クィディッチの試合の前日の夕方だった。図書館にいた、ノエルはいきなり誰かに肩を叩かれた。振り返るとマクゴナガル先生が立っていた。マクゴナガル先生は廊下に来るようにと、首を廊下に向けた。
「探しましたよ。ミス・ガーネット。きっとここにいるだろうと思いました」
廊下に来るとマクゴナガル先生が口を開いた。
「この前の授業ですか? 私、相当酷かったですもんね。補習ですか?」
ノエルは嫌なことを思い出すかのように言った。
「いいえ。あの授業は難易度の高いものでしたので、他の生徒も同じような出来でした。なので!次回の授業で復習をします」
「それじゃあ、何のお話ですか?」
ノエルが不思議そうに聞いた。
「明日はクィディッチの試合だということは覚えていますね? その解説者についてです」
「ハッフルパフ対グリフィンドールですね。--ザカリアス・スミスが試合に出てしまうから解説者がいなくなってしまうんですね! でも、私はクィディッチはあまり詳しくありませんよ」
「いいえ。解説者は決まっています。--ミス・ラブグッドです」
マクゴナガル先生が言った。
「ラブグッド? ルーナですか!? まさか!」
ノエルは愕然とした。
「そうです。私も一緒に演台に立ちますが、私だけでどうにか出来るとは思えません。そこで、あなたも一緒に演台に立ちませんか?」
「わかりました。やります」
「よろしい。それならば、今日は早く寝た方がよいでしょう。ミス・ラブグッドは明日に備えて早く寝ると言っていましたから。それでは、明日」
マクゴナガル先生は廊下を歩いていってしまった。
***
「クアッフルを手にしているのはハッフルパフのスミスです。ジニーがスミスに向かって飛んでいきました。あら、スミスがクアッフルを落としてジニーが奪いました。前回の試合で失礼な態度をとったことを今頃後悔しているでしょうね」
ルーナは夢見心地の声で言った。そして、ハッフルパフからはブーイングが飛んだ。選手も観客もまさかルーナが解説を務めるとは思っていなかったらしく、演台を凝視した。
「今度は大きなハッフルパフの選手がジニーからクアッフルを奪いました。たしか、ビブルみたいな名前だったっけ」
「キャッドワラダーよ。全然違うわ」
ノエルが言った。マクゴナガル先生は頭を抱えだした。観衆は大笑いした。
「あら、グリフィンドールの大きなキーパーが怒鳴ってる……。ジニーを批判してるのかな? ハッフルパフが一点入れました」
ルーナはのどかに言った。
「マクラーゲンよ。覚える気あった? ハリーとマクラーゲンが口論しているわ」
ノエルが言った。
「これはスニッチを見つける役には立たないと思うけど、戦略なのかもね。--見て、あの雲、とても面白い形してる。西の方だよ」
ルーナは空を見上げながら言った。
「キャッドワラダーが入れました。これで、同点です」
ルーナは、点数に興味が無い様子で代わりにノエルが解説を始めた。
「ザカリアス・スミスはボールを一分以上持てていないよ。多分、『負け犬病』だと思うな」
「七十対四十、ハッフルパフのリード!」
マクゴナガル先生が叫んだ。
「もう、そんなに? ノエルは気づいてた?」
「当たり前よ……。あら? なんでマクラーゲンがビーターの棍棒を持ってるのかしら?」
そして、マクラーゲンがブラッジャーを打ち、運が悪くハリーにブラッジャーが直撃してしまった。ハリーはそのまま箒から落ちてしまった。観客たちはざわめいた。マクラーゲンは棍棒を持ったまま呆然と落ちていくハリーを見ていた。グリフィンドールの選手のクートとピークスがハリーを捕まえた。
「速く! 速くポッターを医務室へ!」
マクゴナガル先生が叫んだ。ハリーは何人かの先生に囲まれて医務室へと連れていかれた。マクゴナガル先生はとても心配そうに城の方を見ていたが演台から離れることは出来なかった。
「マクラーゲン! ゴールポストに戻るのです!」
マクゴナガル先生が怒鳴った。マクラーゲンはそろそろとゴールポストへ戻った。そこから先が最悪だった。マクラーゲンはほとんどゴールを止めることが出来ず、チェイサーもハリーがいなくなった後は二〇点しか入れられなかった。グリフィンドールにはシーカーがいなくなってしまったため、もちろんスニッチも取れなかった。最終スコアは三二〇対六〇だった。試合終了後、ジニーがマクラーゲンのことを蹴りながら退場するのが見えた。
***
次の月曜日の朝に、ハリーのお見舞いに行ったノエルとルーナは、もうすでに退院することの出来たハリーとロン、それとハーマイオニーに出会った。
「二人とも、退院おめでとう。さっき、ラベンダーが探していたわよ」
ロンが生返事をした。
「そうそう、これをあんたに渡すように頼まれてたんだ」
ルーナは羊皮紙を取り出してハリーに渡した。それから、朝食に向かった。
ラベンダーは一応ロンの隣に座っていたが話すことはせず、ハーマイオニーは何度か笑みをレイブンクローのテーブルに向けてきた。
「ハーマイオニーは、もう元気みたい」
ルーナが言った。