ありふれた日常へ永劫破壊   作:シオウ

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いよいよ本格的に大迷宮攻略が始まります。


シュネー大迷宮

 シュネー大迷宮。氷雪洞窟とも呼ばれるそこはまるで、ミラーハウスのようだった。大迷宮らしく中の通路はかなりの広さがあり、横に十人並んでもまだ余裕がありそうなほどだ。

 

 

 しかし、全ての壁がクリスタルのように透明度の高い氷で出来ており、そこに反射する人影によって実際の人数より多くの人がいるように錯覚してしまう。結果、その広さに反して、どうにも手狭に感じてしまうという不思議な内部構造だった。

 

 

 そして、不思議と言えばもう一つ。この洞窟、常に雪が舞っているのである。洞窟であるから当然、空から降ってくるわけではないのだが、洞窟内を吹き抜ける風に乗って横殴りに吹雪いており、しかも入口から吹き込んで来たわけではなく洞窟の奥から吹いて来るのだ。

 

「ここの雪は触れると『凍傷を引き起こす』魔法です。なので熱では防げません」

「なら鈴の出番だね。”聖絶・纏”」

 

 ユナの言葉にやる気を出した鈴が、グリューエン大火山攻略時にも役に立った纏う結界を全員に展開する。結界を展開しながら進んでもいいが、それだと活動範囲が限られてしまう上に、思わず外に出ただけで傷を負いかねない。身に纏うタイプの結界であれば行動を制限することがないのでうってつけだ。

 

「氷で出来た洞窟に、凍傷を起こす雪……氷雪洞窟とは的を射たネーミングね。本来なら火山の時同様この環境に適応するのも試練の内なのだろうけど」

「私達はハジメ君のアーティファクトや鈴ちゃんの結界があるから快適だね」

「えへへ、みんなを守るために頑張るよ」

「ああ、ぜひ頑張ってくれ。間違ってもああはなりたくないからな」

 

 蓮弥がそっと視線を向ける。そこには、眠るよう目を閉じたまま氷の壁の中に埋まっている男の姿があった。まるで、疲れて壁に背を預けながら座り込み、そのまま凍てついてしまったかのようだ。外傷一つ見受けられないので、寒さのせいで意識が飛び、そのまま……ということだろう。

 

「……何か罠があるといけないからな。壊しておくか」

 

 そう言うとハジメはドンナーを構え、死体に向けて引き金を引いた。

 

 今までより、更に強く鮮やかになったスパークと共に、二条の紅い閃光が、何もないかのようにあっさりと氷壁を貫いて奥の男の額と心臓の部分を撃ち抜く。昇華魔法を組み込んだことによりハジメのアーティファクトも各々強化されていた。最近活躍の機会がなかったドンナーも必然的に氷の錬成しかできないこの環境なら重宝される。

 

「相変わらず容赦ねぇな」

「……そうだな。死人に鞭打つようだけど……俺達の安全には変えられないということか」

 

 光輝は何かに納得したような顔で頷く。そういうハジメの合理的な部分は見習わなければならないところもあるというような表情をしていた。

 

 

 幾つも枝分かれした迷路のような氷雪洞窟だったが、いつも通りユナのおかげで深奥への道に迷うことはなく、蓮弥達は順調に道程をクリアしていった。道中、結構な数の氷壁に閉じ込められた死体やトラップなどもあったが魔物の襲撃はない。

 

「ユナ……なんだか順調すぎないか?」

 

 蓮弥が疑問に思うのも当然だろう。なぜなら今のところ雪やトラップなどばかりで大した試練がないからだ。

 

「……この大迷宮は奥にいけばいくほど難易度が高くなる仕組みが顕著です。逆を言えば道中の試練は最後の試練に至るまでに消耗させる以外の目的がありません」

「つまりショートカットできるところはしていけばいいわけか」

「そう簡単な話でもありませんけどね。この大迷宮の造りは非常に繊細です。おそらく芸術家だという解放者の癖ですね。裏技的なショートカットは期待できないでしょう」

「ん? ……またか」

 

 蓮弥とユナがこの大迷宮について話ている間、ハジメが通路の先で再び氷壁に埋め込まれたような死体を発見した。浅黒い肌に尖った耳──魔人族の男だ。それが三人固まって、やはり眠るように目を閉じている。

 

 

「……これでちょうど五十人。ほとんど魔人族ね」

「多分だけど魔人族の間で攻略者が出たことがキッカケで挑戦者が増えたんだろう。神代魔法の使い手は多ければ多いほどいいからな」

「ふむ。攻略情報があれば行けると踏んだのじゃろうが……やはり、そう簡単にはいかなかったようじゃのう。他のルートのことも考えると、どれだけの者が挑んだのやら」

「でも、国を挙げて挑んだのなら、そのフリードっていう人以外にも攻略できた人がいる可能性はあるよね。もしそうなら、魔物の軍団が再編されるのも時間の問題かも……」

 

 王都襲撃にて侵略部隊の壊滅に加え、大災害レギオンによる魔国ガーランドの直接攻撃の被害を受けた魔人族達だったが、あれ以降何もアクションを起こしてはいない。

 

 あの時、蓮弥は格の差を見せつけるようにフリードを追い詰め、その果てに魔人族に対して相当な被害を出している。当然恨まれているはずだが、同時にそう簡単に蓮弥を倒せるとも思っていないのは明白。神の使徒すら相手にならない敵に特攻をかけてくるほど愚かではないだろう。

 

 今は静観して力を蓄えているのか、それとも……

 

「大丈夫よ、香織。少なくとも直ぐに攻められることはないと思うわ。内通者の可能性は恵里の死兵含めて徹底的に潰したし。それにあの戦争で散々私達の力を見せつけたんだから、戦力が揃っても安易には動かないはずよ」

「そうだといいんだけどね。追い詰められた人達って何をするかわからないところがあるから……それに宗教が絡むと、ね」

 

 フレイヤの話が確かであれば現状エヒトにとって動かせる駒は魔人族だけのはずだ。なら狂信者を扇動して無茶な行動に走らせないとは限らない。死を恐れない狂信者ほど戦場で怖いものはない。地球でも宗教家を敵にすると厄介なのは歴史が証明している。

 

「一応大結界は魔改造しているけどな。蓮弥と八重樫が倒した神の使徒の死体が山ほどあったからそれを分析して、神の使徒では突破できない結界を構築できたし、少なくとも王都襲撃での魔人族の戦力じゃ今の王都の大結界は破れねぇよ」

 

 ハジメの言葉に香織も安心する。

 

 エヒトを倒したからと言ってこの世界の問題が全て解決するわけではない。むしろエヒトを倒してからが本番だと言える。そんな中、戦っていくであろうリリアーナの負担が少しでも少なくなればいい、それがいずれ地球へ帰ることになる香織の本心だった。

 

「……何か来ます」

 

 しばらく歩いていると、シアが何かを検知したらしく周囲に警告を発する。

 

「魔物か? ようやく出て来たな」

『気を付けてください。気配は後ろからも感じます。やはりあれだけでは倒せなかったみたいですね』

 

 聖遺物に戻ったユナが背後にも危険があることを周囲に伝える。

 

 大きな四辻のど真ん中で、四方向に背中合わせになる蓮弥達。数秒後、通路の暗がりの向こう側から呻き声のようなものが聞こえ始めた。

 

「どうやら魔人族の死兵らしいな」

「見たところ誰かに操られているというわけじゃないみたいね。普通に歩く死体ってところかしら」

 

 蓮弥の目で見ても、雫の目で見ても、それは魔氷によって動かされているだけの死体に見えた。恵里のせいで不死身の死兵に過剰に警戒心を抱いていた蓮弥はそっと安堵の息を漏らす。

 

「ちょっと待って、シズシズ。これも十分脅威だと思うよ。ゾンビ、ゾンビだよッ! ホラー映画の定番だよ。既に囲まれている絶体絶命の場面だよッ!」

 

 どうやらホラー系も駄目らしい鈴が絵に描いたようなゾンビに囲まれるという状況に戦々恐々としている。

 

「はっ、こんな鈍い奴等。全然大したことねぇぜ。蹴散らせばいいだけの話じゃねぇか」

 

 一方で龍太郎はやる気満々の表情だ。この大迷宮の攻略を開始して絡め手の仕掛けばかりで鬱憤が溜まっていそうだ。光輝も無言で聖剣を抜刀して準備を行う。

 

「今回は坂上の言う通りだな。ほら、谷口。いずれ中村と相対する時になって、ゾンビ怖いじゃ話にならないぞ」

「……そうだね。よしッ、頑張るよ」

 

 恵里の名前が効果的だったのか、動揺が収まった鈴が気合を入れ直す。

 

聖界(エリア)”──”爆結”」

 

 鈴が空間指定した場所がゾンビもろとも爆発して吹き飛ぶ。その鈴の攻撃をキッカケとして蓮弥達も攻撃を行う。

 

「氷の死体とな。つまり……妾の独壇場だということじゃな!」

 

 この氷雪洞窟は炎系魔法の効果を著しく弱めてしまう仕組みになっており、初級魔法でも上級レベルの消費を余儀なくされてしまう。氷雪地帯でありがちな、雪を溶かして水を確保ということすら多大な労力を伴ってしまう。

 

 そのことを踏まえた上でティオが選択したのは、構わず炎魔法を使うということだった。

 

「”劫火の焔”、まとめて燃え尽きるがいい!」

 

 炎属性最上級魔法”劫火浪”と竜のブレスを組み合わせた極大の炎が自分達がきた方向の通路を埋め尽くし、氷の死体を丸ごと焼却する。

 

 初級魔法でも上級魔法レベルの魔力消費量が必要だということは最上級魔法など使えたものじゃないだろう。ただしそれは凡人だけの理屈である。

 

「あいにくじゃがな。今の妾には使いきれぬほどの魔力が有り余っておるでの。この程度の魔力消費など使った内にも入らぬわ!」

 

 大火山による龍神からの魔力譲渡により、ティオは膨大な魔力を手に入れている。現在完全に扱えているとは言えないが、それでも従来の魔法を使うためのタンクとしては破格の量があることは間違いない。通常の十倍の魔力使用量が必要でも百倍になった魔力量からしたら消費した内に入らない。

 

聖術(マギア)1章4節(1 : 4)……"神炎"

 

 同じく魔力阻害効果の影響を微塵も受けていないユナが極大の炎の聖術にてまとめてゾンビを焼き払う。

 

 

 そしてそれを皮切りに、他のメンバーも攻撃を放つ。ハジメのドンナー・シュラークが火を噴き、ユエが雷龍を召喚し、雫の炎を纏った斬撃と光輝の光を纏った斬撃が宙に軌跡を描き、シアと龍太郎の拳から衝撃が放たれ、優花の七耀が空中を踊る。

 

「これ……大迷宮の魔物としては弱くない?」

 

 七耀による串刺しと爆裂のコンボでゾンビを破壊した優花が警戒する。既に大迷宮攻略に慣れ始めた一同が全員警戒する中で、その警戒が正しかったことを知る。

 

「これ……再生してるよね」

 

 香織が顔をしかめる。それぞれの攻撃で原型を留めないほど粉々にされたにもかかわらず周囲の氷を媒体に、何事もなかったかのように復活するフロストゾンビ。

 

「魔石はねぇか。ちっ、まさかとは思うが、悪食と同じって言うんじゃねーだろうな」

 

 ハジメパーティーに戦慄が走る。

 

 悪食。それはハジメパーティーを最も苦戦させた魔物の一体であり、大災害の一角。この地には大災害が眠っていると推測され、もしやそれの関係かと警戒するのは彼らにとって当然だった。

 

『いいえ。これは大迷宮の仕組みです。こことは違う場所に、彼らの復活の源のような魔石があり、それを破壊しないと終わらない仕組みになっています』

「魔石は遠いのか?」

『そうですね。ここで相手していても仕方ありません。正面突破を推奨します』

 

 そこから先の皆の決断は早かった。

 

 ハジメが先導し、正面のゾンビをまとめて薙ぎ払い道を作る。そして各々が道が塞がらないように攻撃を加えつつ、正面突破する。

 

「香織ッ、大丈夫か?」

 

 光輝は香織の様子が気になっていた。なぜなら香織は治癒師であり、攻撃力と言う意味ではこのメンバー中最弱と言ってもいい。

 

 さらに香織の攻撃手段は基本拘束系か、”堕天”のような状態異常しかない。だが膨大な数がいるフロストゾンビ相手に拘束は効果が薄い。そして氷漬けの死体に堕天が効くとは思えない。

 

 光輝は知らないもう一つの攻撃手段である”堕天楽土(パラダイスロスト)”も燃費が悪すぎて数の暴力相手にはやはり相性が悪い。

 

 未練から香織を守ろうとする光輝や、幼馴染として香織に何かあれば真っ先に飛び出すつもりの雫。そして現在色々複雑な事情があるにもかかわらず、それはそれと割り切り、いつでもドンナーの射線を開けているハジメが注目する中……

 

「じゃあ、私もまとめて倒しちゃおうかな」

 

 香織の背後にそれは現れた。

 

『なッ!?』

 

 フロストゾンビとの戦闘中にもかかわらず、一瞬だがハジメ達の思考が停止した。それもそのはず。幼馴染達やハジメにとって、ずいぶんと見覚えのあるビジョンが香織の背後に浮かんでいたのだから。

 

「は、般若さん!?」

 

 雫が声を上ずりながら言う。

 

 雫の言う通り、香織の背後には巨大な般若の仮面を被った着物の女性の像が浮かんでいた。そしてその般若の女性像が構えている巨大な長ドスを抜き放ち、ゾンビの群れを両断する。

 香織とて、自分の弱点は把握しているのだ。特に王都での檜山戦以降、純粋な攻撃力の不足をいかに補うのかは香織にとっての課題だった。

 だが、香織は致命的に攻撃魔法との相性が悪い。相性が悪くても使えることは使えるが、それだと一山いくらの魔法使いレベルを超えることができず、これからの旅に役に立つレベルには到底辿り着かない。だからこそ、香織は自分にできることで、その欠点を補えないか考えた。

 

 そして思いついたのが……魂の力の活用だった。

 

 自分の最大の長所である魔力操作能力を活用し、自分なりに扱いの難しいと言われる魂の力に手を伸ばし始めたのだ。そしてどのように活用するかはユナを参考にして方針を固め、ハルツィナ大迷宮攻略の際に手に入れた”昇華魔法”を持ってそれがある程度形になった。

 

 魂魄昇華複合魔法『魂魄具現化(オーバーソウル)

 

 自身の魂の一部を高密度の魔素で包むことで具現化し、存在を昇華することで物理干渉を可能にした守護霊を操る魔法であり、自分の魂というデリケートな部分を扱う都合上、その魔法を使うための魔法陣は存在せず、完全に精密な魔力操作のみで構成されている特異な魔法になる。

 

 色々弱点もある魔法だが、破壊されない限りは魔力消費も極小で済むという利点がある現状では香織のみ扱える第三の攻撃魔法。

 

「あっはっはっはっ、よーし、全部倒しちゃうよ!!」

 

 テンションを上げた香織の意思を受けて、背後の般若さんが長ドスでフロストゾンビを薙ぎ払う。全長十メートルほどの長ドスで薙ぎ払われたゾンビは周囲を巻き込んで吹き飛ぶ。力のなさそうな女性像であるにもかかわらず、般若の仮面を掛けているだけあって中々の攻撃性能だった。

 

「カオリン、楽しそう……」

「そっかー。般若さん……とうとう実体化したかー」

 

 鈴がフロストゾンビを結界で爆発させつつ、香織のテンションに引いたり、親友が怒っている時に出てきていた般若さんがついに実体化した事実をフロストゾンビをまとめて細切れにしつつ遠い目で見る雫。

 

「まあ、何にせよ問題なさそうだな。お前ら、広いところに出るぞ!」

 

 先行していたハジメが飛び込んだ先にあったのは、東京ドームほどの大きさの広い空間だった。

 

「見つけたぞ。ここまでくれば俺にも見える」

 

 言うが早いか、ハジメは早速取り出したシュラーゲンを構え、魔眼でとらえた魔石を破壊しようと引き金を引いた。

 

 昇華魔法により、強化されたシュラーゲンによりすぐにも破壊され、バイオハザードも終わるかと誰もが思うが……

 

「なっ、かわしやがった……」

 

 

 シュラーゲンの弾丸が命中する前に、氷壁の中の魔石が突如動き出して、シュラーゲンの弾丸を回避した。

 

「どうやら、オアシスにおったバチュラムと同じようじゃな。だとすれば、周囲の氷の全ては相手の攻撃手段と見た方がいいじゃろう。皆、注意するのじゃ」

 

 ティオの言葉にひかれたのか、空中には透明な氷でできた大鷲が、地上には同じく氷でできたワーウルフが次々と呼び出されていく。

 

「どうやらこれがここの試練の一つらしいな。極寒の冷気の中で体力も魔力も精神力も消耗している中、魔物の群れを排除しながらアレを倒せということか」

 

 蓮弥が、四本の十字剣を回転させることでフロストイーグルとフロストワーウルフの大群をまとめて斬り裂きながら、発生した一際大きな気配の方を見る。

 

 

 それは、かつて王都を襲撃した際にもいたアブソドと呼ばれた六足亀によく似た魔物だった。ただし、言わずもがな、その体は全て氷で構成されており、背中の甲羅には剣山の如き氷柱が突き立っていて、その体長は優に二十メートルを超えている。

 

 どうやら大迷宮の試練が本格的に始まったとわかり、蓮弥が氷の亀を破壊しようと構えた。

 

「待ってくれ、藤澤。ここは俺達に任せてくれないか」

 

 蓮弥のその行動に待ったをかけたのは、鈴と龍太郎を連れた光輝だった。

 

「……自信があるんだな?」

「……正直わからない。けど、やりたいことがある」

 

 蓮弥がその目を見ると、見栄や意地ではなく、自分の可能性を試してみたいと考えている挑戦者の目をしていた。

 

「わかった。お前ら! 今から俺達は天之河達のフォローに回る」

「わかったわ。地上のゾンビ達は任せて」

「こっちも了解だよ、蓮弥君。私は飛んでいる方を倒すから」

 

 蓮弥のパーティーである雫と優花が了承を示した。ハジメ達の方を見ると特に異論はないのか周囲の魔物達を次々と殲滅し始めた。

 

「というわけだ。外野の邪魔は万が一にも入らない。だから気合入れていけ」

「ああ!」

「よっしゃぁぁ!! やってやんぜー!」

「うん、頑張るよ!」

 

 光輝の号令に威勢良く応える龍太郎達。そこに霊体で出来た長ドスの斬撃により光輝達の前方の魔物達がまとめて蹴散らされた。

 

「生きてさえいたら絶対治してあげるから。死なないようにだけは気を付けて」

「香織、助かる!」

 

 香織のおかげで光輝達とフロストタートルを一直線に結ぶ進撃ルートが出来上がった。光輝達が一言、礼を述べながらその道を駆け抜けるが、フロストタートルの赤黒い双眸がギラギラと輝き始めた途端、光輝達の通った後の道を埋めていくように、魔物達が再生し始める。

 

「”天翔閃・震”!」

 

 魔物が再生する前に、曲線を描く光の斬撃が凄絶な衝撃波を撒き散らしながら砲撃のように飛び、不気味な輝きを見せるフロストタートルの眼に直撃する。斬撃が片目を切り裂き、その傷口を抉るように衝撃波が襲いかかる。

 

 

「クワァアアンッ!!」

 

 

 片目どころか、そのまま頭部の一部を粉砕されたフロストタートルは、光輝の目論見通り、怒りもあらわに咆哮を上げると、ギロリと片目で眼下を駆けてくる光輝達に射殺すような視線を向けた。

 

 

 そして、その口をガパッ! と開けると氷雪のブレスを吐き出した。

 

 螺旋を描き、細かい氷片を紛らせた竜巻のような砲撃。呑み込まれれば、一瞬にして凍てつくか、寒さに耐えたとしても氷片に切り刻まれることになるだろう。

 

 

 だが、そんな未来は頼れる結界師が許さない。

 

「”聖絶・散”」

 

 もはや無詠唱で十全に発動できるようになった鈴の結界に阻まれ、フロストタートルの攻撃は光輝達に届かない。

 

「鈴、龍太郎。このままやり合ってもこちらが消耗するだけだと思う。……一つ試してみたい技がある。ただ、その技を発動するまでまだ時間がかかるんだ。だから……」

「その完成まで光輝を守ればいいんだろ。へっ、楽勝だぜ」

「じゃあ、私と龍太郎君が光輝君を守りつつ、あいつの足止めをするね」

「……大丈夫か?」

 

 現在の勇者パーティーは三人しかいない。正直言えばもう一人前線で戦えるメンバーが欲しいところだ。蓮弥が帰ってくるまではその場所は雫が担っていたのだが、その当時と違い、光輝達とは隔絶した力を持つに至った雫に頼るのは今回無しにしたいと光輝は思っている。そして、それは鈴や龍太郎も同じ思いだった。

 

「もちろん。これでも私も龍太郎君も強くなっているんだから」

「俺達だけでもできると言うところを見せようぜ。お前は泥船に乗ったつもりでいればいいんだよ」

「龍太郎君……大船だよ。泥船だと沈んじゃうからね」

 

 などと漫才をしつつ、フロストタートルの攻撃が終わり次第、鈴と龍太郎が前に出る。

 

「”聖界(エリア)”」

 

 鈴が空間結界術を使うための準備魔法である聖界を展開し、フロストタートルを包み込んだ。

 

「龍太郎君!」

「よし、行くぞ!」

「”界移(イレカエ)”」

 

 フロストタートルが再びブレスの態勢に入ったところで龍太郎がフロストタートルの足元の氷柱と位置が入れ替わる。フロストタートルからしたら、いきなり龍太郎が瞬間移動したように見えたはずだ。

 

「顎ががら空きなんだよ!!」

 

 瞬間移動後の硬直もほとんどなしに龍太郎は空力を使って跳び、闘気を纏った拳をその顎にお見舞いし、頭部を吹き飛ばした。

 

「おっし、良い一撃だぜ!」

「油断しないでよ。周りの魔物を鑑みれば多分こいつも……」

 

 鈴が言い切るより先に、頭部が粉砕されたタートルの首の根元に新たな頭部が出現していたのだ。

 

 

 甲羅の奥から覗く赤黒い眼が光り、龍太郎に氷雪のブレスが襲いかかったが、再び発動した鈴の”界移”により龍太郎は再び鈴の傍まで転移する。

 

「助かったぜ、谷口」

「どういたしまして。だけどアレだね。壊しても再生するならちょっと面倒だね。となると……うん。アレやってみよう。龍太郎君、攪乱」

「おっしゃあ!」

 

 そう言った途端、龍太郎が全力でフロストタートルの足元を移動し始め、鈴が”界移”で無作為に転移を始めた。

 

「クルァアア!」

 

 その巨体故に小回りが利かないフロストタートルが地面から氷柱を生やすことで龍太郎と鈴を攻撃し始める。

 

「オラオラオラオラァァ!!」

 

 迫りくる氷柱の群れに対し、龍太郎が取った方法は単純明快。真正面から砕いて進むだった。迫りくる氷柱をそれ以上の速度のラッシュで破壊しながら移動している龍太郎を中々捕えることができない。

 

「へへ、こっちだよ!」

 

 一方、フロストタートルの顔の周囲をウロチョロしている鈴は、ブレスを放たれる度にフロストタートルの攻撃射程範囲外まで一瞬で移動することで対処していた。

 

 そしてその間、鈴が行使しようとしている魔法の準備が整う。

 

「”照準固定”──”千断”!」

 

 鈴が発動した空間のギロチンによりフロストタートルの首と六本の足が切断される。そして普段通り切断された断面から新しい頭と足が生えてくるかと思いきや……

 

 フロストタートルは()()()()()驚愕に顔を歪めた。

 

「無駄だよ。私の”千断”はちょっと普通と違っててね。空間を使ってねじり切るんじゃなくて、空間を切り離してるだけだから。壊れているわけじゃないから再生はしないよ」

 

 ”千断”はユエやユナも使ったことのある魔法であり、破格の殺傷力を持つ魔法の一つだが、結局のところ彼女達の使う”千断”は鋭い刃で物を切断するのと同じ効果しか得られない魔法だった。

 

 だが、鈴が使った”千断”はその更に上をいく。空間同士を切り離した状態でとどめることで、対象を破壊することなく無力化できるのだ。空間魔法の適正最高値の鈴ゆえに使えるワンランク上の空間魔法である。

 

 今フロストタートルは六本足と亀の頭部のみをじたばた暴れさせてもがいているが、身体と繋がっていない以上、動くこともままならない。そして空間を切り離されているだけで破壊されているわけじゃない以上、新しい頭部も足も再生はしない。

 

 そして鈴がパーツ単位で切り離した理由はそれだけではない。

 

「ここまで小さくなったら効果範囲内だよ。”聖絶・縛”!」

 

 聖絶を応用した拘束結界を頭部に展開し、頭部の動きを封じる。

 

 対象が大きくなればなるほど使用魔力が多くなり、拘束時間が短くなるという欠点はあるものの、拘束した相手の魔力放出を抑える効果があるがゆえに、魔法に分類する力を一時的に抑える効果がある鈴のオリジナルだ。

 

 手足は切り離され、頭部は封じられた。今魔石がある胴体は置物同然だ。

 

 だが、フロストタートルもやられっぱなしではない。自分の身動きが取れなくなったと判断するや否や、耐久や魔耐が高くて鈴が手を出せずにいた比較的無事な硬い甲羅で覆われた胴体が独楽のように回転を始めた。

 

「うわぁぁ、これって体当たりする気だよ……」

 

 高速回転しながら光輝達の方に突っ込むフロストタートルの前に龍太郎が立ちはだかる。

 

「おっし、こい!!」

 

 巨大質量による回転アタックという単純ゆえに強力な攻撃を前に、龍太郎が選択したのは真っ向勝負。”金剛”の技能と今まで地道に磨き続けてきた闘気によって全身を強化した龍太郎とフロストタートルが激突する。

 

「おおおおおおおおおおおおおおおお──ッッ!!」

 

 その衝撃で周囲の魔物も破壊されるほどの威力の激突により、大迷宮自体が揺れ動く。そしてしばらくの攻防、龍太郎が徐々に押し込まれ、身体から血を流しながらもなんとかこらえ続け、フロストタートルの体当たりをその身一つで受け止めた。

 

「おおおおおおおおりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 そして動きが止まったフロストタートル相手に龍太郎が足元の地面が陥没するほど気合を入れて、上空にその巨大質量を投げ飛ばした。

 

「”聖絶・縛”」

 

 すかさず鈴が聖絶により胴体を拘束する。魔耐が高い胴体部分への拘束は数秒しか持たないが、その数秒で十分だった。なぜなら……

 

「龍太郎、鈴。待たせたな。後は任せてくれ」

 

 勇者天之河光輝の渾身の一撃の準備が整ったからだ。

 

 

 ~~~~~~~~~~

 

 光輝は呼吸が乱れないように注意しながら、王都を経つ前のメルドとの会話を思い出していた。

 

『光輝、お前がハジメや蓮弥に嫉妬しているのはわかる。なぜわかるかって? 決まってるだろ。お前がハジメ達に感じている感情は、俺がお前に感じている感情と同じものだからだ』

『メルド団長が?』

『おうよ。戦っている時も言ったがな。自分より一回り以上年下の、しかも剣も碌に握ったこともない子供が、たった数ヵ月で俺を追い抜いていく光景を見て、面白いわけがないだろ』

『そうですか……』

 

 自分に親身に接してくれていた恩師が自分と同じ感情を抱いていた。それを考えると少し落ち込みそうになる光輝に対し、メルドは朗らかに笑いながら訂正する。

 

『だけどな。それは特別なものなんかじゃねぇ。人間なら誰しも持っている感情なんだよ。だからな……お前はその感情を恐れるな』

『恐れる? 俺がですか?』

『ああ。多分お前は今までその感情と無縁に生きてきたから戸惑っているだけなんだよ。大事なことは、それから目を逸らさないこと。そして、それを割り切ることだ』

『割り切る……』

 

 今まで生きてきて感じたことのない感情の激流を前に、そんなことできるのかと思った光輝だったが、メルドがアドバイスをくれる。

 

『ないものねだりをしても仕方がねぇ。人間ていうのはどこまでも自分の手持ちのカードでどう勝負するかなんだ。どんな天才でも死ぬときはあっさり死ぬ。逆に自分の手持ちのカードを上手く使える奴ほど戦場で生き残れる。自分にないものを妬むな。自分にあるものだけを見つめるんだ』

『俺にあるものを組み合わせて勝負すればいいということですか?』

 

 自信なさげの光輝の解答にも、メルドは笑顔で答えてくれた。

 

『そうだ。人間はあればあるほどいいんだよ。何かに特化していると確かに専門分野では比類なき力を発揮できるけどな。反面自分の専門分野以外だと脆いものだ。その点お前は器用だからな。できることが多い。なら一つのことにこだわらないで今までお前が培ってきたもの全てで勝負してみろ。そしたら他人のことなんて気にならない。お前だけの武器ってやつが生まれるはずだ』

 

 

 光輝は”神威”の準備中に今までの自分を全て使うことに決める。

 

 祖父から譲り受けた正義を聖剣に宿し、

 

 その聖剣を八重樫流の道場で身に着けた剣道を用いて構える。

 

 そしてこの世界で手に入れた魔法の力を聖剣に籠め、メルドより教わった剣術で狙いを定める。

 

「”豪撃”」

 

 さらに剣速と肉体を同時に強化を行い……

 

「”昇華”」

 

 ハルツィナ大迷宮にて手に入れた昇華魔法により、聖剣に集まる光の集束力を高める。

 

 集束する、集束する、集束する。

 

 溢れ出した光が極限まで集束された光の剣を下段に構え、光輝が息を整える。

 

「あっ!?」

 

 そこで鈴が驚愕に顔を染める。拘束していたフロストトータスの頭が破裂したのだ。

 

「まさか、自爆した!?」

 

 魔力を頭部に集めて自爆。流石にそれは読めなかった鈴が拘束している胴体を見ると頭部が再生し、光輝に向けて氷のブレスを発動する最中だった。

 

 すぐに援護をと思った龍太郎と鈴だったが、そこで初めて光輝の元に集まっている膨大な魔力に気が付く。

 

 溢れんばかりの魔力が微塵も無駄なく集束されている。そのせいで反応が遅れたわけだが、聖剣に宿る光の力強さに二人は手出し無用と悟る。

 

「いくぞ、これが俺の今の……全力だッ、”神威”!!」

 

 最後にハジメや蓮弥への嫉妬と、自分を肯定して導いてくれた恩師への感謝を含めた己の全てを聖剣に籠めて……

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ──ッッ!!」

 

 輝く聖剣を振り上げた。

 

 時同じくして放たれたブレスとぶつかる光輝の神威。

 

 だが、極限まで集束した光の刃の密度は今までの神威とは桁違いであり、さらに八重樫流の技とトータスの剣術にて振られた剣のキレも追加されたその一撃は……

 

 氷のブレスを突き破りながら、氷の甲羅を抵抗もなく斬り裂き……

 

 

 中にある魔石を真っ二つに両断した。

 

 

 ~~~~~~~~~~

 

「あいつ……」

『素晴らしい戦いでしたね。鈴の見せた上級レベルの空間魔法といい、龍太郎の身体強化レベルといい目覚ましい進歩です。そして……』

「最後の光輝の神威の一撃……あれって私の破段の一撃に匹敵するかもしれない。……正直想像以上だったわ」

 

 ありとあらゆるものを切断し、エリセンの海では大災害悪食の触手さえも両断して見せた雫の破段による一撃と光輝の神威による斬撃が同規模の威力があるとパーティー最強の剣士である雫が認めていた。

 

 

 周りの魔物が魔石を失ったことで消滅していくのを確認した後、光輝達を労うために蓮弥は近づいていった。

 

「お疲れさん。正直想像以上の成果だった。本当に強くなったなお前ら」

「へへ、そうだよな。俺も今回は上手く言ったと思ってたんだ」

「だよね、だよね。特に最後の光輝君の一撃!」

「あの化物が一撃で真っ二つだもんな。見ろよ、それどころか天井まで斬れてるぞ。マジすげぇよ光輝!」

「あ、ああ。俺も、まさかここまでとは思わなかった」

「自信を持っていいわ。八重樫流にこの世界の剣術。そして光輝が培ってきた全てが詰まった良い一撃だったわよ」

 

 光輝が蓮弥達の掛け値なしの誉め言葉にちょっと照れ臭そうにする。

 

「文句なしの戦いでした。このまま精進していけば、まだまだレベルアップできるでしょうし、聖剣が光輝に応えてくれる日もそう遠くないでしょう」

「あ、ありがとう、ユナ」

 

 ユナに褒められたことで、ようやく自分達が勝ったことを実感した光輝が喜びに震える。

 

 

「それに引き換え……」

 

 だが、ユナは途端に声を冷たくする。ある方向を見据え、歩いていくユナ。

 

 そこにいるのはハジメパーティー。彼らもまた蓮弥達同様相当な数の魔物を倒しており、倒した魔物の数はおそらく千単位に上る。おそらく戦力を見る大迷宮ではない故に倒した数が攻略に関係するとは思わないが、逆に不合格と取られる数でもない。

 

 

 だが、ユナが言いたいことはそういうことではない。

 

「どういうことですか、ユエ。その体たらく……私が見過ごすとでも思いましたか?」

「…………」

 

 珍しく声を張り上げるユナに対し、周囲が何事かとユエとユナに注目する。

 

「三回……これが今回、あなたが魔法で敵を討ち漏らした回数です。いつものあなたなら、鼻歌混じりで殲滅できる程度の敵ばかりだったはず……あなたの調子が悪いのは把握していましたが、ここまで酷いとは思いませんでした」

 

 ユナの言う通り、現在ユエは本調子で戦えてはいなかった。

 

 何事にも精神状態というものは重要な要素だ。例えばプロの世界で活躍するトップアスリートなどは呼吸法や質の良い睡眠、最近注目されたルーティンなどを利用したメンタルコントロールに常に気を配っている。なぜならどれだけ肉体が健康であっても精神が弱っていれば試合などで本来の力を発揮できないからだ。

 

 ましてや魔法という技術は精神力の産物だ。剣や槍を使って戦う戦闘職と比較して、精神状態にその戦闘力が大きく左右されてしまう。そういう観点で語るなら、現在のユエは問題外のレベルだった。

 

 まず戦闘に集中できていない。そのせいで魔法の制御がおろそかになり、普段なら万が一にも不覚を取ることなどあり得ない敵相手に、隙を晒してしまっている。魔法の威力など、普段の半分以下に落ちているだろう。

 

「もし、この状態が続くのであれば、最悪ユエには船に戻ってもらうと言う選択も……」

「ッ! 大丈夫だから! 私はやれる!」

「……正直今の姿を見て素直に同意しかねますね。せめて本調子でない理由を話してほしいのですが……」

 

 ユエの不調の理由は昨夜にあるのは明らかだ。だがそのことは聞かれたくないのかそっぽを向いて黙り込んだ挙句……

 

「…………ユナには関係ない」

 

 などと言う始末。

 

 そのユエの悪態に少し目を鋭くしたユナがそれでも落ち着いた口調でユエに語り掛ける。

 

「……わかりました。そこまで言うのであれば船に戻れとは言いません。ですが師としてあなたに言っておきましょう。……この大迷宮の攻略が無事終えるまで、神ノ律法(デウス・マギア)の使用を禁じます」

「ッ……」

「今のあなたには使えません。あれは本来、強靭な精神力あっての技。分類では十分危険な禁術に値するものです。仮に今のあなたが使用しても、力を得るどころか盛大に周囲に厄災をばら撒いて自滅する未来しかありません。あなたを信用してあえて”聖約”は設けません。後はあなたが判断してください」

「…………わかった」

 

 そこは素直に認める辺り、ユエ自身にも今の自分が本調子でないことぐらい自覚はあるのだ。

 

 そんなユナとユエのやり取りを見ていた蓮弥は他にも気になることがあった。

 

 例えばハジメ。今回ユエが犯した不覚に対してフォローに回ったのは全てハジメだったのだが、蓮弥の視点で見て戦闘こそいつもの調子ではあったのだが、心なしかいつも以上にユエに構いすぎのような気がしていた。

 不調を見抜いていたからこその最速最適のフォローだといえば納得できそうではあるのだが、本当にそれだけとは蓮弥には思えなかった。

 

 

 そして、蓮弥の目を見て一番解せないのはシアだった。

 

 

 仮にシアがユエ同様、不調を晒していたのなら話は簡単だったのだが、蓮弥が見る限り、むしろシアはいつもより調子が良くなっている。

 いつもよりも重く、鋭く、そして最適化された動きは先ほどの魔物群相手でも一方的に無双できていたくらいだ。そしてだからこそ、それが心底不気味だ。

 

 異変が起きている二人と比べて、調子が良くなっている理由がわからない。もしかしたらある意味、ユエ以上にまずい何かがシアに起きているのではないか。だがいつも以上に絶好調のシアにフェルニルに戻れといっても聞き入れないだろう。

 

 

(これは、ちょっと強引に大迷宮を突破したほうがいいかもな)

 

 最悪、ハルツィナ大迷宮の時同様道理をすっ飛ばす必要があるかもしれないと蓮弥は密かに覚悟した。

 

 




>勇者パーティー
原作と比較して絶好調。新技も増えて、好調な滑り出しを見せる。
光輝も新型の神威により無事敵を撃破、このまま原作の汚名返上なるか。

>ハジメパーティー
一方不穏な雰囲気漂うハジメパーティー
属性にスタンドが入っているのは公式設定なので、それを利用して本当にスタンド使いになった香織や少しずつ龍神より与えられた魔力を使いこなし始めているティオはともかく、他は不穏。
ハジメは過剰にユエを意識し、ユエに至っては原作ユエと比較しても半分以下の力しか発揮できていません。
そして逆に不気味なほど絶好調なシア。
果たして、この先どうなってしまうのか。

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