遊び倒した後に、夕焼けが差し替かって本日の部活は終了となる。
バスの時間に間に合うように、詩音は先に帰宅。そして帰り道にて魅音、圭一、レナと別れた。
「そんじゃまたね〜!」
「死にたい」
「お疲れ様です!」
そのまま山田と上田は、梨花と沙都子に付いて行く。
元から居座っていた上田はともかく、今日は山田も古手神社にお邪魔する事となった。
久々の客人とあってか沙都子は、嬉しそうにスキップをしていた。
「今夜は賑やかになりそうですわね、梨花!」
「明日はお休みなので飲み明かすのです」
「一々発言がオヤジだな……」
山田の隣で派手にくしゃみをする上田。
「へーっくしゅッ!!」
「うわ汚っ!?」
「グズっ……はしゃぎ過ぎたか」
「やけに濡れてますね……」
「女子四人から集中砲火されまくりだったからな……俺はそんなにだが、少年はスケスケになっててほぼ裸だったな。かわいそうに」
水鉄砲合戦によって、山田以外の全員は服が濡れている状態だった。夜も近付き、夏とは言え冷えて来る前には風呂に入りたいところだ。
一応神社に泊まる事は決まっているものの、改めて山田は沙都子らに確認を取る。
「でも良いんですか? 大人二人もお邪魔しちゃって?」
「構いませんわ! 少し狭いですけど、布団は人数分あったと思いますし」
「足りないなら上田を追い出せば良いのです」
「お前の中で俺のヒエラルキーは底辺なのか?」
古手神社の下に到着し、階段を上がる。上田は滑り落ちる。
鳥居を潜って境内に入り、夕陽に照らされた神社を抜けて、裏手にあった二階建ての小屋に到着する。
山田はふと気になり、拝殿裏にあった家を指差して聞く。
「あっちがお家じゃないんですか?」
「みぃ。二人ぼっちじゃあっちは広過ぎるのです」
「あー……ごめんなさい」
「全然気にしてないのですよ。寧ろ謝られると気を遣っちゃうのです。にぱ〜☆」
そうこうしている内に沙都子が小屋の玄関を開けて、二人を出迎える。「おじゃまします」と山田が玄関に入り、上田は上枠に頭をぶつけた。
下足場に立った際、沙都子がバタバタとバスタオルを担いでやって来た。
「山田さん以外は入る前にタオルで拭いてくださいまし!」
「みぃ、冷めて来たのです……ヒエヒエなのです」
「このまま風呂に直行だな! 先に使わして貰うぜ!」
そう言ってタオルで身体を拭くと、そのまま我先にと浴室へ走る上田。
「お前の家かっ!」
山田がツッコんだ。
とは言いつつも風呂を代わりに洗ってくれるそうなので、梨花も沙都子も文句はない。
浴室から浴槽を洗う上田の上機嫌な鼻歌を聞きながら、こじんまりとした居間に座る。
隣の台所から沙都子がジュースを持って来てくれた。
「『ポンジュース』がありましたわ!」
「うわ、懐かしい……まだ瓶なんだ」
「ちょっとお高かったですけどもね?」
沙都子の後ろからひょっこりと、もう一本ジュースを持った梨花が飛び出した。
「『三ツ矢サイダー』もあるのですよ!」
「この頃から缶だったんだ」
シャツに腕を捲った姿の上田が、大急ぎで廊下を駆け抜けていた。
気になった沙都子がちらりと廊下を覗くと、彼は玄関に置きっ放しだった自身の鞄を開けていた。
「そうだそうだそうだ……これを使おうと楽しみにしてたんだ!」
「なんですの?」
「はっはっは!『シャネルNo5』の、石鹸だよ!」
「シャネル!?」
鞄からケースを取り出し、その中にあった薄紅色の石鹸を得意げに見せ付ける。
シャネルと聞いて沙都子が反応した。
「しゃ、しゃ、シャネルって、あ、あの……ですの!?」
「あぁ!『マリリン・モンロー』が寝る時に五滴だけ付ける、あのシャネルNo5だ!」
「どなた様ですの?」
「嘘だろお前」
シャネルは石鹸も出していたのかと、山田も気になって尋ねる。
「香水だけじゃないんですか? シャネルって」
「シャネルの発明は『香り』だ。その香りを作れる材料があれば、石鹸にも応用が出来る!」
石鹸の中心にNo5とある。鼻を近付ければ気品溢れる、皇潤で、甘く儚い香りがした。
山田は呆れ顔で自慢げな上田を見やる。
「そんな物持って来てたのか……」
「実は出発日に届いてなぁ……ここで使おうと持って来たんだよ!」
シャネル石鹸を掲げる彼の手前で、沙都子は食い気味に値段を聞く。
「お、お幾らでしたの……!?」
「一個三,五◯◯円。五個セットの、一六,◯◯◯円! 産地直送!」
「う、上田先生!……そ、そ、その……!」
沙都子が今までに見ないほどに興奮している。
シャネルは昭和五十八年当時も、絶大な人気を放っていた。女の憧れでもあり、少しおませな沙都子は見事に食い付く。
「使いたいのかぁ?」
「使いたいのですわ!」
「なら、それ相応の頼み方があるハズだ……」
「……土下座しろって事ですの?」
わざわざ窓を経由して玄関に入り、こっそり上田の背後に回った梨花が石鹸を引ったくる。
「取ったのです!」
「あ!? コラてめぇッ!?」
そしてそのまま沙都子の手を引き、石鹸と共に浴室を目指して駆ける。
「沙都子、このままお風呂に直行なのです!」
「リカリカ大好きーっ!!」
「このヤロッ!? 待てぇーいっ!!……おふっ!?」
全速力で追いかける上田だが、途中の梁に頭をぶつけて倒れた。
その隙に二人はシャネルNo5と共に、浴室に駆け込んで鍵掛ける。
「か、鍵かけやがった……!」
「さすがに入り込むのはマズイですよ上田さん……」
「俺の楽しみを……!」
「小学生に土下座させようなんてするからバチ当たったんです。オヤシロ様のお怒りじゃー!」
「ふ、フン! 何がオヤシロ様の怒りだ! バッカばかしい!」
強がりこそ言うものの、居間に入った上田は隅に置いていた、お守りだらけの次郎人形を抱き寄せる。
山田は呆れ果て、梨花が持って来た缶ジュースに視線を移した。ふと、ジオ・ウエキの霊能力を思い出す。
「……ジオ・ウエキは、どうやってジュースを止めた?」
的中マジックの後に行った、缶の中のコーラを静止させた術だ。
フタでも付けたのか。
いや、あの時ジオ・ウエキは、缶を片手だけで握っていた。フタを押さえ付ける事はまずしていない。
それに元に戻してすぐに彼女は圭一にコーラを差し出していた。その際に山田も飲み口を確認したがフタなど付いていなかったし、それらしい物がくっつけられていた痕跡もなかった。
「……う〜ん?」
何となくポンジュースの方が飲みたくて、グラスを用意して掛け声と共に注ぐ。
「いよーっ!!」
彼女の注ぎ方は下手で、飲み口からボコボコ鳴らしながら入れる。
オレンジの飛沫が散った。台所に向かう途中の上田がそれを咎める。
「中身が飛び散ってるぞ! もっと注ぎ口と平行になるように入れるんだッ!……ったく」
「さぁて……果汁百パーセントを…………ん?」
山田は顔を顰めながら、ポンジュースの瓶の口を見た。
次に三ツ矢サイダーの缶を見やる。ステイオフ式のタブが付いた、この当時としては新しいタイプの飲み口だ。そしてまた、ジオ・ウエキが取り出したコーラと同じ形状の物。
「やっぱ牛乳は瓶だよなぁ〜」
石鹸を取られた腹いせか、勝手に冷蔵庫から牛乳瓶を取り出して飲もうとする上田。
フタを開け、グイっと傾けて飲む。
ガラスの瓶の中で、ボコっボコっと、牛乳が動く。
それを見た山田はハッと閃いた。
「……もしかして……!」
すぐに三ツ矢サイダーの缶を開く。
「プハーッ!……ん? おい。ポンジュース飲まないのか?」
「……上田さん。あの、瓶を垂直にしてジュースを入れたり飲もうとした時……ボコボコってなるのは、なぜなんですか?」
「なに? それは簡単だ。『表面張力』だよ!」
ポンジュースの入ったグラスへ、更に溢れる寸前までジュースを流し込んだ。
「ほら、グラスにギリギリまで注いでも……ほんのちょっと、液体は盛り上がって形を保つだろ? コレだよ! 液体は自分の形を出来るだけ、内側に寄せて小さくなろうとする性質がある。垂直に入れる時のボコボコは、飲み口から入り込んだ『大気圧』が液体を下から押し上げ、しかも表面張力は内側に寄せようとするから……下に向かうよりも、上に向かう力が強まり、水のキレが悪くなるんだ」
「表面張力と大気圧……」
「表面張力については今日の水鉄砲合戦の時もそうだ。肉眼では線のように見えるが、実は『球体』が連なるようにして落ちている。雨とかもそうだ」
上田の解説を聞き、納得したように頷きながら、山田は缶を手に取る。
少し飲み口を触った後、ジュースでいっぱいの缶をひっくり返した。
思わず上田は声を出す。
「おい!? 何して…………おおう!?」
液体は、落ちて来ない。ジオ・ウエキの起こした現象を、山田は再現した。
「……なぁんだ。これだったのか」
「ゆ、YOU? どうやったんだ?」
「どうやったも何も、上田さんの言った原理の応用ですよ」
缶をまた元に戻す。
飲み口を覗いた上田は、納得したように目を見開いた。
「上田さんも見た事ありますよね? 水の入ったコップを、『ふるいの網目』を乗せてひっくり返しても水が溢れないマジック」
「……なるほど……!」
「あの時はふるいがあったから何かあると分かりましたが、今回は何も被せてないので不思議でした……でも、一つだけ、あったんですよ。『被せる物』が」
「盲点だった! この穴のサイズなら、大気圧と表面張力で液体は落ちない!!」
「缶には絶対、付いている物ですからね」
缶ジュースを開けたタブがクルッと巻かれ、飲み口に差し込まれていた。
「ジオ・ウエキは缶を開けた瞬間にタブをこうやって回したんですよ」
「これなら、飲み口を狭めると共に……飲み口を増やす事になる! そうなると水の重さは分散され、大気圧と表面張力の力が勝るッ!!」
「ふるいの網目の奴も、恐らく同様の原理でしょう。ジオ・ウエキは、こうやってコーラを止めたんです」
もう一度缶を逆さにするが、やはりジュースは落ちない。
「……ハッ! 実に巧妙な手品だッ!」
「これで二つのインチキは暴けました。後は、文字の的中の謎……」
「それを暴いて、雛じぇねの前でお前が再現すればジオウは追い出せるな!」
「何とか、綿流しまでに……」
途端にドアが開く音が聞こえた。
梨花と沙都子の「ふぅ」と息を吐き、火照った身体を手で仰ぎながら居間に入って来る。
「良い香りですことぉ〜……今日は良く眠れそうですわ」
「みぃ。ご飯食べてないのが悔やまれるのです。このままお布団に入れたかったのですよ〜」
「この泥棒コンビがッ!!」
即座に石鹸を盗った事を糾弾しようとする上田だが、次の沙都子の話で黙らされる。
「あ〜嫌だ。昨夜、祭具殿に侵入しようとした上田先生に言われたくないですわ!」
「あ……」
上田の表情は固まる。振り返ると、ゴミを見るような目の山田がいた。
「……上田。お前、私放ったらかして逃げるつもりだったのか……?」
「…………こ、これは、何かの間違いだよ! はっはっは!」
「最悪だなお前……」
「シャラップッ!! 黙れッ!! 俺だって必死だったんだ!!」
「開き直りやがった!」
勝手に怒りながら次郎人形と共に、逃げるように浴室に行く。
山田としては彼にはほとほとに呆れながらも、何だかんだジオ・ウエキの現象の解明に力になってくれたので、お咎めなしにしようと許してやった。
とりあえず山田は、風呂上がりの二人にジュースを用意してやった。
「……あ。ポンジュースと三ツ矢サイダー、どっち飲みます?」
「あらぁ? 用意してくださいましたのぉ? 気が利きますわぁ! をほほほほほほ!」
「……なんか、おかしくなってません?」
「シャネルは女を変えるのですよ。にぱ〜☆」
それからはジュースを飲みながら話し、帰って来た上田が梨花と晩御飯を作り、十時になる前には就寝した。
山田もシャネル五番石鹸を使ってみたが、上田が使ったと考えるとエレガントな気分になれなかった。
翌日、現代。
矢部たちは興宮に到着し、早速調査を開始しようもする。
その前に近場で見つけた喫茶店で、菊池と矢部は一休み。
「矢部くんッ!! 見たまえッ!! この店『コピ・ルアック』があったから注文したぞッ!!」
「人がトイレ行っとる間に勝手に注文すんなや! わしゃあ、ミルクティーが飲みたかったのに……なんや。見た感じフツーのコーヒーやないか」
「僕のような東大理三を卒業し、数多の国々を見て来たグローバル人な僕にこそ相応しいコーヒー!!」
「ニガッ。でもやっぱ匂いがええなぁ? どんな豆なんや?」
菊池は得意げに説明を始めた。その間も矢部はゆっくりとコーヒーを啜る。
「インドネシアのコーヒーで!」
「おう」
「フォッサ科の『ジャコウネコ』と言う生物が!!」
「ズズッ」
「食べたコーヒー豆を!!!」
「はぁ〜苦い。ズズズッ」
「糞として排出させ、その中からまた取った豆で挽いたコーヒーであるッ!!!!」
「ブゥーーッ!! お前なんちゅうもん飲ますねんゴラァ!? きったな! ブゥエッ!!」
怒鳴る矢部だが、菊池はしてやったり顔でメニューを見せる。
「コピ・ルアック……八千円!? クソが八千円!?」
「世界一高価なコーヒーと言われているッ!! まさに勝者のコーヒーッ!!!!」
「ネコがクソしたコーヒーが勝者て、なんかなぁ……」
とは言うが八千円のコーヒー。ありがたく矢部は飲んだ。
ふと彼はこの場にいない部下二人について尋ねる。
「石原と秋葉は?」
「例の前原圭一を訪ねるべく、当時搬送された精神病院へ話を聞きに行かせた」
「ならワシらは待っとくんか?」
「いいや。僕たちは、『別の生存者』を訪ねに来たのだよ」
「別の生存者か。どこにおるんや」
「ここだ」
矢部は驚きながら辺りを見渡したが、それらしい人物が見当たらない。どの客もなぜかそばを啜っていた。
「誰や? どこにおるねんな?」
「……このコーヒーを、淹れた人物になるかな」
「………………」
焙煎機のメンテナンスをしながら、窓際のカウンターに立つ中年の女性。
矢部と菊池の視線を感じると、軽く会釈をし、他の店員にメンテナンスの続きを頼んだ後にこちらにやって来た。
「話は通しておいたよ。感謝したまえ矢部くん」
「態度はともかく仕事は早いなぁ。後で一発殴るからな?」
長い髪を縛り、白と黒の落ち着いたカフェベストとカファーエプロンが似合う、五十路の女性。
五十路と言うのは雛見沢大災害の年より逆算しての推定だが、彼女は幾分か若く見えた。
彼女は矢部と菊池の前にあった椅子に座ると、落ち着いた口調で話しかける。
「東京からいらしたとか?」
「事件って訳やないんですけどね?」
「アレ? 大阪でした?」
「いやいや東京東京。ワシが大阪出身ってだけですわ」
彼女が近付き、菊池と矢部も挨拶を交わす。
身分を証明する為に警察手帳を出し、菊池が彼女の名前を告げる。
「『園崎詩音』さんですね?」
その間、石原と秋葉は「前原圭一」が三十五年前に治療を受けていたと言う、精神病院にやって来ていた。
待合室で秋葉はスマートフォンを、なぜか石原に差し出す。
「あ、すいません先輩。ここ、タップして貰えません?」
「なんじゃなんじゃ? え? ほうか?」
「……うおおおお!! やった!! 星五確て……イエエエエッ!! マーリンッ!! マーリンッ!! 先輩、あざっす!!」
「おお! なんか分からんけどワシやったけぇの!」
二人が待っていると、看護師がやって来た。前原圭一のカルテと、退院後の行き先を尋ねていたようだ。
「前原圭一さんでしたっけ?」
「あ、はい。そうですぅ〜。えっと、我々、雛見沢村の洗い直しをしている者でして〜」
看護師は首を振る。
「前原圭一さんのカルテは正確な日時は分かりませんけど、二○○○年には破棄されています」
「破棄ぃ〜? 何があったんじゃ?」
「ええ。破棄って事は、『死亡』したからかと……」
石原と秋葉も知っている事だが、病院のカルテは患者の死後、六年間保存されて破棄される流れだ。
一九八三年当時はまだカルテのデータ化もされていないハズだし、紙媒体以外では保存も望めない。
それよりも前原圭一が既に故人だと言う事が、石原と菊池を落胆させた。
「参ったのお……生存者かと思っとったのに」
「その情報も古いですからね〜」
亡くなったのならお手上げだと、二人は割り切って矢部らの所に戻ろうとした。
だが、看護師は思い出したように話してくれた。
「そう言えば、当時からこの病院に勤めていらっしゃる先生が一人」
「おるんか! ほんならのう? その先生ぇ呼んで来てくれんかの?」
「それが、院長先生でして……」
「お偉いさんじゃないっすか〜?」
警察が来たと言えば来るだろと教え、看護師に院長との接見を要求する。
暫く待ち、看護師は院長からの許可を取り付けて、二人を案内してくれた。
院長室に通されると、疲れた顔の老人がいた。彼が院長だろう。
二人はソファに腰掛け、まずは秋葉から質問をした。
「前原圭一さんの事はご存知ですか?」
「えぇ。まだここに来た当初に担当した患者でしたから」
「ここに運ばれたって事は何か、精神の病って事ですよね?」
「仰る通り。彼は、酷い被害妄想と強い自殺願望、拘束していなければ自傷行為に及ぶほどの……今まで見て来た中で、特に激しい精神病を患っていましたから」
「お医者さんも大変じゃのぉ」
労う石原だが、院長は当時を思い出しては眉を潜めるばかり。
詳細に記憶を掘り起こそうとしていると言うよりは、「恐怖体験」による怯えのようにも見えた。
彼は一度息を深く吐いてから、緊張した面持ちで話し始める。
「彼の最後は、心臓発作でした。入院し、一週間後に……突然……」
「ほんじゃあまだ子どもなんじゃろ? ひぇ〜! かわいそうじゃのぉ」
「………………」
苦しむように、更に眉を潜める院長。ただならぬ気迫を感じ取り、恐る恐る秋葉は尋ねた。
「……ど、どうしましたぁ?」
「…………あの。雛見沢大災害の事を調べてらっしゃるそうですが、なぜですか?」
院長の問い返しに、二人はどう答えようかと顔を見合わせた。
結局は秋葉が言葉を選んで返答する事となる。
「実は〜、あの災害、色々と謎が多いものでしてね。急遽、洗い直しが必要と上が判断したんですよ〜」
「ガス災害……と、聞きましたが」
「公にはそうですけどね〜?」
「……ああ。やはりガス災害なんかじゃ……!」
膝に置かれた彼の手がブルブル震え出す。
その様子に驚き、秋葉と石原は心配の声を掛ける。
「えぇーー!? どうしました!?」
「寒いんかの? おーい! 冷房効き過ぎじゃけぇ!」
「先輩! 今、ガッチガチに暖房ですよぉ!」
震えながら院長は、鬼気迫る様子で語る。
「……あれは、『祟り』なんだ……!」
「祟り……!?」
頭を抱え始める。まるで思い出したくない記憶を、消そうとするかのように。
「…………夜な夜な聞こえる、前原圭一さんの声が、耳から離れないんです……三十五年前から、ずっと……!」
「なんて、言っていたんですか?」
すっか「蒼白した彼の顔。
唇を震わしながら、院長は告げた。
「……『みんなが殺しに来る。オヤシロ様が殺しに来る』」
二人の背筋に、寒い物が通る。
「……暖房にせんかのぉ?」
「暖房ですよぉ」
外気温との温度差で、窓には丸い水滴が出来て滴っていた。
マリリン・モンローの有名な、「寝る時に着るのはシャネルの五番だけ」を引き出したインタビューは、日本の帝国ホテル内で行われました。新婚旅行中だったらしいです。
長らくシャネルの香水は、活発な女性のシンボルされてきましたが、2012年に『ブラッド・ピット』が男性初の広告塔になりました。
コピ・ルアックと同様のやり方で採取したコーヒー豆に、象の物の『ブラック・アイボリー』があります。こっちはコピ・ルアックより高いみたいです。