なんてこったい(´・ω・)
今回、レフィーヤっぽくできたかな
彼女をぼんやりと眺めながら、どこかで見たような気が……と思っていると
「ッだれ……あれ?あなたは」
彼女がこちらを振り向いた。
僕は扉を開けて、慌てて飛び出る。
「こそこそしてすいません!」
「いえ、えっと。確かベル・クラネル……さんでしたよね」
「はい! ベルクラネルでしゅっ!」
・・・・・・
・・・
は、恥ずかしい!!
二人の間に気まずい空気が流れる。
エルフの少女も、どう反応すればいいのか迷いながら目を右往左往させている。
それから、たっぷりと時間をおいてから、彼女は事を無かったものとして話を切り出す
「な、ななにかご用ですか?」
が、やはりだめだった。
お互いを見合い、そしてどちらからというでなく「ぷっ」と吹き出した。
「あはははは。それで、クラネルさんはどうしてここに?」
「えっと、皆さんにご迷惑をかけたのでお礼をして廻っていました」
「あぁ、なるほど」
「えっと、僕を助けてくれたのって貴女ですよね?」
あの日、朦朧とした意識のなか、彼女に助けを求めた気がするのだ。
その考えは、どうやら当たっていたようで彼女は苦笑しながら頷いた。
頬が若干赤いような気がするのは気のせいだろうか。
「そ、そうですね。あの時はいきなりで、その、驚きましたけど……払い除けなかった自分にも」
「え?」
「あ! いえ、なんでもないです!!」
最後の方がうまく聞き取れなかったけど、何て言ったのかな?
「そ、そうですか?えっと、あのときは本当にありがとうございました……あの、すいません、名前を教えてもらっても」
僕がそう言うと彼女はハッとしてパタパタと慌てる。
「ああ!! すいません。名前も名乗らずに。私はレフィーヤ・ウィリディスです。レフィーヤと呼んでください」
「ありがとうございます、レフィーヤさん! 僕のことはベルと呼んでください」
「はい。ベル」
「ところで、レフィーヤさんはどうしてここにいたんですか?」
僕がそう聞くとレフィーヤさんは僅かに肩を震わせたあと、力なく笑った。
「魔法の練習です。私、皆さんの足を引っ張ってばかりで。……皆に守ってもらってるのに満足に詠唱できなかったりで。だから少しでも、良くしよう練習してるんです」
そう言ってレフィーヤさんは両手を構えて目をつむる。
「解き放つ一条の光 聖木の
レフィーヤさんから放たれた魔法は木を迂回するように曲がり壁に立て掛けてある板へと命中した。
「わぁ! すごいです!!」
「練習ではうまくいくんです。でも実戦だと、あの人の前だと、どうしてもうまくいかない。あの人に追い付きたいのにっ。皆を助けたいのに」
そう苦しげに言う少女に、僕は反射的に
「僕に魔法を教えて下さい!」
などと言ってしまった。
「え?」
「えっと、レフィーヤさんの魔法すごいです! 僕なんて狙った場所に飛んでいかないし放つのに時間が掛かるしで……だ、だから、あんな綺麗な魔法が撃てるレフィーヤさんに! 教えてほしいんです!」
早口で言うと、レフィーヤさんはポカンとしたあと
「ぷっ、あははは」
「な、なんで笑うんですかぁ」
顔を赤くして抗議する僕に、レフィーヤさんはお腹を抱えながら笑い続けた。
「はぁ、可笑しかったです」
ひとしきり笑った私は、涙を拭いながら目の前で、ちょっぴり拗ねたように目を逸らす少年を見る。
「ひどいです」
「ふふふ。ごめんなさい。それと、ありがとうございます」
落ち込んでいた私を彼なりに励ましてくれた。
その不器用さに暖かいものを感じながら私は手を差し出した。
「リヴェリア様のようにはできないかもしれないけど、任されました」
「っ! はい!! お願いします」
そう笑顔で私の手を握る彼の手は、とても暖かかった。