「 」
「 」
ロキの寝室。
そのベッドの上で座る二人は、無表情で目の前の紙を覗き込んでいた。
紙を握るロキの手が震え、それを覗き込むリリの瞳が揺れる。
「な、なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
たっぷりと間を開けて放たれたロキの
リリが正式にロキファミリアに入るにあたって、ロキは善は急げとばかりに彼女を連れて自身の寝室へと招いた。
整然とした寝室に通されたリリは、半年ぶりのステイタス更新に、今更ながらはしゃいでいた。
これからは逐次ステイタスは更新して、少しでもベル様のお役に立たないと。
握り拳を作りながら鼻をふんすっ、と鳴らすリリを見つめるロキはベッドに腰かけると隣りをポンポンと叩いた。
「ほな、ステイタスの更新しよか」
「はい!」
リリはいそいそとベッドへ上がるとローブをはだけさせ上着を脱ぐ。
そのまま背中が見えるよう下着を取ろうとして……
「やっぱりこのままでお願いします」
背中側をめくるだけに留めた。
それに抗議を上げるのは当然ロキで。彼女はいつもの細目をカッと見開いて叫ぶ。
「なんでや!!!!」
「視線が卑猥です!! リヴェリア様に言いつけますよ!!」
なんとかリリの背中を舐め回したかったロキだが、
血涙を流しそうな勢いでベッドに拳を打ち付ける次期主神に若干後悔しつつも、リリはベルのためと心を落ち着かせた。
その後、まだごねるロキの主張を両断しながら、やっとの思いでステイタスの更新までこぎつけたリリだったが、
自身のステイタスを見た瞬間、思考が停止した。
リリルカ・アーデ
レベル 1
力 : G 229
耐久 : F 376
器用 : F 302
俊敏 : H 190
魔力 : G 283
【スキル】
・
一定以上の装備過重時における補正。
能力補正は重量に比例する。
・粉砕者
鎚系武器使用時に力・耐久能力の超高補正。
・白兎一途
追熟する。
想いが続く限り効果は持続し、想いの丈により効果は増大する。
【魔法】
シンダーエラ
詠唱式【貴方の刻印は私のもの。私の刻印は私のもの】
解除詠唱【響く十二時のお告げ】
悉く砕くは我が天鎚
詠唱式【
「な、なんじゃこりゃあああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?!?!?」
「……ほんとに、なんなんですか、これ」
神の絶叫を横に、リリはそう呟きながらもニヤける頬を抑えるようにして俯く。
自身に発現したスキル、そして魔法。スキルの一つはあまり意味が解らないが、もう一つは明らかに戦闘系スキルだ。
これを喜ばずにしていられるか。
ここにきて、まるでリリを後押しするかのようなスキルの発現に彼女は狂喜した。
あぁ、今なら神酒ですら飲み干せそうです。
無論の向きなど毛頭ないが、それでもそう思えてしまうほど今のリリは有頂天だった。
そしてそんな彼女を前に、ロキは頭痛のする頭を抑えながらも更に燃料を投下する。
「あぁ、リリたん? ごっつう悦んどるところ悪いんやけどな? このスキル」
「フフフフフフ。あ、はいなんですかロキ様」
「この白兎一途ってスキルの効果なんやけど……これと似たようなスキル、うち知ってんねん。んで多分なんやけど」
その後に続く『”ベルも持っている”ステイタスの成長を加速させるスキル』言葉に、遂にリリは失禁してしまいそうなほど感情が高ぶってしまった。
ガクガクと震える身体を抑え込み、火照るように、歓喜の感情を爆発させる身体を必死に抑え込む。
しかし、どうしようもない程緩んだ頬が治ることはなく、リリは暫くその場でニヤニヤし続けた。
そうしてリリがだらしなくふにゃけている一方。
件の青年————ベルはというと、
顔を真っ青にしながら額を床にこすりつけていた。
腹部や頭部、腕など身体の至る所に包帯を巻かれたベルは、傷口の痛みなど忘れて東洋の”土下座”を目の前の人物に繰り出していた。
そんなベルの目の前には、額に青筋を浮かべながら冷笑する聖女『アミッド・テアサナーレ』が仁王立ちしていた。
アミッドは土下座するベルを見下ろしながら、静かに彼の名を呼ぶ。
「ベル・クラネル様」
「ひっ!? は、はははははいいい!!」
まるで言葉そのものが凍っているかのような冷たさに、ベルは震えあがりながら額を地面にこすりつける。
「私、言いましたよね? 無茶な魔法の行使はやめるように、と。………なのにッ」
カッと目を見開くアミッドは、全身から怒りの炎を燃え上がらせながら叫んだ。
「なんでまた無茶をしてるんですかあああああああああああああ!!!!!!!!!」
「ご、ごめんなさいいいいいいいいい!!!!!!」
ディアンケヒトの団員ですら見たことがないアミッドの修羅モードは数時間続き、説教が終わるころには、べルはうつろな瞳で『無理はダメ無理はダメ無理はダメアミッドさん恐い無理はダメ』などとうわ言のように呟いていた。
それからベルが解放されたのは3日後の正午で、冷笑を浮かべるアミッドから逃げるようにロキファミリアのホームへと帰宅したのだった。
「アハハハハハハ!!! ヒィッ、ヒィッ。アミッドたんマジギレさせるとか、ベルたん凄すぎやわ!」
「笑わないでくださいよぉ!」
ここ数日の話を聞いたロキが爆笑してベッドに転がるのを、ベルは恨めしく思いながら見つめているとフィンとリヴェリアは苦笑しながらもベルを軽く咎めた。
「まぁ、リリルカ君を助けるためとはいえ、少し無茶をし過ぎたね。イレギュラーがあったとはいえ、せめてレフィーヤは連れていくべきだったよ」
「あとでレフィーヤには謝っておけ。お前に置いていかれたことが相当悔しかったらしいからな」
弟子の癇癪を思い出して笑うリヴェリアだったが、ふいに扉が叩かれたことでそちらに意識を向けた
「誰だ?」
「レフィーヤです。ベルが帰って来たらしいのでこちらにいるとオモッテ。ベルはいますカ?」
噂をすれば、扉の向こうから聞えたのはレフィーヤの声だった。
若干いつもと声音が違った気がするが、恨み辛みの一言でもあるのだろうとリヴェリアはレフィーヤの入室を許可した。
「ああ、ベルならいる。入って言いたいことを言えばいい」
「いるんでスネ?」
扉の向こうからする声。それに兎としての本能か、命の危機を敏感に察知したベルはリヴェリアに助けを求めようと
「あ、あのリヴェリアさん。なんだか様子が」
「ベル・クラネル!! 死になさい!! そして私も死にます!!!!」
扉を蹴破って侵入したレフィーヤに襲われた。
目を剥いて驚くベルとフィン含む幹部。そんな彼らを置き去りにレフィーヤは羞恥と怒気に顔を真っ赤に染めてベル目掛けて突っ込んだ。
突然のことに第一級冒険者ですら反応が遅れ、なんとか静止の声を上げたのは、
イノシシのように突撃したレフィーヤの、渾身の右ストレートがベルの腹部へ直撃した後だった。
呆然とするフィンたちを置いて、きりもり飛行するベルは壁に叩きつけられ、やりきったレフィーヤは満面の笑みで拳を掲げた。
リリの魔法はわかる人にはわかる……というかまんまプリヤのですねw
リリの背丈とスキルから連想したらこうなりました。
あと今後の展開的にね?
泥聖杯と戦ううえで戦力の増強は必須。というか出ないとキツイ……(ヴェルフにルルブ作ってもらおうかとも思いましたけどソレは自重しました)
次回はベルのステイタス更新を交えつつ、鍛冶師との遭遇です!
*余談ですが、リリの加入時のステイタスが見つけられなくて、主の独断と偏見で描きました。低すぎ(高すぎ)る。原作はこう! などありましたらコメントで教えてください