ごたごたが収まって来たので2週間に1~2本の更新速度に戻せそうです。多分
あまり期待しないでください(´・ω・`)
ヒタヒタと、赤い雫が乾いた地面へと落ちる。
自らの身体を伝う”モンスターの血”を気にすることなく、オッタルは眼前のモンスターを見下ろしていた。
ブウウゥゥゥゥッッ
「…貴様ではない」
そう呟くとオッタルは持っていた大剣を無造作に一線。
目の前に跪いていたミノタウロスを両断した。
ダンジョンの16階層。ここに彼が籠り始めてはや1週間がたとうとしていた。
既に彼のバックにはミノタウロスの魔石やドロップ品がはち切れんばかりに詰まっており、彼がどれほどミノタウロスを仕留めてきたのかがうかがえた。
ブモォォォ
丁度オッタルが先ほどのミノタウロスのドロップ品を拾った時だった。
別のミノタウロスが現れたのは。
そのミノタウロスはこれまで会ってきたミノタウロスよりも一回り大きく、異質であった。柄から先端にかけて刃のついた独特のストーンアックスには未だ乾ききっていない血が滴り、もう一方の手には、なんと同族の首が握られていた。
ミノタウロスはオッタルを一瞥すると無造作に首を投げ捨て、オッタルを油断なく睨む。
こいつは他の者とは違う。オッタルは直感でそれを察し、初めて大剣を構える。
「こい」
ミノタウロスが駆け出すのと投げ捨てた首が霧散するのは同時だった。
ブモオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
濃密な咆哮と共に全速力で
持っていたアックスで地面を削り、砂埃を巻き上げながらの振り上げはオッタルの大剣と激突した。
ガギイイィィィッ!!!
凄まじい火花と共に金属音が耳を打ち両者の身体を衝撃が通り抜ける。
ミノタウロスは振り上げた斧を切り返し、振り下ろしに変えるがオッタルは速度が乗る前にその腕に一撃を加える。
ブッゥゥゥウウウウッッ
自身の腕に走る激痛にミノタウロスは唸り声を上げると地面を一足し距離を取った。
「ほう、モンスターが……いいだろう。あの小僧にはもったいないぐらいだ」
腕力、技、そして知性を持った行動にオッタルは感嘆の声を漏らすと、背中に背負っていたバッグを“ミノタウロス目掛けて”投げ捨てた。
ブモッ!
飛んでくるバッグを両断するミノタウロスだったが、目の前に散らばる大量の魔石に一瞬硬直する。
どうやら同族は殺しても魔石は喰ったことのないらしい。
ますます気に入ったオッタルは彼にしては珍しく頬を吊り上げた。
「食え。同族を糧に、あのお方の寵愛を勝ち取ってみせよ!」
オッタルの言葉が通じたのか、ミノタウロスは獰猛な笑みを浮かべると、目の前の魔石の山へ喰らい付いた。
「あれ? リリ?」
いつもより少し遅れて広場にやってきた僕だったが、そこリリの姿はなかった。
これまでも何度か遅れることはあったが、彼女は頬を膨らまして怒るだけで必ず待ってくれていたのに。
何かあったのだろうか
そんな確証もない不安がベルの心中に溜まっていく。
辺りを探してみよう。
そう思い駆け出そうとしたところで——
「べ、ベル様。お待たせしました」
リリが現れた。
冒険者の間を縫うようにして僕のところにやってきたリリはいつものバックを背負ってお居らず、俯きがちな表情も暗い。
「リリ、どうしたの?」
「ッ…なんでも、ありません。それより、ベル様」
暗い表情を断ち切るようにリリは顔を上げると、僕にでもわかるような歪な、やせ我慢の笑みを浮かべた。
「りり」
「ベル様。これから三日ほどお暇をいただいてもよろしいでしょうか。急用が入ってしまいもうしわけありません。それから4日後、私と二人きりでダンジョンに潜ってくれませんか?」
その問いかけともいえぬ一方的な話にベルは事情を聞こうとして、口をつぐんだ。
「うん。いいよ」
「ッベルさま……あり、がとうございました」
僕がリリの提案を承諾すれば、リリの瞳は悲しみに沈み、次の瞬間には感情の見せない色になる。
僕はリリの後ろ姿を見送りながら、先ほどの彼女の様子を思い出す。
二人きりでダンジョンに潜ってほしい。そう言った時の彼女の瞳は、「来てほしくない」「断ってください」と訴えかけていた。
そしてその後の悲しみに沈んだ目。なぜ彼女がそんな思いをしているのか、ベルにはわからない。
それでも、確かに彼女は助けを求めていた。
なら、僕がすることは一つだけだ。
ベルは覚悟の籠った瞳でもう一度リリのいた場所を見つめたあと、足早にホームへと戻っていった。