ハリー・ポッターと鷲寮の少女   作:有栖川八重

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医務室にて

 ノエルはすぐに外に飛び出て、マダム・ポンフリーとマクゴナガルを連れてきた。そして、ロンを医務室に連れていった。マダム・ポンフリーはロンは大丈夫だろう、と言った。そして、一週間は入院していなくてはならないとつけ足した。ノエルとハリーは、ほっと胸を撫で下ろした。

 

「私、ジニーとハーマイオニーを探してくるわ」

 

 ノエルが医務室から出ていこうとした。

 

「僕も行く」

 

 ハリーもそれについてきた。

 

「さっき、気になったのだけど、今日のスラグホーン先生はいつもとハリーと接する態度が違ったわ。何かあったの?」

 

 ノエルが尋ねた。ハリーは返答に困った顔をした。そして、

 

「実は、ある人に先生に聞きたい重要なことを聞き出すように頼まれているんだ。でも、先生は知られたくないみたいんだ。昨日、聞こうとしてこうなったんだ」

 

と答えた。

 

「そうだったのね。どうしても聞かないといけないの? 私、真実薬なら調合できるわよ」

 

「教授だよ。さすがに薬を盛ったらばれるよ。第一、どうやってスラグホーンに盛ったものを食べさせるんだい?」

 

「そうだったわ……。--なら、あなたが薬を飲めばいいじゃない!」

 

「僕が? どういうこと?」

 

 ハリーが怪訝そうな顔をした。

 

「あなたがまだ、フェリックス・フェリックスを使っていないのなら、あなたがそれを飲んでスラグホーンに近づけばいいのよ」

 

「それはいい考えだと思う。最終的に行き詰まったら使ってみるよ」

 

「それがいいわ。あなたは他に使うべき場面が山のようにあるでしょうから……。あ、ルーナ! ハーマイオニーとジニーを見なかったかしら?」

 

 ルーナを見つけたノエルが声をかけた。

 

「ジニーならグリフィンドールの寮に戻っていった。さっきまで一緒にいたモン。ハーマイオニーは図書室の方にいってた気がする」

 

 ルーナはいつも通り、ボーッとした声で言った。

 

「ありがとう、ルーナ。僕はグリフィンドール寮を探してくる。ノエルは図書室の方を探してくれ!」

 

 ハリーはグリフィンドールの寮がある方に走り出した。

 

「わかったわ」

 

 ノエルも図書室の方へ向かった。

 

***

「ハーマイオニー! 探したわ! 実はロンが……」

 

「ロンが私を探しているって言うの? 私、話したくないわ」

 

 ハーマイオニーは怒ったような表情で言った。

 

「違うわ--。毒を盛られて……」

 

「毒ってどういうこと!?」

 

 ハーマイオニーの顔は真っ青になっていた。

 

「落ち着いて。ロンは今、医務室にいるわ。マダム・ポンフリーが大丈夫だろうって言っていたわ」

 

 ハーマイオニーはフラフラと立ち上がって、本をもとの場所に戻さずに、図書室から走って出ていった。

 

「待って! ハーマイオニー!」

 

 ノエルはハーマイオニーを追いかけた。ハーマイオニーがたどり着いたのはやっぱり医務室だった。ロンはまだ、目覚めておらず、フレッドジョージがいた。そして、同じタイミングでハリーとジニーがやって来た。ハーマイオニーは声も出さずに涙をこらえていた。

 

「なんでここにいるの?」

 

 ジニーが聞いた。大きな包みを持ったジョージがそれをロンの枕元に置きながら、

 

「こいつを待ち構えていたんだ。驚かしてやろうと思って」

 

と言った。

 

「ゾンコの店を買収しようとしていたんだ。いったい何が起こったんだ?」

 

 フレッドが言った。ハリーは何があったのかを説明した。

 

「君たちがいてよかったなぁ。あの太った先生は唖然としているだけだったんだろう?」

 

「本当に、あの部屋にベゾアール石があって助かったよ。もし、無かったら……」

 

 部屋は静かになった。ハーマイオニーの口から漏れる音だけが部屋でなった。

 

「なんで、そのグラスに毒が入ってたんだ? ロンのグラスにだけ毒があったのか?」

 

 フレッドが聞いた。

 

「わからない。だけど、グラスに毒を入れてる様子はなかった」

 

 ハリーが言った。

 

「そうね。そういえば、その瓶はダンブルドアに贈る予定だって言ってたわ」

 

 ノエルが言った。

 

「それじゃあ、スラグホーンはダンブルドアを殺そうとしていたけど、君たちに毒を盛ろうとしていたってことかい?」

 

 ジョージが言った。

 

「なぜ、スラグホーンがダンブルドアを殺す必要があるの? 彼は死喰い人ではないと思うわ。授業で袖を捲ったときに刺青らしきものはなかったもの」

 

 ノエルが言った。その時、いきなりドアが開き、ハグリッドがやって来た。

 

「アラグゴの容態が悪くて一日中森にいた! それで、さっきロンのことをスプラウト先生に聞いた!」

 

 ハグリッドは走ってきたようで、息を切らしながら言った。

 

「信じられねえ……。最初はケイティ、今度はロンだ。グリフィンドールのクィディッチ・チームに恨みを持つやつがいるんじゃねえのか?」

 

 ハグリッドは心配そうに言った。

 

「その話、この前したわ」

 

 ノエルが言った。ハグリッドが誰かわからないという表情をした。

 

「あ。私、ノエル・ガーネットです」

 

「ルイスの妹か? あいつは面白いやつだった。よく、授業で使わねえ魔法生物を見せてほしいってせがみに来てた」

 

 ハグリッドは懐かしそうな顔をした。

 

「そうね。だけど、どちらも殺したかった人物には届いていないわ。スラグホーンもケイティも知らないうちに誰かに毒とかネックレスを贈ろうとしていたのよ」

 

 ずっと黙っていたハーマイオニーが言った。

 

***

「同一犯なのかしら? だとしたら、誰かがダンブルドアを殺そうとしているってこと?」

 

 医務室を出て、歩いているとき、ノエルが言った。

 

「誰が犯人にせよ、子どもが襲われてる。そうなりゃあ、次の理事会じゃあ学校を永久閉鎖する話をするに決まっちょる」

 

「まさか。秘密の部屋の時だってそうはならなかったわ」

 

 ハーマイオニーが心配そうに言った。

 

「殺人未遂が立て続けにだ。ダンブルドアが立腹されるのも無理はねえ。あのスネ……」

 

 ハグリッドは口を止めた。

 

「ダンブルドアがスネイプに腹をたてた?」

 

 ハリーが素早く突っ込んだ。ハグリッドはギクリとした顔をした。その時、アーガス・フィルチが現れた。

 

「こんな時間にベッドを抜け出しとるな! 罰則だ!」

 

 フィルチはゼイゼイ声で言った。

 

「俺と一緒だ! 早く行け」

 

 ハグリッドが怒鳴った。そして、それから話すこともなくそれぞれの寮に戻った。

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