ハリー・ポッターと鷲寮の少女   作:有栖川八重

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セストラル

「ポッター、何をしていたのか吐く気は無いのですね。わかりました。--『磔の呪い』なら舌も緩むでしょう」

 

 アンブリッジは落ち着かない様子で杖を取り出した。

 

「それは違法です! アンブリッジ先生!」

 

 ハーマイオニーが叫んだ。

 

「コーネリウスが気づかなければ問題ありません。夏に、私が吸魂鬼を差し向けたように」

 

 アンブリッジがすらすらと言った。

 

『クル……』

 

「やめて!」

 

 ハーマイオニーが叫んだ。

 

「白状しましょう! どうせ、この人はあなたから無理やり聞き出すわ!」

 

 ハーマイオニーは泣き出した。

 

「みんな、ごめんなさい……。でも、私、我慢できないわ」

 

 アンブリッジはハーマイオニーを自分の椅子に座らせ、

 

「さあ、教えなさい。ポッターは一体誰と連絡を取っていたの?」

 

と優しく聞いた。

 

「ハリーは、ダンブルドア先生と話そうとしていたんです。--あれが、--武器が完成したって」

 

 ハリーたちは耳を疑った。あのルーナでさえも驚いた顔をしていた。

 

「なら、武器の所へ案内しなさい。あなたと私と、ポッターで行きましょう」

 

 アンブリッジはハーマイオニーを立たせた。マルフォイが、

 

「誰か親衛隊の者が一緒に……」

 

と言った。

 

「私は魔法省の役人です。杖を持たない十代の子ども二人くらい一人で扱いきれます。あなたたちは他の連中が逃げないようにしていなさい」

 

 アンブリッジはそう言うと、ハリーとハーマイオニーを連れて、校長室から出ていった。

 

「私がこの人たちの杖を持っておくわ」

 

 ノエルが親衛隊のメンバーに言った。取り押さえるのに精一杯な彼らはノエルに、ハリー達から奪った杖を渡した。そして、全部の杖を回収したノエルは、校長室のドアの方まで行った。そして、笑顔で呪文を叫んだ。

 

『エクスペリアームス!』

 

 親衛隊たちの杖は持ち主の手から離れて宙を舞った。そして、それに驚いて捕まっていたロンやルーナたちを離してしまった。ノエルはそれぞれに杖を返した。親衛隊たちが自分の杖を拾い終わる前に、彼らはノエルたちにボコボコにされてしまった。ハリーに鍛えられた呪文が役に立ったのだ。

 

『ブラキアビンド』

 

 最後にノエルが唱えた。すると、親衛隊たちは縛り上げられた。

 

「私たち、よくやったわよね?」

 

 ノエルが言った。

 

「ええ、もちろんよ。……ところで、ネビルはどこから沸いて出てきたの?」

 

 ジニーが言った。

 

「ルーナが親衛隊に捕まりそうになっていて、助けようとしたらなぜか捕まったんだ。一体何がなんだか……」

 

 ネビルが言った。

 

「とりあえず、ハリーたちの所に行かないかい? 禁じられた森の方が騒がしい。きっと、そっちにいるんだ。ネビルは行くときに話すよ」

 

 ロンが言ったので、全員頷いて禁じられた森の方へ向かった。

 

***

「ハリーは名付け親のシリウス・ブラックと話したくてアンブリッジの部屋に侵入したんだ。でも、シリウスは神秘部で拷問されている」

 

 ロンが言った。

 

「え!? シリウス・ブラックだって! しかも、ハリーの名付け親? 僕が見たときは恐怖でしかなかったんだけどな……」

 

 ネビルは顔をしかめながら言った。

 

「若干ネビルのトラウマになってるみたいね……」

 

 ジニーが言った。

 

「大丈夫さ。シリウスは家に落ち着いてから、見違えるほどハンサムになったから」

 

 ロンが言った。

 

「そういう問題じゃないと思うのだけど……」

 

 ジニーは誰にも聞こえないように呟いた。

 

「あ、セストラルだ」

 

 ルーナが指を指して言った。そこには、いつも馬車を引いている生物がたくさんいた。

 

「ほんとだわ。ルーナ、あなたも見えるのね」

 

 ノエルが言った。ルーナは手を振りながら森のもっと奥へと進んでいった。すると、ハリーとハーマイオニーが見えた。

 

「ハリー! シリウスはどうだったんだ!?」

 

 ロンが聞いた。

 

「いない。やっぱり神秘部にいるんだ。一体どうやってロンドンに行けばいいんだろう」

 

 ハリーが答えた。

 

「それなら簡単よ。ほら」

 

 ルーナが今までで一番冷静な声でセストラルを指差した。

 

「ルーナ。そこには何も……」

 

 ハーマイオニーが言いかけた。

 

「それだ! セストラルに乗っていけばいいんだ」

 

 ハリーが言った。

 

「ロン、ハーマイオニー。急ごう」

 

「ちょっと待って。ハリー」

 

 ジニーが言った。

 

「私も行くわ」

 

「君はまだ……」

 

「だって、賢者の石をあなたが守った時よりも三つも上よ」

 

「それは、そうだけど……」

 

「DAは『例のあの人』と戦うためじゃなかったの?」

 

 ネビルが言った。

 

「そうだよ。もちろんだ」

 

 ハリーが言った。

 

「なら、私たちも行かないと。それに、DAじゃなくても私たち、もう友達でしょう? もし、あなたがそう思っていなくても、私はそう思っているんだから助けるわ」

 

 ノエルが言った。

 

「私も。……友達だもン」

 

 ルーナが言った。

 

「どちらにしろ、ここにはセストラルは三匹しかいない。全員は連れていけないよ!」

 

 ハリーが言った。四人はまだ、強い眼差しでハリーを見つめていた。すると、傷痕が強く疼いた。これ以上抗議している暇はないのだ。

 

「わかったよ。もう勝手にしてくれ。セストラルを用意できるのならね」

 

「来ると思うよ。だって、あんたたち、血まみれだもン」

 

 ルーナが言った。すると、ルーナが言った通り、大量のセストラルがやって来た。

 

「しかたがない。どれかを選んで乗ってくれ」

 

 ハリーが言った。

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