英雄の欠片は何を成す   作:かとやん

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アンケートのご協力本当にありがとうございますm(__)m
予想以上の回答にうれしい限りです

アンケートの締め切りは2019/06/30までとさせていただきますのでよろしくお願いします。


そして今回のタイトルにある様に新スキルの登場。
スキル取りすぎだろとか、そんなんで取れるの? みたいなのはあると思いますが何卒寛大なお心でお願いします。
(いつかやりたいベル無双の為に!……できるかなぁ)



英雄の欠片の現状と新たなスキル

菱形の魔法陣を輝かせながら、オラリオ最強の治癒師「アミッド・テアサナーレ」はベッドに寝かされている少年を見つめる。

 

真っ白だったであろう肌は黒い痣が全身に刻まれ、口からは真っ黒な血が溢れ続けている。

既にエリクサー(・・・・・)をかけた後だとは到底思えない状態の彼は、ほんの数分前にアミッドの友人「ティオナ・ヒリュテ」が泣きながら連れてきた子だった。

 

ホームの扉を突き破って入ってきたときは何事かとアミッドは目を白黒させたが、抱きかかえられた少年を見た瞬間。常備していたエリクサーを振りかけ、彼女らをベッドへと案内した。

ティオナに何にやられたのかと聞いても、彼女は分からないといって首を横に振るだけだった。

エリクサーをかけたのに全く回復しない少年に、どこまでやればこうなるのかと、怒りが沸くが頭を振って詠唱に入る。

 

菱形の魔法陣が広がり、淡い光がベルへと降り注ぐ。細い呼吸が次第に安定し、痣も徐々に消えていく。

暫くして魔法陣が消えると、ベルは静かな寝息をたてていた。

 

「ふぅ。これで大丈夫なはず。それで、何があったか説明してください」

 

目元をこすりながら安堵の息を漏らしていたティオナは、ビクッと肩を震わせると目を泳がせ……

 

「ロ、ロキ呼んで来るね!?」

 

と言って壊れた扉から脱兎のごとく逃げ出した。

取り残されたアミッドは、団員の視線を一身に受け、がっくりと項垂れるのだった。

 

 

 

 

 

「あんの発情女が……」

 

レフィーヤを抱きかかえ、ティオネから事の詳細を聞くとロキが神威を漏らしながら顔を憤怒に歪める。

 

「ロキ、取り敢えずはディアンケヒト・ファミリアへ行くぞ」

 

私がそう言うと、ロキはぶつけどころのない怒りを押し込んでから「せやな」とつぶやく。

 

「アイズたんと、ティオネはホームに戻っといてくれんか?」

 

「……わかった」

 

「了解……って、あれティオナ?」

 

ティオネが目を見開き通路を指すと全速力でこちらに走って来るティオナがいた。

笑顔で走って来るティオナの様子から、取り敢えずは無事なのだろうと当たりを付けたロキや私は、安堵の意味も含めたため息を漏らす。

 

「ちょっと、あんたなんでここにいるのよ!」

 

ティオネからの言及にたじろぐティオナ。

なんとか言い訳を必死に考えているのか頭から湯気が上がり始めたところで私は止めに入る。

 

「ベルは無事か?」

 

「あ、うん! 今はアミッドと一緒にいるよ! ……そうだ! それでロキを呼ぼうとしたんだよ」

 

手を叩き思い出したと笑うティオナに、ロキが「ほんなら行こか」と言って歩き出す。

私はホームに戻ることを渋り、食い下がろうとしてティオネに連れ去られるティオナに苦笑した後、ロキの後を追った。

 

 

 

 

ディアンケヒト・ファミリアに着くと扉が壊れているのを見て、大方ティオナが破ったんだろうと見当をつけた私は、レフィーヤを見てもらうついでに、団員に請求はロキ・ファミリアに回しておくように伝えた。

 

 

「なるほど、大体の経緯は理解しました。ありがとうございます」

 

「ええよ、気にせんで。んで、ベルは大丈夫なんか?」

 

ロキがそう聞くとアミッドは若干眉を寄せた後、苦笑するように笑って「大丈夫です」と答えた。

 

「そか。ありがとうな」

 

「いえ。ただ、彼は相当無理をしたのでしばらくは絶対安静にさせてくださいね」

 

「そういえばエリクサーが効かなかったと言っていたな」

 

「えぇ。彼は生命力を使ったみたいなので」

 

彼女の答えに私は眉を寄せる。ロキは合点がいったのが「あちゃぁ」と言って空を仰いだ。

 

「えっと、魔法は普通精神力、まあ魔力を使うんですけど、彼は生命力。つまりは寿命を使ったんです」

 

彼女の説明に私は自然と眉間にしわが寄ったのが分かった。

 

「ごく稀にいるんです。魔力がなくなっても魔法を行使しようとする冒険者が……」

 

「しかし、生命力を使うというのは相当に身体を酷使するのです。彼のように」

 

悲痛そうにベルを見つめるアミッドは、こちらへ向き直ると真剣な眼差しで私たちを見つめる。

 

「これだけは約束してください。彼にこれ以上、絶対に生命力を削る様な魔法行使はさせないと」

 

彼女の言葉に、私とロキは黙って頷いた。

その後、レフィーヤの様態も見てもらった私とロキは明日また来ることを伝え、ディアンケヒト・ファミリアのホームを後にした。

 

 

 

 

 

 

『努々忘れるな。ソレは容赦なくお前を飲み込む……我はそう言ったな? ベル』

 

はい。すいません

 

真っ白な、ふわふわとした空間で、僕は英雄王さんの前で正座をしていた。

気がついたらここにいて、冷たい目で僕を見下ろしている英雄王さんに、僕は自然とこの体制を取っていた。

 

『本来なら切り捨てているところだが、我を楽しませたことに免じて、今回だけは許してやろう!! フハハハハハハハ!!』

 

そう言って笑う英雄王さんは、僕の記憶があやふやな理由とその間にあったことを上機嫌に語ってくれた。

 

どうも僕は王律鍵に飲み込まれかけたが、ティオナさんがそれを必死に止めてくれたらしい。

それで今僕の身体は昏睡状態で二、三日は目が覚めないのでここで英雄王さんを楽しませなければならない……らしい。

 

『しかし我が財をあのように使うなど、お前でなければ極刑ものよのう! ハハハハハ!!』

 

ひぇ! こ、怖いこと言わないでくださいよぉ

 

何処からか取り出した杯でお酒を飲みながら笑う英雄王さんは、僕を見るとニヒルに笑う。

 

『しかし、まだまだわっぱよのう。槍捌きなど赤子のままごとよな』

 

ま、ままごと……あ、あの! どうやったらいろんな武器を扱えるようになるんですか!!

 

僕の問いに英雄王さんは、さも当然のように答えた。

 

『それは我だからだ! すべてを統べる我だからだ!! …………だが』

 

英雄王さんは杯に注がれた酒を数滴たらす。それは波紋となってこの真っ白な空間に広がっていく。

徐々に霞み始める視界。薄れていく意識のなか英雄王さんは立ち上がり、

 

『お前はお前(ベルクラネル)だ。 我の足元にも及ばない雑種の中で、我はお前を選んだ……そのことを忘れるなよ』

 

そう言って笑った。

 

 

 

 

 

「……目が覚めたみたいだね」

 

目を覚ますとそこは僕の部屋だった。声のした方を向くとフィンさんが壁に寄りかかっていた。

僕は体を起こす。英雄王さんから聞いてたほど体は重くはなく、すんなりと起き上がった。

 

「今日あたりに目覚めるんじゃないかと思ってね」

 

「えっと、すいませんでした」

 

僕がそう謝ると、フィンさんは首を横に振った。

 

「僕らこそすまない。君に負担をかけてしまった」

 

「そんな、謝らないでください」

 

フィンさんは苦笑すると「病み上りですまないけど、ロキの部屋まで来てくれるかな」と言う。

僕は頷いて着替えるとフィンさんに続いて部屋を出た。

 

 

 

 

 

「ロキ、入るよ」

 

「失礼します。神様」

 

僕たちが部屋に入ると、リヴェリアさんも神様と一緒に待っていた。

 

「お、お疲れやなベル」

 

「はい。ご迷惑をおかけしてすいませんでした」

 

頭を下げようとすると神様は手を振って僕を止める。

 

「ええて、気にせんといてな。そんでいきなりなんやけど、ステイタスの更新、しよか?」

 

「? はい」

 

僕は上着を脱ぐと奥のベッドに横になる。リヴェリアさんとフィンさんは一旦部屋の外に出ていった。

 

「ほな、いくで~」

 

暫くして神様がため息を一つ着くと背中をポンポンと叩かれる。

 

「ほい、終わったで~」

 

「ありがとうございます。どうかしたんですか?」

 

「ん~~。とりあえずフィンたちにも見てもらおか」

 

そう言って神様はフィンさんたちを呼び戻すと、机の上に僕のステイタスの書かれた紙を置いた。

 

 

 

ベル・クラネル

レベル 1

 

力  : E 451

耐久 : E 410

器用 : D 512

俊敏 : E 479

魔力 : B 701

 

 

【スキル】

 

//憧憬願望//

早熟する。

思いがある限り効果は持続し、思いの丈で効果は向上する。

限定的条件下におけるスキル補正。

 

・王律鍵 H

レベルに応じた宝物庫へのアクセス権

 

・器用貧乏

複数の武器を扱うほど、武器の扱いに補正

戦闘で得られる経験値の一部消費

 

【魔法】

 

ゲート・オブ・バビロン

詠唱破棄

宝物庫内の宝具の転送及び射出

 

 

 

「うわぁあ!! 新しいスキルですよ!」

 

『ちがう。そこじゃない』

 

「え?」

 

「あ、いや気にしないでくれ。いやそれもだけど……ステイタス……大分上がった、ね」

 

「そ、そやなぁ! 魔力なんかBに届いとるで!?」

 

なんだかフィンさんも神様も様子が変だけどどうかしたのかな。

 

「あの、どこかおかしいですか?」

 

「いや、おかしくは、ないぞ。なぁフィン」

 

バッとフィンさんがリヴェリアさんを見る。二人はしばらく見つめ合った後フィンさんも「あ、ああ。素晴らしい成長だね」と褒めてくれた。

 

「これからも頑張りますね! それで、この新しいスキルなんですけど」

 

僕がそう言って『器用貧乏』を指さすと神様は難しそうな顔をする。

 

「たぶんやけど、魔法でいろんな武器を出してたせいやと思うで」

 

「おそらくはそうだろうね。しかし、武器の扱いに補正か……まぁベルには喜ばしいスキル……かな」

 

「経験値の一部消費とはどの程度かにもよるが……」

 

「ま、そこは問題ないやろ」

 

問題、ないのかな?

神様はそう言うと紙を片付ける。その間にフィンさんは何か考えるようなそぶりを見せた後、

 

「ベル、明日からいろんな人の武器の扱いを見てほしい。そして見よう見真似でもいいから使ってみてくれ。勿論普段は槍で構わない。唯せっかく発現したスキルだからね」

 

と僕を見ていった。

僕は「はい」と返事をするとフィンさんも笑顔で頷いた。

 

「その前にベル。お前は防具の新調からだ。このままいけば戦い方も変わるだろうからな」

 

「はい!」

 

 




アミッドの部分雑かなぁ

アミッドの詠唱文が分からなかったのではしょりました。
所々雑ですけど許してくだしあ

この後、18階層の事件を書いた方が良いか。

  • 当たり前だろ
  • レイピア折れてないし行く理由がなくい
  • ベルもつれていこうぜ☆
  • 別にどっちでもいい

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