、遠慮なく言って……んん……くださいねぇ」

 

「そ、それじゃあ、全身を取り込んで、溶かしても良いですか!?」

 

 小さな赤ん坊の様な可愛い粘体なのに、怖いことを要求してくる。でもそれ自体は良くある事だ。酸性系粘体のお客様は、たいてい最後にそれを望む。

 

「いいですよぉ!……んッ……あはっ……お客さんは私を一気に溶かしたい方ですか?それともぉ、ゆっくり溶かしていきたいぃ?」

 

「そ、その。……ゆっくり時間をかけて溶かしたいですぅ。でも平気ですか?苦しくないですか?」

 

 そんな事を望みながらもこちらを気遣う彼に笑う。

 

「大丈夫ですよぉ、私はデコイですから。……でも一度離してもらってもいいですか?んんん!……これだと、あ、すごい!……んッしゅうちゅう……できなぁいんっ♪」

 

「わ、分かりました!」

 

 そう彼が言ってから、ようやく解放される。私は演技では無く本気で荒くなった息を整え、魔法を本体からローディングする。

 

「対酸性抵抗力向上魔法完了……肉体再生魔法完了……対魔防御膜魔法完了……うん♪これで幾らでも溶かしてくれて大丈夫ですよー♪」

 

 幾重にも魔法を唱え、抵抗力を高める。

 

「で、では行きますね」

 

 デコイの私が使える魔法では無く、本体の私が唱えた最高位の魔法による防御だ。

 全身が漆黒の粘体に包まれる。

 私が今まで相手をしてきた粘体では、突破できない防御魔法。まずダメージも受けない。過剰、やり過ぎともいえるほどだ。

 それでも―

 

「あああ、デミアさん!大丈夫ですか!?デミアさ――――――――ん!」

 

 デコイの私の意識は一瞬で消えて、漆黒の粘体に溶かし尽くされた。

 

 

◇古き漆黒の粘体 ヘロヘロ

 10

 すっごいんです!このお店、すっごいです!

 NG無しで、たったの5000G!このコストパフォーマンスは凄いとしか言えません!

 だって5000Gで何でもやりたい放題なんですよ?

 こ、この三日間で何と八回もデミアさんをおかわりしちゃいました!は、恥ずかしいぃ!

 おかわりするたびに、デミアさんの記憶も受け継がれているので、どんどんお互いの事がわかって行って、すごい充実感があります。

 デミアさんもおっぱいがとても大きくて、綺麗な金髪で、その辺りもソリュシャンと同じ特徴で、本当に楽しかったです。あのデミアさんが溶けちゃう瞬間の目、ソリュシャンみたいなレイプ目で、ああ、本当に堪りませんでした。

 これは病みつきになってしまいます。

 ただ、このお店にハマって、いや、十分ハマってますけど、慣れ過ぎちゃうとかな?酸性の加減を間違えそうで、普通のサキュバス店に行けなくなっちゃいそうですね。

 このお店で出来る事は、あくまでもこの店だけだと、しっかり意識しましょう!

 

 

 

 

 

 

「先生ー、デミア先生ー。今年度の性転換薬原液の受け取り完了しました。証明書にサインをー……」

 

「ちょっとティエス」

 

「はい?」

 

「アナタの街に現れた神級の四人組、私のところにも来たわよー。それと性転換薬改良品が出来上がったから、試しておいてちょうだい」

 

 魔道士デミアに呼ばれた性転換の宿屋店主ティエスは、頷きながら闇の眷属を召喚し、改良型の新薬を受け取り運ばせる。

 

「この新薬は今までの性転換薬とどう違うんですか?」

 

「そうね、性転換に加減が出来るって所かしら。女性から要望があった自分の身体のままアソコだけ男性のが生えてくるとか、男性の場合は性別はそのままで綺麗な女の子みたいになれるって感じね」

 

「……ようするに、フタナリと、男の娘になれる薬って事ですか?」

 

「そういう事。効果と安全性は確認できているから、アナタはこの改良型がどれだけ人気が出るか、リサーチしておいてちょうだい」

 

 嬉しそうにデミアは新薬、改良型だろうか、それが詰まった試験管をひと舐めする。

 

「わかりました。それじゃあ証明書にサインを戴いたら私は戻りますね」

 

「ちょっと、本命の話が残っているでしょう?この薬だって、パパからアイディアを貰って改良出来たんだから」

 

「……私としては聞き流したかったんですけど。だってあの人達……人?人でいいのかな?……とにかく超級にヤバいですよ。絶対関わっちゃまずいです」

 

「そう?三日間付き合ってみると、意外と普通の人達よ。まあ、力は確かに超級、間違いなく神級ね。あはは、あのスケルトンのお兄さんが魔力を解放して歩くだけで、この街は確実に死の都になるでしょうね」

 

 面白そうに話すデミアに、ティエスは項垂れる。そこまで分かっていながら、なんで笑っていられるのだろうかと。

 

「それでティエス。あの人たちは、アナタの街でどんな風に過ごしてるの?」

 

「四人組の見慣れない異種族ですからね。目立ちはしてますけど、それ程話題にはなっていません。たぶんあの人たちの力に気付いてるのは、よっぽど高位の存在だけです。そういう存在は、あの人達にみだりに近づかないようにしてるみたいですよ」

 

「藪を突いたら蛇どころじゃ無いものね。……確認出来ているだけで、あの人たちは何人くらいいるの?」

 

「酒場の冒険者や利用したサキュバス店からの情報を統合すると、恐らく三十人以上。ですが同時に現れるのは決まって四人。三十人以上の中から、四人だけがどこからか現れるようです」

 

 ティエスの三十人以上という絶望的な数字に、デミアは盛大に笑い出す。

 

「あははは!本当に凄い!一人だけでもヤバいのに、それが三十人以上!?本当何処から現れてるのかしら!?」

 

 本当に嬉しそうにデミアは笑う。ティエスは、そんな自らの師に呆れながらも問い掛ける。

 

「先生なら使い魔を使って、この都市から出たあの人達を追いかけたりしなかったんですか?」

 

「勿論したわよー。様々な魔法を掛けて、絶対に知覚できない私自慢の目達を一杯ね。魔法都市内ではちゃんと監視出来てたんだけど」

 

「だけど?」

 

「魔法都市から出た途端ぜーんぶ倒されちゃった。忍者って本当すごいわ。魔法都市内では見逃されてたみたいね」

 

 何が面白いのか、デミアはお腹を抱えて笑っている。追跡をしていたのがデミアの使い魔だとバレたらどうするつもりだったんだろうと呆れながらも、自らの師が施した隠蔽魔法ですら容易く見破る彼らに恐れを覚える。

 

「まあ、しばらくは様子見をしましょう。きっと面白くなるわよー」

 

「どうしてですか?」

 

「うふふ、私のデコイ。あのスケルトンさんと、この魔法都市で一杯デートしたの。きっと今頃私を出し抜こうって考えてるこの都市の魔法使いたちが、こぞって策を練っている頃よ。どうにかしてあの人達から装備を奪えないかってね」

 

 そのデミアの言葉に、体が震える。彼らが身に着けているモノ、あれも彼らと同じく神級の装備だ。あれらは全て、神話の類に記される伝説の装備ではないのだろうか?

 

「あの人達に怒られたくないから、私たちは直接関与しないで、そういう野心をもった連中を痕跡を残さずに操って、うまーく情報を収集しましょう」

 

「あああ、私も巻き込まれるんですね……。だから無視してたのにー……。でも、先生。情報を収集するって言っても、それが出来るくらいの間あの人達と相対できる存在なんて、そうそう見つかりませんよ?私達に出来ないことが、この都市の魔法使いたちにできますか?」

 

 ティエスの質問に、デミアはうーんと考え込む。暫く考え込んでから、楽しそうにティエスに語り掛ける。

 

「そうだ。アナタの街を拠点にしている冒険者のチーム。あの天使くんのお仲間達に頼みましょうよ。勿論私達から直接依頼するんじゃなくて、この都市の魔法使いを使って」

 

「……天使の輪っか事件で痛い目にあったのに、懲りてないんですか?」

 

「そんな事もう忘れちゃった。……それとね、ティエス。アナタはあのスケルトンさんに抱かれた?」

 

「だ!?抱かれてませんよ!私はサキュ嬢じゃないんですから!」

 

「あら、勿体無い。あの人すごいわよー。勿論パパも凄いんだけど。フフフ、アナタも見えたでしょう?スケルトンさんのお腹の部分にある紅玉」

 

 そう、見える範囲で彼らが持つアイテムでは、アレが間違いなく抜群にヤバい。感じるエネルギーが桁違いだ。

 

「ふふふー、あれはもう世界ソノモノって言っても良いアイテムよねー?ああ、欲しいなー、アレ。どうにかして手に入らないかなー。私あれに、すっごい興味あるな~♪」

 


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