英雄の欠片は何を成す   作:かとやん

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武器のランク付けどうしよう(--;)

レフィーヤはまだ出せなかったよ(-_-)






英雄の壁

ダンジョンに絶対はない。

 

そう教えられた事を本当の意味で理解するのは、ソレ(・・)に遭遇したときである。

 

冒険者をしていくなかで、必ず、絶望に相対する時がある。そんな時、多くの冒険者は生にしがみつこうとするか、或いは手放してしまう。

 

そう言った彼に、僕はあなたならどうしますか?

そう聞いた。

彼は笑ってこう言った―――――。

 

 

 

 

あれから二日、二階層三階層と降りて、今、僕は五階層(・・・)に来ていた。

 

「な……なん、で」

 

二階層も三階層も、出てきたモンスターは問題なく倒せていた。

コボルトとゴブリンの混じった集団にも勝てた。

そう、だから―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は間違えた。

 

五階層も問題ないと、僕なら倒せると慢心し、思い込んだ。

 

異常事態(イレギュラー)なんて起きないと……

その考えを圧し折るように現れたソレ。

 

 

ブモオオオォォォォォッ!!!!!

 

 

「な、何でここに……ッ」

 

僕の眼前にいるモンスター。

本来ここにいるはずのないレベル2()

鼻息を荒くして向かってくる怪物(ぜつぼう)に、僕は心が竦むのを感じた。

 

 

「ひッ?!」

 

僕は全力で駆け出す。

頭に叩き込んだ地図が出てこない。

右へ左へ、がむしゃらに走る。

 

ブンッッ!!!

 

背中を何かが掠める。喉が縮こまって息ができない。

躓きながら、転がり込むようにしてたどり着いた先は……

 

 

 

「行き止まり……」

 

ブオオオオォォォォォ!!!!!!!

 

「ッグァア!!?」

 

背中に響く衝撃に僕は宙を舞う。

壁に叩きつけられ、ドシャリ、と地面に落ちた。

 

「ぅぁ」

 

体に力が入らない。

体の中身を抉り出すような痛みに心が悲鳴をあげる。

全身を血の海が包み、引きずり込まれる様な感覚に陥る。

 

怖い、死にたくないっ。

必死に体を動かそうとしても、手足はそれを無視するように沈黙している。

 

フゥゥゥウウウッ!!

 

絶望は止めを刺すためにゆっくりと、悠然と歩いてくる。

斧を持った腕が振り上げられ————

 

 

 

 

 

 

 

ブモゥゥ?

 

ずれた。

地面へ落ちる自身の腕を認識し

自身の胸から突き出る銀の輝きを確認して、絶望は呆気なく消滅した。

 

「待ってて、今助けてあげるから」

 

「ぁ」

 

絶望を容易く刈り取るその光に、金色の髪を持つ女神に、僕は痛みを忘れ、見惚れた。

そして、ポーションによる激痛(治療)で意識を失った。

 

 

 

 

 

 

「ぅ……ここは」

 

体中を刺す鈍い痛みに目を覚ます。

ゆっくりと辺りを見回して、ここが自分の部屋だと気づく。

 

「ッ……」

 

跳ね起きるようにして体を起こして、激痛に襲われた。

 

思い出した。モンスターに襲われて! 誰かに助けてもらっんだっけ。

 

「神様に、報告にいかなきゃっ」

 

鈍い痛みと脱力感に襲われながら、僕は部屋を出た。

道中、誰かに会うことはなかった。

 

今が何時かわからないや。もしかしたら夜なのかな。

 

そんな考えを巡らせながら、漸く神様の部屋までたどり着く。

 

「―――だ」

 

ノックしようとした手を止めた。

中から声が聞こえた。フィンさんの声だ。

 

僕は盗み聞きなんてと思ったが、なぜかそこから動けなかった。

 

聞こえるのはフィンさんとリヴェリアさんと神様、そして若い男の人の声だった。

 

「あの白髪のガキに―――」

 

「いい加減に―――か」

 

「は! 事実――――が!」

 

「英―――になるだぁ?!」

 

「プハハハハッ!おもし――」

 

「何がおか――――」

 

聞き取りにくい声。僕は罪悪感を抱きながら更に扉に近づいて——聞こえた。聞いてしまった。

 

 

「あんなガキが英雄になるたぁ、嗤わせる!」

 

「弱えぇ奴ほどいきがるんだ! 英雄になりたぁい、ちやほやされたぁいってな!!」

 

心臓が早鐘の様に打つ。

 

「フィンもあんなやつに一撃入れられるなんてなぁ!」

 

「あの程度の雑魚にも勝てねぇで泣き叫ぶ奴が、何が英雄だ。あいつには俺は死んでも守られたくないね」

 

「ベート!! いい加減に」

 

「あのガキには精々道化(ピエロ)がお似合いだ」

 

気づけば走り出していた。

あの場所に―――

 

 

 

 

 




次は早く出せると思います

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