英雄の欠片は何を成す   作:かとやん

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平成が終わりましたね(今更)。実感なんて微塵もないんですが。

モチベが上がったので執筆再開

え? 今まで何してたかだって? …………他者の作品呼んでたんだよ! 言わせんなこんちきしょうめごめんなさい。



英雄の欠片と幹部の懸念と苦悩

ロキの執務室。そこでソファに対面する形で座るロキとリヴェリアに手渡された紙を見て、フィン・ディムナは数秒硬直した。

 

「……このスキルは、本当かい?」

 

「ほんまもんや。で、どない見る……そのスキル」

 

いつになく真剣なロキに、フィンは内心苦笑し……ベルのステイタスが書かれた紙を机に置いた。

 

「この上なく強力で、とても危ういスキル……かな」

 

フィンの回答にリヴェリアは深いため息をつき、ロキは「フィンもかぁ」とこぼす。

 

「このスキルの事をベルには」

 

「教えとらんよ。ベルに隠し事は無理や……こんな危険なスキルのことは教えん方がいい」

 

ロキの言葉にうなずく。

ベルという少年は何処までもまっすぐだ。良い意味でも、悪い意味でも。

憧憬願望。早熟すると書かれたそのスキルを、そのまま直訳すれば成長速度に関係するスキル……だがそのスキルは

 

成長速度だけじゃない。

 

限定的条件下におけるスキル補正……ともすれば他の王律鍵というスキルを補正するだけに思えるかもしれない……が、自身(スキル)が対象外だとは書いていない。

つまり、もしその効果を及ぼすのが発動させているスキルにも適応されるなら……成長速度は今の比ではなくなる。

 

その可能性を、ここにいる三人が等しく理解していた。

 

「限定的条件下っちゅうのがどんなもんか分からんけど……おそらくは」

 

「冒険をした時、かな」

 

冒険者は冒険してはならない。その矛盾している言葉の意味を、冒険者なら知っている。

己が器を昇華する。いわば自身の限界の突破……すなわち冒険。

冒険者が誰もが通る試練。格上との戦闘。それこそがその条件である……神であるロキと、神も認める勘を持つフィン(英雄)はそう推測した。

 

「……ロキ、あのミノタウロスは?」

 

「カウントはされとらん……はずや。上がり幅はいつもと変わらんかった」

 

先日ベルに致命傷を与えた存在。どこかの中堅ファミリアが討伐し損ね、上層へと逃走したらしい個体もベルからすれば格上。しかしその時は発動していないはずだとロキは言う。

ならば条件とはなんだろうか。そう考えていると扉がノックされる。

 

「リヴァリア様はいますか?」

 

そう言って入ってきたのはレフィーヤだった。

フィンたちは努めて空気を変えると、レフィーヤを部屋に通した。

 

「それでレフィーヤは。私に用とは?」

 

リヴェリアの問いにレフィーヤは「はい」と応えると、若干言いにくそうに目を逸らしながら

 

高等精神回復特効薬(ハイマジックポーション)を貰えないかと……」

 

レフィーヤの問いに、眉間に皺を刻んだエルフの王族が立ちふさがる。

レフィーヤは魔法職だ。普段からいくつもの精神回復薬を常備している彼女がその薬を切らす……それはここがダンジョンではない以上、異様なことだ。さらに視線をそらしながら頼むということはつまり、此処にいる三人(幹部と主神)にはばれたくないことがある、ということに他ならない

 

「高等精神回復特効薬? ほう。一体何のためか、教えてもらおうか。レフィーヤ」

 

ヒッ! と小さな悲鳴をこぼすレフィーヤは、若干涙目になりながら正直に答えた。

 

「べ、ベルの特訓に付き合っていたら、その。精神回復薬が尽きてしまって」

 

レフィーヤの答えに、レフィーヤ以外が硬直した。

魔法職。それもレフィーヤ(エルフ)の回復薬がなくなるほど魔力を使った……だと?

 

三者三様に眉間を抑えたり天井を仰いでいる最中にもレフィーヤは言い訳という名の弁明を進める。

 

「べ、ベルの成長が予想以上に早くてッ、えっと、教える身としてもやりがいがあったというか。ベルの魔法が興味深かったのもあるんですけどッ」

 

「レフィーヤ」

 

「は、はいぃ!」

 

いつも以上に低いリヴェリアの声音に、レフィーヤは直立不動になる。

プルプルと震える同胞の姿に、リヴェリアは今日一番のため息を吐きながら頭を振った。

 

「怒るつもりはない。団員同士での高め合いは寧ろ良しとしている……が。いや、これはこちらの都合だな。とにかく、今すぐにベルのところに連れて行ってくれ」

 

怒るつもりはないと言いながら、絶対零度を思わせる眼力に睨まれたレフィーヤは、「分かりました! 中庭です!!!」と脱兎のごとく走って行った。

 

『はぁ』

 

残された幹部と主神はもう一度溜息を吐いて、重い腰を上げる。このあとはもう一度ステイタスの更新が待っているベルの元へ。

 

 

 

 

「あ! 神様、フィンさん、リヴェリアさん!! どうしたんですか?」

 

中庭に行けば汗を垂らし疲労の色を強く出しながらも、やりきったという雰囲気を出しているベル。

そして壁にはロキの買った覗き壁(魔道具)が再起不能な状態で横たわっており、その側には大量の空き瓶が……。

 

「ベル……いったい何をしていたのかな」

 

フィンの諦めと逃避の混じった問いに、ベルは満面の笑みで

 

「頑張りました!!」

 

と答えた。

にこにこと笑うベルに、三人は怒る気力を抜かれ、「頑張ったね」と返すので精一杯だった。そんな三人の脳裏には、最近ようやく手の掛からなくなってきた少女の存在がちらついていた。

 

 




情景願望に関する設定は私個人の解釈で独自設定ですので悪しからず

ちなみに、ベルくんが撃ち出してる武器はオラリオで言う所の、第二級相当(英雄王からしたら最下位の武器)です。
......宝物庫でも上位の物を出し始めたらどうなるんだろ......まぁ魔力的に制限はあるけども。

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