ハリー・ポッターと鷲寮の少女   作:有栖川八重

12 / 37
双子の暴走

 ノエルは二人からもらった『ずる休みスナックボックス』を開けた。中には二つの袋が入っていて、一つは症状を出すとき、そしてもう一つは症状を止めるときに使うものだった。ノエルは一つを噛った。すると、体が重くなって熱が出たときと同じ症状になったのだ。ノエルは二人に感心しながら医務室に入った。

 

「すいません、熱があって……。少しここでおやすみしてもいいですか?」

 

 ノエルはマダム・ポンプリーに尋ねた。すると、マダム・ポンプリーはベッドに案内してくれた。そして、薬を渡して、安静にしているようにと言った。ノエルは薬の代わりにもう一つを食べて、症状を止めた。ベッドに入って少しすると大きな音がして、部屋の床が揺れた。大広間の方からは走り回る音や悲鳴が聞こえた。おそらくフレッドとジョージお手製の花火を爆発させたのだろ。アンブリッジとフィルチ、そして、尋問官親衛隊たちが花火と格闘している様子が声だけでわかった。

 

***

 その日の最後の授業はノエルの苦手な『呪文学』だったのでその時間から授業に参加した。すると、例の花火が教室に入ってきた。

 

「あぁ、どうしよう。花火を退治することは私でも出来るけどそんな権限があるかどうかわからない。校長先生を呼んできます。みなさんは『失神呪文』の練習をしていてください」

 

 フリットウィック先生はキーキー声で言った。すると、生徒たちは花火に向けて『失神呪文』を何回も使った。ノエルは今まで全く出来なかった『失神呪文』が出来るようになった。

 

 フリットウィック先生がアンブリッジを連れて戻ってきた時には教室中が花火だらけになっていた

 

「あなたたち、『失神』させようとしましたね? フリットウィック先生? なぜ、生徒にその事を言わなかったのですか?」

 

「この事は『呪文学』と一切関係のないことですから。校長先生、お願いします。さあ、授業に戻りますよ」

 

 その後、アンブリッジが花火と格闘しているのを眺めながら授業が続けられた。結局、アンブリッジは終業ベルが鳴る少し前までボロボロになりながら花火と格闘して、なんとか追い払うことに成功したようだった。ノエルはフリットウィック先生がにっこり笑って今にも噛みつきそうな表情のアンブリッジの鼻先で教室のドアをピシャリと閉めるのを見た。

 

「やあ、ノエル。僕たちの『ずる休みスナックボックス』はどうだったかい?」

 

「アンブリッジの様子じゃあ『ウィーズリーの暴れバンバン花火』も観れたようだ」

 

 うしろからフレッドとジョージがやって来た。

 

「ええ、素晴らしかったわ。あ、花火だわ。『ステューピファイ』。私、今までこの呪文使えなかったのに使えるようになったのよ」

 

「そりゃあいいや。『失神呪文』の練習に買わないかい? 『基本火遊びセット』が五ガリオンで『デラックス大爆発』が十ガリオンだ」

 

「考えとくわ」

 

「それから、イースター明けの午後五時頃に騒ぎを起こす予定だ。アンブリッジに巻き込まれたくないなら人気のない高い所にいるといいと思うぜ」

 

 フレッドが言った。

 

「出来れば玄関ホールが見える場所がいいな」

 

 ジョージが言った。そして、二人は行ってしまった。

 

***

 イースター明けの午後五時前、ノエルは一人でふくろう小屋で本を読みながら、玄関ホールの方を眺めていた。いきなり大きな音がなり、その音は何回も続いてなった。

 

「一体ノエルはどこに行ったのよ! あの子、一回も仕事をしていないわ」

 

 パンジー・パーキンソンが叫ぶ声が聞こえた。そして、フレッドとジョージが玄関ホールまで出てきて、その後、アンブリッジと尋問官親衛隊たちが玄関ホールに出てきた。そして、大勢の生徒がそれを取り囲んだ。フレッドとジョージの頭上ではピーブズがひょこひょこと浮いていた。

 

「それじゃ、あなたたちは学校の廊下を沼地に変えたら面白いとお考えなのね?」

 

「相当面白いね。あんたの顔くらい」

 

 フレッドが恐れる様子もなく言った。

 

「そうですか。なら、わたくしの学校で悪事を働けばどうなるかを思い知らせてあげましょう」

 

 アンブリッジが言った。

 

「それが、思い知らないんだ。ジョージ、俺たちは学生稼業を卒業しちまったようだな」

 

「あぁ、俺もそう思うよ」

 

 二人は同時に杖を上げて、同時に唱えた。

 

「アクシオ! 箒よ、来い!」

 

 フレッドとジョージの箒はとんでもない勢いで二人のもとに飛んできた。何人かの生徒は間一髪でかわしたようだった。

 

「またお会いすることもないでしょう」

 

「ああ、連絡もくださいますな」

 

 二人は箒にまたがった。

 

「さっき実演した『携帯沼地』のお求めは、ダイアゴン横丁九十三番地の『ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ』までお越しください」

 

「我々の商品をこのガマガエルババアを追い出すために使うと誓ってくれた生徒には特別割引をいたします」

 

「ガマガエルですって!? 二人を止めなさい!」

 

 アンブリッジは叫んだが、双子はもう空中にいた。そして、フレッドはピーブズに

 

「俺たちに代わってあのガマガエルをてこずらせてやれよ」

 

と言った。すると、なんとピーブズは帽子を脱ぎ、敬礼をしたのだ。二人はそのままふくろう小屋の前まで飛んできて、ノエルに手を振りながらホグワーツを後にしたのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。