ハリー・ポッターと鷲寮の少女   作:有栖川八重

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死喰い人の侵入

「ベラトリックス・レストレンジ? まだ出てくるわ。フェンリール・グレイバックってリーマス噛んだ狼人間じゃない」

 

 ハーマイオニーが言った。

 

「なんで死喰い人がこんなに? 『必要の部屋』に隠れていたのかしら?」

 

 ノエルが言った。

 

「それは無理よ。だって、ホグワーツの入り口という入り口が警備されているのよ」

 

 ハーマイオニーが言った。

 

「じゃあ『姿現し』かも……」

 

 ネビルが言った。

 

「それも無理よ」

 

 ハーマイオニーはピシャリと言った。

 

「じゃあ、どうやってあいつらは侵入したんだ。それにどこに向かってるんだ? 僕を殺したいなら方向は真逆じゃないか?」

 

 ハリーが言った。

 

「奴らはグリフィンドールの場所がどこなのかわからないんじゃないか? だって、全員スリザリン出身みたいな集団だぜ」

 

 ロンが言った。

 

「でも、わざわざ呼んだのに探すのっておかしいよ。マルフォイは城の中を自由に歩けるから、場所を見つけてから仲間を連れていけばいいもン」

 

 ルーナが言った。

 

「じゃあ、どこかに向かって歩いているっていうこと? こっちに何があるのかしら? スリザリンの寮とか? 後輩に挨拶しにいくのかもしれないわ」

 

 ジニーが言った。

 

「でも、先生たちを起こした方がいいかもしれない。僕たちが勝つには無理があるよ」

 

 ハリーが言った。

 

「そうね。じゃあこれを」

 

 ノエルは瓶を見せた。

 

「なんだい? これは」

 

 ロンが聞いた。

 

「あなたは授業で受けているはずよ」

 

 ノエルが言った。

 

「もしかして、フェリックス・フェリシス? でも、ちょっと違う気もするわ……」

 

「そうよ。ハーマイオニー。フェリックス・フェリシスの劣化版よ。フェリックス・フェリシス位の強さの幸運は無理だけど大量生産が出来たのよ。これを、皆で飲んで。あと、必要そうな人にもあげといてもらえるかしら?」

 

 ノエルは分けた薬を一人ずつ渡した。

 

「ウワー、これすごいや。本物だともっと幸せなんだろうな」

 

 ロンが言った。

 

「僕、『死の呪い』も怖くないや」

 

 ネビルが言った。

 

「良かった。効いたようね。……あれって例のあの人の……」

 

 ノエルは外を指差した。『闇の印』が外に浮かんでいたのだ。

 

 ハリーは、

 

「僕はあっちに向かうよ! 皆は先生たちに伝えて! この地図を使っていいよ」

 

と言い、一番近くにいたノエルに地図を渡し、走っていってしまった。

 

「とりあえず、私たちは先生に知らせた方がいいわね。六人いるから二つに分けましょう。一人での行動はやめた方がいいわ」

 

 ハーマイオニーが言った。

 

「ハリーは大丈夫かな?」

 

 ネビルが不安そうに言った。

 

「透明マントを持っていたから……。どちらにしろ私たちが行くよりもマクゴナガル先生とかフリットウィック先生が行った方がずっといいわ」

 

 ノエルが言った。

 

「なら、私はロンとネビルでこっちの方に行くわね。ハーマイオニーとノエルとルーナはあっちをお願い」

 

 ジニーが言った。そして、二手に別れて動き出した。

 

***

 ノエルとハーマイオニーとルーナが走っていると、マクゴナガル先生を見つけた。

 

「マクゴナガル先生! 緊急事態です。死喰い人が……」

 

 ノエルがマクゴナガル先生に言った。

 

「私もついさっき知りました。ダンブルドアに言われて今、何人かの不死鳥の騎士団を呼びました。あなたたちは危険ですから寮にお戻りなさい」

 

「でも、ハリーは塔の方に向かってしまいましたし、ロンたちも先生を呼びに回っているんです」

 

 ハーマイオニーが言った。

 

「見てください。この地図を」

 

 ノエルが『忍の地図』をマクゴナガル先生に見せた。塔には、死喰い人たちの名前、ダンブルドアの名前。下の階にはハリーの名前、そして、死喰い人と一緒にスネイプの名前があった。

 

「私は行きますが、あなたたちは危険ですからどこかに隠れていた方がよいでしょう」

 

 マクゴナガル先生はそのまま行ってしまった。そして、もう一度、地図を見た。すると、リーマス・ルーピン、シリウス・ブラック、ニンファドーラ・トンクス、ビル・ウィーズリーがいるのがわかった。

 

「四人だけじゃあ、ヤバイわ。ベラトリックス・レストレンジまでいるもの」

 

 ハーマイオニーが言った。

 

「そうね。私たちで追いかけた方がいいわ!」

 

***

 ノエルたちが到着したとき、四人は何人もの死喰い人に対して、対等に戦っていた。なので、三人は隠れた所からひたすらに呪いをかけていた。ノエルは、日々作り続けた薬が入った沢山の瓶を死喰い人に投げつけていた。

 

「誰だよ! こんな瓶投げつけた奴! 魔法よりたちが悪いじゃねえか!」

 

「知らねえよ! ……なんかお前の左手、めちゃくちゃでかくね?」

 

「痛そうねぇ。あら、あれマルフォイじゃないかしら」

 

 ハーマイオニーは奥の方を見て言った。奥の方にはマルフォイが一人で立っていた。そして、ベラトリックス・レストレンジはマルフォイに先に行くように指示した。

 

「ハリーはもう上の方にいるのかしら? 鉢合わせたら大変よ」

 

 ノエルが言った。

 

「地図を見せて。もう、ハリーは上にいるね。でも、大丈夫だよ。ダンブルドアも一緒だもン」

 

 ルーナが言った。地図から顔を上げると、フェンリール・グレイバックが誰かを襲っていた。あの赤毛はビルだろう。他の人は助けられない様子だった。

 

「最低ね。魔法使いなのだから杖を使いなさいよ。杖を」

 

 ノエルが言った。

 

「いや、瓶をさんざん投げてたあなたが言えないわ……」

 

「ルーナ、これ持ってて」

 

 ノエルはルーナに『忍の地図』を渡した。そして、放置してある何本かの箒の中から一本持ってきた。

 

「ちょっと、ノエル。何やってるの!?」

 

 ハーマイオニーの声を無視して、ノエルはグレイバックの後ろに飛び出した。そして、おもいっきり箒の柄でグレイバックに殴りかかったのだ。グレイバックはフラフラしたが、すぐに体勢を戻した。そして、次はノエルに襲いかかろうとした。

 

『アグアメンティ!』

 

 ノエルはグレイバックに杖を向けて叫んだ。すると、ものすごい水圧の水が飛び出したのだ。グレイバックはその場にびしょびしょになって倒れた。ノエルもあまりの水圧に尻餅をついてしまった。

 

「ノエル。大丈夫?」

 

 ルーナが出てきて、ノエルに手を差しのべた。ノエルは手を取って、

 

「いつものことだから大丈夫よ。ありがとう」

 

と言った。

 

「アミカス。グレイバックを起こせ」

 

 ベラトリックスが言った。ずんぐりとした小柄な女がグレイバックの元へ行った。そして、ベラトリックスはノエルに近づいた。ノエルは思わず後退った。

 

「良くやるねぇ。お嬢ちゃん。まさか、箒で狼人間を殴るなんてねぇ」

 

 ベラトリックスは小さい子に話すかのように言った。そして、杖をかかげ、

 

『クルーシオ』

 

と唱えた。そしてすぐに、ハーマイオニーが飛び出してきた。ノエルは一瞬持ち上げられる形になったがすぐに地面に落ちて、苦しそうに倒れてしまった。そして、何かを取り出した。すると、たちまち部屋は真っ暗になった。その時、誰かが新しく塔に入ってきて、通り抜けていった気がした。


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