ハリー・ポッターと鷲寮の少女   作:有栖川八重

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密告者

 ノエルは、アンブリッジの取り巻きの何人かと図書室に入った。図書館の奥には息を切らして、今にも倒れそうなネビルが立っていた。

 

「ねえ、あのグリフィンドールのロングボトム、怪しくないかしら? 完全に息が切れているわ」

 

「違うわ。最近、ネビルはよく図書館で勉強しているの。でも、彼、あんまり勉強が得意じゃなくて、息が切れてしまうから一時間に一回くらいはこうやって奥で休んでいるのよ。それに、あなた達が追いかけてきてから相当時間が経っているわ。もう寮に帰ってしまったのじゃないかしら?」

 

 ノエルが言うと、取り巻き達は納得した表情で図書館から出ていって、ノエルは安心した。しかし、こんな適当なことを言われても納得してしまう様子を見て、魔法界の将来が少し、不安になった。

 

***

 ロンとハーマイオニーは『必要の部屋』からは遠く離れた階段にいた。

 

「よかったわ! 捕まっていないのね」

 

 ノエルは二人に言った。

 

「ハリーは無事かい? 最後までいたじゃないか」

 

「……いいえ。アンブリッジに捕まってしまったわ。それに『必要の部屋』もばれてしまったの。ハリーは校長室に連れていかれたわ」

 

「そんな! ハリー、大丈夫かしら……」

 

「それに、あの部屋には名簿もあるじゃないか! うわー、ママに何て言われるんだろう……」

 

「あ、その事なら大丈夫よ」

 

 ノエルはポケットからくしゃくしゃになった羊皮紙を取り出した。

 

「ごめんなさい。思い切りとったせいで画鋲が貼ってあった『ダンブルドア軍団』って書いてあるところだけ残ってしまってアンブリッジに見られてしまったの」

 

「よかったわ。……でも、アンブリッジ--というか魔法省の人たちなら『ダンブルドア軍団』というだけで、ダンブルドアが反魔法省の軍団を作っていると考えかねないわ……」

 

「ねえ、ノエル。君、密告者じゃないの?」

 

 ロンが言った。

 

「違うわよ。なんでそう考えるのかしら?」

 

「だってさ、君のお父さんはスリザリンだし、君自身スリザリンの連中との仲は悪くないだろ?」

 

「ええ、そうね。でも、それだけじゃ理由にならないわ」

 

「君さ、わざわざ『ダンブルドア軍団』の文字だけを残して破いたよね。そりゃそうだ、自分が入ってるってバレたら困るもんね」

 

 ロンが言うと、呆れたようにハーマイオニーがため息をついた。

 

「ロン、迷推理お疲れ様。でも、違うわよ。私、名簿を作ったときに言ったわよね? 裏切り者がいればエロイーズ・ミジョンのニキビでさえ、かわいいソバカスに見えてしまうような呪いをかけたって。

 ニキビもソバカスもないノエルよりもソバカスのあるあなたの方がよっぽど怪しいわ」

 

「あー、そうかい。ごめんよ、ノエル」

 

 ロンが謝った。

 

「いいのよ。今日のDAにはいつもと変化があった人はいなかったわよね? じゃあ、今日参加していない人かしら?」

 

「うーん、誰だっけ? チョウ・チャンは来てたっけ?」

 

「チョウはいつも通りハリーに熱い視線を送っていたわ」

 

 ハーマイオニーが言った。

 

「待って! マリエッタはいたかしら? マリエッタ・エッジコム! レイブンクローのチョウと仲が良い子よ!」

 

「うーん。僕は見ていない気がする」

 

「私もよ……。少なくとも名簿に書かれている彼女以外のメンバーは今日、見たような気がするわ」

 

「あの子、元々DAに乗り気ではなかったし、彼女のお母様は魔法省で働いてるアンブリッジに協力的なエッジコム夫人なのよ」

 

 ノエルが言うと、ロンは納得のいかなそうな顔をした。

 

「僕のパパだって魔法省で働いている! 君の両親もだ!」

 

「あなたのお父様はそんなにファッジに肩入れをしていないじゃない。……私は、反抗期よ。パパと私の洗濯物は一緒に洗いたくない年頃よ」

 

 ノエルが言った。すると、下から足音が聞こえてきた。

 

「ずっとここにいるのはあまり良くなさそうね。寮に戻りましょう」

 

 ハーマイオニーが言った。三人は寮に帰っていった。

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