一応知らない人にもわかるように配慮はしているけどどうしても単語の意味とかわからない人はWikiなどで調べてみてください。
「なに?」
使徒アハトの見ている前で雫は、使徒アハトの後方まで高速で移動する。
どうやら自分の動きが見えなかったらしい。それならそれでいい。今の雫には整理する時間が必要だった。
「思い、出した」
雫はうつむき加減で今頭の中で激流のように蘇っていく記憶を整理していた。
そうだ。何故今まで忘れていたのだろう。
最近見るようになった夢はただの夢ではない。
あれは雫の過去だ。数年前から
そして記憶を失う前、雫と伯父の最後の会話を思い出す。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『本来夢は夢じゃけぇ、現実に持ち出すことなんぞでけん。じゃがの、何事にも例外ちゅうもんはあるもんじゃけぇの。俺らにはそれを可能にする秘術があるんじゃ』
『伯父さん。当然私にもそれを教えてくれるのよね?』
それを教わらないと、この数年の想像以上に厳しかった修行に耐えた意味がない。
『そのつもりじゃったんじゃが……やめじゃあ!』
『は?』
突然何かを言い出した伯父。いつもいつも突然突拍子もないことをするのはいつものことだが、……今回はちょっと話し合いが必要かもしれない、物理的に。
『そんなに殺気立たんでもええ、今からちゃんと施術はしちゃる。ただし、雫に施術するんは、俺らが使ぉとる派生、改良されたものじゃのぉて、大正時代に未完成に終わったオリジナルじゃけぇ』
なんでもそのオリジナルとやらには先祖が関わっているらしいが、雫はその辺りの話は詳しくない。聞いてもはぐらかされるばかりで、いつしか雫も聞くことを諦めていた。暖簾に腕押しほど無駄なことはないと雫は思う。
そして伯父が無造作に雫の頭に手を置く。
『こりゃ本来そのままじゃぁ使い物にならん。雫は盧生の資格を持っとらんし、なにより未完成じゃけぇの。じゃがもし、お前が
『ちょっ!?』
文句を言おうとするが意識が遠くなっていく。そこで最後に見たものは、いつもいい加減で、でも自分がやるのだから必ず成功すると疑いもしていない……
雫の伯父、石神静摩が豪快に笑う顔だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「全くあの人は、相変わらず適当なんだから」
お陰で今の今まで
「けどここは感謝するべきかしらね」
あいも変わらず秘密主義の伯父の正体はよくわからないが、普通でないことだけは雫にもわかる。
なら、試してみよう。夢でしか使えないはずの力を……
幸い、伯父が言った条件に見合うものはつい先程手に入れた。
雫は魂魄魔法を用いて自身の内側、無意識領域の更に奥に接続する。
そして雫の内部に施術されていたそれを用いて深奥から力を組み上げる。
今ここに──
神代の奇跡をもって──
──
雫の手から光が溢れ、つい先程、使徒アハトに粒子単位で破壊されたはずの刀が雫の手に戻る。
「待たせたわね。さあ、始めましょうか」
この構図はこの戦いが始まった当初と変わらない。雫は刀を構え、使徒アハトは両手に大剣を握っている。
ただ一つ変わるもの。
それは蒼く光を放つ。
雫の両眼だけだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
邯鄲の夢
それが雫の伯父、石神静摩より夢の中で教わった戦闘技法だった。
なんでも元々は大正時代の、ある組織が行ったなんらかの儀式に端を発する技術であるらしいが、雫は詳しくは知らない。
聞いているのはその当時の試みは適正者が現れず、完全に失敗に終わったということ。そして失敗は成功の母というように、約半世紀の研究、試行錯誤の末、本来想定していたものとは違うが、夢の一部を現実に持ち出すことに成功。それが現代にて独自の発展を遂げ、その術の体系ができたのだということ。
だがそんなものは雫にとってはどうでもいい。今はとにかく、目の前の強敵に対抗できる力を手に入れたとだけ考えればいい。
雫が手に入れた力を端的に表すなら、明晰夢のイメージの力を現実で再現する力と言える。誰しも夢の中では自由だ。空を自由自在に飛ぶこともできるし、風のように早く駆けることもできる。ビルの屋上から落ちても無傷でいられるし、好きなものを生み出したり邪魔なものを消したりすることもできる。
それらの事象を自在に操る力、それが邯鄲の夢。
雫は『
「これは!? あなたはいったい……」
雫の一刀は流石に受け止められるが、雫は確かな手応えを感じていた。今までは『
「ハァァァァッッッ!」
縦横無尽、戦場に超高速の刃同士が舞い踊る。
戦場に金属同士がぶつかり合う剣戟の音色が響き渡る。
先程と同じ展開、否、その勢いは比較にならず。
元々『
「くっ! 調子にのるな人間!!」
背中の羽が輝き、銀色の光弾を雫に向けて放つ。
防御した雫は後方に吹き飛ばされるが、雫は冷静に夢を『
元々高いとは言えなかった雫の『
使徒アハトはどうやら雫と近接戦闘を行うのは何かまずいと感じたのか、背中の羽を銀の弾丸に変え、暴風雨の如く、撃ち放ってくる。
「遠距離戦に切り替えたのなら……」
こちらもそれに合わせるだけだ。
刀に仕込まれた風爪のギミックを発動させ、それに『
八重樫流抜刀術、夢装・飛乱閃
複数の風の斬撃を、『
その間に、使徒アハトは空中を飛び回り、雫の全方位、360度銀翼で埋め尽くす。
「全方位からの同時攻撃。……アンノウンにはあなたの無残な死体を晒してあげることにしましょう!」
使徒アハトが手を振り下ろすと百を超える銀の弾丸が雫の八方から襲いかかってくる。
雫はなおも慌てることなく、刀を納刀し、その場で回転する。
八重樫流抜刀術、夢装・水月・漣
全方位に放たれる斬撃を『
「あなたは……そうかッ、お前もアンノウン……いいや……」
正体不明の力を行使するアンノウンとは違い、今雫が使っているのが魂魄魔法であることはアハトにもわかる。だが、使徒アハトの常識と照らし合わせ、魂魄魔法をどう行使したら、この結果が生まれるのか理解できない。
着々と神代魔法を会得して強くなっている
この世界の力を用いず、完全に未知の力を行使する
なら雫ははさしずめ、
雫は目の前の使徒がようやく本気になったことを悟る。だが遅い。
「このまま、斬るッ」
再び戟法を行使し、使徒アハトに接近する。そして剣を再び合わせるのだが、雫の刀は使徒の大剣に触れた途端、分解されて消滅する。
「言ったはずですよイリーガルッ。私にはこの分解能力があるとッ。その密度を高くすれば、あなたの刃は私には届かないッ」
雫は『
雫は考える。いかなるものでも分解するという触れ込みだが限界はあるはずだ。
例えば『
とするなら取れる選択は一つ。
再び雫はアハトに向けて突攻する。何度やっても同じだと言わんばかりに無言で迎撃を選択するアハト。お互いの剣が交わるその刹那。雫は邯鄲最後の力をその刃に付与する。
キィィン
金属同士がぶつかる音が響き渡る。それに驚愕するアハト。上手くいった。雫は賭けに勝ったことを確信する。
雫が行使したのは他者の力や感覚、場の状況等を『
これなら分解能力にも対処できる。
再び両者仕切り直しになる形になったが、雫はここで今の状態の限界を自覚する。
戟法
楯法
咒法
解法
創法
五別十種の夢は、一度に一種類しか使えない。
戟法の剛と迅は同時に使えるが、戟法と解法は同時に使えないのだ。これでは分解能力に対応できても速度が追いつかない。
それにアハトに対して『
雫の力は魂魄魔法の使用によって支えられている。雫が覚醒したことにより激増した魔力量と、外ではなく内に行使することによる省エネによって早々にガス欠を起こすことはないが、それでも限界はある。このままいけば先に力尽きるのは雫だ。
それらの問題に対して順番に解決することにする。
同時に夢を使えない問題に関しては単純だ。複数の夢を同時に行使できるようになればいい。
雫は一旦刀を消す。自分の手足のように使ってきた刀だ。コンマ一秒以下で創形できる。
そして自由になった両手を用いて高速で印を結ぶ。自身の邯鄲のレベルを一段階引き上げるために。
「詠段・顕象」
この解号を持って、雫の位階が序段から詠段に引き上がる。
邯鄲の夢にはレベルが5つあり、それのレベルによって熟練度がわかる。
詠段は、二つの夢を同時に行使できるステージ。
雫は刀を創形した後、戟法と解法を用いて、アハトに挑む。
使徒アハトは距離を取るために分解魔法を纏わせた羽の弾丸を機関銃のように撃ち放つが、雫は神速の身のこなしで避け、避けきれない羽は一つ残らず解法を纏った刀による斬撃にて斬り払い、撃ち落とす。
「くぅぅぅッッ」
自身に接近する雫に対し、アハトが忌々しそうに唸り声をあげる。
理解できたのだろう。
雫の剣が、能力が、自身を上回りつつあることに。
アハトはわざと雫の剣を受け止め、その勢いで後方に大きく下がり、上空に飛び上がる。
そして大量の羽の弾丸と魔法陣を展開する。無限の魔力に物を言わせて物量攻撃に切り替える算段のようだ。どうやら人質にするのは諦めたらしい。
(このままだとジリ貧ね)
相手の魔力供給を止めなければ力尽きるのはこちらだ。手持ちのカードで何が使えるか、雫は上空からの攻撃に対処しながら考える。
"ならこりゃぁおまけじゃ。あの小僧でのぉて悪いが、俺がその刀に銘をつけちゃるけぇ"
(伯父さん?)
これも過去の記憶か?
いやまさか……
名は体を表す。無銘だった刀の腹に銘が刻み込まれる。
それは邯鄲の夢の半世紀に渡る研究によるシュミレートで判明した、ありえたかも知れない世界線。そして生まれたかもしれない
雫は高速で移動し、アハトの攻撃をかわしつつ、解法による重力キャンセルで空中を飛翔する。
「死になさい、イリーガル!」
流石に空中戦では一日の長があったのか、雫は四方八方を羽の弾丸で覆われ、逃げ道を塞がれる。
今度は刀で払いのける隙を与えないとばかりに、追い込まれた雫に魔力による自己強化込みの超高速の大剣が振り下ろされる。
そして、アハトの目の前から、雫が消える。
「ッ!?」
八重樫流、早馳風によって、相手の死角に入り込んだ雫が刀を抜刀する。そう、その刀の名は……
「抜けば玉散る氷の刃──」
──破段・顕象──
「断ち切れ信乃───村雨丸ッ!」
上空からの雫の村雨丸の一撃により、地に叩きつけられるアハト。
すぐに体勢を立て直すものの、すぐに異変に気付く。
「そんな……これはまさかッ! 主との繋がりが!?」
「あなたとどこかに繋がっていたラインを断たせてもらった。これでもう、あなたは無限の魔力を使えないッ!」
「イリーガルッ!」
再び両者の刃が激突する。
もはや勇者レベルでは目に写りもしない領域に移行した両者の剣戟は、数十、数百の打ち合いの果てに、形勢が傾きつつあった。
「はあぁぁぁぁッッ!!」
「バカなッ。くっ、真の神の使徒である私が……ただの人間にッ!」
神とのラインを断ち切られたことで徐々に弱体化していく使徒アハトに対して、一合打ち合うたびに雫の剣はより重く、より速く、より鋭くなっていく。それはまるで忘れていたものを急速に思い出しているかのような、進化と言っていい成長だった。
真実、雫は思い出していた。今まで邯鄲にて行ってきた厳しい修行の数々を。それが今、雫に力を与えている。
「どれだけ上から目線なのか知らないけどッ、これだけは言わせてもらうわ! 人間を舐めるなぁぁぁぁ!」
雫が村雨丸を振り上げると同時に、アハトの大剣が二本とも崩壊し、溶けるように消滅した。
その使徒のお株を奪うかのような光景は、雫の解法が、神の使徒の分解能力を上回ったことを意味していた。
アハトは最後の抵抗とばかりに羽で自身を覆い防御を固めるが、自身が一番理解しているだろう。自身を上回る解体能力の前で、魔力による防御は無意味だと。
「おのれぇぇぇぇッっ!」
「ここで、斬る!」
透過する解法を纏った雫の一撃は、使徒アハトを羽の防御ごと一刀に斬り捨てた。
使徒の身からは鮮血の代わりに、かの伝承のように清らかな水飛沫が、空中に舞い散った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「やれやれ、中々たいぎぃことになっちょったようじゃが……なんとかなったようじゃの」
黒い霞みがかった空間で雫の伯父、石神静摩はキセルをふかしながら肩の力を抜く。
そう、彼はこの空間でずっと雫を眺めていた。
繋がったのは、つい最近。想像していたより時間がかかったと、ここまでの苦労を思い出すがそれも仕方がないと思う。
「どこへ飛ばされたのかと思うちょったら、まさか異世界とはのぉ、流石に想定外じゃ」
静摩はずっと雫を探していたのだ。居なくなった彼らを探す。それが彼の職務故に。
彼の所属は神祇省。役人達の間で表向き、よくわからないけど官僚扱いされている謎の部署に所属している者達の、その職務の詳細を知るものは少ない。
彼らは飛鳥時代より、時の権力者を裏から支え続け、国を守護するもの。時代により立場を幾度も変えることになったが、現代における彼らの正式な身分はこうなる。
日本政府直属
今現在、彼らはある大事件にかかり切りになっていた。
とある高校で発生した、一クラス全体を対象とした集団神隠し。
事件発生当初こそ、世界中のマスコミが、日中の学校で他のクラスに気づかれることなく一瞬でさらうというあり得なさと、かといって自主的な集団失踪というには食べかけの昼食や、やりかけの宿題、蹴倒されたままの椅子などといった不自然さに、現代の学校で起きたメアリー・セレスト号事件だと、過剰なくらいメディアは加熱した。
たが、今世間では不自然なほど彼らの話題はない。
あれほど毎日ニュースやワイドショーを騒がし、そして今なお未解決事件であるにも関わらず、彼らに注目するものはほとんどいない。今世間で一番話題のニュースといえば、名スパイ赤蜘蛛の活動録〜復活した白髪のヴァンピーア〜という人気シリーズの最新作が劇場で全世界同時上映になったことだ。
なぜこうなったのか、なんのことはない。
神祇省により隠蔽工作が行われた結果である。
神祇省は調査により、彼らが消えたとされる教室からなんらかの異能の気配を感知することに成功した。その時点で捜査権限が警察から神祇省に移行。日本政府より正式にこの異能を用いた集団誘拐事件の解決および、誘拐された被害者達を無事救出せよとの命令が神祇省に下った。
異能が原因とわかった時点で隠蔽工作は行われた。流石に白昼堂々、秘匿の概念を知らないとばかりに大掛かりに行われた犯行を隠蔽するのは、流石に神祇省だけでは骨が折れたが、海外の組織などに協力を要請し、なんとか事を納めた。そのためにアドラーとバチカンに借りを作ったのは後々面倒なことになりそうだが、その甲斐あって被害者の関係者周りは今現在、比較的穏やかに過ごせている。
だが調査に乗り出したとはいえ、ここ数ヶ月は何の進歩も得られない日々が続いた。
調査により、教室で行使されたとされる術式は空間転移に類するものだというところまではわかったのだが、これの行き先がどうしても掴めなかった。
国内であれば24時間以内、国外でも数日で見つけられる筈だったのに何の手がかりも得られない。
神祇省党首である静摩の元に政府の役人からプレッシャーを幾度もかけられた。もっとも本人は大して気にしてなかったが。
そして今日、静摩の勘に何かが引っかかり、探索術式を適当に放り投げるように使っていたら偶然雫に施した術に反応し、異世界を観測するに至ったのだ。
「じゃがこれで御上にちぃとマシな報告ができるじゃろ。それに、霧乃にかばちたれられずにすむけぇの」
雫の母親である八重樫霧乃、旧姓石神霧乃は表面上兄に対しても気丈に振る舞っていたが、ここ最近色々参っているのを静摩は把握していた。これでも妹を想う兄心はあるのだ。これで妹にようやくまともな吉報を送れるだろう。
だが、静摩は霧乃とは違い、さほど雫に関しては心配していなかった。
元より、今年は朔。神祇省的になにが起きてもおかしくない年ではあったのだ。それなのにそのなにかに対して対策を取っていたにも関わらず、相手が異世界とはいえ、まんまと誘拐されたところは少し思うところがあるが、それに備えて雫を鍛えたのは自分だ。
「それに例の小僧もおるみたいやし、やっぱり雫で当たりのようじゃ」
神祇省には鬼面衆という神祇省の中でも特別に位置する特殊部隊が存在する。
夜叉、怪士、泥眼のような能面を由来とするコードネームを持つ彼らは古より闇の中、時に要人暗殺なども行うことでこの国を裏から守ってきた。そんな彼らの中に過去数人しか現れていない特殊な面が存在する。
それは霊的な時代の転換期に現れる特別な意味を持つ面。
「四代目の迦楼羅は雫、お前じゃ」
現状こちらにできることは少ない。何しろ相手は理論上、存在するかもしれない止まりだった異世界だ。そう簡単に干渉できるとは思えない。おそらくしばらくは観測するので精一杯になるだろう。
だが雫には戦う術と与えられるだけの力は与えた。それに雫がベタ惚れの例の小僧のこともある。なら……
「案外、自分達で解決してひょっこり帰ってくるかもしれんのぉ」
からからと静摩が笑う。なら、神祇省としては、彼らが帰ってくる場所を守るのも使命の内かと思う。
夢が覚める。
この夢が覚めれば、座標は把握したとはいえ、次に観測できるようになるのは少し先だろう。
相手は異世界。彼らにはまだまだ試練が降り注ぐかもしれないが……
「最後に笑うんは俺じゃ。これは既に決まっちょる」
雫には苦手意識を持たれているが、こちらはこれでもあのからかい甲斐のある姪の事は結構気に入っているのだ。ならそんな姪に不幸が起きるなどという、
「例え仏や天魔じゃろうと、石神静摩の裏は絶対取れん!」
雫達は必ず帰ってくる。
今まで一度も外したことのない自身の勘がそう告げていることに静摩は高らかに笑うのだった。
「まてよ……雫のクラスっちゅうことは……ひょっとして
>世界観
わかる人向けに簡単に説明すると、邯鄲法完成直前、病に臥せる逆十字の元に規格外のウルトラバカが現れなかった世界線。
一か八か自分に施術してみるも自分には盧生の資格がないとわかった逆十字は世界の全てを呪いながら憤死。そのため夢界の支配者盧生は文字通り夢となって消えたのであった。
つまり相州戦神館學園_八命陣の出来事がほぼ起こらなかった時空の世界。逆十字が死んだ時期を考えると主人公が産まれているかも怪しい。
とはいえ逆に邯鄲法が馬鹿にしか使えない術式であることも広まらず、当時の神祇省の党首の手によって一部拡散。それから半世紀経ち、盧生とは別のアプローチの独自の邯鄲の体系が現代で複数生まれている設定。ただし雫が使っているのは未完成に終わった邯鄲法のオリジナルであり、静摩達が使う術式とは違うものである。魂魄魔法を組み込んだだけで割と簡単に動くのは、静摩がオリジナルに適当にアレンジを加えたから(流石の説得力)
>石神静摩
相州戦神館學園 万仙陣の登場人物。盲打ちといえば大正時代の人間である壇狩摩があげられるが、こちらは現代人。つまり二代目盲打ち。本作品では雫の母方の伯父にあたる人物。つまり雫も摩の一族。雫にとって同い年の従姉妹にあたる静乃という広島在住の娘が一人いる。
>盲打ち
適当になんかやったら自分の都合の良いようになんかいい感じに事が運ぶ体質の人間。よって周りから見たら意味不明の行動も最終的には盲打ちの利益になる。問題は最終的に利益になることはわかるが、自分の行動の結果、具体的に何が起きるかは本人にもわからないので周りは振り回されることになる。例)極めて重要な超精密機械に砂をかけたりする。
>雫の資質
戟法の迅、解法の透。
詳細は第四章終了後に上げる予定の設定集(第四章まで)にて。
>名スパイ赤蜘蛛の活動録〜復活した白髪のヴァンピーア〜
顔は二流、演技力は超一流のお茶の間の代表格の大物芸能人が主演を果たし、その卓越した演技力と迫力のあるアクションシーンで大ヒットを叩きだしたシリーズの最新作。イケメン俳優を使えば映画は売れるという世間の風潮に一石を投じた作品。
ちなみに世界観を大幅にいじったので予想できるかもしれませんが、ありふれアフターの中身はほぼ白紙になったと思ってください。原作では割とハジメが好き勝手やってたけど、本作ではそんなことはできないので。