光の軌跡・閃の軌跡   作:raira

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7月26日 夏至祭

 翌朝、私達B班の様子を見にヴェスタ通りまで来たサラ教官に本日の予定を伝えられた。

 

 十時より皇族の御三方のパレードの経路の各所で交通規制が始まり、十二時にはバルフレイム宮より皇太子殿下を始めとする皇族の御三方が出発。皇太子殿下とアルフィン殿下は概ね十二時二十分にはそれぞれ大聖堂とマーテル公園に到着し、オリヴァルト殿下は十二時二十六分に帝都競馬場に到着する予定だ。

 

 十六時にまず皇太子殿下が一番早くヘイムダル大聖堂からバルフレイム宮への帰路に着かれ、十六時二十分に到着される。続いてアルフィン殿下が十七時に、オリヴァルト殿下は帝都競馬場の最後のレースまで観戦されるので競馬場を離れられるのは十八時半を過ぎる予定だ。その後、お三方共に宮中晩餐会へ御出席されるが、これは皇宮内部で行われるので私達が警備に参加することはない。

 

 つまり、その時間まで何事も無ければ少なくとも皇族の方々の身の安全は確保出来るという事だろう。私達Ⅶ組の警備活動への参加も、オリヴァルト殿下が無事にバルフレイム宮に到着し次第終了し、再び昨晩と同じ様に鉄道憲兵隊の司令所があるヘイムダル中央駅に集合する様にとの指示だ。

 

 今日一日の一通りの話を手短に説明するだけ説明して、直ぐにサラ教官は足早に戻ってしまった。だが、それも仕方無いのだろう。今日の教官はいつもとは少し違う雰囲気を纏っており、話を聞いている間、何度も私の脳裏には昨晩のクレア大尉の言葉が過った。ちなみに、教官は今日は鉄道憲兵隊の司令所に詰めて、私達と鉄道憲兵隊の連絡役となる。つまり私達の直接の司令官でもあるのだ。

 

 

 宿泊場所を出た私達は班を二組に分けて、まずは帝都における私達のホームとでも言うべきヴェスタ通りを巡回を開始した。

 ヴェスタ通りは今日のパレードでサンクト地区のヘイムダル大聖堂に向かう皇太子殿下の通るルートとなっており、私達としても重点的に警戒と聞き込みをすべき地区でもある。勿論、繁華街ということもあってパレードでは多くの市民が集まることが予想され、朝早くなのにも拘らず多くの帝都憲兵の姿も見受けられた。

 

 私とガイウスの二人組は、ヴェスタ通りのメインストリートの西側に並ぶお店に何度か聞き込みに入りながら歩いているが、今の所あまりこれといった証言も無く、成果は芳しくは無かった。

 

 通りに連なる建物や導力灯は見事に華やかな飾り付けが施され、通りを行き交う市民も今日一日を楽しむ気満々といった感じ。街の中のあらゆる事柄が、夏至祭の初日という帝都最大の行事を遂に迎えた事を私に感じさせる。

 

 何も知らなければ私も彼らの様に無邪気にお祭り気分だったかもしれない。しかし、見えざる脅威を知ってしまった後では、逆にそうなっていたらと思うのが恐ろしかった。

 なぜなら、彼らは”何も知らない”のだから。

 

 昨晩の話の中では、テロリストの攻撃でよく用いいられる手段についての簡単な説明を受けた。その話を聞いた私は、こうして通りを歩いているだけでもどうしても神経質になってしまう。

 

 例えば――街中のごみ箱。テロでは爆弾の設置場所として多用される事が多いらしく、今日の巡回でも不審物が入れられていないか念入りにチェックする項目の一つだ。サンクト地区やマーテル公園といった街区では、爆弾テロを未然に防ぐ観点から、ごみ箱自体を夏至祭期間中は使用不可にしている。

 次に、路肩に停められた導力車。近年、導力車の普及が進むのと併せて事例が増えてきたのは、導力車に爆弾を仕掛けるという犯行。カモフラージュと導力エンジンの暴発を利用して大きな被害与える二つの目的を兼ねた方法だ。三十年程前にカルバード共和国で初事例があって以来、帝国を含む各国で確認されている。

 最後に、人。私が素人だからかも知れないが、怪しく見える人は多い。彼らが全員テロリストという事はまず無いのだろうけど、見れば見るほどどんどん怪しく思ってしまうのだ。真夏なのにコートを着込んでいる人、常にポケットの中に手を突っ込んでいる人――テロリストといっても所詮は私達と同じ様に感情を持つ人間、対策としては主に彼らが無意識下で出してしまう仕草がサインとなるらしい。

 

 つい昨晩にクレア大尉とそういうのに精通しているサラ教官やフィーに教えこまれた私の即席の”対テロ”目線でも、今歩いているヴェスタ通りにも危険な可能性が沢山潜んでいるのは分かる。

 それが私の中に生まれた不安を掻き立てる。本当にテロは防げるのだろうか、テロリストは逮捕出来るのだろうか?

 

 

「気になる事ねぇ……」

「どんな些細な事でも構わないのだが、何か気付いたことは無いだろうか?」

 

 腕を組みながら、うーん、と唸る若い露天商にガイウスが訊ねる。

 しかし、「ここらは繁華街だし、元々治安が良いとは言えない部分もあるからなぁ……」とあまり良い受け答えはしてくれない。

 

「怪しい人を見たとか無いですか?なんでもいいんです」

 

 再び唸り始める露天商に、時間の無駄さを感じて私は苛立つ。しかし、この若いアクセ売りの男は特別実習初日に宿泊場所が分からずこの街を右往左往していた私達に声を掛けてくれて、住所が元遊撃士協会帝都西部支部のあった建物であることを教えてくれた、ある意味超が付く程の恩人でもあるのだ。

 その恩を考えれば、この少々不真面目な態度も黙って許すしか無い。それに、彼は私達と違ってやはり”知らない”のだ。

 

「――ああ、昨夜大通りを歩いている奴らはいたなぁ。酔っ払いにしちゃあ、足取りはまともだったし……コソコソしてるもんだから、最初は盗みでもしたのかと思いきや、そんな様子もないしな。店も閉まってんのにやたらめったらキョロキョロしていたな」

「彼らは――」

「そいつらは、どこに向かってました!?」

 

 彼の証言に思わず私の声が大きくなる。

 

「北だよ」

 

 彼の腕が指す方向に、《帝都の白い塔》と呼ばれるヘイムダル大聖堂の尖塔を見た時、背筋が冷えた。

 

 遂に私達は触れた。見えない敵の尻尾に、やはり帝都に居るのだ。この夏至祭の初日を狙い卑劣な攻撃を仕掛けようとしているテロリストが。

 

「それにしてもお前達、昔のギルドの建物に来て似たような事してると思ってたら、今度は憲兵の真似事かよ?」

「これも実習の活動内なので」

「軍の士官学校つーのはそんな事までやらされるのかよ。まぁエリート様なのにご苦労なこった」

「ちょっと――!」

「エレナ」

 

 露店商の言葉にカチンと来て言い返そうとした時、ガイウスが私の名前を口にした。

 わかる、もうわかる。ガイウスの目を見なくても分かる。大して相手に悪気が無いことも分かりきったこと。私は自分の事をそうだとは余り思わないけど、士官学院に通っているというだけで周りからはエリートだと見なされるのはいつもの話だ。

 そんないつもの事に腹を立てるなんて、私は冷静さを失っていた。

 

 それに気付かせてくれたガイウスに感謝すると共に、テロを意識することからの精神的圧力が想像以上に自分を焦らせている事を知って失望した。

 

「エレナ、オレが連絡して来よう」

「うん、ガイウス……アリサ達によろしく」

 

 ああ、と小さく頷き、ガイウスは彼に聞かれないようにこの場から離れる。アリサ達に《ARCUS》で連絡を取るにしても、今回のテロ対策は公になっていない機密であり、その情報を一般市民の目の前で話す訳にはいかないのだ。

 

「とりあえず……ご協力ありがとうございました」

「こっちも悪かったよ。ついでにどう?お詫びって言っちゃアレだけど、まけるよ」

 

 ほら、夏至祭だから、と露店に所狭しと並ぶアクセサリーを指差して薦めてくる露店主。それにしても、さっきのやり取りの後に売りつけるなんて流石に商魂逞し過ぎだろうと思いながらも、一度冷静な思考を取り戻すと私もそれなりに興味はある物なので、机の上に置かれた品物に一通り目を走らせる。ブレスレットにネックレス、ピアス、指輪、その種類は豊富だ。値段はとても手頃というかアクセとしては非常に安く、値札が正しければまず純銀製ではないシルバーアクセサリーがなんでもござれという状態だ。

 

「夏至祭だと何かあるんですか?」

「夏至祭には贈り物、常識だろ?日頃からお世話になった人に贈るのさ。それに君、首がちょっと寂しいよね」

 

 へぇ、帝都にはそんな習慣があるんだ。

 そんな新しい発見に驚きながら、商売人特有の笑みを浮かべてネックレスを薦めてくる露天商に思わず苦笑いする。私が首に何にも付けてないからって、私と私が誰かに贈る分を買わせようとする魂胆だ。ちなみに腕にはリストバンドがあるから、ピアスに関しても付けてないし耳に跡も付いていないから薦めない、指輪は色んな意味で多分アウト。露天商の思考はこんな所だろうか。

 どうやって断ろうかと考えてチラッとガイウスの方を見るも、彼はまだ少し離れた建物の影で《ARCUS》を使って通信中である。

 そんな私を見て悩んでるのと勘違いしたのか、露天商は私に一つ小さな音符を象ったペンダントを手に取って見せた。

 

 まぁ、ちょっと可愛いけど――そこで、私は机の上に同じ大きさの違う種類のペンダント、その中に楽器類を象った物もいくつか並んでいる事に気付いた。

 

 

 ・・・

 

 

 午前十時――ヴェスタ通りで目撃された不審な人影は、アリサ達の方の聞き込みでも目撃情報があった為、ほぼ確定的な情報となってサラ教官に伝えられた。その時に受けた教官からの指示で私達は巡回のルートを変更して、彼らの目撃情報を追って北へと向かったのだが、サンクト地区に入った所でぴったりと彼らの足取りが掴めなくなってしまったのだ。

 その原因を私達は当初、ヴェスタ通りとサンクト地区の街区としての性格の違いだと考えていた。夜遅くまで人の目の有る繁華街のヴェスタ通りと違って、サンクト地区はどちらかと言えば高級住宅街、深夜の人通りは非常に少ないのは間違ってはいない。

 しかし、皇太子殿下がご出席されるミサの会場となるヘイムダル大聖堂の所在するこの街区は昨夜も厳重な警備が敷かれていた筈なのだ。それにも拘らずサラ教官から先程伝えられたのは、サンクト地区で警備に当っていた帝都憲兵隊は一切把握していないという知らせだった。

 

 つまり、私達の目撃情報は暗礁に乗り上げてしまっていた。

 腑に落ちる訳もないし彼らがどこへ消えたのかは気になるが、それをずっと引き摺る訳にはいかない。予定を変更して先にサンクト地区に来てしまっているが、巡回は続けなくてはいけないのだ。

 

 

「リベール大使館ね。少なくともテロの目標にはならなそうだけど」

「だが、警備は思っていたより厳重になっている様だ」

 

 アリサの考えとは裏腹にガイウスの言う通り、素人目にも警備は厳重だった。

 昨日の朝に訪れた時には居なかった筈の帝都憲兵が数人、大使館の門構えに衛兵として立っており、敷地周りを警備する歩哨も見受けられる。そればかりか、この辺の道路を巡回する兵士の異様な多さに驚きそうになる。

 

「このニブロック先の敷地にカルバード共和国大使館があるみたいですね。多分、そちらの警備も兼ねてるのでしょう」

 

 私達の疑問に答えたのは帝都の地図を手にしたエマだった。

 

「なるほど……共和国の大使館か。ある意味では最重要施設の一つといっても過言では無いな」

「確かにそうね……」

 

 ユーシスとアリサの言う通りだった。

 ここ数年は以前より緩和しつつあるとはいえ、帝国とカルバード共和国との間には依然緊張関係が続いている事には変わりはない。それは大陸西部の二大国としては避けることの出来ない必然的な関係であり、古くは革命で共和国が成立する以前の王政時代から一貫して歴史的に両国は対立し続けていた。

 

 そんな中で、仮に帝国国内、それも帝都の共和国大使館がテロの標的となった場合に帝国政府が被る外交的損害は計り知れない。受け入れ国が責任をもって保護しなくてはならない在外公館が被害を受けたとなれば帝国は諸外国から非難されて当然であり、対外的な面子を著しく損なう事となるのは想像するに容易い。

 先月A班が解決に尽力したというノルド高原の武力衝突危機の一件も記憶に新しく、帝国としてはあれで共和国に負い目もある以上、警戒をするのは道理とも言える。

 

「来月にはクロスベルでの通商会議も控えているからな。国内問題である筈のテロが共和国を巻き込んで国際問題化するのは避けなくてはならん事だ」

 

 ユーシス、難しい。

 ノルドの件までは私でも何となく結び付けれたけど、そんな難しい事柄まで引っ張って来れるのはやはりユーシスの凄さだと思う。まぁ、そこに付いて行けるのがエマやアリサの凄い所。ガイウスの凄い所は質問をして知識を取り込みながら、更に話題を飛躍させていく所。私は、正直聞いているだけで少し分からなくなってくるし、分からない事は自然と興味も薄れてくる。

 

 その話題が一段落した頃、何やら大使館前に警備の帝都憲兵達が慌ただしく集まっている事に私達は気付いた。

 その理由が直ぐに分かったのは、リムジンタイプの導力車が大使館の前に止まったり、その門構えから何やら貴族っぽい豪華な衣服に身を包んだ太った男と老執事のが導力車に乗り込んだからである。

 

「あの人は……」

「身なりは貴族っぽかったけど……」

「ふむ……?」

「ユーシス?」

 

 この場に貴族の事が分かるのはユーシスしか居ない。そんな事を期待して彼の名前を呼ぶと、少しの間を置いてから彼は皆の期待に応えた。

 

「帝国貴族ではないだろう。大方リベール王室に属する王族――今晩の宮中晩餐会の賓客の一人だな」

 

 激しくイメージの違うリベールの王族に、何とも言えない思いを抱きながら私はその場を離れる事となった。

 

 

 鉄道憲兵隊の灰色の軍服に身を包んだ兵士達によって完全に封鎖された大聖堂を横目に通り過ぎながら、変更された新しい予定通りに私達は次にヴァンクール大通り方面へと場所を移す為に導力トラムの停留所へと向かっていた。

 サンクト地区の厳重な警備体制に穴が無いことは最早、巡回する憲兵の人数で分かる。昨夜のクレア大尉の話の通りに、皇位継承権第一位の皇太子殿下が訪れるということだけあって大聖堂近辺の警備には最も人員が割かれているのだ。だけど、残念ながら不審な人物やそれに関連する証言は全く無い。

 

 収穫の無さに気落ちする以上に再び焦りを感じながら歩いていた私は、すぐ前の導力トラムの停留所に見覚えのある後ろ姿を見つけた。

 

「あれ、クロウ先輩?」

「よー、今度はお前らか」

 

 いつも通りの気楽そうな銀髪バンダナ先輩の声がちょっと懐かしい。何日ぶりだっけ。今ならお酒が入ってなくてもアンゼリカ先輩にも素直になれそうだ。

「今度は?」と怪訝そうに聞き返したアリサに、先輩はヴァンクール大通りのデパートでA班と会ったことを話していた。

 

「あー、リィン達とあったんですね。でも、なんてサンクト地区に?」

「クク、そりゃ、決まっているだろ。夏至賞のレースの結果を女神に祈りに来たんだよ。そんでもって今から生観戦に帝都競馬場に行くってとこだ」

 

 どこから突っ込めば良いのだろうか。夏至賞、競馬の事?それの結果を女神に祈りに来た事?それとも、女神は女神でもサンクト地区の大聖堂まで来た事?

 

「先輩……馬券買うのって二十歳以下は禁止されてる筈ですよね?」

「ばーか、馬券なんか買うかよ。雑誌の懸賞だっつーの」

 

 僅差で競馬の結果を女神様に祈りに来た事より先にこっちを突っ込む事を選んだ私に、少しクシャクシャになった雑誌の切れ端をホレホレと見せ付けてくるクロウ先輩。でも、ちょっと信用ならないのがこのバンダナ先輩なのだけど。

 

「それにしても、なんてバチ当たりなのかしら……」

「え、ええ……そうですね……」

「賭け事を女神に祈るとは……」

「フン……救い様がないな」

 

 案の定、みんなの反応もボロクソである。

 

「でも、大聖堂は鉄道憲兵隊の厳重な警備体制が敷かれて、今は関係者以外は立入禁止ですよね?」

「ああ。中には入れなかったが、遠くからしっかりと女神の姿は拝めさせて貰ったぜ」

 

 そして、これから競馬場に行くっていうのだから、こんな時にまで本当に逞しいというか!っていうか、女神の姿を見たらダメじゃない!

 学院で話す時と相変わらずノリが変わらないクロウ先輩に、私は思わず魂や気合なんかが一気に抜けてしまいそうな大きな溜息が出てしまう。そして、次に私の口から出たのは完全な憎まれ口。

 

「ぶっちゃけ、先輩に必要なのは女神の前での祈りじゃなくて、日頃の行いへの懺悔だと思いますけど」

「くぉのぉ、言うじゃねーか。ゼリカの野郎と帝都で一晩遊び呆けた不良娘が――」

「そ、それはもう反省しました!大体、今日もサボって遊びに来てる先輩には言われたくないですよーだ!」

「おいおい、何言ってくれてんだ?」

「え、違うの?」

 

 みんなを振り返った私に、エマがなにか思い出した様に「あ……そういえば……」と呟く。

 

「夏至祭期間中は士官学院も休み――結構、遊びに来てる奴らは見かけるぜ。さっきなんて、そこでトマス教官に会ったしなー」

「な、何ニヤニヤ勝ち誇ってるんですか。偶々サボってなかったからって……いつもサボってる事には変わり無いじゃないですか」

「お、悔しいか?悔しいか?」

 

 このとても癪に障る言い方!悔しいいいっ!

 ニヤニヤ笑う先輩を見て、私は歯を食いしばった。いや、本当は逆にこの銀髪バンダナに歯を食いしばらせて、右ストレートを一発いきたい位。

 

「全く……煩いぞ。下らん話はその辺にしておけ」

 

 結局、ユーシス様の一言で私とクロウ先輩の自分達からしてもあんまり実りがない低レベルなやり取りに終止符が打たれた。

 いつも通りといえば本当にいつも通りのやり取りだったが、どうしてか私は昨晩から今まで焦っていた心が落ち着いたような気がした。

 

 もしかしたらクロウ先輩は、焦ってあんまり余裕が無さそうな私に気付いていたのかも知れない。だから、いつも通りのバカなやり取りをする事で私の気を楽にしてくれたのかも。もっとも、それを肯定する要素は、先輩がずっと私ばかりと話していたからという事だけなのだけど。

 

「おう、精々頑張れよー」

 

 私達の乗る西回りの導力トラムが来てしまった別れ際に、先輩はそう言ってくれた。

 勿論、先輩は私達が今いつもの特別実習ではなくて、この夏至祭を攻撃するテロへの警備に従事していることなんて知る訳がない。それでも、応援してくれている人がいるって思うだけで頑張れる気がした。

 

 その言葉が、ちょっと嬉しかったのは内緒だ。

 

 

 ・・・

 

 

 十ニ時――ヘイムダルの鐘が鳴ると共に大聖堂前の道路周辺に集まる市民が騒がしくなった。丁度今、この鐘と共にバルフレイム宮を皇族の方々が出発したからだろう。セドリック皇太子殿下が大聖堂に到着するのは二十分後の予定である。

 

 一通りの巡回を終えた私達B班は『オリヴァルト殿下には凄腕の護衛がいるから大丈夫』というサラ教官の指示通り、ヘイムダル大聖堂で皇太子殿下の到着を確認することとなった。帝都競馬場には皇太子殿下の到着を確認した後で再び向かう予定である。

 

 現地は鉄道憲兵隊と帝都憲兵隊の厳重な警備体制下でヘイムダル大聖堂の敷地内は完全に封鎖されているものの、大聖堂前の道路周辺には物凄い数の人集りができていた。

 私達は兵士達による壁近くまで寄って集まった市民の中で、逆に目を光らせるのが役目。

 

 最初は、小さな歓声。それがどんどんと大きくなり、「皇太子殿下万歳」や「帝国万歳」と皇太子殿下と帝国を称える声が聞こえ始めた。

 私はその時、やっと気付いたのだ。”歓声が大きくなっている”、のではなくて、”大きな歓声が近づいてきている”ことに。

 

 皇太子殿下の紅色のリムジンが私からも見えた時、それは更に大きくなる。

 そして、その瞬間は来た。私も皆も、警備の兵士達が固唾を呑んで待っていた瞬間――集まった市民達は今か今かと待ち望んでいた瞬間。

 

 皇室の紅いリムジンが停止し、ドアが開かれる――セドリック皇太子殿下がお姿が車から現れた瞬間、今までで聞いたことのない凄まじい音圧の歓声が爆発した

 

「うわぁぁ、皇太子殿下ー!!セドリック殿下ー!!」

 

 私も仕事も我も忘れて必死に叫んでいたのに気付かされたのは、「ええい、煩い!」と隣に居たユーシスが耳元で怒ったから。

 だけど、その次には私はもう一段階進んで歓喜することになった。

 

「ユーシス!ユーシス、皇太子殿下が手を振ってくれた!」

 

 リムジンから降りられた皇太子殿下が、小さく手を振られたのだ。それは集まった市民を意識してのもので、大聖堂のある方向以外の三方に向けられたものだけど、丁度最初にこちらに手を振ってくれた。

 

 そして、殿下は大聖堂までの緩やかな階段に敷かれた赤い絨毯に足を踏み入れられる。その赤い絨毯の両脇に沿うように、制服も一般のものとは異なり儀礼用と思われる物を着用した帝都憲兵が一列に儀仗していた。

 

 ゆっくりと赤い絨毯の敷かれた階段を一段一段登られ、大聖堂の白い双塔を目指す皇太子殿下。

 集まった群衆も鉄道憲兵隊の兵士達の壁に阻まれてその後姿しか見ることは出来ないが、歓声は一向に止むことを知らなかった。そればかりか、坂道を登り切った殿下が大聖堂の中へと消えてしまった後も尚続き、私を含めて市民達が落ち着きを取り戻したのは十分以上経った後であった。

 

 

 皇太子殿下は無事に大聖堂の中へ入られたのを確認した私達は、鉄道憲兵隊の兵士の許可を得て大聖堂の敷地内へと入り、そこで今後の行動を話し合いを行うこととなる。その途中、仕事を完全に忘れて集まった群衆の一人になっていた事をユーシスに怒られたり、皆に笑われたりたり。どうやら、私は皇太子殿下に手を振って頂いた喜びをバンバンと音がなるぐらい、もう片方の手のひらでユーシスの背中にぶつけていたらしい。そういえば、歓声の中でユーシスが何やら騒いでいる、というか怒っていたような気もする。

 

 結局、《ARCUS》の導力通信でサラ教官も交えた話し合いの結果、今後の方針として再び班を二つに分けることが決定した。

 このままミサが終わる迄大聖堂の警備に協力し、敷地内で警戒する二人。そしてオリヴァルト殿下が向かわれた帝都競馬場へ向かう三人。

 

 大聖堂の警備は鉄道憲兵隊の主導で周囲100アージュ以内に1000人、サンクト地区内には3000人を超える人員が割かれている程厳重な為、あくまで私達の出来る事は限られており、どちらかと言えば鉄道憲兵隊に協力する警備要員となるだろう。勿論、それも重要である。しかし、A班と違って私達の担当する帝都西部には、オリヴァルト皇子殿下のおられる帝都競馬場というもう一つ重要な場所があるのだ。

 

 朝と同じ様にエマのタロットカードを利用した即興クジでグループ分けをすることとなるのだが、さっきの件のせいで少々気不味いユーシスと一緒になる可能性のあるクジは少々気乗りがしなかったのだが、結果は案の定。

 大聖堂の女神様が私に試練をお与えになられた後に、最近教会に行っていなかった事を悔やんだ。まぁ、それは抜きに確かに嫌な予感というのはよく当たるものである。

 

 私はユーシスとガイウスと共に帝都競馬場へと向かうことになり、ユーシスに頭を下げて二度目の謝罪をすることとなるのだった。

 

 

 

 ・・・

 

 

 帝都競馬場――帝都南西部のズュートヴェステン地区の東端に所在する、帝国競馬の聖地と言われているらしいかなり大規模な競馬場だ。近くには帝都守備隊である正規軍第一機甲師団の駐屯する市街地内唯一の軍事基地も所在しているが、現状は機甲師団に所属している一般の正規軍兵士が警備に加わっている様子は無い。

 

 入り口で警備に当っていた帝都憲兵に事情を説明して場内に入った私達は、すぐに競馬場内部の巡回を行うものの特に不審な点にを見つけることは出来なかった。

 襲撃される可能性も考えられた帝国最高峰の格付けを誇る夏至賞のメインレースも、結果こそ大番狂わせではあったものの無事に終了。ブラックプリンスという馬が優勝馬に輝いた。

 この後は夕方まで夏至祭に因んだサブレースが予定されている様である。

 

「特に問題は無い様に見えるな」

「ん……うん」

 

 串物のあらびきソーセージを口に咥えながら返事を返した私は、ガイウスに左手に持つもう二本を差し出た。

「いいのか?」と一言聞き、私が頷くと感謝の言葉を口にして丁寧に一本を抜き取って食べる彼を、さっきのぶっきらぼうなユーシスと比べて感心してしまう。この差は大きい。うん、かなり。

 

 彼の言葉通り、特に現時点では何も問題は発生していない。

 強いて言うなれば、大番狂わせとなった夏至賞のレースは終わった瞬間にスタンドの観客が違う意味で大歓声を超えて大混乱になり、私達は勿論のこと警備の兵士達の顔にも焦りが浮かんだ位だ。本当にその位だ。

 

「ユーシスはまだのようだな?」

「あ、お昼ご飯を買ってきてくれるって」

「そういえば昼は何も食べていなかったな」

 

 巡回を一番早く終えた私はお腹が減っていたので三人分のソーセージを買って、取り敢えずちょっと小腹を満たしながら、最初に決めた待ち合わせ場所であるここで二人を待っていた。そして、三人集まったらお昼ご飯の調達に行こうと思っていたのだ。そしたら、あのユーシスっていう奴は……。

 

「本当は私も買いに行こうと思ったんだけど、『歩きながら物を食べるような品の無い奴は俺の隣を歩くな』ってユーシスに怒られて」

「フフ……ユーシスも素直ではないからな」

「ね!それにしても言い方ってもんがあると思うけど!ってゆうか、食べてから行けばいいのに!ほんっと可愛くないんだからさー。私、結構さっきの事反省したのに」

 

 炙られたソーセージを一口頬張ってから微笑むガイウスに、私はユーシスへの不平不満をぶつくさ愚痴る。

 串物を食べながら歩くのは危ない、って素直に言えばいいのに。

 ていうか、私は元々三人集まったら行くつもりだったからこうやってソーセージを三人分買ってきてるのに、それを何勘違いしたのか自分だけで行っちゃってさ。

 

「まあ、それ以上に私としてはこの帝都でユーシスが一人でお買い物できるのかが心配――」

「お前に心配される筋合いは無い」

 

 不機嫌そうな声に顔を向けると、そこには沢山の紙袋を持ったユーシスがいた。

 どこの買い物帰りの奥様ですか。ユーシス様。

 

 

 ・・・

 

 

 四階建ての古風な赤煉瓦造りの競馬場本館のスタンドの観客席はほぼ満席。一万人を軽く超える観客はメインレースが終わっても殆ど減ってはいない。逆にあの大番狂わせで観客の興奮も冷めやらないのか、スタンドの最後列の通路から眺めれば一段と賑わっている気もする。もしかしたら、損を取り返すために自棄糞になっているのかもしれないけど。

 

 帝都競馬場は一階から二階が自由席の観覧席となっている。建物上は二階と表記されているが、観覧席のスタンドは傾斜している為、実際は二階から一階まで一緒くただ。

 建物の中で屋根付きの三階は主に指定席となっている。この階には馬主が集まる部屋なんかもあるらしいという話をユーシスから聞いた。

 四階は貴族や富裕層向けの貴賓席フロアでラウンジなんかも存在するらしい、今日はその一角の皇族専用のエリアで昨日晩餐会をご一緒したオリヴァルト皇子殿下がご観戦なさっており、そちらへ至る通路は全て鉄道憲兵隊の兵士達によって完全に警備されている。クレア大尉直筆の許可証も持っている私達は多分通れるとは思うのだけど、普通に考えてわざわざ近づく用事は無いだろう。

 

 ユーシスが買ってきたお昼ご飯は、名前だけは聞いた事ある帝都料理の定番でファーストフードの第一人者、フィッシュ・アンド・チップス。

 彼にしては嫌に庶民的なチョイスにかなり驚いたが、実際は本意ではなかった様で『これ以外の店が無かった』というのが理由のようだった。

 私も今まで食べた事は無かったのだけど、これが案外美味しかったりする。最初は手で食べるということに抵抗感があって、渋い顔をしながら仕方なさそーに私の買ってきたソーセージをちびちび食べてたユーシスも、なんだかんだ次第に慣れてきて手づかみに食べている。

 

 ちなみに、その時に私は思ったのだ。

 ユーシス、実は串物にかぶりついた事も無かったのでは、という疑惑を。

 

「帝都の料理はどれもこれも酷い味だと聞いていたが、”これは”それ程悪くはない」

「ふむ、この白身魚のフライは中々いい味をしているな」

 

 これは、に物凄く力が入っているユーシス。まあ、その理由は私もよく分かるのだけど。

 

 所謂、『帝都の料理は不味い』とは、よく地方出身者が言う有名な文句である。

 最近は帝都に本拠を持つ《革新派》を貶す意味合いでも用いられる事も増えており、実際に古くから正規軍は供される食料が非常に美味しく無いことで有名だ。

 まあでも、こればかりは擁護する事は出来ないと私は思う。実際に帝都の料理は不味いのだから。ただ、そこにはやむを得ない、悲しい歴史的な事情があるのだ。

 

 帝国で最も沢山の人口を抱える帝都は、同時に帝国で最も平民の多い都市である。その為、食糧事情が逼迫していた中世期には充分な食料が市民に行き渡らず、度々食料難に見舞われる事も多かったのだという。新鮮な食材が手に入らない事から始まった過度に火を入れるという調理法は、庶民の間でいつの間にか伝統として根付いてしまい、そんな中で育った食文化はレパートリーも調理法も非常に貧弱なのだ。

 

 勿論、現在では食糧事情は完全に解決されているので帝都でも新鮮な食材は充分に手に入る。しかし、何百年も帝都の庶民に根付いた調理法が今更変わる訳も無く、やっぱり地元料理の大多数は不味いままなのだ。結局、帝都で美味しい料理を食べる為には、それなりにいいお値段がする地方部や外国から取り入れられた料理出すレストランに入るしかない。

 

「一昨日の晩ご飯は確かに微妙だったよね」

 

 特別実習初日、ヴェスタ通りの大衆食堂的な場所で晩ご飯を食べた時の事を思い出す。多分、ユーシスもガイウスも同じ事を考えていたのだろう。すぐに隣から「アレが微妙で済むか」と、飛んできたし、ガイウスも珍しく苦笑いを浮かべている。まったく、私はオブラートに包んで言ったっていうのに。

 

 あの噛み切れないカチカチのローストビーフや半分焦げてお皿から溢れそうな程のグリーンピースは、私だって嫌だったよ!そりゃあ、貴族様が『《革新派》によって古き良き帝国が壊されたおぞましき未来は、彼らのディナーを見れば分かる』なんて見出しの本を出す訳だ。

 

 あんまりマキアスやエリオット君の前では言えないけど、私はちょっと帝都で暮らせる自信が無い。後三日ある帝都の特別実習の事を考えると、このフィッシュ・アンド・チップスという素朴な料理がそれなりに美味しかったのは唯一の救いだった。

 

「夏至賞か。こんな時でなければ、観戦するのも悪くないのだが」

 

 先程まで勢い良く馬達が駆けていた芝のコース視線に顔を向けたユーシスがそう呟く。

 

「そういえば、ユーシス。馬術部の部員は来ていたりしないのか?」

「ああ、皆で観戦に来ている筈だ。あくまで観戦のみだが、夏至賞は特別だからな」

 

 馬術部というと貴族生徒の二年生のランベルト先輩とⅤ組のポーラさんだっけ。なんとなく、おぼろげにユーシスと共に馬を走らせていた姿を思い出す。もっともポーラさんはまだまだ一人前とは言えない様子だったけど。

 

「帝国各地の競馬場で活躍した実績を持つ競走馬が集まっていたのだったな。見た限りではどうやらノルドの血を引いている馬も多い様だ」

 

 ガイウスの言葉に頷いて肯定したユーシスは、クロイツェン州育ちの馬も走っていた事を話題にする。どうやらアルバレア家と取引のある馬具メーカーが馬主をしている馬のようで、それがノルド産の馬で、とても良い馬で――まったく、馬の事になると楽しそうに次から次へと話すんだから。

 

 ユーシスも、結構変わったと思う。

 

 馬の話に夢中な二人を横目に私は、一万人以上を収容するこの観戦席のスタンドを俯瞰する。

 

 そういえば、クロウ先輩も帝都競馬場で生観戦するって言ってたっけ……。

 

 ってことは、この観客席のスタンドの中にあの銀髪バンダナもいるのだろうか。まあ……あの大番狂わせは流石に予想してそうにないから、ちょっとご愁傷様だけど。十中八九馬券も買ってると私は疑ってるので、『馬券は買ってないんだから損はしなかった』というていで、誂われたお返しにとことん弄ってやろうと心に決めた。

 あと三時間と少しだが、私も頑張ろう。この夏至祭を守りきろう。これはさっきの言葉のお返しだ。

 

 クロウ先輩、損して今頃ブルーかも知れませんけど――あなたの楽しむ夏至祭も私達が守りますよ。

 

 

「そろそろ三時か。第四レースの開始時間だな」

 

 そんなガイウスの言葉とともに巡回を再開した私達三人。

 先程と同じ割り振りで、私が建物内、ユーシスが広いスタンドの観戦席をコース側から、ガイウスが反対の通路側から。前の巡回で一番早く終わった私は、自分の巡回の前にお昼ご飯のゴミを捨てに行くのを申し出たのだけど、その途中で結構後悔していた。

 なぜなら、不審物が入れられる危険の有る為、場内のごみ箱の殆どが閉鎖されているのだ。その所為で、不便な事に私は競馬場の入り口ゲート近くにある憲兵隊の兵士の目が近いごみ箱に向かわなくてはいけなかったのだ。こんなに面倒くさいなんて、道理で至る所にごみがポイ捨てされている訳である。

 

 ゴミを捨てたついでに警備の帝都憲兵の兵士に労いの言葉をかけて現在の状況を一通り訊ねると、サンクト地区でもそうだった様に向こうにも私達の話は伝わっているので割りかし好意的に色々な事を教えてくれた。サラ教官の言っていた通り、オリヴァルト殿下に凄腕の護衛がいる関係もあるのか、競馬場には警備も大聖堂程の人員は割かれていないようで、ここの警備は主に帝都憲兵隊が担っているらしい。

 まあそれでも周囲含めて数百人体制らしいし何の問題も無いだろうが。

 

 本当にテロは起きるのだろうか――昨夜や朝の緊張感が薄れていくのを感じた。

 いやいや、そう思っていたらダメなんだ。起きると本当に思っていないと警備にならない。

 

 そう自分に言い聞かせて二階へと足を向けて時、威勢の良い軍楽隊のファンファーレが鳴り響き、物凄く大きな歓声が壁伝いに響いた。

 

 慌てて私は階段を駆け上がり、三階へと続く階段を目指してスタンドの一番後ろの走る。その途中、運の悪い事に丁度反対側から歩いてきたユーシスと出くわした。既にファンファーレは終わり、レースの開始を伝える場内放送が始まっている。

 

「まだこんな所にいるのか。もうレースが始まるぞ」

 

 ユーシスの人を小馬鹿にした呆れた顔に文句を言ってやろうとした時、ただでさえ大きかった歓声が更に盛り上がったのに私は競馬場のコースに思わず顔を向けた。私の視界の端から勢い良く馬達が駆け出してゆく――その時、芝で覆われていたコースの真ん中から眩い光が溢れた。

 

 次の瞬間、衝撃波と共に爆音が私の鼓膜を突き刺した。




こんばんは、rairaです。
やっと閃の軌跡Ⅱをクリアしました。終章のEDを見てからの外伝はすぐ終わると思っていましたし、やる気もちょっと削げ気味だったので後回しにしていたんでのですが…結構な量がありましたね。
某所では本当に迷いまくった後の、ラスダンはキツかったです。苦笑
それはそうと、この作品の設定と致命的な矛盾もⅡ部分で発生することも無かったので問題無く進めていけそうな所に安堵しています。

さて、今回は第四章の特別実習の三日目のお話となります。
原作ではB班はセドリック君の方に居たような気も…と思いきや特別実習の最後でオリビエが「兄弟共々士官学院には足を向けて寝れない」なんて言っている事に今更ながら気付きました。
この作品ではエリゼ&アルフィン誘拐よりはマイルドな事件を西側でも起こす予定です。

予定では前話の後書き通り丸々一話二日目の深夜のお話があったのですが、諸事情にてカットして夏至祭初日を迎えています。

最後まで読んで頂きありがとうございました。楽しんで頂けましたら幸いです。

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