原作と違って、アイズとまだそんなに接触していないから、人柄の良いベルへの反応(印象?)はこんな感じだと思います。(願望……入った?)
「ねぇねぇ! ベルも怪物祭一緒に行こうよ!」
いつもの日課であるフィンさんとの模擬戦を終えた僕にティオナさんがそう切り出した。
「怪物祭、ですか?」
「うん。モンスターフィリアって言ってガネーシャファミリアがやるお祭りなんだ~」
ガネーシャファミリアが主催のお祭りというのは分かったものの、詳しい内容などが分からずにいるとティオネさんが嘆息交じりにやってくる。
「馬鹿ティオナ。それだけじゃ分からないでしょ。ごめんなさいねベル」
「い、いえいえ」
「馬鹿とはなんだ馬鹿とは!」
「あ~はいはい」とあしらいながら、ティオネさんは大雑把にお祭りの事を説明してくれる。
怪物祭とは、ガネーシャファミリアの保有する闘技場で、モンスターを調教「テイム」することを主としたお祭りだとか。
それ以外にも沢山のお店が並ぶので、ティオナさんたちはそちら目当てでお祭りに行くらしい。
「それで、この子がベルも誘うって言いだしてね」
「分かりまた。喜んで行かせていただきます!」
「やった! それじゃベル、明後日またここで集合ね!」
ティオナさんは笑顔でそう言うと走ってどこかへ行ってしまった。
僕とティオネさんは苦笑を溢し合う。
「あ、ティオネさん。レフィーヤさんも誘いませんか?」
魔法の練習に付き合ってもらっているレフィーヤさんにお礼の意味も兼ねて誘いたいと言うと、ティオネさんは「そうね」とつぶやく。
「あの子の事だからアイズと一緒に回るって言いそうだけど、本人がOKすればいいんじゃないかしら」
「じゃあレフィーヤさんのところに行ってきますね!」
僕はそう言って駆け出す。
背後から「ティオナにそっくり」と声が聞えた気がしたが、僕は気にせずレフィーヤさんの部屋に向かった。
「はあぁぁ。あ~~、アイズさんと一緒に回りたかったなぁ」
私は自室のベットに転がって愚痴を溢す。
今朝、アイズさんに怪物祭のお誘いをしたら……
『ごめんね。ロキに呼ばれてるから』
「って。あの堕神めぇぇ!!」
ボスッボスッと枕を殴る。
魔法職で筋力が低い私でもレベル相応の力を持っているので、枕から鈍い音が響く……が、私の耳には入らない。
そんなふうに私が荒れていると、遠慮がちに扉が叩かれた。
「あ、あの。レフィーヤ、さん?」
ベルの怯えた声に私ははっとなって枕を見る。
ず、ズタズタだッ!?
私は急いで枕をシーツで隠し、飛び散った羽毛を払い落とすと咳払いをして扉を開ける。
「な、なんですか? ベル」
扉の前にいたベルは頬を朱くし、目を泳がせながら遠慮がちに口を開いた。
「えっと、
そういう日?
数秒考えて答えに行きついた私は顔を真っ赤にしながら叫ぶ。
「違います!!!」
「ひッ! すいませんでした!!」
「ちょっと嫌なことがあっただけです!! だ、大体そういう日って……だ、だだ誰に教わったんですかぁ!?」
まくし立てるような見幕にベルは涙目になって「お、おじいちゃんが、女の人が怒ってるときは機嫌を損ねることをした時かそ、そういう日だからって!」と白状する。
ベルのおじいさん、いったい何を教えてるんですか!!
「それは間違ってます!! いや、あながち間違いじゃないけどッッてそうじゃなくて! ああ、もう!」
荒ぶる私と涙目なベルという
「先ほどは大変失礼しました」
おじいさんから教わったという土下座? をしながら謝ってくるベルに私は溜息を吐きながら首を振った。
「いえ、ベルが悪いわけではありませんから。頭をあげてください」
私はベットに腰を下ろしそれで、と尋ねる。
「私に何か用事があったんですか?」
私がそう言うとベルは、一瞬ためらった後、
「怪物祭、一緒に回りませんか?」
と聞いてきた。
一緒に回る? ……そ、それってデ、デート?!
ベルからのデートのお誘い?!
で、でも相手は会ったばかりのヒューマン……でも、まぁベルなら……
「ティオナさんたちも一緒に回るんです!」
笑顔のベルを見て、私はロキが前に言っていた
『上げて落とすっちゅうのはな、ただ落とされるのの何倍も来るんや……』
という言葉の意味が分かった気がした。
私は予想以上にがっくりきている自分にどこか驚きながらも乾いた笑いをこぼすのだった。
「レフィーヤさん? レフィーヤさん?!」
やりすぎたとは思う。だが後悔はしていない(`・ω・´)