ありふれた日常へ永劫破壊   作:シオウ

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さようなら、アヴェンジャーズ。

大変遅くなりましたがなんとか書けましたので投稿します。

長きに渡って続けられたアヴァタール王国編、ようやく完結です。


大災害『淵魔』

 現代より遥か昔。

 

 まだエヒトすらこの世界に存在しなかった頃、南大陸で覇権を争っていた魔族の一種である吸血鬼(ヴァンパイア)族に"彼女"は産まれた。

 

 吸血鬼とは魔族の中でも特に魔法に長けた種族であり、吸った血を魔力に変換する技能を持つ種族だったが、その中でも彼女は特別異端の力を持っていたのだ。

 

 

 異端の吸血鬼である彼女が持つ魂奪(ソウルスティール)と呼ばれる技能は、これまでの吸血鬼の技能とは一線を画す技能だった。

 

 魔族の中でも屈指の膂力を誇る鬼族(オーガ)の血を吸えば、その人外の膂力を手に入れ、魔族最大の魔力を誇る悪魔族(デーモン)の血を吸えば、元々強大だった魔力がさらに膨れ上がる。

 

 当然ながら彼女は戦乱の世にてすぐに頭角を現すことになった。

 

 幼い姿であろうと彼女は、ひとたび戦場に出れば敵に鬼神と恐れられ、味方からはこの南大陸を統一する覇王の誕生だと讃えられることになる。

 

 

 そして彼女がほぼ全ての種族を従えた頃、彼女の天職が『魔王』に変化した。

 

 

 ──『魔王』

 

 この天職を持つものは同時代に二人いないと言われ、この天職を授けられたものは世界を支配する運命にあるという。

 

 この天職の発現が決定打となり、彼女はこの世界初の南大陸統一という偉業を成し遂げ、その天職に乗っ取り魔王の名で呼ばれることになった。

 

 

 戦乱で成り上がった彼女の治世は意外にも平穏なものだったという。

 

 

 長きに渡る戦乱の世が終わり、魔族という枠組みで統一された国民はようやく訪れた平穏な日々を甘受する。

 

 

 彼女もまた、長年自分を支えてくれた幼馴染の青年を王配(眷属)に迎え、長きに渡って順風満帆の生活を送った。

 

 

 

 最愛の夫が非業の死を遂げるまでは。

 

 

 そこからの崩壊は雪崩のようだった。

 

 悲しみと彼を求めて湧き上がる吸血衝動を抑えられなくなった彼女は片っ端から捕食を開始した。

 

 

 殺して、血の一滴まで吸い干して、全身から血の匂いが取れなくなっても彼女は血を、亡くした最愛の夫を求めたのだ。

 

 

 もちろん民も抵抗した。ようやく訪れた平穏な日々。それを守らんと数多の魔族の戦士が彼女に戦いを挑むが、彼女は強すぎた。

 

 

 粗方食指が動く相手を喰らいつくした彼女は、戦士達を眷属にすることで支配し、不干渉を貫いてきた北の大陸に進軍を開始した。

 

 

 第一次の遠征は北大陸の狭間を根城にしていた獄蛇により失敗に終わった。

 

 

 第二次遠征は発生した群体の影響により中断せざるを得なかった。

 

 

 そして第三次遠征にて、吸血鬼族から生まれた勇者に討たれ、彼女は倒された。

 

 

 だが、それは終わりではなかったのだ。

 

 

 彼女の魂は自らを討った勇者に憑り付き、勇者を少しずつ魔王に変えていった。

 

 

 それからは同じことの繰り返しだ。いずれ耐えられなくなった依代が魔王になり、暴走を始め、暴れるだけ暴れて勇者によって討たれる。そしてその勇者を乗っ取り魔王に変える。数多の戦いで蓄えた膨大な魂を抱え、それでもなお満たされない吸血衝動のままに暴れるのだ。

 

 

 それを数十世代経た後、エヒトがこの地に降臨する頃には彼女の自我は崩壊していた。

 

 

 

 彼女はもう、自分が何を探していたのかもわからない。

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 魔王城での攻防は続く。

 

 敵対するのは異形へと姿を変えた魔王ディンリード。巨大な体、強靭な二腕、鉄をも噛み砕きそうな犬歯。その姿のどれもが、恐怖を呼び畏れに誘う威容。そんな暴虐に向かって、ハジメとユエは果敢に攻め続ける。

 

”氷城顕現──鉄槌”

 

 ユエが魔王と化した叔父に文字通り氷の城を落とす。

 

 純粋な巨大質量による攻撃。重力魔法による加重をかけられたその城で押し潰し続ける。並の相手ならこれで終わっている。その圧倒的な圧力はヒュドラ級の魔物でも抵抗も許さず圧殺しているであろう。

 

 だが、そんなものでは足りない。

 

 抑え続けられたのは僅か数秒、次の瞬間には氷の城が一瞬で蒸発し、その衝撃破がユエを襲う。

 

「ッあぐッッ」

 

 その衝撃破はそれだけで超級の神秘を纏う魔震だった。不死身の肉体を粉みじんにする破壊力がユエの体内で暴れまわる。

 

 幾度か死んで蘇生を繰り返しながらユエは体勢を立て直し、真っすぐこちらに向かってくる魔王の拳を避ける。

 

 それだけで魔王城の一部が砕け、破片となってユエを襲う。魔法障壁で防御する頃には何事もなかったかのように魔王城は再生していた。

 

「こっちだ!」

 

 先ほどのユエの攻防による時間稼ぎにより準備を終えたハジメが上空から太陽光集束レーザー『パルス・ヒュベリオン』にて攻撃を開始する。

 

 だが先ほどのユエの攻撃とは違い、ハジメの攻撃はほとんど意に介していない。焼き焦げる皮膚がその端から回復していき、ハジメに対して煉獄の火球弾を無数に放ってきた。

 

「クソッ、吸血鬼なんだから素直に太陽光で灰になっとけよッ ”不破之極盾(アポリト・ジ・アイギス)”!」

 

 

 ハジメは現在展開できる最強の盾を錬成する。空間固定、時間固定、情報強化などの神代魔法をふんだんに使ったあらゆる攻撃を防ぐ盾は確かに効果を発揮したが、爆発の衝撃でハジメの身体は大きく吹き飛ばされる。

 

「──ぐ、がぁ……!」

 

 ハジメの最大防御でも殺しきれない衝撃。防御するために構えた腕が粉々に砕けたくらいだ。

 

「ハジメッ!」

「今の俺なら大丈夫だ。コツも掴んできた」

 

 ハジメは砕けた右腕に魔力を流し、吸血鬼化して手に入れた技能:自動再生を発動すると、粉々になっていた腕が逆再生されるように元に戻っていく。

 

「気を付けて、ハジメの不死身は私ほどじゃないから」

「ああ、わかってる」

 

 これまでの攻防で、少なくとも胴体の半分が消し飛ばされても再生できることはわかっている。問題はダメージの程度を考えて戦える相手じゃないということだ。

 

思考超加速(ブレインバースト)……)

 

 ハジメは賢者の石(エリクシル)にて加速した思考を全力で回してこれまでの攻防を振り返る。

 

 まずは魔王の攻撃。これはまともに喰らえば不死身の吸血鬼と化したハジメでもまず即死。神秘の規模自体は従来の最上級魔法と大差はないが、神秘の構造と強度は今までの戦いとは次元違いだ。魔法の構成を規模に振り切れば間違いなく南大陸の半分は焦土になっているであろう攻撃が通常攻撃として飛んでくる。

 

 次に防御。まずハジメの攻撃はほとんど通じない。例の概念防御を常時纏っているためであり、だからこそ攻撃はユエを主体にハジメは行動を組み立てる。

 

「"黒縄大天窮"」

 

 ユエの空間重力魔法が魔王の上空に現れ、その肉体を崩しながら何もかも吸い込んでいく。

 

 やはりユエの魔法は通じている。ハジメはすかさず魔王に向かって銃火器にて追撃した。

 

 ダメージは与えられずとも体勢を崩すことはできる。だが魔王はその場からすばやく脱出し、黒縄大天窮の強力な引力から逃れると同時に、巧みにハジメの攻撃をかわした。ハジメは銃火器を構え直し、機動力を活かした戦いを心掛けるもその巨体に反する機動力によって捉えることが難しい。

 

「ちッ、あの巨体でなんつー速度だ」

「ハジメ、埒が明かない」

「ああ……わかってはいたが」

 

 

 二人の攻撃で手傷は負わせられても決定打にはなり得ない。ユエがどれだけ巨大な一撃を放ってもすぐに再生されるし、ハジメの防御用アーティファクトでも受け切れない攻撃力のため護りも疎かにできない。そこでユエは一つの決断をした。

 

 

「ハジメ……私、叔父様を……あの魔王を倒すために、やってみたいことがあるの」

 

 

 変身して以降、ディンリードは言葉を発することはない。喋ることができないのか。それとも言葉は不要と断じているのか。いずれにせよ、ユエが呼び掛けても答えない以上、自分たちの力で何とかしなくてはいけないのは明白だった。

 

 己の中に流れる真祖の血が、魔王を倒すための策を教えてくれる。

 

 ユエは決心し、それをハジメに伝えた。

 

 

「……なるほどな。でもできるのか?」

「うん」

 

 

 ハジメの疑問にユエは迷わず頷く。

 

 

「わかった、信じるぞ」

「ん……!」

 

 ハジメならきっと自分を守ってくれる。だからこそ、ユエは己の中に流れる真祖の血より導き出された古代魔術の詠唱を始めた。

 

スコタディ・エラセメナ・クリパーシス

 

 

 ユエの口から言語理解を持つハジメの耳でも理解できない言葉が放たれる。

 

 だが魔王には理解できたのか、威圧がユエに向けられたのがわかった。

 

「させねぇよ!」

 

 ハジメは手合わせ錬成を発動する。空間に錬成反応の電流が流れると魔王の周囲に複数の柱が形成され、先端から複数のパイルバンカーが放たれる。

 

 先端に返しが付いた杭が真っすぐ魔王に向かって突き刺さり、魔王をその場で拘束した。

 

 次々自身に向かって突き刺さる杭に対し、暴れて抵抗する魔王。

 

ティン・ソウギア・プロスタシス

 

(くっ、十秒も持たねぇなんて、流石にダサいだろ!)

 

 ハジメが錬成を発動し、魔王の足元を液状化させる。単純な錬成だが、こういうシンプルな罠は意外と効くのだ。ハジメはかつてベヒモスに対して使った戦術を思い出す。

 

 だが、それで稼げた時間は僅か数秒。魔王は全身から闇の波動を放ち自身を拘束していたアーティファクトをまとめて粉砕する。

 

ケメナ・カディギシス・スド・スコタディ! 

 

 だがその時間でユエは魔法を完成させる。足元にハジメには理解できない魔法陣が展開された。

 

古代魔術……"冥獄之悪霊(ラルヴァ・ゲヘナ)"

 

 ユエの掌には闇属性魔法ですらありえない闇が存在している。ハジメには魔法効果が理解できない。言語理解で理解不可能な言語により紡がれた、神代以前の古き時代の古代魔術。

 

 

 ユエの中に流れる真祖の血が告げる。闇を喰らいて魔の存在に近づけと。歴代の真祖がどうやっていたのかまでは流石にユエにもわからないが、ならばとユエは自分なりのやり方で行うことに決めた。

 

固着(セキュア)──憑依(アニマ)──憑神覚醒(アバター)

 

 固着化した古代魔術を取り込んで装填した瞬間、ユエの身体より闇色の魔力光が噴出し、闇に包まれたユエは姿を変える。

 

神ノ律法(デウス・マギア)──魂殻霊装

 

深闇之女主人(テネブラリア・ミストレス)

 

 夜の闇のような黒のドレスに身を包んだユエはその眼を金色に輝かせながら宙に浮かぶ。

 

魂奪(ソウルスティール)!」

 

 ユエが手をかざすと、魔王の傷口から血が噴き出し、ユエの元に集い吸収される。

 

 

 魔王は不死身だ。それも生半可な不死身ではなく、たとえ細胞を欠片も残さず消滅させたとしても無から再生するレベルの不死身であり、通常の吸血鬼では再生できないであろう魂すらも、取り込んだ無数の魂を糧に再生させてしまうという徹底ぶりだ。だからこそ、魔王の抱える膨大な魂をどうにかする以外に魔王に勝つ方法がない。

 

 

 そして真祖の魔王専用の技能である魂奪(ソウルスティール)。これこそが魔王から膨大な()を引き剥がすことのできる唯一の方法。

 

 魔王から()を引き剥がすユエだが、当然魔王もただ奪われるわけではない。ユエに向かって炎弾を放つ。

 

 その攻撃に対してユエは、闇の魂殻霊装にて使用可能になった闇を操った。

 

 ユエの前に広がるのは闇のカーテン。そのカーテンに炎弾が当たった瞬間、炎弾が跡形もなく消滅する。

 

「ハジメッ、もっとダメージを与えて!」

「応ッ、任せろ!」

 

 ユエの求めに応えるように、ハジメが魔王の周囲にアーティファクトを展開し一斉攻撃を開始する。

 

 受けたダメージはすぐに回復されるが、傷を負った際に噴き出した血をユエはどんどん集めていく。

 

 その行為に対し、危機感を覚えたのか魔王が影から大量の魔獣を放つ。

 

「湧きすぎだろ。広告のゾンビゲーかッ!」

 

 大量の魂を抱えているのだ。それを燃料ではなくそのまま使うことも当然できるだろう。ハジメはメツェライを装備したクロスヴェルトを大量に錬成し、地上を一掃しようとするも、次から次へ湧き出してくる。

 

「スコタディ・ヴェタロ・ランサ」

 

 ハジメが魔物の波を押し留める隙にユエが古代魔術を発動。地上一杯に深い闇色をした血の槍群が現れ、魔物達を串刺しにしていく。

 

 その槍には刺し貫いたものの()を奪う効果があり、これによりユエの魂奪(ソウルスティール)の勢いが増す。

 

 このままでは効果が薄いと見たのか、魔王はその巨体を動かしユエに迫る。当然ハジメのクロスヴェルトが迎撃するが、その攻撃を無視してユエに真っすぐ突き進み拳を叩き込む。

 

 巨大な神秘を纏った拳はそれだけで致命の一打になりうる。ユエは魂殻霊装にてさらに増した力で魔王と近接戦闘に入る。

 

「叔父様ッ!」

 

 拳を避けたユエは強化した爪の一撃を魔王に与えるが瞬時に傷が復元する。そして攻撃の瞬間にユエは叔父に声をかけることを諦めない。だがその言葉を持っても魔王の攻撃は鈍らない。

 

「くッッ」

 

 拳を振るうという単純な攻撃。されどその攻撃は音速の数十倍に到達しているものであり重さと速さを兼ね備えている。避け続けていたユエだったが、掠っただけで大きく吹き飛ばされてしまう。

 

「こっちを無視してんじゃねーぞ!」

 

 ユエとの攻防の最中もハジメのアーティファクトによる援護射撃は続いていたが魔王は意に介さない。ならば教えてやらなければならない。

 

「俺にも、攻撃手段はあるんだよッ。二発目だ。食らいやがれ!!」

 

 魔獣や威圧を跳ね除けながら魔王に接近するハジメが構えるのはもちろん聖遺物、血盟之魔銃(ブルート・ゲヴェアー)

 

 ハジメの魂を吸い上げて精製された命の弾丸が魔王に向かって放たれる。

 

 

「■■■■■■■■■──ッッ!!」

 

 ハジメの魂の一撃。それは魔王のどてっ腹に大きな風穴を開ける戦果を叩き出す。その穴から今まで以上の血が噴き出し、魔王の抱える魂がユエに流れ込んでいく。

 

「叔父様……私はあなたを死なせたくない」

 

 再び拳を振るう魔王に対し、ユエもまた拳で応じる。その一撃の威力は互角だが、自分の力が魔王と拮抗していることを知る。

 

(叔父様から……魔王を引き剥がすことができれば)

 

 ユエが賭けたのは魔王の抱える魂を自分が引き取ってしまえば、叔父は魔王から解放されるのではないかということ。現に魔王と化した叔父の力は減衰し、自身の力はさらに高まっていくのを感じる。

 

 その勢いのままユエはさらに古代魔術を行使した。

 

「エルメ・エソテリー・アナカン」

 

 現れたのは闇の腕。その腕はユエの意思に従って真っすぐ進み魔王の魂を掴み、その肉体から引き剥がしていく。

 

 

「オオオオオオオオオ──ッッ!!」

 

 その身から血が噴き出し、魂奪(ソウルスティール)によって片っ端から集めていく。

 

 魔王の最大魔力がどんどん減じていき、それに反比例するようにユエの魔力が異常に高まっていく。

 

 

 そう、異常に高まっていく。

 

 

 

(ああ──とても……喉が渇く)

 

 

 ユエは、己の中に冷たい渇きが急激に増していくのを感じていた。

 

「なに……これ……」

 

 

 高まる魔力に反して、どんどん身体が冷たくなっていく。魂に冷たい闇が染み渡っていく。

 

(まるで……自分が自分でなくなるような)

 

 魂を食らえば食うほど、ユエの魂は魔王(彼女)のものに近づいていく。

 

 

 血の支配が、始まる。

 

 

「ッッッああああああああ──ッッ!!」

 

 ユエの瞳から輝きが失われていく。だがその渇きを潤すように、魔王が纏う黒き魔力がユエの古代魔術を通してユエに注ぎ込まれていく。まるでもっと魂を喰らえと、魔王はユエの魂を蝕んでいく。

 

「ユエッ!」

 

 ハジメの声が響くが、ユエにはもう届かない。ユエは魂を喰らうことを止めない。むしろ加速させて、その魂を()い取らんとする。

 

「させるかよ!!」

 

 ユエに何が起きているのか察したハジメは、ユエの魂を守るべく、宝物庫から取り出したアーティファクトをユエに突き刺す。

 

 疑似概念魔法──Noli me tangere(俺の女に触れるな)

 

 以前はユエを拘束する檻として使用した疑似概念魔法をユエの魂を守るという本来の用途で使用する。

 

「ハジ……メ」

 

 ユエが意識を取り戻しハジメの名を呟くと同時に、魔王の意思を一時的に引き剥がす。

 

「ユエ、無事か?」

「うん……」

 

 ハジメに寄りかかりながら立ち上がったユエは再び、魂奪(ソウルスティール)を発動する。

 

「ユエ、それ以上はッ」

「けど、途中でやめるわけには、いかない」

 

 魔王と化したディンリードから再び()が注ぎ込まれ始めた。それと同時にユエの魂への浸食が再開される。

 

「だって……こんなのって……寒くて、暗くて、悍ましくて。叔父様は……私が封印されている間にこんなのと300年戦ってたなんて……」

 

 今のユエはハジメの疑似概念魔法によって守られているがゆえに正気を保てているが、叔父ディンリードは自らの意思の力だけで、この魔王の浸食とずっと戦い続けていたのだ。

 

 ユエが奈落の底で、眠っている間もずっと。

 

「今度は、私が……頑張る番だから」

「ユエ……」

 

 ユエの覚悟が伝わり、ハジメはこれ以上の言葉をかけるのをやめる。だからせめて、ユエに付与された疑似概念魔法の維持に全力を尽くす。

 

 魔王は動かない。ただ黙って魂を吸われ続けているのは、現在の宿主であるディンリードよりも遥かに優れた器であるユエに狙いを定めたからだろう。

 

 ユエから魂奪(ソウルスティール)により、魔王の魂はみるみると削られていく。

 

 魂を吸い上げ続け、吸い上げ続け。

 

 

 そして遂にユエに注ぎ込まれる()が止まった。

 

 ディンリードの姿が元の吸血鬼の姿に戻る。

 

 そして、魔王の()を全て吸い上げたユエは……

 

 

 己の限界を悟る。

 

 

 まず最初にハジメがユエに施していた疑似概念魔法がその力を使い果たして消滅し、ユエの魂の汚染が再開される。

 

 浸食の勢いが止まらない。ユエの魔力が天井知らずに上がるのと同時に、意識が遠くなっていく。

 

 

(ダメ……これ、耐えられない)

 

 魔王とはかつてエヒトすら封印するしかなかった大災害の一角。その肉体を失い、魂だけになっているとはいえ、その力は凶悪。

 

 

 もうあと少しでユエの魂は魔王に塗り潰されるだろう。そして長きに渡って封印されていた魔王『淵魔』がその力にふさわしい器をもって完全復活を遂げるのだ。

 

 そうなれば、このトータスは終わりだろう。でもそれを承知の上でユエは魔王の()を吸い上げたのだ。

 

(……ハジメに辛い思い、させるかな)

 

 自分が魔王として復活するということは、ハジメを殺すということだ。

 自分が封印されてから300年以上もの間ずっと守ってくれた叔父を殺すということだ。

 

(そんなの……ダメ)

 

 だがそれも叶わずにユエは力尽きる寸前だった。

 

(結局……何も返せなかった)

 

 ハジメが自分を呼び掛ける声を遠くに聞きながら、ユエの意識は闇に引きずり込まれ……

 

 

 

 

 

「いや、よく頑張ったよ、アレーティア。あとは、私の仕事だ」

 

 

 

 ユエに対してある術式が発動する。

 

 

 そして、ユエの意識が覚醒した。

 

 

 

「ユエッ!」

 

 ハジメの叫びがすぐ側に聞こえた。ユエがハジメの方を向くと、ユエの方を向いて安堵するハジメの姿。

 

「これ、どうなって……」

「アレーティア、そして南雲ハジメ君。よくぞ、よくぞ私の望みを叶えてくれた」

 

 ユエの中から、何か白い影が飛び出し鎖でからめとられて引きずり出される。その鎖は、倒れていた叔父ディンリードの胸から出ていた。

 

 

「アレーティアの中に仕掛けていた術式が発動してくれた。そのためにあの神父と契約を結んだんだ。どうしても必要だったからね。力と魂を分離させる術が」

 

 ディンリードが行ったのは魔王城にて神父がエヒトに使用した術式と同じもの。魂とその力を分離させる術だ。だが起きた結果は神父とは真逆。神の力のみを手に入れた神父とは違い。ディンリードが引きずり出したのは原型を留めない呪われた魂のみだった。

 

 

 これで今現在、魔王淵魔の力と魂は二つに分離した。

 

 

 ──意思無き純粋な力はユエに。

 

 

 ──そして力なき純粋な魂はディンリードに。

 

 

 鎖で拘束されている何かが暴れてユエの方に手を伸ばす。

 

「させんよ。貴様だけは逃がさない」

 

 後少しでユエに手が届くところまで来たがディンリードによって鎖を引きずられ徐々にディンリードの方に向かっていく。

 

「共に果てることが……私の使命なのだ」

 

 そして断末魔の悲鳴を上げながら、もがいていた魔王淵魔が光と共にディンリードの中に吸い込まれて静かに消えた。

 

 

 

「……終わった?」

 

 

 空を見上げると、ディンリードが展開した心象領域が崩れていた。

 

 天高く浮かぶ紅い月は徐々に形を失い、蘇った魔王城は再び廃墟へと戻る。

 

 その後に広がるのは、人の気配を亡くしたかつて王都と呼ばれた場所のみ。

 

 

 

「いや……まだだ」

 

 

 ディンリードの声には、力がほとんど残されていない。されどその意思は……いまだに硬い。

 

「私の中にいる魔王が、君の中の魔王の力を取り戻そうと足掻いている。……私の離魂術式では、そう長くとどめていられないだろう。だから……」

 

 

 そこから先の言葉はない。だが、ハジメにもユエにも、ディンリードが何を言いたいのかわかった。

 

 

 ……わかってしまった。

 

「……何か、何か方法がッッ」

「ないよ。私はあまりにも長くこれと共生しすぎた。……どの道もう……長くはあるまい」

 

 

 だから……。その先の言葉をユエは否定する。

 

「嫌ですッ! だって、だってやっと。やっと分かり合えたのに……私にはできません!」

 

 ユエは己の血の中に眠る真祖、否……魔王によって支配されていた魂たちの悲願を否定する。

 

 否定する。何か方法がある筈だ。

 

 否定する。私なら……いずれ魔王すらも。

 

 ……否定する。

 

 叔父様を救う方法がある筈だ。

 

 …………否定する。

 

 

 ディンリードが助かる方法は存在しない。

 

 

 

 

 

「…………頼む」

 

 ディンリードの視線の先にいたのは静観していたハジメ。ハジメとディンリードの目線が合う。

 

 10秒か、20秒か。あるいは数秒足らずだったのか。ディンリードの目線、そして言葉の意味。

 

 

 ハジメはその想いに応える。

 

 

 

「待って、お願いハジメッッ。待って!!」

 

 

 ユエの必死の静止の声は届かず。

 

 

 ドパンッ! 

 

 

 ハジメのドンナーから発せられた一発の銃弾が、ディンリードの心臓を真っすぐ射抜いた。

 

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~

 

 ディンリード・ガルディア・ウェスペリティオ・アヴァタール。

 

 彼は吸血鬼の王族の神童として生まれた。

 

 

 魔力に頭脳、政治的手腕、そして戦闘力。そのどれもが当時アヴァタール王国の皇太子であった実兄よりもはるかに優れていた。

 

 だがそれ故、当時の王族や貴族達は彼が野心をもって王位を欲すれば、この国に騒乱を巻き起こすのではと深く悩んだという。

 

 だが結果的に彼は、一部の者から望まれていた王位に興味を示すことなく、自分よりも劣る兄を支える宰相という立場に素直に収まった。

 

 

 彼は天から二物も三物も与えられた人物ではあったが、それに引き換え、欲望や執着心というものが薄く、何事にも熱を灯すことができなかった。

 

 何をこなしても人並外れた成果を上げられるが、一度も心が動いたことがない。

 

 そんな彼だからこそ、王の補佐に甘んじても特に何も感じなかった。その頃になると彼は感情のない、冷酷な人だと評されるようになる。

 

 

 そんな彼に転機が訪れたのは、王妃の出産の時だった。

 

 

 王妃の出産は酷い難産だった。吸血鬼は元々出生率の低い種族であり、その出産には膨大な魔力と血が必要だと言われているが、王妃のそれは並の吸血鬼を遥かに上回る苦痛だったのだ。

 

 国中から血を、魔力を集めるためにディンリードは奔走した。

 

 その姿を見た当時の側近が驚いていたという。まるで何かに突き動かされるようならしからぬ行動だったと。

 

 

 そして、王妃は一人の女の子を出産した。

 

 

 難産を経たにも関わらず、王妃の胸に抱かれた赤子は力強く泣いているその光景に立ち会ったディンリードは、自分が涙を流していることにようやく気付いた。

 

 

 一体どうした? 

 

 

 お体の調子でも悪いのですか? 

 

 

 兄王や側近が見たこともないディンリードの姿に動揺しつつも、ディンリードはゆっくりと王妃に抱かれた赤子の手を取る。

 

 

 その手はとても小さくて、されどとても暖かいものだった。

 

 そして、泣いていた赤子が泣き止み、ディンリードに向けて笑った瞬間。

 

 

 ディンリードは己の使命を知った。

 

 

 なぜ自分が現代において異常な才能をもって生まれたか。なぜ自分は何事にも情熱を向けられないのか。

 

 

 長年悩み続けた答えをとうとうディンリードは手に入れたのだ。

 

 

 ディンリードの天職は賢者。トータスでは偉大な勇者や王を導き、育てる者が持つとされる天職。

 

 

 ──すべては、この子を護り、導くために。

 

 

 

 生きる目的を見つけたディンリードは、兄王夫妻から生まれた赤子の名付け親になってほしいと懇願された際、その赤子にこう名付けた。

 

 

 自分にとっての『真理』。つまり……アレーティアと。

 

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 ディンリードが刹那の回想を終え、見上げると、涙を流しながら自分を抱えるアレーティアの姿が目に入った。

 

「……泣かないでおくれ、アレーティア。すべては決まっていたことなのだ」

 

 

 魔力を全て失った状態で魔核を撃ち抜かれた魔王淵魔は滅び去った。

 

 魔核を撃ち抜かれ、自身の滅びが決まった魔王はそれまでの荒れようが嘘のように静かに消えた。

 

 

 彼女が己の最期に何を思ったのかはディンリードにもわからないが、その終わりは安らかなものであったのではないかと思う。

 

 

 だが、魔王の滅びとは、自身の魂と深く結びついていたディンリードの滅びをも意味していた。

 

 

「全て上手くいった。今の君の器は純粋な魔王の力で満たされている。もはや何者も君を脅かすことはない。君はもう……自由だ」

 

 

 ディンリードの究極の願いとは、アレーティアに真の自由を与えること。

 

 巨大な器ゆえに神にも魔王にも狙われ続けた彼女の呪われた運命を断ち切ること。

 

 そのためにディンリードは魔王の力のみをユエに継承し、神エヒトの入る余地を断ったのだ。

 

 

「叔父様……どうして……再生魔法も、魂魄魔法も効かない」

 

 身体の末端から崩れていくディンリードを必死に助けようとユエが魔法を行使するが、ディンリードには自分が助からないことがわかっていた。

 

 だからこそ、今のうちに残さなければならない言葉がある。

 

 

「後のことはミーシャに託してある。困ったら、彼女を頼るといい」

「ッ!? ミーシャが……まだ生きてるッ?」

 

 自分の教育係であり、姉のように慕っていた人が生きているとアレーティアはようやく知る。

 

「彼女も真祖の眷属。不老不死の恩恵を得ているが、定期的に真祖の血を飲まねば生きていけない身体だ。今後はアレーティアが血を分けてあげてほしい」

 

 その間にもユエの健闘むなしく、ディンリードの崩壊は続いている。

 

「君が国の再建を望むならその力に、そうでなくてもこれから訪れる神無き時代を生き抜く術を持った者達を魔国ガーランドにて育ててある」

 

 ディンリードの言葉は止まらない。

 

「ああ、そうだ。実は神の目をごまかして君に遺産を残してあるんだ。その管理もミーシャに任せてあるから頼るといい。それから……」

 

 魔王城付近に植えてある血染花の世話の方法。この大地に残された最後の吸血鬼の領地。

 

 少しでも、僅かでも、愛する姪の役に立つことはないかと言葉を止めない。

 

「どうして……どうして叔父様はそこまで……」

「ん?」

「私、貰ってばかりで何も返せてない。ずっとずっと、守ってもらって。やっと、やっとこれからだって、やっと恩を返せると思ってたのに……叔父様は……」

 

 泣きながら、ディンリードを抱えるユエに対し、崩れゆく四肢の中で最後に残った右手を伸ばし、そっと姪の、アレーティアの涙をぬぐう。

 

「何も返せてないなんて言わないでおくれ。私は君に、生きる意味を貰ったのだから」

 

 彼女を見守る日々は、ディンリードにとって輝かしいものだった。

 

 アレーティアが初めて立った時、初めて言葉を発した時、初めて魔法を使った時。

 

 そのすべてをディンリードは今でも鮮明に思い出すことができる。

 

 彼女が産まれてきたことで、自分の全てが始まったのだ。

 

「もし私に何かを返したいと願うのなら、一つだけ叶えてほしいことがある」

「……何?」

 

 身体の崩壊は胸下まで及んでいて、ユエも魔法の行使を止め、ディンリードの言葉に耳を傾ける。

 

「笑ってくれないか。……300年前の別れの時も、再会してからも、ずっと悲しそうな顔しか見ていないからね」

 

 その言葉を受けたユエは、溢れ出す悲しみを押さえつけ、精一杯の笑顔を作る。

 

 涙に濡れたその顔は、まるで静かに寄り添う月のように美しかった。

 

「ああ……安心した」

 

 ディンリードはその笑顔を見て、アレーティアは大丈夫だと確信し、傍に控える彼女が見初めた男に告げる。

 

「君に託す。アレーティアをどうか……幸せにしてやってくれ」

「…………はい」

 

 ハジメも神妙に返答を返す。そして……ディンリードの崩壊は首まで迫る。

 

「アレーティア、君を愛している。私にとって君は光だった。これから君を取り巻く世界の全てが、幸せでありますように……」

 

 最期にそう告げたディンリードは笑みを浮かべながら目を閉じて。

 

 

 愛する少女の希望の未来を夢見て、虚空に溶けていった。

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 静寂が広がる中、少女の鳴き声が木霊する。

 

 悲しくはある。けれど300年ずっと憎まれていると思っていた叔父が自分を愛していたことを知り、その温かさがユエの心にそっと寄り添って彼女を支えていた。

 

 身体を回し、正面からハジメの胸元に顔を埋めるユエ。

 

「大変な物を託されちまったな」

 

 言われるまでもなく、ユエを世界一幸せにするつもりだったが、その願いが自分だけのものではなくなったことをハジメは実感する。

 

 300年、愛する姪の幸せのために大災害と戦い続けた男の最期の願いだ。それはある種の概念魔法のように重い。

 

 本当は今すぐにでも内に抱える想いをユエに届けたい。千、万を超える想いの言葉を届けたい。だがそれをするには、赤黒く染まった空の色はあまりにそぐわない。

 

 旧アヴァタール王国での戦いは終わったが、まだ世界中で仲間が戦い続けている。ならばここで止まるわけにはいかない。ディンリードに託されたのはユエだけではない。ユエを取り巻くすべての世界を託されたのだ。

 

 空気が変わったことを察したのか、ハジメとユエの背後に気配が現れる。ハジメとユエが振り返るとそこにいたのは一人の女性だった。

 

「……ミーシャ」

 

 アレーティアにとって家族同然に大切だった人。その一人であるミシェール・イル・ダスティアが、ディンリードが存在していた場所を静かに見つめていた。

 

「ディンリード様は、ようやくお眠りになられたのね。苦痛のない、安らかな眠りに」

「ミーシャ、私……」

「アレーティア……」

 

 向かい合う二人は金髪赤目の美女ということで良く似ていた。あるいは姉妹だと言われても違和感がないだろう。

 

「再会を喜びたい気持ちはあるけど……まだあなたにはやらなければならないことがあるはずよ」

「けど……」

「ここは私に任せなさい。だからあなたは、現代で生まれた縁を守るために、お行きなさい」

 

 

 ハジメは次の戦いの舞台を神山周辺だと想定し、アーティファクトの錬成を始める。その間にユエはミーシャと向かい合う。

 

「また会える? ミーシャは消えたりしない?」

「ええ。私はずっと一緒にいるわ。だから心配しないで」

 

 ユエはミーシャに抱き着き、ミーシャもユエを抱き返す。

 

 僅かな時間の抱擁。だがそれによりミーシャが確かにここいると確信したユエは心に力を取り戻す。

 

「ユエ……準備OKだ」

「うん」

 

 ハジメの用意したアーティファクトを使う前に、ユエはディンリードがいた場所を振り返った。

 

「私も叔父様を愛しています。叔父様……私たちを見守ってください」

 

 必ずまたここに帰ってくる。今度はハジメだけでなく、現代にて出会った仲間と共に。

 

 その決意を胸に、ユエはハジメと共に、新たなる戦場に向けて旅立っていった。

 

 

 




>大災害淵魔
元は吸血鬼の突然変異種。その力で南大陸を支配する魔王になったが、愛する者を永遠に喪失したことで吸血衝動が抑えらえなくなり暴走。世界の敵となる。

>古代魔術
ハジメの言語理解では理解できない言語にて紡がれる古代の神秘。序列的には概念魔法と神代魔法の中間。
地球人には理解できない言語でなくてはならないので一応オリジナル言語だが、ギリシャ語辺りを崩して利用しています。エノク語とかも考えたが難しすぎて断念した。

深闇之女主人(テネブラリア・ミストレス)
種別:覇道型
服装:黒いイブニングドレス
髪型:ロングヘアー
髪色:金髪

ユエの魂殻霊装の一つ。
現れる固有技能は魂奪(ソウルスティール)。魔王ならぬ身で魔王と同様の権能を使うための魂殻霊装。

>ユエの魔王化
本作ではハジメは魔王を名乗らないので代わりにユエが魔王化しました。とはいえ魔王の力を十全に扱えるかは時間と訓練が必要。だがその潜在能力は大災害の一角を名乗るだけのものがある。

>ディン叔父様、逝く
生存ルートも考えましたが、相当ご都合主義に頼らないといけないので断念。
叔父様の目的は二つ。長きに渡り魔族が抱えてきた難題である魔王を消滅させることと、ユエの器を満たすことで神の器や魔王の器にされないようにすること。
いつだって彼は、姪の幸せのために行動していた。
当然天職は本作のオリジナル。





ようやくハジメとユエの話が終わりました。
なんでこんなに苦戦したのかというとやはりアヴァタール王国時代の設定や話がないのでほぼオリジナルにしなくてはならないのと色々考慮した戦闘を書かなければならなかった点です。

他の大災害や敵なら全力で戦闘させてぶつけ合わせればいいのですが、戦闘の中にもディンリードやユエ、ハジメの思惑があり、それらを考慮して戦闘をしなければならない。
正直に言うなら本作の魔王淵魔は叔父様によって相当力を抑えられています。もし叔父様が完全に魔王に喰われていた場合、ユエとハジメに勝ち目はありませんでした。

加減しなければならない。けど神座シリーズらしく規模の大きい戦いにしなければならない。真祖化によるパワーアップを脳筋仕様にしないための新魔法や新魂殻霊装。ハジメの新たなる武器となる聖遺物。考えることが山積みで相当苦労しました。

苦労した話が面白いとは限らないのが小説の難しいところですが(展開が冗長すぎるという厳しい意見ももらってたりします)楽しんでもらえれば幸いです。

あと最近ユエ周りに新情報が追加されたのでいつか反映したい。ユエ専属侍女のリオナ・シャリテちゃんとか

次回からは、ようやく本作主人公である藤澤蓮弥視点に戻ります。回想以外で登場するのがリアル時間で二年ぶりくらいという驚愕の事実を噛み締めつつ、なんとか主人公らしく立ち回らせたいところ。
ハジメに負けずに新技も用意していますよ。

では次回。
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