ありふれた日常へ永劫破壊   作:シオウ

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大災害悪食戦、決着です。

地球側の裏事情に関して、独自設定がありますのでご注意を。


アニメ11話はミュウが可愛かったという感想しかない。けどミュウを文章化するのは苦手だったりします。作者には齢4歳の幼女が何を考えているのかなんてわかりません。だれか教えてください。


現代の魔女

「術式再稼働──開始」

 

 悪食に宣戦布告したことで始まった戦い。

 

 

 悪食に勝つため、再び術式を回し始める香織。

 

「ぐぅぅ!」

 

 そこで先ほど行った魔術行使の代償が香織を襲い、血管のいくつかが身体の内側から破裂するが、傷を負った側から自身の回復魔法により治療を進める。

 

 

 現状の香織の魔力量では本来、この魔術をこの規模では使えない。相手が並みであればここまでする必要はないのだが、相手は太古の怪物。術式の規模が並みでは届いても効果が薄い。だからこそ周囲にある魔素(マナ)を丸ごと加工して膨大な魔力に変換して魔術を構成する必要がある。

 

 

 そもそも魔力量とは体の中にある魔力回路に流せる量によって測定される。だから魔力量を伸ばすためには魔力回路を鍛えるか、ハジメのように外付けの魔力回路を外科的に増築するなりして増やすしかない。だが、魔力回路内に流す魔力量を意図的に上げてしまえば一時的に魔力使用限度を増やすことは可能なのだ。

 

 

 恐らく限界突破の技能もそうしているのだと香織は予測していた。だからこそ限界突破には使用制限があるわけだが、香織が取り込んでいる魔力量は限界突破の比ではない。現時点で香織の限界値の十倍以上の魔力を取り込んでいる。

 

 

 だからこそ、その代償は身体に現れる。限界を超えた魔法行使はフィードバックが発生するのだ。

 

 

 現時点の香織がフィードバックによる肉体のダメージを治療魔法で修復することを想定して、安定して使えるだろうぎりぎりの量を込めてみたがそれは通用しなかった。隠密の意味もあったのだが、不意打ちは防がれた。だからこそ、二弾目は必然的にもっと出力を上げなくてはいけないだろう。

 

 

 だが香織が準備を開始する前に、悪食が行動を開始した。

 

 

 海中から一本、二本と増え続ける触手。それが最大四本まで揃ったところで香織のいるエリセンの浜辺に向かって攻撃を行い始める。

 

 

 左右から斜め下に振り下ろされるように落ちてくる二本の触手。その巨大さゆえに緩慢な動作に見えているが、実際の速度は音速を超えているであろう。

 

 

 だが、こちらも伊達で香織を守ると言ったわけではないのだ。すでに万全の準備ができている。

 

 

聖術(マギア)6章7節(6 : 7)……"聖光鏡反"

 

 触手の前に二枚の巨大な鏡が出現する。

 

 

 その鏡に触手が触れた途端、触手の攻撃方向が変わる。

 

 

 軌道が変わった二本の触手は残りの二本の触手にぶつかることで対消滅する。

 

 

『先ほどはとっさのことで対応を間違えてしまいました。本来自然の脅威とは、受け止めるのではなく別の方向に促してやるもの。対応さえ誤らなければ、もうその攻撃は怖くはありません』

 

 ユナの聖術により触手から守られた香織は、引き続き魔法陣の起動を進める。その間も複数展開されている魔法陣の一つが周辺の濃霧の形をした太古の魔素(マナ)を貪欲に取り込み続ける。当然術式そのものになっている香織の身体は、限界を超えた魔力量に悲鳴をあげる。肉体に襲いかかる激痛に耐えながら同時に肉体を治癒魔法で修復し続ける。

 

 

 二弾目の準備が終わる直前、悪食の方でも変化があった。

 

「なっ、あれは」

「海が、空に……」

「浮かんでる……」

 

 ティオ、シア、ユエの驚愕の声が香織の耳に届く。痛みに耐えながらそれを見上げると。

 

 

 そこには文字通り天空に大海が浮いていた。

 

 

 太古の魔法式によって集められている膨大な海水が、上空に集まっていく。

 

 

 悪食は察していた。触手での攻撃は効果が薄いと。かといって中途半端な攻撃を行って、この個体に逃げられるとやっかいだ。

 

 

 この個体は油断できない。だからこそ、自分に許された最大最強の権能を振るうと決めた。

 

 

 海の怪物が用いる権能。地球では旧約聖書にも記されている天罰の一つ。かつてそれは世界を海の底に沈めたのだという。

 

 

 その現象の名は『大洪水』。

 

 

 実は今の悪食はまだ完全体ではない。かつて太古の時代で神と崇めれていた時は、海全てが悪食と言っていい規模を誇っていた。だが現在復活したてである悪食はせいぜい西の海を支配しているにとどまっている。世界全てを海の底に沈めるためにはいささか出力が足りないだろうが問題ない。現在の規模でも全力ならエリセンを沈め、砂漠の国を襲うだけの大津波は作れるのだから。

 

 

 悪食の敵意に周囲の魔素(マナ)が反応し、集められていく。それにより集められた海が増幅してその量を加速度的に増していくのが否応にもわかってしまう。

 

 

 香織は理解した。あれが完成したら自分達ではどうにもならないと。

 

 

 身体に負担がかかることを承知の上で、焦りながら術式の回転速度を加速させる。ここまで来たら時間との戦いだ。相手の権能が完成する前に、悪食を倒せるかの戦い。

 

 

「二弾目、いきます!」

 

 

 香織は術式にアレンジを加える。いくらハジメ達が援護してくれるからといって馬鹿正直に真正面から攻撃していたのでは触手で叩き落されておしまいだ。だからこそ今回は魔法式の変数を変えたのと操作性の構文を追加した。

 

 

 香織が魔弾の砲撃を行う。

 

 

 誘導可能な魔弾が合計十発。それが悪食の触手の間を縫うように避けて突き進む。途中半分が触手に撃ち落とされるも、約半数が悪食に命中したことを確認した。

 

「駄目ッ……届いてないッッ!」

 

 先程を超えるフィードバックに耐えながら香織が状況を確認する。そこで香織は、悪食に魔弾が届けば勝てると思っていたことの前提が覆されたことを知る。

 

「あれは……そうかッ」

「強化した溶解能力で溶かしたのかッ」

 

 ハジメが魔眼石で、蓮弥が聖遺物の使徒の眼で確認する。確かに悪食に命中した。だがその溶解性を増幅させた悪食の体表面に触れた途端。悪食の中枢に届く前に香織の魔弾が溶解して消えたのだ。

 

「つまり……あいつの防御被膜を何とかしないと攻撃が届かない」

「なら我らの攻撃で何とか装甲を薄くできれば……いや、そういうわけにもいかぬかもしれぬ」

「そんな……あれってまさか!」

 

 

 悪食は香織を追い詰めるためにさらに一手を打つ。紅い海から無数の分身を出現させ、香織に向けて差し向け始めたのだ。

 

「ここにきて分身まで出してくるのか!?」

「ちっ、触手の防御は蓮弥と八重樫に任せて、俺達は遠距離攻撃でアレの迎撃をするぞ」

 

 言葉にしつつも、取り出したガトリンググレネードランチャーで無限悪食に向けて焼夷弾をまき散らすハジメ。ユエの蒼龍が悪食を襲うも、そこでユエは環境の変化に気付く。

 

「前より、威力が落ちてるッ」

「周りの魔素が薄くなっておる。今エリセン中の魔素が香織と悪食の方に向かっているのが原因のようじゃ」

 

 香織と悪食、両者共に魔素(マナ)を利用しているという都合上、この戦いは陣取り合戦。つまりこの空間に満ちている魔素(マナ)をどちらが多く取り込むかという勝負でもある。

 

 

 だがその勝負を挑むにあたって香織は圧倒的に不利な立場に置かれている。

 

 

 そもそもこの世界は悪食が生み出した異界であること。そして周囲に満ちた魔素《マナ》は悪食自身が吐き出した魔素(マナ)であること。

 

 

 いくら香織が空間魔法による空間支配能力の行使とその神業じみた魔力操作技術を持っているとしても割合にして香織は空間の魔力量の比率から考えて、現状よくて二割くらいの魔力しか使えていない。

 

 

 魔力とは神秘を行使するための燃料。それが魔法に使われるか、権能の行使に使われるかの違いでしかない。使える魔力が多ければ多いほどより多彩なことを成せるのは当然と言えた。

 

 

 ハジメ達は悪食(小)の迎撃を行っている。かといって蓮弥とユナ、それに雫が香織から離れて攻勢に出れば、抵抗できない香織は触手で潰される。ハジメ達は無限悪食の対応、蓮弥達は香織の防衛に専念する。その事実はつまり……

 

(私が……悪食の防御被膜を突破するしかない)

 

「ねぇ、ハジメ君」

「……なんだ?」

 

 そばでガトリングガンを打ち続けるハジメに香織が語り掛ける。

 

「もし、これが終わったら……何かご褒美がほしいな」

「なんだよ急に……」

「お願い」

 

 真剣な目をして懇願する香織に少し考えたハジメだったが。

 

「お前が無事だったら考えてやる」

「…………約束だよ」

 

 香織がハジメに笑顔を浮かべると再度覚悟を決めた。

 

 

 香織は自身の想定が甘かったことを実感せざるを得なかった。相手は太古の怪物。たいして自分は半人前の魔術師。そんな自分が無茶の一つもせずに勝てるわけがなかったのだ。

 

 

 

 どうせやるなら賭けに出ることを決める。元よりこうと決めたら真っ直ぐ突き進む猪突猛進な性格だと親友にはよく言われる。ならもう決めた以上、やるしかない。

 

 

 魔法陣をさらに追加する。魔素(マナ)の吸収の術式を追加した。現状では届かないというのなら。単純に出力を上げるしかない。

 

『香織!? それは無茶です!! そんなこと、あなたの身体が耐えられるわけがありません!』

 

 香織がやろうとしていることに気付いたユナの叫びがメンバーに響き渡る。それを何となく察していたハジメ以外、香織が無茶をやろうとしていることにようやく気付く。

 

「香織ッ!」

 

 雫が悲痛な顔を香織(親友)に向ける。そしてその顔に向けて、香織が笑顔を返す。

 

「大丈夫だよ、雫ちゃん。この世界に飛ばされて今まで色々なことがあったけど。今回もきっと大丈夫。乗り越えられるよ」

 

 その言葉に雫は何かがこぼれそうになるのをぐっとこらえて香織に気丈に答える。

 

「……あなたにもし何かあったら、私はあの世まで行ってあなたを引き戻した上で説教するから」

「あはは、雫ちゃんに説教されたくはないから……頑張るよ」

 

 

 これから襲い掛かるフィードバックは今までの比ではない。だが大丈夫だ。なんとかやれる。

 

「術式規模拡大──魔素(マナ)吸収倍率──百倍!!」

 

 

 

 

 そして、膨大すぎる魔力をその身に受けた香織の肉体は──

 

 

 

 

 

 僅か一秒後、身体の内側から爆発四散した。

 

 

 

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~

 

 彼を初めて見たのは、喧騒と怒声、人混みと野次馬で満たされた街中だった。

 

 

 その時目撃したのは、不良に絡まれているおばあさん。

 

 

 どうやら何かビンテージものだとかいう服をおばあさんが汚してしまってそれに対してお金を要求しているらしかった。

 

 

 その時の香織は、焦りすぎて警察を呼ぶということすらできないほど混乱していたが、より場を混乱させる事態に遭遇した。

 

 

 誰もが何とかしなければいけないと思いつつ、きっと誰かがどうにかするだろと遠巻きに見ている中。一人の男の子がその不良に向かって土下座をかましたのだ。

 

 

 しかも何やら聞いているといかに不良たちが極悪非道なのかを間接的に伝えるような文句とおばあさんの悲惨な境遇に思わず涙を流すような名演説が行われたのだ。これには流石に居心地が悪くなった不良もおとなしく退散することになった。

 

 

 その時の香織はまだその胸に宿る想いに気付くことなく、胸がふわふわするというくらいにしか思っていなかった。

 

 

『それでですね、師匠(せんせい)。その後、彼はすぐにいなくなってしまいまして……』

『はいはい、香織。いくらその時の話が印象的だったからといっても、これでもう二十回目よ、その話』

 

 香織はその当時の話を幼馴染である雫だけでなく。魔術の師である魔女にも話していた。何回も何回も聞かされたはずなのに魔女は嫌な顔を一つもせずに慈愛の籠った目で香織を見つめてくる。

 

 

 この見た目年下の師匠の、見た目以上の包容力と母性に──余談だがこの時、香織はバブみという言葉を初めて知った──ついつい甘えてしまいそうになる。だからこそ、彼女に敬意を称して師匠(せんせい)と呼んでいるわけだが。

 

『じゃあ、休憩はここで終わりにして。あなたに継承した魔術『干渉』について説明するわね』

 

 魔女曰く、この世界には魔力という目には見えない力が蔓延しているのだという。それは人間の体内にもあるし、森羅万象あらゆるところに存在している力。

 

『実際のところ、魔力はともかく、それの元になる魔素(マナ)については未だに謎が多い物なのよ。紀元前の頃から近代にいたるまでは、魔素(マナ)とは、森羅万象、自然に宿るものだと考えられていた。あらゆる自然環境、究極的に言えばこの惑星から溢れ出す神秘の力だと古代の魔術師たちは信じてきたわけね』

 

 最近になって勉強するようになったオタク的な知識にも確かそんな感じで書かれていたのを香織は思い出していた。

 

『だけどね。近代になって人間が宇宙に行くようになって。何もないはずの宇宙空間にも魔素(マナ)は存在することが発覚したのよ』

『つまり、生命体が発するものではないかもしれないということよ。また別の仮説では、この世界を真に支配している超越者が流している力の残り滓だって言っている人もいるわね』

 

 話を戻すわよと魔女はティーカップに一度口をつけてから再度口を開く。

 

『私達の使う『干渉』という魔術は魔術の動力である魔力、それのさらに根源である魔素(マナ)に直接干渉することができる。つまり構造さえ読み取れば、相手の魔術にも干渉してしまうこともできるということよ』

 

 干渉魔術は自身の魔力を用いて他の魔力に干渉する魔術だ。例えば相手の魔法に干渉して打ち消すことができるようになったり、相手の魔法を掌握して制御を奪ったりすることもできる。

 

 

 だがそこが香織が以前地味だと言った原因だったりする。なぜなら自分だけでは火を出すことも、水を出すこともできないのだから。

 

『一応私達にも他の魔術の適正もあるわ。けどそれはおまけみたいなものよ。この『干渉』という魔術の特性は、相手の神秘の強度を無視できることにある』

 

 以前講義で教わったことがあるのだが、魔術の強さは術式の構成、術式の規模、術式の強度で決まるらしい。

 

 

 術式の構成とは、その神秘を構成する魔法式の複雑さを示している。当然魔法式が複雑になればなるほど魔法の効力は高くなるが同時に魔法の規模も大きくなる。複雑であればいいとは限らないし、上手い人はここで無駄をなくすことで効率を良くしている。

 

 術式の規模とは、そのまま術式の大きさ。込められた魔力量と言い換えてもいい。構成が複雑だと規模も大きくなるので使用する魔力量が増える。高度な魔法ほど魔力を使うということだが、構成が単純な術式の規模を大きくすれば、仕様を超えた出力を出せることもある。

 

 最後に術式の強度とは、術式が積み上げてきた歴史そのもの。その神秘が生まれてどれだけの時間が経過したか、その時間が長ければ長いほど元の威力に補正が入り、力が強くなるとのこと。この補正が非常に強力であり、古い魔術の方が現代の魔術より強いと言われる所以らしい。

 

 

魔素(マナ)自体には強度も何もないから、魔素(マナ)を掌握するということは相手の術式に干渉できるということ。そうなると相手の神秘の強度が何であれ、私達は掌握したものを好きにできる。尤も、自分の魔力ならともかく、他人の魔力に干渉を行うのは繊細な作業だから、よほど魔力の使い方が上手くないと満足に使えない扱いの難しい魔術なのだけどね』

 

 もちろん相手の神秘の構成が複雑であればあるほど干渉の難易度は上がるし、神秘の規模が大きいと魔法式を構成する魔力量も上がるから、干渉するために用意する必要がある魔力量も比例して上がってしまう。しかも干渉には繊細な魔力制御技術が必須であり、干渉魔術の取得難易度自体が非常に高い。

 

 

 だからこそ干渉魔術で他の魔術師のように火を起こそうとすると、それだけで膨大な手間と魔力を使うことになりコストと結果の割に合わないことになるらしい。強力である反面、扱いが難しすぎて使い手がいなくなった系統の一つなのだという。

 

『あの、つまり魔力があるものならどんなものでも相手の能力を無視して干渉できるということですか。相手が神様とかでも?』

『あなた時々すごいことを言うわね。……理屈では可能よ。ただしもし本当にそんなことになれば、あなたが特別な感情を持っている必要があるわね』

『特別な感情?』

魔素(マナ)は強い想念に影響される性質があるの。尤も、生半可な想いでは魔素の一粒も動かないのだけど。だから相手が神様だろうと決して揺るがない強い想いが必要になる』

『例えば?』

『そうね、一番わかりやすい想いと言えば……』

 

 その質問に少し懐かしむような困ったような顔をする師匠。そして慈愛の顔を自分に向けてこう、言ってきたのだ。

 

『……愛よ』

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「…………まだ、だよ」

 

 そして香織は、肉体が爆散する一秒前に戻ってくる。そしてその状態ですかさず固定。ぎりぎりのところで命を繋ぐことに成功する。

 

 

 再生魔法。

 

 

 メルジーネ大迷宮で手に入れた神代魔法であり、この魔法に高い適正を持っていた香織は、それを用いて常時死の一秒前に巻き戻し続けることで世界をも騙し通した。

 

 

 もちろん死の一秒前でとどまるということは、そこに至るまでに受けるはずだった激痛を常に感じているということでもある。常人だったらその場で発狂していなければならない。そんな激痛に対して香織は、気合と根性と……愛によって耐え続けていた。

 

 

 彼のことを想うだけで力が湧き上がってくるのを感じる。

 

 

 思えば肉体が崩壊するほどの苦痛など、彼も味わったことがあるのだ。魔物の肉を食べることで人が死ぬのは、自身の許容量を超える魔力を取り込むことで起きるのだから。

 

 

 彼は、もっと苦しかったはずだ。香織には香織を支えてくれる幼馴染がいる、仲間がいる、そして愛しい人がいる。だがその時の彼の側には……誰もいなかった。

 

 

 たった一人でこれだけの苦痛に耐えて見せたのだ。今更ながら自分が好きになった人の強さに気付かされる。

 

 

 彼の力は魔物の肉を食べたことによるステータスでも、神代魔法を得たことで作れるようになったアーティファクトでも、奈落の底で培った合理的な思考能力でもない。彼の本当の強さは、精神の強さ。どんな環境に置かれても、一時的に転ぶことはあっても、必ず立ち上がり、前へと進むことのできる力。

 

 

 そんな彼を好きになった自分が誇らしい。彼のことが好きだ。たとえ彼が他の誰かを好きなのだとしても、それだけは変わらない。

 

 

 白崎香織は南雲ハジメを愛している。

 

 

 その想いが爆発寸前の肉体を支えて、術式を今までにない規模で回していく。

 

 

 悪食は大洪水の権能を組み上げながら、その異常に気付いた。

 

 

 この戦いは魔力の奪い合いの戦いなのだ。だからこそ相手より膨大な魔力を使用できる悪食が圧倒的な優位性を誇っていたわけだが、その魔力の支配率がいつの間にか拮抗していることに気付く。

 

 

 悪食に非はない。まさか、大災害悪食の前に、気合と根性と愛で対抗する魔力操作に特化した魔術師が現れるなど思ってもいなかったのだ。

 

 

「支配エリア拡張──展開!」

 

 香織はさらに空間魔法を行使することで自身の支配エリアを拡大する。膨れ上がっていく魔力量。今やこの空間にあるほとんどの魔力が香織の元に集いつつある。

 

 

 それに対して、悪食は触手を防御に回すことにする。無数の悪食を消去し、今使える魔素(マナ)のほとんどを防御被膜と触手に回し、自身の防御を固める。

 

 

 所詮は人間。いくら自身を超える魔力を使うことができようとも何度もできるわけではない。必ず自滅する。だからこそ、その渾身の一発を防ぐだけで勝利が確定する。後は少しづつ完成に近づいている大洪水の権能を発動すれば終わる。

 

 

 これが一対一の戦いならそれでいいかもしれない。未だに支配率は拮抗しているので悪食の戦法は十分理に適っているだろう。

 

 

 

 何度も言うが、一対一ならの話である。

 

 

 

「なら、俺達があの触手を同時に潰せばいいわけだな」

 

 ハジメが充電が終わった切り札を動かす準備を始めながら。

 

「俺が一本やる。いい加減あいつには一泡吹かせないと気が済まない」

『思い知らせてやりましょう。私達の想いを』

 

 蓮弥とユナが特級の神秘に対して、人間の力を見せてやると意気込み。

 

 

「私達も全力でやる」

「私がサポートします」

「うむ、妾達の渾身を見せる時じゃろう」

 

 ユエ、シア、ティオの三人が、ここが勝負どころだと最後の力を振り絞る。

 

「なら、最後の一本は私がやるわ。……香織が頑張っているんだから、親友である私が限界の一つも超えなくてどうするのよ!」

 

 そして、親友を助けたいというその強い想いが、雫の存在する夢界の階層を突破するキッカケになる。

 

 

 

 まずはハジメが拳大の感応石を操作し、反応させる。

 

 

 ハジメがシュラーゲン改とは別に、対大軍用殲滅兵器として作った二つの超兵器の内の一つ。

 

 

 対大軍用殲滅兵器、太陽光収束レーザー”ヒュベリオン”

 

 

 現状ではまだ未完成の代物であり、限界以上にチャージして放つ予定なのでこの一回でおそらく壊れるだろう。だが問題ない。壊れたものは直せばいいだけで、集中させれば触手の一本くらいなら跡形もなく蒸発させられる。ここで使わなくていつ使うというのだ。

 

「香織があんだけ無茶やってるんだ。……約束は、守らねぇとな」

 

 

 

 そして蓮弥が再び炎の柱と化した神滅剣を振るう。まだまだ自分が弱いと教えてくれた目の前の敵には感謝するが、これ以上好き勝手暴れられるわけにはいかない。

 

「いくぞ。ここらで絶望的なホラーは終幕だ」

 

 

 

 

 ユエ達は再び対大軍用殲滅魔法”天空之陽”を準備する。シアにはいままで温存していた未来視を使って最高のタイミングを指示するという役割がある。ならそれに合わせてユエとティオも準備しなくてはならない。

 

「…………」

「お主の考えていることはわかる。そしてきっとそれは妾達も同じ思いじゃろうて……強くなろうぞ。もっともっとな」

「当然。私は最強の片割れ、いつまでも香織の後塵を拝するわけにはいかない!」

 

 それは恋敵への対抗心。大火山に続き、ここでもいいところを持っていかれてしまうという思い。だがここは甘んじて受け取ることにする。これを機会にもっと強くなると心に決めて。

 

 

 そして雫は、ここで限界を一つ越える。その想いを受けて夢界(カナン)が新たなるステージを用意した。ここに、第五層ガザの試練の攻略を完了する。新たなステージに立ったことにより、雫に新たなる力が宿る。

 

 

 準備が整う。各自最高のタイミングを見計らい、呼吸を合わせる。そして──

 

 

「今です!」

 

 未来視を持つ少女による絶好のタイミングを告げる声が響く。

 

 

「跡形もなく燃え尽きろ──ッッ!!」

 

 

 ハジメの命令を受け、空から降り注ぐ極光は、触手の内の一本をその熱量で跡形もなく蒸発させる。

 

 

「これで、チェックメイトだッッ!」

 

 蓮弥が振り下ろした神滅剣により、二本目の触手も同じ運命をたどる。

 

 

「これで……」

 ”仕上げじゃ!! ”

 

 空気と香織に向かっているせいで足りない魔素を魔晶石の魔力を全て使い潰すことで補った可燃空気の塊に、竜化したティオの強大なブレスが刺さる。発生した爆発にタイミングよく巻き込まれた三本目の触手が、成すすべなく消えてなくなる。

 

 

「神様だかなんだか知らないけど、今の私達には必要ない物よ。大人しく眠っていなさい!!」

 

 

 

大海の 磯もとどろに 寄する波 われてくだけて さけて散るかも

 

──破段・顕象──

 

大神八尺瓊勾玉(おおかみやさかにのまがたま)

 

 雫の村雨が、光で覆われていく。これは物質であるならば、ありとあらゆるものを両断する神剣。五常・破ノ段。

 

 

 未完の盧生が居合にて神剣を横に振るう。咒法により飛距離を伸ばされた絶対防御不可の刃が、超高層ビルに等しい巨大さを誇る触手を根元から切断する。解法を極限まで研ぎ澄ませた刃によって斬られたものは残留する解法の影響を受け、再生を阻害される。もちろん永遠に再生不能にするほどの力はないし、いずれ再生するだろうが、少なくとも決着まではそのままだと雫は確信した。

 

 

 術者の勝利への確信に、太古の魔素(マナ)がうなりを上げて香織に一気になだれ込んでくるのを感じた。あまりの魔力密度にスパークを発しながらまるで龍のように荒れ狂う。おぞましい緑色の霧が、香織の純白の魔力光に染まることでまるで星々が集っているような錯覚さえ覚える。

 

 

 魔力支配領域の陣取り合戦、その鬩ぎ合いにおいて、わずかな惑いはすなわち敗北を意味する。身を守るものがなくなったことで動揺した悪食に対して、絶対の中立者である魔素(マナ)が発生源である悪食に反旗を翻す。

 

 

 

 さあ、心せよ異界の神の一柱よ。

 

 

 あれこそが、地球の魔術師たちに現存する最後の『本物』だと認められた六人の魔女の一人。

 

 

 死想恋歌(エウリュディケ)逆襲(ヴェンデッタ)の魔女マイナが見出した。

 

 

 恐れ知らずの、愛を糧に現代(いま)を生きる最後の魔女(ペルセフォネ)──! 

 

 

 

 

 膨大な魔力を圧縮した魔弾が放たれる。もはやそれは香織の周辺の砂浜を軽く吹き飛ばすほどの砲撃となる。それを妨害するものは何もない。

 

 

 その事実に、そしてこの魔弾が何を意味しているのかようやく悟った悪食は恐怖を覚える。

 

 

 言葉を用いることができればこう叫んでいただろう。

 

 

 ”お前たちは自然(我ら)を敬わんどころか、よもや、よもやそこまで──ッッ!! ”

 

 

 その果てに魔弾が悪食の溶解液の防御被膜を破り、中心に突き刺さる。確かに香織の魔力が悪食に届いた。そして悪食の魔力に干渉するための最後の詠唱を行う。

 

 

神の愛は既に尽きた──失せた楽園には、罪が溢れる──

 

 

堕天楽土(パラダイスロスト)ォォォォ──ッッ!! 

 

 

 反魔力生成魔法 ”堕天楽土(パラダイスロスト)

 

 

 干渉魔術の奥義。対象の魔力の性質そのものを掌握し、反転させることで、いかなる神秘も崩壊させる反魔力を生成する魔法。全ての魔力を猛毒、もしくは正常な細胞を侵食する癌細胞へと変異させることのできる究極の()()()()()()へと、悪食に付与された香織の魔力が変化する。

 

 

 反魔力の侵食を受けた悪食の総体は抵抗することもできない。強力な再生能力が反転したことによる浸食の加速により、悪食を構成する魔力が猛毒の反魔力に一瞬で汚染されていく。

 

 

 再び聞こえるサイレンのような鳴き声、だがそこには既に魂に干渉する力など残されてはいない。

 

 

 それは悪食の断末魔。無限の再生力を誇ろうとも、その能力を発動させるための魔力自体を腐敗させられればどうしようもない。

 

 

 全身が魔力で構成されているからこそ、全身が癌細胞へと変わったことに耐えられず。悪食は身を構成する神秘を滅ぼされながら崩壊していく。

 

 

 ただでは死なない。あの個体を生かしておけない。あれを生かしておけば、いずれ世界すらも滅ぼす。

 

 

 最後の抵抗として未完成だった大洪水の権能を発動しようとする。途中から魔素(マナ)を奪い取られたことで威力は激減しているが、少なくともエリセンを飲み込むだけの威力はまだ存在していた。

 

「あなたの魔力はすでに『干渉』によって掌握済みだから。無駄だよ」

 

 だが、それすらも現代の魔女には届かず。干渉により太古の魔法式を完全に分解され、ただの自然現象に戻される。

 

 

 こうして長きに渡り、封印され、忘れ去られた太古の大災害悪食は、現代に生まれた新たな魔女により、ただの自然現象に帰っていったのだった。

 

 

 香織は最後に反魔力の粒子をしっかり消去したのを確認しながら、悪食の最期を見届ける。その空には、異界が崩壊した証として、雲一つない綺麗な星空が広がっていた。

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 蓮弥は崩壊していく悪食をこの眼に焼き付ける。正直信じられない思いでいっぱいだ。あれほど強大だった敵が成すすべなく崩壊していく。

 

『……香織がやったのは魔力の侵食。神秘を構成する魔素(マナ)自体に干渉、掌握することで相手の魔力そのものの自滅を誘発させました。……正直このレベルの魔術を行使できる魔術師が現代に生き残っていることは驚愕に値します』

 

 ユナの声に驚嘆の意思が混じっていることに蓮弥は新ためて白崎香織のことを考える。

 

 

 正直に言って侮っていたとしか言えない。どんな魔術を用いようとも永劫破壊を超える術を使うことはないと思っていた。けどまさかあそこまで強力な魔術を使えるとは思わなかった。もしかしたら()()()()()()()ことができるなら、蓮弥にすら通じる力なのかもしれない。

 

 

 だが、ここで気づかされることになる。古代の人間であるユナすら驚嘆に値する規模の大魔術を行使して、何の代償もないわけがないのだと。

 

「香織ッ!!」

 

 雫の悲痛な叫びを受けて、蓮弥は香織の方を向く。そこには砂浜に一人、倒れている香織の姿があった。

 

 

 急いで雫に近づく蓮弥、そこで雫は何やら印を結んで香織に邯鄲を行使しているらしい。だが……

 

「駄目ッ、私の楯法適正じゃ、香織を治せない……蓮弥ぁ……」

「雫……」

 

 

 雫は、幼馴染である蓮弥が今まで見たことがないほど憔悴しきった様子で、放っておけばそのまま精神を病むのではないかと思えるほど悲愴な表情をしていた。

 

「蓮弥……駄目なの……香織の身体が……どんどん冷たくなって」

「しっかりしろッ、まだ諦めるな」

 

 蓮弥は宝物庫から神水を取り出す。それを急いで香織に飲ませてやる。幸いゆっくりとだが香織は神水を飲み込んでいく。これで大丈夫かと思われたが……

 

「……ッ、効いてないッ」

 

 そこまで試したところでハジメ達が集まってくる。そこでハジメが持っている神水も香織に飲ませてやるが効いている様子がない。

 

「そんな……どうして、どうして神水が効かないんですか?」

 

 シアが悲痛な声を上げるが誰も答えるものはいない。その間もどんどん香織の精気は失われているのが目に見えてわかってしまう。

 

「……香織には、今の香織にはッ、神水の魔力を自分の生命力に変換するだけのわずかな魔力も残っていませんッ」

 

 ユナが悲痛そうな声でその事実を告げる。

 

「どういうことなの!? ユナ、香織は、香織は!?」

「落ち着けッ、雫!」

「だって、そんな、だって……嫌よ、そんな、そんな!!」

 

 蓮弥は雫を抱きしめる。このままでは雫まで壊れそうな気がしたから。蓮弥はユナに説明を求める。

 

「……神水は正確には純粋な魔力の塊であり、回復薬ではありません。無色の魔力は生命力そのものなので、取り込めば自身の生命力に自然に変換されるはずです。ですが、今の香織の中には、その生命力に変換するためのほんのわずかな体内魔力すらも使い果たしてしまっています」

 

 生命の火を燃やすのに十分な良質のガソリンが注がれても、それに火をつけるためのライターのオイルがないということ。ならその生命力とやらを回復することができればと蓮弥は考えるが、ユナは首を横に振る。

 

「……本来他者の魔力に干渉することは極めて難しいことなのです。魔力による治療ではなく、根源的な生命力の増幅……この中でそれができるのは……香織だけです。せめて、せめて私があの人の十分の一でも『奇跡の御手』を使えていればッ」

 

 かの救世主は手で触れただけでどんな重病人も治して見せたという。それだけの奇跡を間近で見て体験してきたユナだったが、その奇跡を習得することはできなかった。攻撃の聖術などはたやすく習得できたのに。

 

 

「ハジ……メ……く、ん。…………いる?」

 

 今にも消えそうな声でハジメを呼ぶ香織。その声に応えるために、ハジメは香織を抱き起して手を握る。……ハジメが触れた手は、驚くほど冷たかった。

 

「わ……たしね。ハジ……メく、んの役に……立ったかな?」

「……ああ、お前はすごいよ香織。今回のMVPは間違いなくお前だ」

 

 ハジメが優しい声で、わざと明るい口調で香織に語り掛ける。ユエとシアはもう泣きそうになっている。目に見えて衰弱していく香織に何もできないのが悔しくて仕方がない。

 

 

 彼女のおかげで多くの人が救われた。なのに彼女自身は皆の手の届かないところに行こうとしている。

 

「だい、じょ、うぶだよ。しんぱ……いしな、いで」

 

 こんな時ですら他人を気遣う香織。

 

「ね、え。ハジメ……君。お願い、きいて、くれる?」

「……ああ、何でも言ってくれ」

「……少し、だけで、いいから……私を……うけいれて」

 

 なけなしの体力を使い、香織がハジメの首に腕を回す。そしてその勢いのままハジメの唇へと口づけを行う。

 

 

 それは意外にも情熱的なキスで、舌すら絡めて、まるでハジメの唾液を啜るかのように、貪欲にハジメを貪っていく。その情熱的な求愛行動に対して、ハジメは抵抗しなかった。

 

 

 恋人であるユエの前でも関係ない。それほど香織の唇の感触は、冷え切っていた。まるでこれが最後だと言わんばかりに。

 

 

 ほどなくしてハジメと香織の情熱的なキスは終了する。心なしかハジメの熱を香織が受け取ったことで明るくなったと錯覚しそうになる。

 

 

「あり……がと。ハジメ、くん。……大好きだよ」

 

 そして、香織の身体から力が抜け落ち、ハジメの手から、香織の手が滑り落ちていく。

 

 

 雫は必死に蓮弥にしがみ付いていた。他のメンバーも同様だろう。ハジメだけはいつまでも力を失くした香織を抱えていた。

 

 

「……バカヤロウッ。これじゃあ、約束が……守れねぇじゃねぇかッッ」

 

 

 時間軸に差があったのか、数時間前まで朝だったはずの世界の日付が変わろうとしている。

 

 

 

 そしてその日──香織は、二度と目を覚ますことはなかった。

 

 




>白崎香織

基本的に原作と変わりないはずだったのだが、過去静摩がやらかしたことにより、裏の世界に偶然巻き込まれ、逆襲(ヴェンデッタ)の魔女マイナにその才能を見出された結果、半強制的に彼女の弟子にされる。原作本編開始直前、また摩が行動したことにより、魔術関連の記憶を一時的に失う(香織は異世界転移の後遺症だと思っている)。それを取り戻したのはハジメが彼女の前からいなくなった後だった。

強化モデルは死想冥月(ペルセフォネ)。つまり香織に追加された属性はアマツ+トンチキ。ハジメへの想いだけで限界突破(light式)ができる系女子。
詳細はいつか作成予定の設定資料集(原作メインキャラ編)にて

>反魔力生成魔法”堕天楽土(パラダイスロスト)
種別:干渉魔術
詠唱:Paradise Lost のキャッチコピー

魔力で構成された神秘であるならば、問答無用で対消滅させる反魔力を生成する魔法。
わかる人向けに説明すれば、冥王の滅奏の魔力Ver。

神秘に対して絶対無敵の対抗能力を誇るが、弱点として反魔力をほんの少し生成するだけでも膨大な魔力が必要である点。高次元領域から無尽蔵の魔力のバックアップでもない限り、今回のように魔素(マナ)が異常に満ちている空間でしか使用できない。ユナならその膨大な魔力に任せて強引に反魔力を生成することは可能かもしれないが、反魔力生成に使うくらいなら直接その魔力で聖術を発動してぶつけたほうが効率がいい。

後、たぶんウルトラトンチキとも相性が悪い。

大神八尺瓊勾玉(おおかみやさかにのまがたま)
種別:邯鄲の夢
詠唱:鎌倉幕府三代目将軍、源 実朝。

雫の五条・破ノ段。
解法と戟法・迅、それと咒法と戟法・迅の二つの組み合わせを用いたもの。刀身に纏わせた解法の破壊する能力である『崩』と透過する能力である『透』を超高速で切り替えることで物質であればなんでも斬れるようになる。切り口に解法を残留させることで再生阻害するという応用もできる。今回はそれに加えて、その刀身を咒法にて伸ばすことで悪食の触手を切断した。

本来夢を同時に3つ使うのは五条・急ノ段の領域にある境地だが、雫はその適正10という破格の戟法・迅の性能による思考加速により、二つの邯鄲の組み合わせを高速で切り替えることで再現している。

ビームを出しているのではなく、刀身を伸ばしているわけだが、雫の咒法の適正は6(並みの少し上くらい)なので射程は最大1.3㎞。咒法の適正が高ければその十倍は刀身を伸ばせた可能性がある。

次回、「香織死す」。デ〇エルス〇ンバイ!

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