ハリー・ポッターと鷲寮の少女   作:有栖川八重

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「あの人」が恐れた唯一の人物

「お前が俺様の予言を壊したのだな」

 

 ヴォルデモートはひどく冷たい声で言った。ノエルは倒れそうになった。例のあの人がすぐそこにいるのだから。しかも、近くにいるハリーに杖を向けているのだ。

 

『アバダ ケダブラ!』

 

 ヴォルデモートが叫んだ。ノエルは見ていられずに目をつぶった。しかし、ノエルが聞いた音は人が倒れるよりも、もっと大きいものだった。恐る恐る目を開くと、ハリーとヴォルデモートの間に黄金の像が現れ、ハリーを護っていたのだ。

 

「ダンブルドアか?」

 

 ヴォルデモートが言った。ノエルは後ろを振り返った。すると、金色のゲートの前にダンブルドアが立っていた。そして、ダンブルドアとヴォルデモートの戦いが始まった。こんな高度な呪文をノエルは今まで見たことがなかった。ノエルはその決闘に目を奪われてしまっていた。そして、ヴォルデモートは負けを覚悟したのだろうか。逃げてしまった。すると、いきなりハリーはその場に倒れて額を押さえてもがき始めた。メガネは落ちてしまった。

 

「ハリー? どうしたの!?」

 

 ノエルはハリーを覗きこんだ。ダンブルドアがすぐそこに来た。ノエルはそこを退いた。ハリーはもう落ち着いていた。アトリウムには人が増えていた。

 

「あ! ベラトリックス・レストレンジが逃げた!」

 

 トンクスが叫んだ。

 

「ほんとだわ。ご主人様と一緒に逃げたのね。あら、ファッジまで。……やば、ハリー、透明マントを貸して」

 

 ノエルが顔を真っ青にしてハリーに言った。

 

「持ってないよ。なんで?」

 

「パパがいるのよ! ファッジのすぐ後ろ!」

 

 ノエルは後ろの方へ隠れた。マントの下にパジャマを来たファッジはダンブルドアを見て飛び上がった。ノエルの父のカルヴィン・ガーネットを含む何人かは杖をかまえた。

 

「ノエルか?」

 

 カルヴィンが驚いたような表情をした。ノエルは知らんぷりをした。

 

「あれほどハリー・ポッターだけとは関わるなと言ったというのに……」

 

「でも、例のあの人は復活したのよ。パパも見たでしょう? なんなら下の神秘部に何人か拘束されてるから尋問してはいかが?」

 

 ノエルがすましたように言った。

 

「ダンブルドア! それは本当なのか!?」

 

 ファッジが聞いた。

 

「もちろんじゃ。記憶力の優れたミス・ガーネットが言っておるのだから間違いはないじゃろう」

 

 ダンブルドアが答えた。ファッジはノエルを見たあと、カルヴィンを見た。

 

「ガーネットだと?」

 

「あ、私の娘でございます」

 

 カルヴィンが言った。

 

「そうか。ドーリッシュ! ウィリアムソン! ガーネット! 神秘部に行って確認してこい。--そして、ダンブルドア。お前は--君は何が起きたかを正確に話さねばならない」

 

 ファッジが言った。

 

「それは、ハリーとミス・ガーネットをホグワーツに戻してからじゃ。『ボータス』」

 

 ダンブルドアは壊れた像の頭部に杖を向け、唱えた。

 

「ダンブルドア! 君にそれを作る権利は……」

 

 ファッジが言った。ダンブルドアは毅然とした目でファッジを見つめた。

 

「君には三十分後に三十分だけ、わしの時間をやろう。さあ、二人ともこの移動キーに乗るがよい」

 

 ハリーとノエルは像の頭部に手をのせた。

 

「いち……に……さん」

 

 臍の裏側がぐっと引っ張られるような感覚がした。そして、たどり着いたのは、アンブリッジのいた時とはすっかり様子が変わった校長室だった。

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