『アアアアアアアアアアアアアア!!!!』
荒れ狂うように叫びながら、周囲のものを手当たり次第に破壊していく巨大なモンスター。
それに敵味方の区別はなく、冒険者や食人花を等しく吹き飛ばしながら、何かを探しているように徘徊を続けている。
「何あれ!?」
「はぁ。やっと粗方倒したってのに」
「どこから現れた……よりも先に倒す方が先決だな」
「そうだね。でも、その前にもう一方にもよらないと」
そんなモンスターに、道化の眷属は各々の反応を示した後、そのモンスター目掛けて走り出した。
「! アイズさん!!?」
アイズさんが戦っていた場所まで戻ってくると、そこには全身傷だらけで額を血に染めたアイズさんがいた。
「はぁ、はぁ。レフィーヤ、逃げて」
息の荒いアイズさんは、短くそう言うと赤髪の女性目掛けて切りかかる。しかし、女性はアイズさんの攻撃を鬱陶しそうに眉を曲げるだけで平然と受け止めて見せた。
「いい加減にしろアリア。まったく、あれはあれで役に立たなくなった。お前だけでも連れて帰るぞ」
女性は街のはずれで暴れている大型の人型モンスターを忌々しげに睨みつけながら吐き捨てる。
アイズさんを連れてなんて行かせませんから!!
「『解き放つ一条の光、聖木の弓幹。汝、弓の名手なり』 アルクス・レイ!!」
「……邪魔だな」
「嘘!? 魔法を素手で!!?」
私の放った魔法を素手で受け止めるなんて! ……ベルみたいに非常識です。
女性は先に私を仕留めるつもりなのかアイズさんを払いのけると私へ飛び掛かってくる!
私は咄嗟に回避しようとして背後から割り込んできた人物に目を見開いた。
「僕の仲間にそれ以上の手出しはさせないよ」
「フィンさん!!」
フィンさんが私の目でも追えない速度で槍を振るうと、遅れて三回の金属音が響き女性が吹き飛ぶようにのけぞる。
「レフィーヤ、アイズを頼むよ」
「は、はい!」
フィンさんは油断なく女性を見つめながら、私に声をかけると女性へと攻撃を仕掛けた。
激しい剣戟に体が縮みそうになるが、私は足に力を込めて倒れているアイズさんのところへ向かう。
「アイズさん! 直ぐに治療しますから!!」
「……ごめん。レフィーヤ」
私が回復薬を取り出して額へ振りかけると、アイズさんは顔を歪めたまま私に謝ってくる。
私は首を横に振って「大丈夫です」と言いながらアイズさんの口元へ回復薬を傾けた。
「レフィーヤ、あとは私が変わろう」
「リヴェリア様! いえ、アイズさんは私が」
「レフィーヤは、あれの相手を頼めるか」
私が食い下がろうとすると、リヴェリアさんは視線を未だ暴れ続けている巨大なモンスターへと向けた。
「お前ならやれるはずだ。それに、早くしないとベルが来てしまうかもしれないぞ?」
何処か可笑しそうに笑うリヴェリア様に、私はムッとして立ち上がる。
ベルは今休んでいるんですから!
「分かりました! あれは私一人でやります!!」
私がそう言うとリヴェリア様は微笑を浮かべながら「頼むぞ」と頷いた。
ベルやフィンさんたちから遠ざけないと。
私はそう思いながら中央樹の方へと駆けだした。
「君が何者なのか、教えてくれるかい?」
「答えるとでも?」
僕は彼女の攻撃を弾きながら問いを投げた。まあ、答えてくれるとは思っていない。
数度打ち合ってみて彼女のレベルは大体5の上位から6の下位だとわかった。
ただ、アイズが力負けしていたのを考えるとまだ不安定要素があるか。
「戦闘中に考え事とは随分と余裕だな」
「失礼。ただ仲間の事が気になってね」
ベルは一体どこにいるのか。レフィーヤが付いていってたみたいだから大丈夫だとは思うけど。しまったな、先に聞いておくべきだったか。
僕が槍で彼女の攻撃を捌きながら追い込んでいくと徐々に彼女の顔が歪んでくる。
「……チッ。やはり分が悪いか」
そう言って大きく跳躍し逃げようとする彼女に、僕は詰め寄る様にして妨害する。
「逃がさないよ」
「ウザイ! 食人花!!」
彼女がそう叫ぶと僕の足元から3本の触手が付き出てきた。僕はそれを後方へ避けるがその隙に彼女は滝壺へと飛び込んでしまった。
「逃がしたか」
「……まだ街にもモンスターが残っているし、追うのは難しいか」
僕はアイズを抱きかかえたリヴェリアと合流するとレフィーヤが走って行った方へ視線を向ける。
そこでは巨大な人型モンスターと死闘を繰り広げるレフィーヤの姿があった。
次回はレフィーヤVS巨大モンスター!!……かなぁ?