宝具のレベルと魔力量の釣り合いが難しい。
昨日、レフィーヤさんと別れたあと、もう一度ステイタスの更新をして僕は眠りについた。
今朝、フィンさんから五階層までならダンジョンに潜っても良いと言われたので、僕はダンジョンへ続く大通りを歩いていた。
「あの、これ落としましたよ?」
「え?」
まだ早朝で人通りも少ないところで声をかけられた。僕が声の方へ振り向くと、緑を基調とした服にエプロンという姿の女の子がたっていた。
彼女は「これ、落としましたよ」と手持っていた小さな魔石を渡してくる。
「あれ? 昨日全部換金したはずなんだけどな」
「すいません。ありがとうございます」
僕がそう言って頭を下げると彼女は「いえいえ」と言って微笑んだ。
「冒険者さん、ですよね?」
「はい」
彼女のふんわりとした微笑みにどぎまぎしながら答える。
「こんな時間からダンジョンへ行かれるんですか?」
彼女の問いに「まだ駆け出しなので」と言うと彼女は両手を合わせて
「わぁ! 大変なんですね! あの、私『豊穣の女主人』っていうお店で働いているんです。こうして会うのも何かの縁ですし、宜しければ今夜飲みに来てくれませんか?」
恥ずかしそうに言う彼女に僕はたじろいでしまう。その反応に僕が拒否すると思ったのか、彼女は困ったように眉を寄せながら上目遣いで僕をみてきた。
「だめ、ですか?」
「うぐ......分かりました」
そう言った途端彼女は満面の笑みで、
「お待ちしています! 私はシル・フローヴァです」
と挨拶をして来たので僕も慌てて返した。
「あ、僕はベル・クラネルです」
「はい、宜しくお願いします。待ってますね、ベルさん!」
ゴブリンとコボルトを切り伏せながら今朝の事を思い出す。
可愛い女の子だったなぁ......って、ダメダメ。集中しないと!
僕は頬を叩き気合いを入れ直す。
レフィーヤさんに鍛えてもらったお陰で魔力にも随分と余裕があった僕は、もっと消費を押さえる練習をしようと誓った。
今日はいつも以上に稼いで......シルさんのお店に行かないと。
「よし! 行くぞぉ!!」
僕は気合いを入れながら、弾む足取りでダンジョンを駆けていく。
ちなみに調子に乗ったその日の稼ぎは五桁に迫るほどだった。
夕方、太陽が地平線へ沈み始めた頃にダンジョンから出てきた僕は、一度家に装備を置いたあと、教えてもらった場所に来ていた。
「あ! ベルさん、来てくれたんですね!!」
「えっと、はい」
「ささ! 入ってください!」
僕はシルさんに導かれるまま席へ連れていかれる。
そのまま席に座ると僕のふた周りは大きい女性が出てきた。
「へぇ。あんたがシルの言ってた男かい? 随分ひょろっちい体してるねぇ!」
地味に気にしていることを言われたじろぐ。
そんなことはおかまいなしに笑う女性は鋭い眼光で
「あんた、なんでも私を泣かすぐらいの大食漢なんだって?」
「へ?」
「望むところだよ! さぁ、どんと食べな!」
豪快な笑い声をあげながら奥へと帰っていく女性を見送りながら、僕は隣に立っているシルさんへ視線を向ける。
「......てへ?」
視線を反らしたまま誤魔化さないでください!
「僕、大食いだなんて言ってませんよね?!」
「......ベルさんなら大丈夫です!」
「何がですかぁ?!」
嘆いている間も800ヴァリス相当の料理が次々と運ばれてくる。
僕はお爺ちゃんの、
「女の子から出されたものは何でも食べきらなければならない」
という言葉を思いだし、料理の山へフォークを向けた......。
その日、豊穣の女主人では周りが見ているだけで胸焼け起こすほどの料理を平らげた少年がいたとか。
その場にいた冒険者やエルフは、それからもたまにやって来るその少年に、尊敬の念を送り続ける。
オラトリア見た方が書けるんだろうけど、時間がない(切実......いやほんとまじで)