DAではついに『守護霊』の練習を始めた。周りのみんなは杖から銀色の煙が少し出るくらいまでは進歩したが、ノエルの杖からは全く何も出てこなかった。
「ノエル。何か幸福なことを考えるんだ」
ハリーが指導した。
「わかっているのよ。でも幸福って何かしら? 嬉しいことは人生で沢山あったけれど、特に何も覚えていないのよ。一応、大好きなお菓子を食べている時のことを考えてみているけれど……」
「想像でもいいんだよ。例えば、アンブリッジがクビになることとか……。君ならOWLで全教科Oを取る想像でもいいんじゃないのかな?」
ハリーが言い終わるのと同時に『必要の部屋』のドアが開いて、閉まった。ドアの前には、毛糸帽子を八段重ねに被り妙な格好をした屋敷しもべ妖精が立っていた。
「やあ、ドビー」
ハリーが挨拶をしたが、妖精は恐怖で目を見開き、震えていた。
「ハリー・ポッター様。あの女の人が……」
「アンブリッジかい? あいつがどうしたんだい?」
ドビーはがっくり膝を床に着いてしまった。
「あの女が来るのかい?」
ハリーが聞くと、ドビーは静かにうなずいた。
「みんな、逃げるんだ! 速く!」
全員が出口に向かって突進した。
「ドビー。君は厨房に戻るんだ。絶対に僕の所に来たことを言ってはいけない」
「わかりました。ハリー・ポッター」
ドビーはキーキー言うと一目散に走り去った。
「ノエル! 君も早く逃げるんだ!」
まだ必要の部屋にいるノエルにハリーが叫んだ。
「大丈夫! 私、アンブリッジの授業の成績は最優秀で信頼されているし、あいつの取り巻きのスリザリンの連中とも仲は悪くないわ。私が足止めをするわ。早く遠くまで逃げて!」
ノエルはハリーを『必要の部屋』から追い出した。
--この名簿が見つかったらまずいわね。
ノエルは羊皮紙を壁から引き剥がそうとした。しかし、急いでいたせいで、『ダンブルドア軍団』と書かれた部分だけが残ってしまった。ノエルはポケットに羊皮紙を丸めて入れて、『必要の部屋』の外に出た。そして、みんなが出ていった方向とは正反対の足音が沢山聞こえる方向へと向かった。
「あら? ミス・ガーネット。こんなところで何を?」
アンブリッジがノエルに尋ねた。
「アンブリッジ先生! ハーマイオニーかルーナを見かけませんでしたか? 私、勉強で聞きたいことがあってずっと探しているんです。ほら、ハーマイオニーは頭が良いですし、ルーナは普通の人には考えつかないようなことを考えるじゃないですか」
「私達は、ミスター・ポッターを探しているのですよ。ミス・ガーネット。きっと、ミス・グレンジャーも一緒にいるでしょう。一緒に探しましょう」
アンブリッジが大きな口を開けて笑った。これはきっと優しい表情のつもりなのだろう。
「一緒に探してくださるのですか!? 嬉しいです。行きましょう。私、まだ図書館を探していないので一緒に行きませんか?」
ノエルはアンブリッジとその取り巻き達を連れて、ゆっくりと図書館へ向かった。
***
ハリーは逃げた先の男子トイレの個室であることに気づいてしまった。名簿の羊皮紙を『必要の部屋』忘れてきてしまったのだ。あれが見つかってしまえばDAのメンバーは全員、退学になってしまう。アンブリッジに信頼されているノエルでさえあの名簿に名前がある時点で退学だ。ノエルが持っていってくれたかもしれないがそんな余裕があったとは限らない。ハリーはそっとトイレから出て、必要の部屋に戻ってしまった。そして、部屋に入ろうとした時に、何かに踝を掴まれ、転倒してしまったのだ。
「『足すくい呪い』だ。ポッター!」
マルフォイが言った。
「せんせーい。ポッターを捕まえました! アンブリッジ先生!」
マルフォイが叫んだ。すると、アンブリッジがとんでもないスピードでやって来た。ゆっくり歩いていたせいでそこまで遠くに行っていなかったし、体力も有り余っていたのだ。そして、少し遅れてノエルとアンブリッジの取り巻きのスリザリンの生徒達が現れた。ノエルは別に拘束されているような様子はなかった。
「よくやったわね。ドラコ。スリザリンに五十点! あら? この部屋は何かしら?」
アンブリッジはハリーの腕をつかみ、『必要の部屋』にずんずんと入っていった。
「あら? これは破けた羊皮紙ね……。ダンブルドア軍団ですって!?」
アンブリッジは壁に張ってある破けた名簿を見た。『ダンブルドア軍団』と書いてある部分に画鋲が刺さっているのでそこだけ破けずに残ってしまったのだろう。
--ノエルは名簿を破いておいてくれたんだ!
ハリーは一瞬ホッとした。しかし、ハリーが捕まってしまったのと、ダンブルドア軍団が存在がばれてしまったという事実は変わらないのだ。
「さあ、皆さん、ポッターの仲間を探してくるのです。きっと息が切れている人でしょう。ミス・ガーネットも手伝ってくれますよね?」
「え、あ、はい」
「そして、ポッター。一緒に校長室に行きましょう」
アンブリッジは柔らかい声でハリーに言った。
ノエルが守護霊を創れる日はいつ来るのでしょうか!?そのシーンはもう決めているのですがどの動物にするのかが全く決まりません……。