ハリー・ポッターと鷲寮の少女   作:有栖川八重

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喜ぶマルフォイ

「ルーナ。ルーナ。……やっぱりここには居ないのかしら?」

 

 ノエルは、いつまでたっても寮に戻ってこないルーナを探していた。

 

(もう遅いし、寮に戻ってるのかしら? 一度戻ってみた方がいいわね)

 

 ノエルは腕時計を見ながら歩いた。すると、誰かにぶつかって、しりもちをついてしまった。

 

「すいません。私、腕時計を見てて……」

 

 ノエルはぶつかった相手を見た。相手はマルフォイだった。ひどく顔色が悪かったが、少し喜んでいるようにも見えた。

 

「失礼するわ」

 

 ノエルは立ち上がってスカートの汚れを払った。そして、何かを言いたげな顔をしているマルフォイを置いてスタスタ歩いていった。次にすれ違ったのはシェリー酒の瓶を持った見たことのない先生だった。

 

(何でこの時間にシェリー酒を持ってここにいるの? て言うか、こんな先生見たことないわ)

 

 次に出会ったのがハリーだった。

 

「ハリー。ルーナを見たかしら?」

 

「うん。ついさっき、寮に戻っていくのに会った」

 

「そう、ありがとう。それで、あなたはどうしてこんなところにいるの?」

 

 ノエルが聞いた。

 

「うーん。君には話してもいいか。ほら、これを見て」

 

 ハリーは一枚の羊皮紙をポケットから出した。ポケットにはホグワーツの地図と、人の名前が書いてあった。

 

「この名前は居場所を表しているのね」

 

「うん。そうだ。それで、僕はマルフォイを追いかけているんだ」

 

「そうなのね。さっき見たわよ。いつもより顔色が悪かったわね。……でも、なんだか機嫌が良い感じだったわ……」

 

「あああーーーー!」

 

 いきなり女性の悲鳴が聞こえた。二人はその悲鳴の方向に走っていった。廊下にはさっきノエルがすれ違った先生が倒れていた。

 

「あ! さっきの先生だわ」

 

「トレローニー先生だよ。先生、どうしたんですか?」

 

 トレローニー先生はハリーの腕にすがって立ち上がった。

 

「あたくし--ちょっと個人的なものをあの部屋に置こうとしたら歓声が聞こえましたの。それで呼び掛けたら気づいたときには追い出されておりましたの」

 

 先生は興奮した様子で言った。

 

「歓声?」

 

 ハリーが眉間にシワを寄せた。

 

「誰が?」

 

「わかりませんわ」

 

「性別はどうでしたか?」

 

 ノエルが聞いた。

 

「多分、男でしょう」

 

「それは、校長先生に知らせに行くべきだと思います」

 

「まあ、それでしたら。--ダンブルドアに知らせておけば安心ですもの。もちろん、彼はあたくしのことを信頼なさっているでしょうけど」

 

 トレローニー先生は話続けた。

 

「最初の面接のことをよくおぼえていますわ。ホッグズ・ヘッドでおこないましたの。でも、その時、ちょっと変な気分になりまして--。そして、いきなりドアがパッと開いて、そこにはバーテンとスネイプが立っていたのです。きっと、私とダンブルドアの話を盗み聞きしていたのですわ!」

 

 トレローニー先生が言い切った。ハリーの顔色は真っ青になっていた。

 

「どうしたのですか? もう寮に帰った方がよろしいのでは? あたくしも本日は疲れたので、報告は後日にしようと思っていますわ。では、おやすみなさい」

 

 トレローニー先生は逆戻りしていった。

 

「ハリー。どうしたの? 顔が真っ青よ?」

 

 ノエルは心配そうにハリーを見た。

 

「何があったのかはわからないけど、先生の言う通り、今日は休んだ方がいいわ」

 

「いや、大丈夫だ。……それより、あれは絶対マルフォイだ。マルフォイが喜んでいただって!?」

 

「そうよね。絶対そうだわ。でも、何で? やな予感がするわ……」

 

 ノエルが不安そうな顔をした。

 

「すぐに寮に戻った方がいいかもしれない! マルフォイは多分死喰い人だ。何かを企んでるに違いない」

 

「あなたはどうするのよ」

 

「僕は寮に戻って、ロンとハーマイオニーに……」

 

「三人でマルフォイを止めるの?」

 

 ノエルがハリーの言葉を遮った。

 

「ああ、そうだ」

 

 ハリーが答えた。

 

「じゃあ、私も行くわ。きっと、ルーナも着いてくるわね。DAがなくなって寂しがっていたもの」

 

「でも、君たちにそんな……」

 

「去年はあなたの家族の問題だったけど、今回はホグワーツの問題よ。それに、一度死喰い人と戦った私たちがマルフォイ一人に負けるわけがないわ!」

 

 ノエルが言った。

 

「わかった。じゃあ、ネビルとジニーも呼ぼう。後で--出来るだけすぐにグリフィンドールの寮の前に来てくれ」

 

***

「これは、きっと使っても大丈夫……よね?」

 

 ノエルは大鍋に入った液体を瓶にうつしかえた。

 

***

 グリフィンドールの寮の前にノエルとルーナが着いた頃にはもう、ハリー、ロン、ハーマイオニー、ネビル、ジニーが待っていた。

 

「いいかい。僕たちはマルフォイを見張らないといけない。あいつは今、地図上には居ないから『必要の部屋』の中だ。それと、スネイプもだ。あいつはマルフォイとグルだ」

 

 ハリーが言った。

 

「マルフォイだけど、気をつけないといけないわね。何で喜んでいたのかもよくわからないもの」

 

 ハーマイオニーが言った。すると、その時、地図に『ドラコ・マルフォイ』という文字が現れた。

 

「出てきたな。マルフォイ」

 

 ロンが言った。そして、もう一言続けた。

 

「なあ、この学校に『ベラトリックス・レストレンジ』なんて居たっけ?」

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