英雄の欠片は何を成す   作:かとやん

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新年あけましておめでとうございますm(__)m
今年もよろしくお願いいたします。


全開の投稿から随分と間が空いていましたが私は元気です。
インスピレーションとネタ探しの旅(ネット)に出ておりました。

まぁ、そんなことを言いながら今回のは今まで以上の難産(壊滅的)でしたけどねw



英雄の欠片と特訓と

冒険者……それは自分の願いを叶えるための職業だと、私が出会ってきた人たちは皆言いました。

莫大な富を得るため、女性からモテたいから、名誉と自尊心を刺激され敬われる存在になりたいから。

理由は多岐に渡りましたが、そこに想いはなく、ただ漠然と冒険者になれば願いが叶うと思っている人たちばかりでした。

 

冒険者になる人たちは『冒険者』という”言葉”に一種の願望と欲望を押し付けているようです。

そして思い通りにならないことはすべて、冒険者のサポーター(成りそこない)へ。夢を叶えるだけの力がなかった半端ものへと。

 

ステイタスという絶対の壁に守られた彼らにとって、壁の下にいる私は格好の餌……せめてもの救いはこれ以上下がないことでしょうか。

 

サポーターという絶対弱者を作ることで、自分を守る存在。

そんな彼らから身を守るため、私は今日も冒険者をこう呼びます――――冒険者様――――と。

 

 

 

 

 

 

「フゥッ……!!」

 

鞘を滑らせるようにして槍でいなそうとしても、即座に迫る第二第三の刃が僕を襲う。

眼前に飛び散る火花を無視して切り結んでいると、背後で風の流れが変わったのを感じた。

僕は、アイズさんの攻撃を無理矢理弾いて即座に後方へ飛び下がる。

 

すれ違うようにしてアイズさんに接近するのはレフィーヤさんの魔法。二日前よりも詠唱速度が上がっていることに驚きながらも、魔法に追従する形でアイズさんへ肉薄————

 

「ここで気を抜いちゃダメ」

 

する前に、アイズさんの回し蹴りが僕の顎を捉えていた。

 

ダメだッ! 槍じゃ間に合わな——

 

その一撃が当たる瞬間、何かが僕の中で引っかかった気がした。

 

 

 

 

 

アイズは目の前で気絶する少年と、肩で息をするエルフの少女の成長に驚きを隠せないでいた。

 

冒険者になっておよそ数カ月で出来るはずのない動きを、少年は——――ベルはして見せたのだ。

ベルはアイズとの戦闘の最中、常にレフィーヤの位置に気をかけていた。アイズがベルの隙をついてレフィーヤの方へ向かおうとすれば、ベルは透かさずレフィーヤとの間に身体を捻じ込みアイズを引き付ける。

得物一本で、本気でないとはいえアイズの攻撃を自身に向け続けたのだ。

 

一方のレフィーヤも、数日前の彼女とは比べ物にならないほど成長していた。

それは純粋にステイタスが、と言う意味ではない。

彼女の場合、心の在り方。覚悟が違ったのだ。

 

戦闘中、アイズは何度もレフィーヤにリヴェリアの面影を見た。

 

彼女は戦闘中の一度も、詠唱を止めなかった。たとえアイズの剣先が自身に向こうとも、彼女は絶対に詠唱を止めなかった。

その瞳に怯えはなく、前衛(ベル)が必ず攻撃を防いでくれるという信頼の炎が宿っていた。

そして彼女は全霊をもって、最速の詠唱を前衛に届け続けた。

 

それがいかにすごいのかを、少女は理解しているのだろうか?

 

アイズは数日前の彼らを思い出しながら、うっすらと賞賛のほほ笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

「二人とも、随分強くなった、ね」

 

「「ありがとうございます!!」」

 

僕はレフィーヤさんに支えられながら頭を下げる。

 

怪我は回復薬で治ったと思うけど、まだ頭がぐらぐらする。

 

「ベル、部屋まで行きますよ」

 

「ありがとうございます。レフィーヤさん」

 

僕はそのままレフィーヤさんに連れられて自分の部屋にたどり着くと、ベッドに腰かける。

レフィーヤさんに再度お礼を言った僕は倒れるようにしてベッドに仰向けになった。

 

「ふぅ。アイズさん、強いなぁ」

 

今日の戦闘を思い出しながら、しみじみと呟く。

 

アイズさんは本当に強い。今日も防ぐのが精一杯で攻撃できなかった。

 

一つ一つ今日の教訓を思い出していると、最後のあの瞬間のことを思い出す。

あの時、何かが引っかかった。でもそれが何かは分からない。

 

コンコン

 

考え事をしていた時、扉が叩かれた。

僕が首をかしげながらも扉を開けると、そこにはフィンさんが立っていた。

 

「フィンさん?」

 

「やあ。ロキからアイズと模擬戦をしていると聞いてね。近況の方を聞きたくてね」

 

笑顔で片手を上げるフィンさんに、僕は苦笑交じりに話す。

 

 

「その時、何かが引っかかった気がするんですけど、よく分からなくて」

 

正直に打ち明けると、フィンさんは何故か可笑しそうに笑いだした。

 

「ハハハ。いや、すまないね。まさかそこまで進んでいるとは思わなくて」

 

「早く、フィンさんたちに追いつきたいんだけどなぁ」

 

そう、ぽつりと呟いたとき、一瞬だけフィンさんから表情が抜けたことに僕は気がつかなかった。

 

フィンさんはふぅ、と一呼吸おいて口を開いた。

 

「ベルがそこに気がついたのなら、答えはもうすぐそこだと思うよ。ただ、ヒントを上げるなら、君だからこそできることを考えてみるといいかもね」

 

フィンさんはそう言い残してスタスタと部屋を去ってしまう。

残されたのは、不可解なヒントを残されて顔を捻る僕だけだった。

 

 

 




次回、漸くベルの戦闘スタイルが決まる??

ひ、批判は何卒少なめにしてくださいm(__)m
豆腐メンタルなんでふ

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