その日、破軍学園は戦慄に震えた。
"その者"は覇王の威容を纏い、大空を飛んでやって来た。
"その者"は自らの姿を隠そうともせず、むしろ見せつけるようにやって来た。
"その者"は神だった。紛れもなく、神威を醸す巨神だった。
そして、誰かが叫んだ。
『彼は──彼こそは────!』
《熱核造神非想天則》である、と。
破軍学園入学式。新入生の挨拶での出来事である。
「あ、やべ」
ドッガーン!!!!!!
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「いやー、今日のは失敗だったよ。安全装置付けてるとはいえ、仮にも核融合エネルギー使ってるからねぇ」
悪びれる様子もなく語るのは河城にとり。此度の大爆発事件の犯人である。
「その通りです。分かっているなら、きちんと反省してください。奇跡的に体育館が崩れただけで済みましたが、あれだけの爆発が起きたなら普通は何千何万と人が死にますからね!?」
それに対するのは東堂刀華を初めとする生徒会メンバー。教師が対応するよりも先ににとりを捕獲し、拘束の末説教を始めたのである。
・・・・・・しかし、教師が対応を遅れた理由の一つに、『男のロマン』というものがある事を忘れてはならない。いくつになっても、男子は男の子なのだ。巨大ロボットのロマンを体現した生徒を怒るのは偲びないのだろう。
「技術の発展に犠牲はつきものさ」
「雷切チョップ!」
「ぶべらっ!」
説明しよう!『雷切チョップ』とは、東堂刀華が怒りの余り即席で作り出した伐刀絶技だ!手刀に雷を纏わせ、脳天目がけて振り下ろす!ナ〇トのあれだぞ!(説明放棄)
「ふごごごごご」
「いいですか、大体あなたには自覚が足りていない!破軍学園の新入生として・・・・・・」
1時間後
「ですから、あなたはきちんと自分の力と発明したものへの責任と自覚を持ち・・・・・・」
(何この人。説教ながすぎ)
さらに3時間後
「そもそもあなたは周りを気にしなさすぎです。数時間の短い付き合いですがよーく分かりました。私の話を聞き流すその態度!それを見れば一発です。ですからあなたは・・・・・・」
(核融合エネルギーの制御装置、もう少し見直すか。やっぱり冷却機構に無理があったのかなあ)
さらに1時間後、ついににとりは音を上げた。
「誠に申し訳ございませんでした。以後、周囲の安全とTPOを常に考慮し、適切な行動を取ることを誓います」
「よろしい!これからは気をつけてくださいね」
「はあい・・・・・・」
こうして、破軍学園の平和は保たれた。
しかしそこに体育館の犠牲があったことを忘れてはならない。
そしてなにより・・・・・・学園長、及び教頭の頭部に敬礼を!うお、眩し!
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どうも皆さんこんにちは。毎度おなじみ河城にとりでございます。
いやーそれにしても今日の大爆発は痛かったなあ。《熱核巨人非想天則・type63》、つまりはプロトタイプの63号なわけなんだけど。
救いは霊装化がまだだったから気絶しなかったことと、材料のほとんどがスクラップだったことかなあ。流石に重要な部分はちゃんとしたので作ったけど。
さて、失敗は失敗。そしてそれは成功の母となる。父でもいいけど。おさげ巨乳の説教で時間食われたから、今日は徹夜コースだぜい!ヒャッハー!!
・・・・・・え?明日は授業とかあるだろって?この学園には寮があるから入っただけだし、ぶっちゃけ退学させられなければいいかなって。
ま、んなことはどうでもいいよね。さあ、始めようか!
「発明の時間だよ!《
すまない・・・・・・気づいたら刀華ママが映姫様になってたんだ・・・・・・すまない。
何を言ってるか分からない?俺もだよ、ハハッ。
でも、ちょっと刀華さんに説教されてみたいと思う今日この頃。
熱核巨人非想天則・type63・・・・・・熱核造神非想天則の前身、熱核巨人シリーズの63号。にとりとしては今回の試運転で成功すれば完成品扱いする予定だった。しかし安心と信頼の爆発オチ。これを教訓に魔改造もとい改良を加えていく。そして数字の数だけ爆発があるのだ。
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