元ニートは生殺与奪すら奪われる 作:shion
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主人公は元さとり世代←ここ重要
誤字・脱字・矛盾多々ある可能性大
採血・投薬・採取表現あり←ほぼ文字のみ
閲覧後の苦情は受け付けません
以上が大丈夫な懐が広い人はどうぞ…
初めはふとした違和感だった。
自分の視点が妙に低く「こんなに背が小さかったか?」と疑問に思った。
それを皮切りに栓を外し逆さまにしたペットボトルの水ように次々と疑問や違和感が増えていった。
何故こんなに手足が小さいのか?
何故こんなに肌が白くて細いのか?
何でこんな病院服みたいな服を着てーー
「!?」
そこで俺はようやく気がついた。
これ…転生してるわ。
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前世の俺はニートだった。
大袈裟に言ってるわけではなく、三十路の魔法使いで文字通りのクソニートであった。
原因は…まあ、いろいろあった。
思い出すだけでも胸糞が悪くなる。一言で表すとするなら、子供って残酷だわ…とだけ言っておく。
それ以降、ネトゲや2ちゃんを読み漁る毎日。
16時間の壁など生ぬるい…24時間オンラインゲームで連戦を行ったりイベントを走ったりもした程である。
因みに、部屋からはトイレに行く以外ろくに出ず、飯は雇われている家政婦が決まった時間に置いて貰えるので困らない。無論会話も無いので、最後に声を出したのは何時だったか?というほど。
両親は俺に怒るどころか、先ず家にすら帰ってこなかった。多分元々家庭に興味がなかったのだろう…家政婦さん達の話を聞くには、どうやら個々で好き勝手やってるらしい。
元々両親とは会話をあまりしていなかった事もあり、そこまで生活に支障は出なかった。
いや、むしろ誰にも文句を言われないユートピアならぬニートピアな生活に胡座をかきまくっていた。
そんな、俺の悠々自適なニートライフも唐突に終わりを告げる。
そう、家が爆発したのだ。
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その後の記憶はブツリと途絶えている。
恐らくあの爆発で死んだのだろう。
痛みの有り無しは覚えていないが、唯一覚えてるのは爆発する音と地震のような大きな揺れだ。
爆発の原因は何なのかは今でも分からない。故意なのかはたまた事故なのか…今となっては迷宮入りである。
……とまあ、前世を思い出したからと言って、現状自分で出来ることは何もない。
狭くて真っ白な無菌室のような部屋。家具は無いがぬいぐるみが一つと簡素なベッドが1つで、窓はない。あるのは分厚い丈夫な唯一の出入り口くらい。
因みにぬいぐるみは、最近新しく入った額に傷のある清掃服を着てる人が置いていってくれたもので、子供のお下がりだと内緒話をするように話していた。
確か必要以上に話はしちゃいけないみたいだけど…見た目は怖いのに本当に変わった人である。
おっと…話がそれた。
扉の向こうはどうなっているかは分からない…が、手術服を来た人やその清掃服を来た人が定期的にやって来ては採血や投薬、体の細胞を採取しに来る。
物心つく前からここに居るせいか…最初は痛かったような気がするが、慣れたもので今は痛みを感じなくなった。
…というより、多分これ感覚死んでね?
「……」
手足にある先程行われた実験の傷を見る。人体実験か何かで見るも無惨に切り刻まれていたが、先程よりも傷が薄くそして徐々に無くなっていく。
これも多分日々射たれてる薬のせいだろう。
元は薬物患者のように痛々しい傷が毎度腕に残り、治る前に次から次へと採血や投薬が行われていて内出血しまくりだった。だが、日に日に傷の治りが早くなっていき、今では目に見えて傷の治りが分かるほどのスピードになっている。
気分は正にセカンドエク◯シスト。
恐らく自殺も不可能…というより、自分で自殺出来る道具も勇気もない。舌噛んだら死ねるのかな…いや、死ぬ前に治りそうだわ。
これは呪いか…それともニートしていた俺への罰なのか…完全に詰んでやがる。ニートの代償が、来世の生殺与奪に影響とか誰が考え付くんだ。
寄声を上げてのたうち回りたくなる衝動をこらえ、ベッドの上で丸まり声にならない声で呻いていると出入り口の扉がガチャりと開く。
「……」
入ってきたのは、あのぬいぐるみをくれた清掃員だった。
恐らく食器下げと、汚れた床を掃除しに来たのだろうと予想。…とりあえず、食べ終えた粗末な食器を職員に手渡す。手渡す際に「ごちそうさま」と声になら声で言う。するとその行動に驚いたのか、目を点にしてこちらを凝視してきた。
なんだその目は…最低限の常識はあるわ。
ニートでコミュ症だからって舐めんなよ?
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【悲報】爆発音と直下型の地震のような揺れで目を覚ます
真面目に油断していた。
時計やカレンダーはないが、前世を思い出してから体感で結構経っただろう。最近では投薬も切り刻まれることもなくなり、食事も絶食や一日一回という状況から、三回に増え定期的に採血されるのみの日常を送っていた。
変化について思い当たる節はなくは無い。
思い出したあの日以降も、連日投薬やら切り刻まれるなどしていた。だが、傷の治りが尋常じゃないスピード(当社比)で治るようになり、それを確認した奴らは「成功」だの「完成」だのぼそぼそ言っていたのを覚えている。
うん、めっさ不穏な気配しか感じなかった。
他にもその後日、いかにも悪人顔の黒い服を纏ったマリオとルイージのような体格の奴らや、チャラそうな金髪の男や白衣を纏った女性、他にも人が沢山来たのを覚えている。
そしてそいつらが訪問してからのこれである。
爆発音と地震のような揺れでも歪まない、開かないこの扉。外からは悲鳴や銃撃戦のような音が聞こえてきて思わずエ◯ァのあのシーンがフラッシュバックする。
扉の前で棒立ちしていて現実逃避をしていると、足音や悲鳴、銃声が近づいてくるのが分かる。半ばパニックになり、寝床に転がっているバイ◯ンマンを抱っこし、ベッドの物陰に隠れる。
あかん、ドアから十連ガチャと「くそっ!」という声扉を殴る音が聞こえる…あかん、これは真面目にあかん。
扉に何か重い物を叩きつける音がする。けれど、それでも扉は開かない。かなり分厚い扉だからな…そう簡単に開く作りのはずがない…よな?
音が止み、駆けるような足音が遠退いて行く。
多分諦めたのだろう。
…いや、まさか扉の鍵を探しに…?
目の前の恐怖が去った事に一瞬安心するも、状況は何一つ変わっていない事に気がつき全身から血の気が引く。
鍵を見つけられたらそれこそ終わりだ。
「ーー!」
今世では前以上に会話をしないこともあり、声なんてまともに出ない。
誰か助けて。
まだ死にたくない。
反射的にぬいぐるみを潰れるほど抱きしめる。
もうニートなんてしないから。
ちゃんと真面目に働いてお金稼ぐから。
だから悪夢なら覚めてくれよ!!
バタン!
「っ!」
扉が勢いよく開く音に驚き体が跳ねる。
死んだ…俺真面目に死んだ。
外から入ってくる空気は熱気や煙、血の臭いがして俺を嘲笑うように現実だと突きつける…頭がくらくらする。
急ぐようにカツカツと近づいて来る足音に、ベッドの影に隠れ涙腺が決壊しカタカタと震えながら丸くなる。
ジ・エンド・オブ・俺…
「…っ!見つけた!」
その声には聞き覚えがあった。
何処かで聞いたことのある声で話すそいつは、俺を持ち上げると急ぐように部屋から出て走り出す。
「ーーー」
顔が見えずどこの誰だかはしらないが、どうやら「こんにちは!死ねっ!」ということは無いらしい。
けれど、そんな行動を取られるとは予想していなかった俺は、頭では理解していても驚いて煙を吸い込んでしまい大きく咳き込む。
苦しい。
そいつは咳き込む俺に煙を吸わせないように抱き抱えると、先程よりも早く走り出した。
何がどうなってるんだ……
初っぱなからクライマックスという状況に心身ともに疲弊していた俺は、久々に感じる人の体温と揺れに微睡んでいく。
「ぅ…」
いくら精神が体に引っ張られるからといって、ここで寝たら相手の思うつぼ…目が覚めたらまた別の施設なんてもうこりごりなんだよ。
思わず服を掴む手に力が入る。
けれど、その行動をどう解釈したのか…追い討ちをかけるように、そいつは安心させるように一定のリズムでポンポンと背中を叩き始める。
───大丈夫、絶対に助けるから。
眠りに着く際…そんな声が聞こえた気がした。