なんとか間に合いました。
シア編完結。
”さて、シア・ハウリアはどうするのかな”
無意識の海、あるいは誰かの心の中でシア・ハウリアに取り巻く運命を捻じ曲げた悪魔はほくそ笑む。
”僕はかつて言ったはずだ。君は悪魔なのだと。僕と同類なのだと。もう気付いているんだろ? ただ一人、最後の試練を超えられなかった君の心には今も一匹の獣が住んでいることを。さぁさぁ、君は一体どうするのかな? 僕好みの面白い結末になるか、あるいは……”
意地悪く笑う悪魔はただ無意識の海の中で揺蕩いながら観測する。
”きひひ、きーはっはっはっは! ”
一人の少女の行く末を、この眼に刻み付けるために
~~~~~~~~~~~~~~
他の鉄仮面じみた表情をしている神の使徒と打って変わって激情を露わにするエーアストの猛攻が始まっていた。
「くぅぅぅ!!」
今までとは比較にならない大剣の重さに耐えられず、シアはドリュッケンごと吹き飛ばされる。
すぐに体勢を整え反撃しようとしたその瞬間、未来視が自動発動。
脳天から真っ二つにされる自分の未来を回避するために無茶な体勢のまま大きく横に跳ねる。
次の瞬間、降り注ぐ光が無数の刃となり降り注ぐ。その切れ味は底が見えないほど深く刻まれた大地が証明していた。
再び未来視の発動。今度は羽の弾幕で全身粉々にされる未来を回避するために、全力で周囲に気を放出。全方位から襲い掛かる羽群がまとめて吹き飛ぶ。
再び未来視発動。その未来を回避するために動く。
続けて未来視発動。その未来を回避するために、なりふり構わず逃走する。
(回復してる余裕がない!)
全ての攻撃で未来視が自動発動するということは、エーアストの攻撃が全て即死攻撃である証。それを証明するかのようにシアの被害を肩代わりした樹海の一角は周囲のあらゆる命が破壊されるという悲惨な光景が広がっている。
生命線である未来視を止めるわけにはいかない。かといって未来視に魔力を持っていかれている状態で傷の治癒はできない。
(私も家族みたいに気配操作ができれば……)
シアは本来兎人族が持たない魔力と生命力あふれた強靭な肉体を授かった異端の兎人族だが、その弊害として兎人族の特技である【気配操作】の技能を持たないという欠点を抱えていた。
旅をしている時は気にならなかった欠点だが、一旦仕切り直しがしたい今のシアにとって喉から手が出るほど欲しい技能であることは疑いようがない。
あるいは変成魔法を使えれば周囲の環境に対して自分の体質を変えて溶け込むようなことができるのかもしれないが、それも無いものねだりだ。
なぜならシアはパーティ中ただ一人、変成魔法を習得できなかったのだから。
「ッッ!」
今度は雨のように降り注ぐ光線が身体中を貫く未来を見たシアはドリュッケンをギガントモードにし、その影に身を隠す。ドリュッケンはハジメの手によりこの世界でも規格外の強度を誇る武器として生まれたが、いつまでも攻撃に晒されていたら持たないのは明白。
「なるほど、あなたの未来視が命の危機に反応するなら……」
その声はシアのすぐ側で聞こえた。
瞬間シアの脇腹にエーアストの蹴りが炸裂する。再び樹々を貫通しながら吹き飛ばされるシア。
「がはっ」
「あえて加減して攻撃すればいいだけのこと……」
エーアストはシアの未来視が自動発動する条件を看破し、あえて死なない程度の攻撃に切り替えることで未来視の自動発動を防いだ。
ならばとシアも天啓視を行使するのだが、エーアストの勢いは止まらない。
音の数十倍以上の速度での連続攻撃。数秒先の未来が見えるとはいえ、今のシアでは防戦に回ることでしか対処できない。
大剣の剣戟をドリュッケンで受け、数千の羽弾を気の放出で吹き飛ばす。
覚醒したエーアストと交戦してまだ数分足らず。それだけでシアは肩で息をする様相を見せている。
「…………解せませんね」
肩で息をするシアを意外にも警戒するエーアスト。六枚羽を羽ばたかせ、周囲の樹木群を丸ごと消し飛ばしてシアの姿をむき出しにしつつもいきなり飛び掛かることなくシアをジッと観察し始める。
「はぁ、はぁ、何が、はぁ、解せないと?」
相手が止まってくれるならありがたい。シアは遠慮なく警戒しつつ、自分の身体の再生に力を回し始める。
「この期に及んで全力で戦わないことにですよ。もはや私はあなたを過小評価しない。当然……私はあなたと例の吸血姫の戦いも感知している。その時のあなたの力はこんなものではなかったはずですが?」
ドクン
シアの中のナニカが大きく脈動する。
『あいつの言う通りですぅ。いい加減……私になればいいじゃないですかぁ』
シアの心の中で語り掛けるのは薄紫の髪と赤い眼をしたシア。
『今のあなたじゃあいつには勝てません。もうわかってるはずでしょ? 勝つためにはあの時の力を使うしかないことを』
今のシアはかつてのユエとの戦いで発動した
もちろん、シアとてこの戦いが始まる前の準備期間にてその力を使えないか試さなかったわけではない。
だが、シアはその力を現時点では使えないと判断している。なぜなら……
『なんで躊躇うんですぅ? 相手はユエじゃないんですよ? 今この世界を滅ぼさんとする神の手下ですぅ。いいじゃないですか……』
『相手を引き裂いて、ぐちゃぐちゃにして、何度も何度も踏み砕いて。その命の尊厳ごと踏みにじって高笑いしてやれば』
内なるシアが愉悦を浮かべながらシアを誘惑する。
その力の誘惑はすさまじい。かつてユエとの戦いの中で覚醒した力をエーアストに対して振るえば、確かに倒せるかもしれない。だがそれは同時にシアの中の内なるシアにその身と心、そして魂を委ねることを意味する。
(断ります! 私には、あなたなんて不要です!!)
シアは内なるシアの誘惑を否定する。シアの本能が悟るのだ。あの力に身を委ねたら、また自分はおかしくなる。かつて愉悦の表情を浮かべながら親友を粉々にしていた頃の自分になってしまう。
”だからそれでいいじゃないか。いい加減素直になれよ、シア・ハウリア”
シアの心に、今度はかつて樹海で戦ったガングロの悪魔が囁く。
”君は獣の悪魔なんだ。その君が己の獣性を否定してどうするんだい? ”
己の中に残った悪魔の残滓はシアを魔道に誘おうとする。
”力を振るって何が悪い。それでしか味わえない悦楽を捨てるのは勿体ないよぉ”
『その通りですぅ。気持ちいいですよぉ。我慢せず力を振るうのは』
右から悪魔が、左から裏のシアが囁く。
「うるさい! 黙りやがれです!!」
「一体何を言っているのですか?」
「ッ!」
幻影を振り払うように叫んだシアの目前にはエーアスト。
紙一重でシアは剣戟を躱すことに成功するが、首筋から血の線ができる。あと1㎜深く斬られていれば頸動脈ごとやられていた。
「別に構いません。あなたが本気を出さないならそのまま倒すまで。あの男の制約はおそらくこれで解除される。解除されなければ……あなたの仲間を皆殺しにしましょうか」
冷酷な仮面の内に激情を隠しているエーアストが力を溜め始めたのをシアは感知した。先程放った質量分解砲撃だと直感したシアはそれだけはさせないと今使えるオーラを全開にし、エーアストに飛び掛かる。
エーアストが羽を羽ばたかせればそれだけで数千の魔弾が射出され、シアに襲い掛かった。
「もうそれは効きません!」
目の前の弾丸が魔力を分解するのに特化した弾丸だと看破したシアはドリュッケンを振り回して竜巻を起こし、まとめて吹き飛ばす。
「はぁぁぁぁぁぁぁ──ッッ!!」
すぐさまドリュッケンに備えられていた加速機構とドリルを展開。ブースターにて加速したドリュッケンを持って回転しながらエーアストに突っ込む。
「ラケーテンッックラァァシュ──ッッ!!」
加速と回転と腕力を用いた純粋な質量攻撃を前に、エーアストが大剣を重ねてガードする。
衝突する金属同士が放つ衝撃波で周囲の樹々が揺れ、周りに被害を及ぼす。だがそれ以上の効果は発生しない。
「あの男が作った武器ですか。相も変わらず、ここにいないのに鬱陶しいことだ」
エーアストの神器とシアのアーティファクトが拮抗する。だが余裕の表情を浮かべるエーアストに対して、シアに余裕はない。
文字通り全力で攻撃しているシアに対して、エーアストはシアの未来視の自動発動を回避する余裕すら見せている。
そしてそれは必然の結果であった。
「これで終わりです。消えなさい、シア・ハウリア」
小細工などいらない。力づくでシアのドリュッケンの一撃をエーアストは弾き返す。
そしてそれは、この戦いにおける致命的な隙だった。体勢を整えようとするシアより速く、エーアストが大剣を構え……
──そのまま袈裟斬りにてシアを斬り捨てた。
~~~~~~~~~~
戦いは終わった。
まだだ、と血の海に倒れるシアがなんとか立ち上がろうとするも力が入らない。ならば治癒に専念しようと傷口を再生させようとするが一向に治る気配がない
「無駄ですよ。あなたの傷口に分解の魔力が残留しています。それがある限り傷は治りません。尤も、本来なら一瞬で全身を分解しているはずなのですが、そこは遺憾の限りです」
背中の六枚羽を輝かせながら静かにエーアストが近づく。
シアの未来視が自動発動する。エーアストの大剣に貫かれて跡形もなく分解される未来がシアの眼に映るが、シアはそれがわかってもなにもできない。
「まずは一人。これで制約が消えてくれるならありがたいのですが、これで消えなければ余計な手間をかけるしかありませんね」
「あ、あぐ」
暗にシア以外も皆殺しにするという言葉にシアが無理やり体を動かそうとする。
それはどういう意味で言ったのか。
旅で出会ったかけがえのない仲間のことを指すのか。それとも忌み子である自分を育ててくれた家族のことを指すのか。
どちらにせよ。シアには許容できるわけもない。だがシアの意思に反して致命傷を負ったシアの身体は言うことを聞かない。
「さようなら、シア・ハウリア。真っ先に死ねることを幸運に思いながら死になさい」
シアの身体を大剣が貫こうとするがシアはどうすることもできない。
「あ、あぐ、ああああああッ」
せいぜい声を上げるくらいしかできないが、それでは状況は変わらない。
未来視の弱点とは、未来を見てもどうしようもない状況に追い込まれるたら詰むということ。百の未来を見通そうともそれを回避できないのでは意味がない。
僅か数秒後、無抵抗のシアに大剣は差し込まれ、跡形もなくシアは消滅する。
そうして大剣を振り返るエーアスト。
ドパンッ
その眉間に一発の銃弾が撃ち込まれた。
「ッッ!?」
その突然の衝撃に後ろに吹き飛ばされるエーアスト。眉間に打ち込まれた弾丸は頭蓋を撃ち抜くことはできなかったが衝撃を殺しきれなかった結果だ。
ドパンッ ドパンッ ドパンッ
続けざまに撃ち込まれる弾丸はエーアストの急所を的確に命中させ、シアから離される
「今っすッ!」
銃弾の出所から少年の声が響いた瞬間、周囲に無数の気配が出現する。
一人は倒れ伏すシアを回収し、一人はエーアスト目掛けて何かを投げつける。
投げつけられた何かは着弾と共に爆発し、エーアストの周囲に煙が巻き上がる。
「急ぎ撤退せよ!」
最後に威厳のついてきたシアにとって生まれた頃から聞き続けてきた声が響く。
「あぐ、父……様……どう……して?」
「今は喋らなくてもいい。お前のうめき声が聞こえてな。それを頼りにお前を見つけることができた」
自分を抱えているのが父であるカム・ハウリアだと認識した途端、周囲の人影も自分の家族だと理解できるようになってきた。
「先程奴に使ったものはボスが用意した人工霧を発生させるアーティファクトだ。それに加え、我ら最大の武器の気配操作を使えば見つかることはない」
この樹海の結界は霧によって構成されているが、それに着目したハジメがその濃度を人工的に操作できないか試したことがある。結果的に樹海の霧の濃度を完全に操作することは現状不可能だとわかったが、短時間の間に局所的にであれば霧の濃度を増幅するアーティファクトを作ることができた。
そうして逃げ込んだ場所は、シアの生まれた場所。すなわちハウリアの隠れ里だった。
「例の水は!?」
「ここに!」
家族の一人が持ってきた瓶にはたっぷりと中身が詰まっていた。それを受け取ったカムはそっとシアに飲ませてやる。
「ごく、ごく……これって……神水? どうして? こんなにいっぱい?」
「やはりそうか。ある日私達の里にこの水が湧いてきてな。今は枯れてしまったが、この水があったから私達は強くなれた」
ひとくちで十分な回復を齎す神水を幾度も飲み込むシア。そのおかげもあってか枯渇しかけていたシアの魔力と気が完全回復する。だが……
「駄目だ。傷が治らない」
「酷い。シアにこんな傷をつけるなんて……」
シアの傷で最も深い大剣の傷が消えない。出血量は減ったが、それでも痛々しい傷はほぼそのまま残ってしまっている。
「大丈夫です。それより……はやく戻らないと」
エーアストの目的がシアの抹殺なのだとしたらいつまでもここいるわけにはいかない。なぜならシアがいつまでも見つからなければエーアストは樹海ごと消滅させるという選択を取りかねない
「そんな……無茶だ!」
「無茶でもやらないと……」
そのやり取りをしている間にも時間は残酷にも流れていく。
「……見つけましたよ」
樹海の一角を霧ごと消滅させたエーアストがハウリアの隠里上空に出現する。
魔力と気は回復すれど、満身創痍なシア。このまま戦えば結果は火を見るより明らかだ。
だからこそ、彼女を愛する家族達は覚悟を決める。
「なあ、レオ。ボスはこれ重ね掛けして良いって言ってたっけ?」
「さあ? どうだったかな。けどまあ、なんとかなるだろ」
「だな……可愛い妹分のためだ……いっちょやってやるか!」
「おうよ!」
シアの前に数人のハウリアが前に出る。ハウリア族の中でも比較的恵まれた体躯をしたシアの家族は……
「「「「禁域解放!!」」」」
昇華魔法を発動し、オーラを全開にした。
「昇華魔法……最弱種族であるはずのあなた達が使えることにも驚嘆しますが、まさかシア・ハウリア以外も魔力による身体強化を使うとは」
最弱種族であるはずのハウリアが魔力を使ったことに驚いたエーアストだが、それでも余裕を崩さない。
平均的な神の使徒なら苦戦したであろう今のハウリア達も、エーアストの敵ではない。
「散開ッ!」
一人の号令と共に、ハウリアの戦士が消える。体術と気配操作を巧みに操りながら四方八方からエーアストに迫る。
「無駄です。虚しく消えなさい」
エーアストが両手を広げ、分解の波動を放つ。周囲の物全てを分解する波動が周囲に拡散するが、そこから無傷のハウリア達が現れる。
「はっ、ボスがお前らの分解に対応してないわけないだろ!」
対分解用アーティファクトはハウリア全員に配られている。流石に何度も耐える力はないが、一度や二度で分解されることなどあり得ない。
だがここまではエーアストとて想定していたこと。自分達に何度も煮え湯を飲ませてきたハジメがそれくらい対策していると考えるのは当然だ。それくらいで今の自分を止められない。その確信があるエーアストは気づかない。
シアを守らんとするハウリア達の覚悟を。
瞬間、エーアストは自身が死角からの攻撃を受けたことを理解した。
「────」
すぐに反撃をしようとするエーアストだがそれは叶わない。なぜなら今のエーアスト相手に”衝撃を与える”という事象が発生し、体勢を崩されたからだ。
(馬鹿な、今の私のステータスで、こんなことは起きえない)
トータスにおいて、ステータスは戦闘の全てを決めてしまう要素でこそないが、最も重要視される要素であることは疑いようがない。極端な話、百倍のステータス差がある格上の相手に格下が勝つのは困難極まる。
だがそれは同時に、ステータス差さえ縮まれば解決するという意味でもあるのだ。
「馬鹿が、俺達の覚悟舐めんじゃねーよ」
「そのまま俺の刃の錆になれや」
「はっ、敵との力の差があるならどうするかって? 決まってんだろそんなん。気合と努力と
そう神の使徒に粋がるハウリア達の舌の上には
そう、彼らがやったことは至極単純。
力が足りないなら、ドーピングの量を増やせばいい。
──
それが彼らの肉体を限界以上に強化し、力を与えていた。
周囲の環境を十全に利用し、極限以上に出力が上がった肉体が、エーアストを釘付けにする。
その光景を見ていたシアは家族の成長に対する驚愕と、現状への絶望を同時に感じていた。
「駄目です……皆じゃやっぱり勝てません」
いくらドーピングを増していたとしても、覆せない差というものはある。
神代魔法を使い、アーティファクトを使い、周囲の環境を十全に使い、家族として培ったチームワークを駆使してやっとギリギリ拮抗している状態なのだ。しかも限界を超えた強化を行った上でだ。こんなもの長くは持たない。
「わかっている。我々ではアレには勝てないことなど皆が承知の上だ。だが、奴に隙を作ることくらいはやって見せる。だからシア。その目で我らの勝利を確かなものにするんだ」
「ッ! けど私……」
未来視を使えというカムに対し、シアは表情を変えざるを得ない。だがそれもカムにとっては承知のこと。
「大丈夫。例えシアだけでは悪い未来しか見えないのだとしても、皆が協力すれば違う結果になるはずだ」
「!? 父様……気づいて」
「家族だからな。気づかないわけないだろう。さぁいくぞシア」
ここにいる全員で戦えば、確かな未来を掴むことができる。この場にはかつて弱小種族として逃げることしかできなかったままの者など一人もいないのだから。
「……はい」
シアは家族が戦っている最中、じっと見つめ続ける。
勝利の光景がこの目に浮かぶその瞬間を。
そしてハウリア達の戦いは佳境に差し掛かっていた。
「がはっ」
「げほげほ」
地面に叩きつけられたハウリアが血を吐く。片腕が無い者、ウサミミが千切れている者、身体中が血まみれの者などが周囲にはちらほら見えるも彼らの闘志に衰えはない。
「……正直驚愕しました。まさか最弱種族であるあなた達がここまでやるとは、いささか惜しいですね。我が主ならいい駒に変えられたものを」
エーアストは関心しつつも戯れを終わらせるために、その身に纏う魔力を増幅させる。
「貴方達のおかげで、やっと馴染んできたようです」
限界を超えたドーピングを行なっているのはハウリアだけではない。むしろ無茶の具合ではエーアストの方が上だった。だからこそあえてハウリア達のペースに合わせて戦うことで、自身の肉体を最適化したのだ。
これで、エーアストは己の活動時間と引き換えに、さらに強大な力を引き出せる。
「まだだ!」
それでも、ハウリア達の闘志は衰えない。例え片腕が千切れ飛んでも、生きてさえいれば香織なら治せる。それに、まだこちらにも切り札がある。
ドスッ
エーアストの胸に、静かにナイフが刺さる。
「ッッ」
ミスディレクション。別の方向に注意を逸らすことで、気配操作技能を完璧に生かす戦略。家族が気配操作を辞め、闘気でエーアストの注意を引きつつ、気配操作では家族の中でも群を抜いて優秀なラナ・ハウリアが真正面からナイフで胸を刺したのだ。
「ッ無駄なことを。今更この程度で私が倒せるとでも?」
「一瞬で十分なのよ。ボスのアーティファクトならね」
ラナの言葉と同時に、エーアストの胸に刺さったナイフが光を放ち、エーアストを拘束した。
「また、あの男のアーティファクトですか」
エーアストはすぐにアーティファクトを分解し、拘束から逃れようとする。旧来の神の使徒を拘束するなら十分な効果を発揮したであろうアーティファクトも今の自分を拘束するには足りない。拘束時間は1秒に満たないだろう。
だがその1秒を狙っていた物からしたら、千載一遇の好機だった。
「万物粉砕──」
エーアストの隙ができる瞬間を未来視で見ていたシアは現状使える己の力を全て込めて、ドリュッケンを振りかざす。
「ギガントクラッシュ──ッッ!!」
全長直径二十メートルを超える巨大ハンマーが風を切る轟音を響かせながら大地に叩きつけられた。
衝撃で周囲の樹々を吹き飛ばし、巨大クレーターを作るその光景は小型隕石の衝突とそう変わらない威力を誇っている。
「やった!」
ハウリアの誰かがついそう言ってしまうのも無理はないだろう。
だが……
「惜しかったですね。シア・ハウリアが万全なら、勝敗はわからなかったでしょう」
──己の未来を対価に力を手に入れた聖天使は甘くはなかった。
ドリュッケンが光に包まれる。それはシアの魔力ではなく、エーアストの魔力光。万物を分解する使徒の光だ。
「いい加減鬱陶しい。消えなさい」
その言葉と共に、シアの相棒であるドリュッケンが跡形もなく消滅した。
「あ……」
シアがこの森を出てからずっと自分を支えてくれた武器が消えた。渾身の一撃に加え、未来を見た上で攻撃したにも関わらず、エーアストは尚も健在。
「これで終わりです。シア・ハウリア」
シアの一撃は流石に警戒するのか、ここに来てシアとしっかり距離を取るという念の入れよう。エーアストはシアに向けて分解砲撃の準備に入る。
渾身の一撃に加えて、エーアストから負わされた傷の影響でシアは動くことができない。ただ茫然とエーアストが分解砲撃を撃つ瞬間を見ることしかできなかった。
そして、エーアストの砲撃が迫るシアの身体が、何者かに突き飛ばされる。
時間がゆっくり流れる中、シアは突き飛ばしたものを視認した。
「父……様……」
父親に向かって必死に手を伸ばすシアだが、その手が届くことはない。
カムもまた自分が助からないことを理解していた。必死の形相でこちらに手を伸ばす最愛の娘。そんなシアに対してカムは……
「自分を信じなさい。例えシアが何者でも、私はシアの味方だ」
笑顔と共にそう告げ、光の中に消えていった。
「ぞ、族長──ッッ!」
ハウリア達が目の前で消えたカム。この戦いに参加するにあたり、死を覚悟していない者などいない。だがいざその時が訪れた時、動揺しないものなど果たしているのだろうか。
「まずは一人。安心しなさい。他の者もすぐに後を追うことになる」
今度こそシアに向けて手を翳すエーアスト。
シアはうつむいたまま……動かない。
~~~~~~~~~~~~
シアは目の前で起こったことに対して、理解できなかった。
目の前で父親が分解砲撃に飲み込まれて消えた。それが何を意味するのか、それ以上の思考が働かない。
『ほら、あなたがいつまでも愚かだから、大事な人が犠牲になる』
心の中でもう一人のシアが話しかけてくる。
『ねぇ私……』
心の中のシアが笑みを浮かべて話しかけてくる。
『この期に及んで……』
シアの中で、何かが弾け飛ぶ音が聞こえた。
~~~~~~~~~~~
そしてシアの中で何かが反転する。
「■■■■■■■■■■──ッッ!!」
言葉にならない声を叫びながら、凶悪なオーラを吹き出したシアがゆっくりと立ち上がる。
その姿が少しずつ変わっていく。鮮やかな水色の髪が薄紫色に、輝く青い瞳は血を連想させる赤色に。
そして、その赤い瞳がエーアストを捕えた。
その瞬間、地面が爆発し、シアが消える。
音を置き去りにする超速度にて、シアは拳を突き出してエーアストに迫る。
(親を殺された兎が切れたか。だが、その程度で私には届かない)
シアの拳がエーアストに届く前にエーアストは背中の羽を動かし、突き出されたシアの右腕を粉々に切り刻む。
羽には分解魔法が纏っており、如何なる強度を無視して切断する絶対の刃と化している。
右腕の次は左腕を、その次は両足を。未来視で自らの死を知っても何もできなくしてから殺す。そのために再び羽を動かしたエーアストは……
──シアの右ストレートをまともに喰らい吹き飛んだ。
「ッ!?」
吹き飛ばされるエーアストに追い付いたシアが今度は足を出そうとしてきたので、再びエーアストは突き出された足をバラバラにし、そのまま蹴りの直撃を受けた。
「がはぁッ!」
空中に吹き飛ばされたエーアストは急ぎ体勢を整え、今起きた現象を理解する。
「なんという、再生速度」
今起きた現象は単純。腕を破壊された瞬間腕を再生してそのまま殴った。斬られた足を瞬時に回復させてそのまま蹴り飛ばした。
吸血鬼の自動再生に匹敵する超回復力。見ればエーアストが傷つけていた治療不可能だったはずの傷も治っている。
「ならば、全身まとめて消し去ってくれる!!」
超音速で迫るシアに対し、数万を超える分解の羽で包囲し、攻撃する。一瞬で回復するとは言え、全身を消滅させられたらどうしようもない。
その考えはシアが気を放出するだけで数万の羽を吹き飛ばされたことで間違いだと気づかされた。
エーアストの剣とシアの拳が激突する。それだけで周囲に衝撃波を齎すが、エーアストは自身が押されていることに驚愕した。
「……化物め」
地面に向けて叩きつけれらたエーアストは、シアの攻撃を受けたこと、そして無茶な力を使っている反動により口から血を吐き出す。
「ふふふ、あはは、なんだか……とっても……良い気分……」
赤い目で陶酔しながら地上に降り立ったシアは変身を遂げていた。
全身を包む薄紫のオーラはより力強く。そしてその顔には確かな愉悦の笑みを携え……
「あはは、あははははは……」
狂気を瞳に浮かべて……
「ぐっちゃぐちゃにしてやる!」
エーアストに対して殺意を叩きつけた。
シアの戦い方は非情に原始的だった。ただ拳を振るい、蹴りを繰り出す。そこに術理のようなものはなく、ただ野生の本能のままに戦う。
そんなシア相手に、エーアストは振り回されていた。
「はぁぁぁぁぁ──ッッ」
シアの攻撃に対し、幾重にも対物理、耐魔法障壁を繰り出そうにも拳の一撃で粉砕される。
「ぶっ潰れろ!」
シアが繰り出した蹴りは天候さえ変え、周囲に竜巻を発生させ地層ごとひっくり返す。
まさに一徒手一徒足が自然災害のごとき猛攻。おまけにエーアストの攻撃は意に介していないか、喰らっても瞬時に再生する。
ただ強い。超細胞極化状態のシアはその一言で完結される。まるで圧倒的な生命力さえあれば他には何もいらないと言わんばかりの状態。
「やはり……シア・ハウリア。お前は兎人族ではありませんね」
エーアストは確信する。シア・ハウリアは兎人族ではない別のナニカであると。
元より亜人族とはエヒトが魔族を混ぜて作った人工種族。つまり純血ではないとはいえ魔族の血が流れているとも言える。
シアの今の現象の正体をあえて言うとするなら、『魔族隔世』といったところか。遥か先祖に位置する魔族の力が時を超え、シアの代で覚醒したのだ。
「それが……どうした?」
エーアストは迫るシアを掴み、その勢いを利用してシアを大地へと叩きつけた。
「私はエーアスト。神エヒトルジュエにより作られた最初の神の使徒。化物風情に取られるほど我が命は安くはない! 確かに今のあなたは脅威ですが、所詮獣、慣れさえすればどうと言うことはない」
その言葉をキッカケにエーアストの反撃が始まる。本能に身を任せたような単純な攻撃を行うシアに的確に的確にカウンターを入れ始める。
拳を躱し、その身体を切り刻み、再生したその肉体を分解砲撃で吹き飛ばす。それでも復活するシアを大魔法の連射で攻撃する。相手が獣だとしたら取れる手段など無数にあると言わんばかりの猛攻。
相手の攻撃が通り、こちらの攻撃が当たらないことを陶酔した頭で現状を理解したシアはすぐさま対策を取る。
その対策は単純。今の自分で当たらなければもっと出力を上げればいい。
シアの纏うオーラの量が劇的に増大した。
いきなり増したシアの出力に対し、対応が遅れたエーアストが再びシアの攻撃に直撃する。
「あは、あはは、あはははは」
音を数十倍規模で置き去りにする拳と蹴りの連打でエーアストを叩きのめしているシアは上機嫌だった。
なぜこの力を拒絶していたのかわからない。ユエの時とは違う、何も遠慮せずに振るう暴力とはこれほど心地が良いものだったのか。
もっと、もっと、もっと。
「あははははははは──ッッ!」
高笑いを浮かべるシアのオーラがどんどん増幅していく。
否、オーラだけでなくシアの身体にも変化が起きていた。身体に黒い紋様が現れ覆い尽くそうと増え続ける。
このままいけばシアは文字通り進化する。人を辞め、人ならざるナニカに変貌を遂げる。その精神もまた人から外れた者になることは想像に容易い。
「駄目よシア。戻ってきて!」
家族が今のシアが危険であることを察し、必死に引き戻そうとするもシアは聞こえていない。
「おのれぇぇ」
無数の光弾と分解魔法。そして二振りの大剣をエーアストは振るう。
「あはっ」
だがそれもシアの拳の一振りで消し飛んでしまう。そして再びシアのオーラが増大する。
天高く昇る薄紫のオーラは完全に人の領域を超越している。その光景に対し、エーアストは一周回って感嘆を覚えた。
「すばらしい。いいでしょう。ここであなたが永遠に暴れ続ければ、あの男を滅ぼしてくれるかもしれませんね」
そしてシアは、真の意味で人外の領域に足を踏み入れようとして……
響いたその声に、立ち止まることになる。
(父様?)
「確かに力が持つ狂気は恐ろしい。私達とて一度それに溺れそうになったことがある」
かつて、ハウリアは自身を虐げていた熊人族などの戦闘種族に対し、優位に立った際に力に溺れそうになったことがある。
「だがそれでは真の強さとは言えない。だから我々は考えた。どうすればこの力を正しく使用できるのか。そして至った。我らの心を支えてくれるもの。狂気に負けないために必要なもの。それは……」
そう、ハウリア達は至ったのだ。狂気の力を制御するために必要なものを。その答えを。
「魂からにじみ出てくる。熱き
ドクン
シアの中で、熱い
「さあ叫べッ、我らのボスの仲間に相応しい、新たな名前を!!」
訳の分からない理屈だが、この世界はその理屈を許容する。
このまま化物になるか。それとも家族と同じになるか。シアにとって選ぶべき選択など一つしかなかった。
審査完了──判定
「
シアの内側から今、闇が溢れ出す。
「零落する霊鳥の群れ、万象を滅ぼす死の河、攪拌し、業火に包まれる白金の衣」
「霊水を吹き出し、暴れ狂う狂気の獣は、しかしてその身を黄昏に染める」
己の中の闇と向かい合い、ある種の手続きを取っていく。大いなる者の力を頼り、制御不能だった己の獣に鎖を施していき、その舵を我がものとするために。
「顕現せよ獣の王。我はその身をもって大地の覇者となる」
そしてシア・ハウリアは今こそ、家族と同じその境地に到達する。
「我が名は、『炎牙氷爪』獣王マルコシアス! 」
さあ祝うがいい。ここに新たなハウリアは誕生した。
「なにをしている。シア・ハウリア?」
「決まっているでしょう。あなたを倒す儀式ですよ」
シアの荒ぶっていたオーラが鎮まる。その身に纏うオーラの量こそ変わらないが、その安定度合は以前とは比較にならない。
「聞きなさい。不遜なる邪神の使徒よ。獣王マルコシアスが、お前達堕天の使徒に宣言する。貴様らにもあの神父にも、そして貴様らの神にも、未来など存在しないと」
あえて傲慢に、不敵に、シアは宣言する。お前達に未来などないと。
「勝つのは我等だ。貴様ら旧時代の遺物は、ここで滅びるのが定めであると己の身をもって知るがいい」
「何をわけのわからないことを。気でも狂いましたか?」
「正気ですよ。正気でこう言っているのです。お前達など不要だ。消え失せろと」
これ以上の言葉のやり取りは不要だとシアは再び超高速戦闘に入る。だが先ほどまでの本能で戦っていたシアとは違い、そこには戦士としての理性がしっかりと現れている。
エーアストの剣を捌きながら確実にエーアストにダメージを与えていく。
そして一方でエーアストは徐々にその力の精細をかいていくことになる。
顔に無数の罅が入る。シアの攻撃を受けたからではない。その身に纏う過ぎた力の代償が回ってきたのだ。
「ふざけるな。あの方は永遠だ。これまでも、これからも!」
そうでなくてはならない。エーアストも譲れないもののために戦っている。だがその戦力の差はだんだん開いていき。
エーアストは最後の賭けに出る。
「避けてみなさい。避ければ地上にいるあなたの家族は、消滅しますよ」
残りの全魔力をかけて生成した質量消滅魔法。力が弱っているとはいえ今のエーアストでも数キロ単位で地上を消滅させることは容易だ。
「無駄なことを」
だがシアの余裕は崩れず。シアもまた腰だめに構えた両手に膨大なオーラを溜めていく。
「これで最後です! 消し飛びなさい、シア・ハウリア!!」
天空から落ちてくる光の柱。膨大な魔力で構成された光が辺り一面を照らしていく。
「これで終わりは、此方のセリフです」
天から落ちてくる光の柱に対して、シアは両手を突き出してオーラを放出する。
激突する力と力。辺り一面を飲み込まんとする力の行方は、獣王を名乗る少女に軍配が上がる。
迫りくる光の砲撃に対して、エーアストに成す術はない。
(まだです。私は……まだ……)
大気圏を超え、宇宙空間まで放出された砲撃の跡には何も残っておらず。ただ一人感情を持っていた神の使徒は、存在していなかった。
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「はぁ、はぁ、はぁ……ふぅ」
戦いの終わりを察し、シアが呼吸を整えゆっくりと超細胞極化を解除していく。途中で変なテンションになっていたことも自覚しているので、それも踏まえて元の自分に戻っていくイメージを行う。
そう、元の自分にだ。
「違う……違います。私は家族みたいにはなりません。ええ、絶対にならないったらならないんです」
トランス状態になっていた時に、何か変な声を聴いた気がしたが気のせいに違いないし、何かわけのわからない言葉を喋っていたのも気のせいに違いないのだ。
「いや、そう自分を卑下することもあるまい。立派だったぞ。シア」
後ろから聞こえてきたのは、愛する父親の声、振り返るとそこにはシアの父、カム・ハウリアが立っていた。
とてもいい笑顔でシアを見ながら。
「いや、そうではなかったな。済まない。お前はもうシアであってシアではない。今日からお前は”深淵蠢動の闇狩鬼”カームパンティス・エルファライト・ローデリア・ハウリアの娘、『炎牙氷爪』の獣王マルコシアスだ!」
改めて他人に突きつけられて、初めてわかることもある。
「違います!! 絶対違います。私はそんな名前持ってませんし厨二にもなりませんから!! というかあれ? どうして父様、生きてるんですか?」
妙なテンションから戻るのに必死で今更気付いたが、分解砲撃に飲み込まれたはずのカムが何故か生きている。
どうやってあの分解砲撃から生き延びたのか、シアが知りたいのは当然で、そしてカムも同様だった。
「はて? そういえばなぜ私は生きているんだろうな?」
カムの顔を見ると本気でなぜ自分が生きているのかわかっていないようだった。
「シア姉、無事っすかって、族長ッ、無事だったんっすか!?」
遅れてパル筆頭に残りの家族が駆け付けてくるが、皆何故か生きているカムにぎょっとした顔を隠さない。
「一体どうやって。流石に駄目だと覚悟したのに」
「ふむ、私にもわからん。もしや私の中に眠る新たな力が目覚めたのかもしれんな」
カムが”深淵蠢動の闇狩鬼”の更なる力とか言い出したが、ここで明確に否を突きつける者が現れた。
「みんな何言ってるのよ。族長が無事だったのも。あの使徒と戦っている間に襲い掛かっていた量産型使徒が倒されたのも、全部……
ラナ・ハウリアの熱のこもった言葉に嘘は感じられないが、ハウリア達は誰一人信じてはいなかった。
「ああ、
ラナのことを一先ず無視して、シア達は樹海の方を見る。指揮官だったエーアストが消滅したからか、樹海への襲撃は一先ず止まっていたので一度体制を立て直す余裕がありそうだ。
謎は残るが、一人も家族が死なずに済んだ。今はそれを喜んでもいいだろうとシアはようやく張りつめていた気をようやく静めることになった。
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真・神話大戦の戦線戦況
シア・ハウリア&ハウリア族&その他亜人族VSエーアスト&その他神の使徒
勝者:シア・ハウリア&ハウリア族&その他亜人族
タイトルの意味。
シアが真の意味でハウリア族として覚醒するということ。
>『炎牙氷爪』獣王マルコシアス
シアのハウリアネーム。この状態になると妙なテンションでノリノリで詠唱したりするようになってしまう。
シア本人はハウリアしてしまったと後悔しているが、謎の存在の声が聞こえたこと。シアのハウリアネームであるマルコシアスという名がソロモン72柱の一柱として数えられる悪魔と同じ名前であることが果たして偶然なのか。色々謎が残る結果に。
>深淵様
助っ人として参上すると宣言していた通り参戦した男。素の状態だと神の使徒千体は倒せないので身体に負担がかかる切り札を使った模様。現在はひぃひぃ言いながら真央と合流中。
次回はいよいよハジメとユエの話。果たしてハジメは上手に嫁の親に挨拶できるのか。
あと今回の話が難産すぎてもはや自分では面白いと言える自信がないので何か感想いただければありがたいです。なんとかモチベを上げたいのが本音